たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

宝石に隠れた闇 <東南アジアの零細金採掘 危険の隣、夢みつめ 死に至る、水銀蒸気>などを読みながら

2017-10-30 | 心のやすらぎ・豊かさ

171030 宝石に隠れた闇 <東南アジアの零細金採掘 危険の隣、夢みつめ 死に至る、水銀蒸気>などを読みながら

 

「美しいものには棘がある」というのはだれが言ったのでしょう。人が魅了されるたいていのものは、人間の大変な苦悩と努力で生まれるからこそ、輝くのでしょう。でもそれが効果に取引されるとなると、なかには非人道的な行為によって生まれるものもあるのでしょう。

 

以前見た映画Blood Diamondは、アフリカで政府軍と反政府軍が抗争する中で、紛争の資金調達のため不法に取引されるダイヤモンドが一つのテーマとなっていました。そして反政府軍に略奪され少年兵となって狂気の手先となったわが子を必死で取り戻そうとする親と、不法取引の一味でもある主人公が相対立しながらその親が強制下で川で発見し隠した大ダイヤモンドを、適地に潜入して取り返すという、スリリングな話を思い出しました。

 

いずれにしても、ダイヤモンドが不法な条件下で産出され、取引され、それが反政府軍などの戦費となるとともに、欧米で高値で取引されて、貴婦人?に提供されている問題を取り上げたものともいえるでしょう。その舞台は、平穏に暮らしている集落を襲い、人を略奪して、少年は麻薬などで支配して凶暴な少年兵に仕立て上げ、大人は金採掘に従事させるというものです。水銀精練は直接描かれていなかったですが、ありうると思います。

 

さて毎日朝刊は、両面記事で<輝き探す闇 2017世界子ども救援キャンペーン~東南アジアの零細金採掘>とのタイトルで、<危険の隣、夢みつめ 死に至る、水銀蒸気>や<貧困の坑道抜けたい>などに加え<写真集(採掘・精練等の作業)>を掲載しています。畠山哲朗記者と写真は川平愛記者によるものです。

 

わが国では大企業が水俣病という有機水銀による深刻な健康被害を大々的に発生させましたが、世界各地では水銀汚染の危険がほとんど知られていない地域が少なくなく、とくに零細小規模金採掘の問題が長年取りざたされたまま放置されてきました。今年8月に発効した水俣条約による対策が実施されてることが期待されています。

 

記事では<少人数で金を採掘・精製する零細小規模金採掘(ASGM=Artisanal and Small-scale Gold Mining)。従事者は世界で最大1500万人とされ、東南アジアでは貧困家庭の子どもらが、有毒な水銀を使った精製作業や金鉱山での重労働で家族を支えている。一方で、水銀使用を国際的に規制する水俣条約が8月に発効し、問題解決の取り組みも始まっている。>

 

ASGMで働くのは、危険な作業にもかかわらず、多くは10代の子どもたちです。<家族を楽に 僕が>とまじめな少年がある種自分たちの意思でやっているのです。でも金の精練過程で水蒸気となった水銀を吸い込むことの危険性を知らないのです。

 

ようやく<学校で意識改革>をはかるため、金精練の危険性を教えてるようになったようです。記事の詳細は、上記の他、連載記事があるので、関心のある方はこれらを見てください。

 

<~東南アジアの零細金採掘/1 8歳から金採掘、16歳で体に異変

<~東南アジアの零細金採掘/2 息子の死、私の責任

<~東南アジアの零細金採掘/3 不安抱え生活優先

<~東南アジアの零細金採掘/4 地中6メートル、死の危険

<~東南アジアの零細金採掘/5止 父倒れ、川底の穴へ

 

私たちは、身近な問題でもなかなか対応できないのですから、世界各地の問題、それは東南アジアというところで起こっている問題についても、なかなか自分のものとして考えることが容易でないと思います。

 

私自身、四半世紀前、東南アジアの問題を自らの問題と考え、日弁連調査に参加して、自分なりに取り組んでみましたが、なにか意味があったかはわかりません。

 

それでも「エシカル・ジュエリー」という意味合いは理解できますし、それぞれが選択し実施できることではないかと思うのです。

 

<広島大の布施正暁准教授(環境工学)らは「エシカル(倫理的な)ジュエリー」制度の導入を研究する。宝飾業者がASGM側と協定を結び、水銀を使わず精製した金を高額で買い取り、社会や環境に配慮した貴金属として売る仕組みだ。「途上国では水銀や児童労働で金が生み出される。日本の消費者も金の宝飾品を買う際には、出所を意識する必要がある」と指摘する。>

 

私は、ダイヤモンドや金などにはあまり関心がないというか、お金もありません。そういうものに関心のある女性は私に興味を持たないでしょうし、私もそういう女性に魅せられることはないのです。ま、女性からは嫌われるかもしれませんね。

 

ともかく金なりダイヤモンドなり、宝石といったものを求めるのであれば、その適正な入手ルートを確認して、選択してもらいたいと思うのです。私が関与した調査が、その後の違法伐採木材の輸出入規制にどれだけ役立ったかはわかりませんが、90年代の世界情勢は、現地の労働条件の安全性・適法性を高めたり、適法な伐採基準の樹立に向かったのは確かです。

 

この金の精練に見られる、危険な環境を早期に改善し、そのようなことがなくなるよう、消費者側で、全工程を監視するくらい、チェックする体制づくりに協力する意識が必要ではないかと思うのです。

 

今日はこの辺でおしまい。


懲戒と自省 <アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定・・>を読んで

2017-10-30 | 司法と弁護士・裁判官・検察官

171030 懲戒と自省 <アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定・・>を読んで

 

台風一過青空を期待したものの、どんよりした天候ですね。体調や気分が悪くないと、これもまた素晴らしく感じるのが人間の感性かもしれません。

 

さて、見出しの記事、産経記事ですが正確には<アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定 東京弁護士会の懲戒委員会 処分理由の詳細判明>ということで、処分を受けた法人の悪質性の観点で問題を取り上げています。これに対し、毎日記事では<東京弁護士会 アディーレ処分で混乱 相談8000件>として、むしろ依頼していた利用者や就職希望を予定していた修習生からの困惑が取り上げられています。後者の記事(ウェブ上でなく紙面も)からは同法人が過払い金処理で依頼者に不評をかっていたとか、働く弁護士の労働条件が悪いというより、どちらかというといい印象でとらえられていた印象です。

 

産経記事では、<懲戒委は、アディーレの報酬総額が21年10月から27年7月までで約268億5400万円に上り、「取扱件数も桁外れで社会的影響は極めて大きい」と判断。広告が複数回更新され、サービス内容の変更も3回にわたることなどから、こうした広告を利用した集客行為には悪質性があるとした。>と取扱件数や違反広告の長期継続性が悪質とされています。

 

ただ、この取扱件数は驚くべきもので、しかも後発の若い人中心の弁護士法人としては破格の報酬を獲得していた、ある種の成功モデルを提供しているともいえます。

 

以前、ブログでこの問題を取り上げたとき、平成28216日付けの消費者庁より広告禁止の措置命令>を受けて、東弁も審査して処分したことを触れました。では、消費者庁の措置命令は、当然、何度も指導・勧告を経て行われるのが通常で、本件でも同様です。消費者庁には東弁はじめ弁護士会の消費者委員会の主力メンバーが関与してきたと思います。

 

当該法人の問題は当然、産経の記事で指摘されたれ広告掲載一覧の当初、あるいはそれ以前から問題にされていたのではないかと思います。ところが消費者庁がようやく出した措置命令まで、なんの対応をも講じなかったのは、だれあろう自治権を持つ弁護士会です。

 

懲戒申立事例が増大する中、対処が困難だったという理由はある程度理解できると思いますが、それは弁護士以外の国民・関係者に理解されるでしょうか。より迅速な対応をしておれば、長期間問題を放置したのは弁護士会でもあり、それが悪質だとして、業務停止処分という法人や関係者に多大な影響を受けるような処分を下すのは、果たして妥当性があるか、日弁連で検討してもらいたいと思います。

 

東弁のその間の会長は私の知り合いや仲間みたいな人なので、あまりこの問題を取り上げたくないのが半分、他方で、弁護士会が独立した公正な立場で社会に警告や提言を発する役割を担うことが期待されている中、懲戒手続きについて再考を検討してもらいたいと思うのです。

 

おそらくは消費者委員会で問題とされていたと思われる当該法人の広告がなぜ見逃されてきたのか、綱紀・懲戒制度になにか問題がなかったか、社会の声を聞くことに十分でなかった点がなかったか、また、迅速・的確な処分となっているかを、調査検討してもらい、改善をも視野に入れて欲しいと思うのです。

 

むろん委員のメンバーはボランティア的に懸命に長時間にわたって大量の作業をしていると思います。ただ、日産・スバルなど多くの不正(東弁の対応が不正ではありませんが)は、一生懸命作業していても起こりえます。システムに見えない欠陥があるかもしれません。それを自省の意味でチェックしてもらいたいのです。

 

今日の話題というわけではないのですが、つい身内感覚でとりあげました。