私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

をしね

2007-10-04 10:12:08 | Weblog
 昨日「松の落葉」で取り上げられている植物は3種類だと書きましたが、今朝もう一度調べてみました。するともう一つ「おしね」という言葉が出ていました。
 だから正確には4種類になります。
 「おしね」については、先生は。次のように説明しています。
 『おしねは小稲のことで、をは軽く添えた詞で、車のことを「をぐるま」というのとおなじです。稲を「しね」と言うのは、昔、和稲(ニコシネ)荒稲(アラシネ)と呼んでいたの名残だそうです。
 為家という人が
 『かたおかの 森の木の葉の いろずきぬ
          さわ田のをしね いまやからまし』
 と詠んでいるが、これなどもただの稲という意味らしい。

 私事(ひとりごと);
 「明治43年に、明治天皇が、この吉備の里で行われた陸軍の演習視察のために(行幸)立ち寄られた駅」という碑が、JR吉備津駅に立てられています。
 この吉備への行幸で、御詠みになられたのでは思われている御歌が4,5首残っています。

  ・をしねほす しずが垣根を みつつゆく
                秋の旅路の ここちよきかな
  ・草枕 たびのやどりに 着きて後
                うれしく雨は ふりいでにけり
  ・あすもとく 軍ならしの さまみむと
                思えば夢の さめがちにして
 などの歌などです。

 この時の天皇の野立所にも(足守川の岸辺の小高い場所)記念の石碑が建てられています。
 現在では、「をしね」「しずが垣根」等といった御歌の風景は、吉備の里の何処を捜しても見つかりません。が、この足守川の岸辺に出で立つと、あの秋の寂寞としたわびしさがいっぱいに吉備の野に広がっているのが見渡せます。誰でも簡単に、秋を深く思うことが出来ます。
 これぞ「吉備路の秋」だという実感が味わえます。一度お尋ねください。大和路よりちょっと違った「マホロバ」の姿を感じることが出来ます。出来れば11月の末頃の雨上がりの晴れた日の夕方が一番だと思います。
 あたりの気配に「おしねほす しず垣根」の風景をなんとなく感じ取る事が出来ます。
 霧立ち上る秋の夕暮れが一番ですが。