たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

土壌汚染浄化の困難さ <香川・豊島の産廃問題 想定外300トン 「撤去宣言」後に続々>を読んで

2018-05-10 | 土壌汚染

180510 土壌汚染浄化の困難さ <香川・豊島の産廃問題 想定外300トン 「撤去宣言」後に続々>を読んで

 

今朝は公判準備がなかなかはかどらず、早朝目覚めて仕上げをしました。そのため田中陽希のグレートトラバース2は途中から見ながら室内ジョギングをしました。体調悪いときでも、軽いジョギングをすると少し改善しますね。新聞の広告欄に掲載されていた腰痛対策用のスクワットも試し始めていますが、これもなかなかいいです。本の広告で、その中にいくつか図でやり方が書かれていますが、ま、たいして違いがないと自己流でやっています。本を買わなくて済みますね?

 

ところで、今日は和歌山地裁まで行き、その後もいろいろ打ち合わせがあったので、いつの間にか6時を過ぎ、ブログを書こうかとおもったら7時です。こうなると30分勝負で、えいやと書き上げるしかありません。

 

豊島産廃問題は、これまでも何度か取り上げてきたかと思いますが、やはり終了宣言は根拠が弱かったと言うことでした。

 

今朝の毎日記事<香川・豊島の産廃問題想定外300トン 「撤去宣言」後に続々 県、見通し甘く処理先も未定>は、産廃処理の難しさを示していますね。

 

<約91万トンの産業廃棄物が捨てられ、国内最大級の不法投棄事件が起きた香川県土庄(とのしょう)町の豊島(てしま)。県と住民の公害調停に基づく産廃撤去事業は期限の昨年3月に終わった>はずでした。でも実際は

 

<今年に入って新たな廃棄物が相次いで見つかり、県は4月に投棄現場の再調査を始めた。産廃は島内で当面保管するが、処理先は未定。不法投棄の深刻さと共に、処理責任がある県の見通しの甘さも指摘されている。【岩崎邦宏】>

 

発覚の経緯はつぎのようです。

<今年1月に地下水浄化のため現場を掘削していた際に汚泥85トンが発見され、2月にも近くで汚泥30トンが見つかった。県は4月から投棄地の調査を開始。1~2月分を含め、計7カ所でドラム缶や汚泥など少なくとも計300トンが確認された。>

 

ではこのような事態が見通せなかったのでしょうか。

 

<投棄業者は島西端の土地で投棄や野焼きを繰り返した。重機で深い穴を掘って捨てる「つぼ掘り」など悪質なケースも撤去時に判明し、県は推定約56万トンだった産廃量を大きく上方修正。当初2013年3月までに終える予定の撤去と直島(同県直島町)での無害化処理も約4年ずれ込み、県は公害調停の撤去期限だけは何とか間に合わせた。>

 

あまりに次々と産廃が見つかるものですから、撤去と無害化処理の期限を延期に延期を重ねて、無理に公害調停で定まった撤去期限だけを間に合わせたわけですね。

 

どうやらこれまでの調査自体が不十分だったようです。というか住民任せのような印象で、しっかり費用をかけ本格的な調査を行わなかったようにも見えます。

 

<これまで産廃の分布はボーリング調査や金属探知機などで調べ、現場で地面が見えるまで掘削して県職員や住民らが確認していた。しかし、新たに見つかったドラム缶などは地表から1メートル以上の深さにあり、探知機にも反応せず、業者が発覚を逃れるために埋めた可能性がある。浜田恵造知事は「住民には申し訳ないが、予期できなかった」と釈明した。>

 

だいたいたった1m以上の深さにあるドラム缶を見逃してきたのですから、行政の責任も大きいでしょう。不法投棄した悪質業者が悪いのですが、彼らのやり方から、そのような隠し方は想定できたように思えます。

 

とはいえ、地下探査はとても難しいようです。以前、神栖ヒ素汚染事件に関わったとき、環境省による土壌汚染調査でも十分判明しませんでした。地下水の流れを的確に把握するには膨大な調査時間と費用を要するわけですね。

 

他方で、今回はドラム缶といった有形物ですから、その限りでもう少し真剣に取り組めばより早く全体像が把握できたのではないかと思うのです。

 

とはいえ、100×100mメッシュから、その10分の1、さらに10分の1まで、土壌汚染調査を絞り込みながら行うには、費用をできるだけかけないでやるとすれば、相当な知見・能力のある人がやらないと難しいのではないかと愚考します。

 

以前、私が関わったマンション開発案件では、基礎工事のための掘削で、次々と有害汚染物質が見つかりましたが、それは地下を10mないし20mくらいは掘削するわけですから、そういう場合は徹底的にやりますね。それに比べ産廃処理のためにとなると地下掘削といっても限られるのでしょう。

 

改めて土壌汚染調査のあり方を見直すことを検討してもらいたいと思う次第です。


なお、<豊島の産廃問題 残留産廃に懸念の声 住民・研究者ら、豊島学会で議論 /香川>記事も注目しておく必要があると思います。


 

今日はこれで30分近くになりましたので、終わりとします。また明日。


春分の日の記事 <豊洲 100倍ベンゼン「安全」>などを読んで

2017-03-20 | 土壌汚染

170320 春分の日の記事 <豊洲 100倍ベンゼン「安全」>などを読んで

 

今日は春分の日、うららかな春日和で、お墓参りや、神社参拝、いろいろでかける人を見かけます。他方で、農家は連休中も、今日も、果樹園に農薬散布したり、田んぼで耕耘機を動かしたりと、いい天候を利用して作業に余念がありません。

 

私も三日連続の竹林整備で、少しだけ片付いた感を抱き自分で満足しています。

 

さて毎日記事(大阪版)は、春分の日といっても、一面では「選抜開幕」を祝うくらいです。トップは<豊洲 100倍ベンゼン「安全」>と専門家会議が発表した「安全」という評価をわざわざ見出しに入れています。ウェブサイトでは東京版で、<移転問題 「ベンゼン100倍」報告 小池氏判断焦点に 地下水再調査>と、地下水再調査結果と専門家会議の結論を踏まえて、小池知事の判断を注目する取り上げ方になっています。

 

そして連休というのに、東京都議会では百条委員会を開いて連日、石原元知事や浜渦元副知事への質問を行っています。とても春分をのんきに過ごすどころではないですね。それは当然でしょう。築地市場関係者の皆さん、その関係者の皆さん、そして消費者であり都民の皆さんにとって、この騒動は一体どういうことか、どうなるのか、気を病む問題ばかりでしょう。

 

専門家会議による、地下水の再調査結果とその評価の発表は、豊洲移転賛成側、反対側のいずれにとっても腑に落ちない内容ではなかったかと思うのです。地下水の水質が環境基準を大幅に超えていても、大気には影響がない、むろん、地上の建物内や食品には影響がない、といった評価は、科学的には妥当するのかもしれません。しかし、そうであれば、なぜ地下水のモニタリングをわざわざ行ってきたのか、どのような有害物質であっても問題ないのか、地下水が東日本大震災のときに起こった液状化により、地上に吹き出すおそれはないのか、などさまざまな懸念はどのように説明できているのか、まだ資料がないので検討できていませんが、気になります。

 

地下水調査でなされていた「パージ」(purge)という表現、地下水採取の際の基本的な作業と言うことですが、レッドパージを思い出させてしまうのは、少し飛躍がありすぎでしょうか。間隔をおいて採取するため、採取時に不純物を排除するという科学的根拠はわからなくもないのですが、それで本当に地下水の変動をしっかり把握できるのか、気になるところです。ある施設から排出される気体の成分を採取・分析することは、簡単ではないといわれています。施設内に入ってくるさまざまな化学物質が加工なり処理され、多様な物質が生成され、二次的にも生成され、それが一日の中でも変動が相当あります。

 

私がお聞きした、大気や水質の調査分析を行ってきた専門家たちの話しでは、連続的な採取を含め観察が必要とも言われています。採取後の分析においてもガスクロマトグラフなどで検出できる範囲は物質が特定されていることを前提にしていて、検出結果から、その物質が存在するとか、定量分析でその量を解析できるものの、大気や水質全体を把握できるわけではないとも言われています。

 

そのような一般論は脇に置いてもいいかもしれません。絶対の安全性といったものを求めることは現代社会の要請に適合しないという立場に立っています。問題は、これまでの汚染の処理や調査結果について、適切な開示と説明が、専門者会議や東京都においてなされてきたかという点です。それが安心という信頼を生み出すものではないかと思うのです。それがベールに包まれたまま、工事を進め、工事の変更も闇の中に隠してきたからこそ、汚染土壌の処理自体について、そして地下水の影響自体について、いまだ不安を取り除けていないのではないかと思うのです。

 

他方で、百条委員会は、ニュースでちらっと見ましたが、果たして事実関係を解明するために、適切な質問が行われ、回答がなされているか、懸念したとおりの状況ではないかと思います。質問時間が政党の議席数に応じて配分され、それぞれの質問者の間で質問内容の調整もなく、しかも持論としての意見を事実確認もなく、話した後、質問するといったやり方では、政治ショーとみられてもやむを得ないように思うのです。百条委員会の手続きや委員構成など、現状のままでは、東京都だけでなく、全国で行われているこの委員会方式に期待を寄せたり、信頼を勝ちうるのは容易でないと思わざるを得ないのです。それは国会の国政調査権としての質疑でもさほど大きな違いはないように感じるのは私だけではないように思うのです。

 

話しは少し変わりますが、先日私が取り上げた交渉記録や日報の保管について、森友学園とPKOに関して<交渉記録の保存期間 財務省「1年未満」、専門家は「5年」>では、「財務省行政文書管理規則は国の行政文書管理ガイドライン」が取り上げられています。

 

同ガイドラインには、<保存期間「1年未満」はなく、備考欄に「本表が適用されない行政文書については、文書管理者(課長など)は、本表の規定を参酌(参考に)し、当該文書管理者が所掌する事務及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする」と書いてある。>となっていることから、財務書担当者が適用外の文書として取り扱った可能性を指摘しています。

 

この点、<第三者で構成する政府の公文書管理委員を務める・・・三宅弁護士は「面談記録は土地売買契約の過程の記録であり、この『証拠書類』に該当する。保存期間は最低5年とされるべきだ。廃棄は行政文書ガイドラインと財務省行政文書管理規則違反だ」と指摘している。>とのこと。三宅弁護士の意見こそ、だれもが当然と考える処理でしょう。森友学園との国有地売却に関するような文書管理すること自体、国有財産の売却を含む管理に重大な懈怠があったと見るべきではないかと思います。

 

この点は、東京都の東京ガスとの間の交渉においても同様の問題があります。東京ガスは膨大な記録を開示していますが、東京都においても、担当者それぞれの立場で、どのような権限行使が行われ、判断が行われたかを、記録として残すことは必須であり、重要な職務上の義務でしょう。

 

とりわけ東京都は土地購入による土壌汚染問題の深刻さは十分経験していたのですから、その売買交渉過程を適切かつ慎重に行うとともに、記録保管は必須だったと思います。つまり、東京都は昭和48年日本化学工業(株)から購入した土地について六価クロム汚染土壌の問題が発生し、同社に損害賠償請求の訴訟を提起し昭和61年に和解した後、平成132月まで協定による処理が行われていたのですし、平成25年に到っても浸出土壌の問題で処理が行われていたのですから、土壌汚染の土地売買については慎重な対応が必要であることは十分承知していなければなりませんでした。私自身、住民側の弁護士として、90年代は東京都および日本化学工業を相手にした訴訟を担当していましたので、とくに感じます。

 

もう一つ、また少し話しが飛びますが、森友学園の事案で、100万円の寄付について、<写しは、学園が計画していた小学校建設寄付用の「払込取扱票」の受領証。依頼人の欄に修正テープの上から「森友学園」と手書きされ、テープをすかすと「安倍晋三」と書かれていた。テープには処理した郵便局の印鑑が押してある。>との記事がありますが、不思議な受領証ですね。あえて取り上げるほどもないので無視していたのですが、ついでということで言及しておきます。

 

この受領証に関するやりとりについて、記事では<長女によると、安倍首相の名前で振り込もうとしたが、郵便局で保管する取扱票の左側部分に森友学園と書かれており、名義が一致しないとして受け付けられなかったと説明。顧問の会計士と相談し、修正テープを使って書き直したという。>これまた不思議な話です。

 

たしかにテープを透かすと安倍晋三と書かれていることは分かりますが、その書かれた位置が印字された「様」の上にあるのはどうしてでしょう。普通は「様」の左横に書くのではないでしょうか。ましてや寄付者が総理ですから、「様」の上の方に書くなんて失礼なことはできないと思うのですが、それは関係ないということでしょうか。郵便局の保管する取扱票との名義の一致に関する指摘は、なぜそのようなことになるのかその経緯や取扱を確認する必要があると思うのです。とりわけ気になったのは、修正テープで書き直した、それも会計士と相談してということですが、会計士があえて修正テープを使うことを容認するとは考えにくいですね。会計の基本として、修正する場合元の数字なり名前、項目が分かる形で行うはずで、このような修正を認めるとは考えにくいですが、どうでしょう。

 

そして上記の流れからは、森友学園側が作成した受領証であり、後から書き入れ、修正したとみるのが自然ではないでしょうか。これも推測にしかすぎないので、郵便局の記録にこの振込記録が残っていると思いますから、それを提出してもらえば、はっきりすると思います。

 

さて今日は何を書こうとしたのか、ほんとは春分の日ののどかな里山で、ウグイスが慣れない鳴き声を発したり、キジが驚いて飛び立ったり、ツグミやヒバリがさっと横切ったり、野鳥賛歌でもと思っていたのですが、美しくない話になったのは、今日の気分があまり晴れないからかもしれません。明日はいい一日であることを祈りながら、今日はこの辺でおしまいとします。


土地利用の来歴と処分の公正さ <大阪・豊中の国有地売却8億円減額、根拠示さず>を読んで

2017-02-22 | 土壌汚染

170222 土地利用の来歴と処分の公正さ <大阪・豊中の国有地売却 8億円減額、根拠示さず>を読んで

 

今朝もかなりの寒さ、痺れる感じで、温度はマイナス5度でした。温度計自体はそれほど信頼していませんが、体は十分冷え込みを感じます。空は晴れ渡り、旭日の朱色の輝きが紀伊山脈の峰々の隙間から強く差し込んできます。

 

さて今日は午後から法律相談で、それまでに仕事を仕上げるには少し時間が足りず、ブログを書き始めようかと思っています。いろいろなニュースや毎日記事を見ながら、あれこれ考えつつ、先日も取り上げた見出しのテーマ、ちょっと重要な点を見落としていたことが気になっていましたので、これをとりあげることにしました。

 

毎日記事では、<小学校建設のため、学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)に売却された大阪府豊中市の国有地を巡る問題で、民進党議員の調査チームが21日、売却に関わった近畿財務局と大阪航空局への聞き取り調査をした。議員は、売買価格の大幅な減額要因となった地下ごみの撤去費用約8億円の根拠を追及。国側は「適正な算定で売却した」としたものの、あいまいな説明に終始した。>としています。

 

その調査でも、ごみの撤去費約8億円を算定した具体的な根拠については、<みが出た場所や深さなどの詳しい確認方法は明言しなかった。>と疑問が解明されないままとなっています。

 

他方で、国は売却前に地価調査を行っており、その結果を踏まえて、<この土地には売却前の国の調査(2009~12年)で、ヒ素や鉛による土壌汚染と地下ごみがあった。学園側は土地を取得する前の借地契約の段階で、いったん撤去費約1億3200万円を負担。後に国が支払ったことが分かった。>という経過を一旦とったということです。

 

で、私が気になっていたのは、国が元々、どのような条件で当該土地を購入したか、そのときの土地利用はどうだったのか、地下調査が行われたのか、適正な価格で買い受けたのかといった問題です。

 

民衆党福島伸享議員の<豊中市野田町の国有地(8,770 ㎡)売却をめぐる経緯>(以下「豊中資料」と略称します)というファイルが偶然、ウェブ上で見つかりましたが、これによると、昭和49年(1974年)3年以降に、騒音対策区域の指定を受けて、住民の求めに応じて土地の買い入れを行う中で、当該土地も購入したとのこと。

 

当時は、むろん土壌汚染対策法といった規制は想定されていない頃ですが、すでに土壌汚染問題は首都圏をはじめ主要都市では発生していました。78年にアメリカに激震が起こったラブキャナル事件ではスーパーファンド法など一連の強力な土壌汚染対策を含む廃棄物法制が成立しましたが、わが国ではその後も長い間、せいぜい共同命令といった政令でお茶を濁す土壌汚染対策で、放置されてきた大きな負の遺産が残っています。

 

たとえば、国が土地購入を開始した前年の昭和48年に東京都が日本化学工業(株)から買収した江東区大島9丁目の都営地下鉄用地及び市街地再開発用地で大量のクロム鉱さい埋め立てが判明したことを発端として、長年にわたり六価クロムによる土壌汚染問題が続きました。また、前に指摘した川崎市鷺宮のマンション敷地での土壌汚染事件も、元々の発端は東京オリンピックの建設ラッシュやその後の再開発の際に発生した廃棄物が大量に周辺に不法投棄された氷山の一角です。

 

つまり、本来、土地購入に当たり、国は適切な地下調査を行い、汚染処理の必要性などを吟味して、価格を算定し、購入すべきであったのに、そうした形跡は見当たらないようです。そして上記の豊中資料によれば、平成21年から24年の間に調査を行ったところ、鉛、ヒ素、廃材、コンクリート殻などの地下埋設物が発覚したと言うことで、それは購入時に調査しておけば売主の責任として対応できた可能性があったのです。換言すれば、国としては、そういった財産管理上の問題をクローズアップしたくないという意識がなかったといえるか疑問を感じたのです。

 

そしてもう一つは、上記の鉛・ヒ素は土壌汚染物質ともいえる一方、自然由来のものかもしれません。その検出濃度などデータが明らかでなく、他の廃材などとの関係性も不明です。少なくとも、土壌汚染防止法上、一定の有害物質濃度であれば必要とされる周辺井戸などの調査が行われたといった情報は出されていないようですので、問題にするほどの有害性はなかった可能性が高いと思われます。

 

そもそも元の土地利用が明らかにされていないので、発生源も分かりません。少なくとも平成21年以降に調査したのですから、土壌汚染対策法上の調査義務によるかは別として、国の財産管理として、どのような調査を行ったか、またその調査データは開示されるべきでしょう。その内容次第で、どの程度の汚染対策が必要か、また土地利用としてはどのようなものが適切かが判断されてしかるべきだと思います。

 

その場合、小学校用地として適切かも、十分検討した上で、売買ないし貸付の対象として妥当か、どのように判断したかが問われるべきです。上記程度の廃棄物や土壌汚染物質であれば、公共用のビル建設などであれば、その廃棄処理といっても撤去処分までする必要がなかった可能性があるでしょう。他方で、学校用地であれば校庭など土壌汚染対策が基準内はもちろん不安を払拭できる配慮も必要でしょうから、豊洲問題まで厳正でなくても、相当な汚染処理が必要となるでしょう。そのような配慮が売却に当たって検討されたのか疑念が残ります。

 

これらの問題とは別に、国有地の売却の原則は<国有地の管理処分手続きの原則>原則として一般競争入札によることとされています(会計法第29条の3第1項)。例外は地方公共団体への売却のような場合です。今回の売却は、当初は定期借地権設定で、すぐに売却に変更となっていますが、一般競争入札ではなかったようです。なぜ民間の学校法人に、しかもこのような異例の措置を講じたかも疑問が提示されています。

 

もう一つ、この学校法人の代表者は、それまで幼稚園を経営していて、そこでは教育勅語を全員に唱和させているということや、憲法改正運動を推し進める組織の役員をしているとかで有名だそうです。

 

<教育勅語>それ自体は、以下の通り明治天皇のお言葉として、それなりに格調もあり、内容も異論は理解できるものの、それなりの価値を有するものと、むろん批判の対象としても学習する意味があると、私自身は思っています。それを個々が学習することはもちろん問題ないですし、学校の精神・意図として、適切な段階で適切な方法で行うことも、教育の自由の一要素ではないかと思います。以下<教育勅語とその精神>から引用します。

 

教育ニ関スル勅語

 

朕惟フニ我カ皇祖皇宗国ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ

我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ済セルハ此レ我カ国体ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス

爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ

是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風を顕彰スルニ足ラン

斯ノ道ハ実ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス

朕爾臣民ト倶ニ拳拳服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

 

明治二十三年十月三十日

御名 御璽

 

現代訳も上記のウェブサイトにありますので、関心ある方はのぞいてください。

 

で、幼稚園児にこの教育勅語を唱和させることが妥当かとなると、私自身は疑問を感じますが、それもそういう教育を受けることを求める両親がいれば、それも教育を受けさせる自由、権利の一つかと思います。ただ、たまたまTV放送で見た学校代表者の発言、その挙動、姿勢は、とても教育勅語が理想とするような人物とは思えませんでした(これは偏見かもしれませんが、瞬間的な感想です)。

 

そのTV放映ですが、たしか韓国人の子息が入園していて、その子に対して先生も他の園児も差別的態度をとり、その子が園を止めざるを得なくなったという事実について取材を受けて、代表者の籠池氏は当然のことだという顔で、韓国人らへの蔑視の姿勢をあからさまにする態度を露骨に示していましたが、これが教育者かと思い、驚きを禁じ得ません。と同時に、このような軽い姿勢をとる人が問題の法人をほんとうに運営しているのだろうか、影に誰かがいるんではないかと感じてしまいました。毎日の<理の眼 差別者に教育の資格なし>でもの差別態度などについて、より鋭く問題を指摘していました。

 

明治天皇に対する私の狭い歴史感では、韓国併合を含め他国への侵略的な行為について、批判的であったと理解しています。少なくとも韓国人を蔑視したりするような、差別的な思想は持っていなかったのではないかと考えています。この理解が誤りであれば、その点はいずれ検討したいと思います。

 

ちょっとこの学校法人の代表者の話を土地売買の適正さの問題に付け加えたのは、このような他国民との平和的共存を図るべき憲法秩序の元で、とりわけ日韓の共存を図ることが喫緊の課題であるのに、このような代表者が経営指導する学校に、疑惑のある土地売却をすること自体、公正さに疑念を抱かざるを得ないだけでなく、あるべき国有地の財産処理といえるかはなはだ疑問を感じてしまいます。

 

そしてこの学校法人の名誉校長に安倍首相の昭恵夫人がなっていることも、ファーストレディーとして、憂慮される事態ではないかと懸念します。神道を教えることもそれ自体は結構なことだと思います。しかし、代表者の上記言動を見てしまうと、教育者としてふさわしいか、また、その代表者について、<籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け>、名誉校長を引き受けたというのですから、余計、驚きです。昭恵夫人は、代表者の差別的言動を知った上、これを是認して、就任し、現在もその地位にあるのだとすると、安倍夫妻、それぞれの対応に疑問を感じざるを得ません。

 

安倍首相は、国会の質疑で、この土地売買について、関与があれば辞任するといっていますが、妻の名誉校長就任自体が、果たして今回の土地売却に影響がなかったといえるか疑問を感じます。これもまた李下に冠を正さず、必要があるように思うのです。

 

安倍首相は、世界のリーダーの中で、唯一か、数少ない、破天荒なトランプ氏と肌が合うようです。トランプ氏の差別的言動にとどまらない、それを実践する各種の大統領令への署名は、世界中に差別的取扱を是認するかのような風潮を醸し出しているともいえます。そのようなトランプ氏と同じような態度を、この学校法人への土地売買をめぐって、無意識にとってきたようにさえ思えるのです。

 

安倍首相は、土地売買の適正さ(買主の選択、貸付・売買の選択・価格の設定・汚染処理費用の算定など)といった問題に限って、国会答弁していますが、仮にこの学校代表者の差別的言動を承知しつつ、それを黙認するような姿勢であるなら、トランプ氏の入国禁止令への対応以上に、彼の差別感が顕在化したと糾弾されてもやむを得ないかもしれません。

 

私は、一国のリーダーとしての誇り、自負を持つ人物として、安倍首相にはそのような差別感や差別意識がないと信じたいですが、その期待を裏切らない態度を明確に示してもらいたいものです。


土地の売買と汚染の責任 <格安の謎 評価額9億円、大阪の学校法人へ1億円で売却>を読んで

2017-02-17 | 土壌汚染

170217 土地の売買と汚染の責任 <格安の謎 評価額9億円、大阪の学校法人へ1億円で売却>を読んで

 

今日は終日寒さをあまり感じない一日でした。どんより曇っていて、小雨も時折降ってきましたが、春雨じゃ、濡れていこうなんて気分にさせてくれます。

 

とはいえ午前中は病院にでかけ、午後は打ち合わせで、いつの間にか夕方になってしまい、今日のブログは何をテーマにしようかとちょっぴり悩んでしまいます。もう限られた時間なので、軽く仕上げないといけないので、ちょっと気になった見出しの記事を、過去の経験談やいま話題の豊洲土地売買をからめて料理できるか、書きながら考えてみようかと思っています。

 

この事案、少しウェブ情報を見ると、買主の学校法人が幼稚園を経営していて、教育勅語を園児に唱和させたり、理事長は憲法改正を求めている日本会議大阪の役員で、取得した土地で小学校を今春開校予定で、「日本初で唯一の神道の小学校」、しかも名誉校長が安倍首相の奥さんといったことが別に話題となっているようです。

 

ま、そういった話題はとりあえず脇において、土地売買そのものについて、少し言及したいと思います。土地は面積約8770㎡で、国有地。その鑑定額は9億5600万円で、地下にゴミがあり、国が見積もった撤去・処分費約8億円をそこから差し引き、買主の学校法人「森友学園」には1億3400万円で売却されたとのこと。

 

私はこの記事を見て、まずこの撤去・処分費をどのような調査および資料で見積もったのか疑問に思ったのが気になった最初です。一体どのようなゴミが地下に埋設されていたのか、どのように調査したのか、わかりません。というか、通常土地の売買では、こういった地下埋設物というものが瑕疵に該当するかどうか、その取引内容・その後の土地利用との関係で、当事者間で詰めるわけですし、当然、その前提としてボーリング調査などをして、廃棄物の性状や汚染の有無、有害性の有無程度を調査するわけで、そういったものがまったくわかりません。

 

記事からすると、一般廃棄物、事業系のものといったイメージもありますが、実際は、地下を掘削して、性状を確認しないとわかりません。

 

私自身、以前、川崎市鷺宮のマンション建設差し止め訴訟で、驚くべき経験をしました。その土地は元学校敷地で、土壌汚染対策防止法上、その利用来歴や一定の荒いボーリング調査では、廃棄物の存在は判明していなかったのです。そして、訴訟は東京地裁で本格的に争われ、現場検証を実施する計画になっていたところ、突然、業者側からすでに5階くらいまで立ち上がっていたのを中止するので訴訟を取り下げてほしいと提案されたのです。

 

その理由は、地下掘削工事をしていて六価クロムなど有害廃棄物が大量に発見されたということで、マンション建設を断念することになったことがわかりました。その後、売主である電鉄会社は買主の著名不動産デベロッパーに百数十億円の損害賠償をしたというニュースも報じられていました。そして今度は、その大量不法投棄されたのは、川崎市が行ったものだということで、川崎市相手に、50億円近い損害賠償を求めて、公害等調停員会に責任裁定を求め、見事に請求を勝ち取りました。ところが、川崎市がその裁定を争い、東京地裁に債務不存在の確認訴訟を提起して、今度は川崎市が逆転勝訴したという報道まではわかっています。

 

なぜこんなことを書くかというと、土地売買において、地下埋設物の処理責任が誰にあるかは簡単には論じられないということを、この紛争の経緯からもいえるのではと思っています。実際、土壌汚染をめぐる訴訟は、最近増えているように思います。当然、事業者同士であれば、事前に地下埋設物の有無、調査の方法、調査結果を踏まえて、どのような責任を双方が分担するかを詳細に取り決めるのが普通です(法令や文献をもとに書いていませんので、ここは大ざっぱと思ってください)。

 

本件の売買で、地下の廃棄物がどのようなもので、それが学校敷地として、どの程度処理しないといけないものか、どのように検討されたのか明らかでありません。というか、他のウェブ情報では、一旦、当該土地は、学校法人に代金を支払う資金がないため、10年間の定期借地権契約をして、使用を開始したというのですから、すでに工事開始した後に見積もった可能性があります。つまり、工事に入り、地下掘削をしているときに、廃棄物を発見したというのではないかとも思われます。

 

しかし、地下掘削したといっても、写真で見る限り、小学校の建物は2階建てか3階建てのようですので、まさに低層建物で、地盤が軟弱でなければ、地下掘削はわずかで済みます。仮に軟弱地盤で杭基礎だとしても、さほど広範囲に掘削したとは考えにくいのです。すると、廃棄物の全体像を把握できないでしょう。また、豊洲と異なり、安全・安心対策と言っても、有害性のある廃棄物の可能性は一応低い(川崎の事例では事業系廃棄物でしたがきわめて有害廃棄物が大量に埋設されていたので、それだけではわかりません)とはいいうると思います。それでもどのようにして高額の廃棄物処理費を見積もることができたのか、それを明らかにしないと、国有財産の処理としてずさんと指摘されても仕方がないでしょう。

 

豊洲の土地の売買における土壌汚染の扱いの不可解さ、秘密裏に行うやり方は、それ以前にも、東京都はクロム鉱滓を大量に埋設していた工場敷地を買い入れた際も、適切な土壌汚染対策について検討していなかったため、後日裁判になり、不徹底な和解解決を行い、結局、その事後処理が不完全なため、長く汚染処理対策が近隣住民との間で紛争となっています。

 

むろん事業者同士であっても法的処理が不完全なことが少なく、後日裁判で争われることもありますが、公共財産の場合、とりわけ随意契約などで行われる売買では、第三者の監視が不可欠ではないかと思っています。

 

今回の土地売買でも、では学校用地として、適切な処理が行われたのか、それは一切明らかとなっていません。売買代金の多寡といった経済的価値の問題にとどまらないのです。この学校法人には資産があまりなく、定期借地権契約にしたという経緯からすると、用地の地下にどのような廃棄物が埋設されていたか、その調査は適切に行い、また、埋設されていた廃棄物はすべてとまでいいませんが、だれもが安心できる範囲で把握し、また、適切な処理が行われたという、データ資料の開示がなされないと、安心できる内容ではないと思います。

 

この学校法人は、教育勅語や神道を大事するようですが、健やかな精神を育てるためにも、安心できる学校敷地を提供することがなによりも肝心だと思います。当初、風評を心配して、売買代金の公表という国有財産の管理原則に反してまで、拒否したとも言われているわけで、その公正さや真摯さに疑問を感じています。ないよりも公明正大が大事ではないかと思うのです。臭いものに蓋をといった考えでは、子供たちに健全な精神を育むこともできないおそれすらあります。今後の対応に期待したいと思うのです。そうでないと、豊洲問題の二の舞のように、いつまでも後を引きかねません。

 

ついでながら、学校用地の取得について、より慎重な態度が求められるのではないかと思っています。中には戦時中に爆弾が投下され、不発弾として残っているような敷地だという話も関係者から聞いたことがあります。先述の川崎のマンション敷地も、元は学校用地ですが、その取得時に、きちんと調査されないまま、長年にわたって校庭、運動場などとして、児童にとって場合によっては危険にさらす事態をまねいていたのです。

 

むろんクロム鉱滓やその他有害物質も、地中にある限り、あるいは地下水や他の化学物質などと触れ合うようなことがなければ、安定した状態で、危険性はさほど心配することがない場合が多いでしょう。しかし、地下をいったん掘削等で開けたりすると、大気にさらされたり、地下水脈の変動などにより、有害性が顕在化するおそれがあるわけです。

 

土壌汚染対策防止法では来歴調査で、過去に有害物質等を製造加工するといった工場など一定の危険性のある土地利用がされていないと、徹底した調査も行われないのが通常でしょう。しかし、実際のところは、不法投棄が各地で行われてきたのは事実であり、長年経過すると、その不法投棄の痕跡が見えなくなり、日本中、どこに爆弾というか危険物が潜んでいるかわかりません。その意味で、土地の売買は、価格や土地利用規制、土地の外観などを元に、安易に考えるべきではないと思います。

 

そろそろ時間となりました。文献資料をまったくチェックする余裕がなかったので、今日も大目に見ていただこうかと思っています。


小池知事について(その1) 豊洲問題のある見方

2016-11-14 | 土壌汚染

161114 小池知事について(その1) 豊洲問題のある見方

 

最近は、日本各地で、また世界各国で、トップの言動が話題となっています。その中で、博多駅前で起こった道路陥没の早期復旧工事について、福岡市長による既成秩序を打ち破るような大胆な施策と意気込みが、関係者の賛同を得て実現したかの報道もありました。

 

トップの采配で、これまでの行政実務が大きく変わることはこれまでもありました。で、小池都知事誕生以来、「小池劇場」と称されて、その施策の是非については賛否両論があるようですが、民意はどちらかというと賛意を表しているように思えます。

 

私自身は、豊洲移転問題、五輪施設や費用問題、広尾病院移設問題など、多少報道で知る限りで、報告書その他資料を読んでいないので、表面的な意見しか持ち得ていませんが、少し議論の鉾先を変えてみたい思いで、今日は書いてみようかと思っています。

 

ちょうど朝から雨で、枝打ちは滑るので危ないから、こういう貯まっている頭の整理もいいのかなと思ったりしています。

 

豊洲問題というか、臨海副都心構想は、80年代に港湾局が中心になって、共同溝など未来的なインフラ整備をして、500ha弱くらいの広大な面積を、巨大副都心とする計画で、私も都市構造のあり方を研究する意味で、まだ有楽町にあった港湾局を訪ねたり、現場を訪れたりしていたことがあります。それはバブル経済が終わり、世界博構想が青島知事で撤回される頃には、ほとんど閑古鳥が鳴く状態になっていたのではないでしょうか。

 

とはいえ、私は、当時カヤックで荒川を下り、東京湾に出て、台場やベイブレッジの建設予定地のある東京港をゆらりゆられて周遊していました。70年代に比べ、海や川の水質が格段によくなり、中村郁夫氏が東京湾の水中に生きる生物の豊かさを写真で紹介し、次第に脚光を浴びるのはそんなに遠い時代ではないという思いもありました。

 

しかしながら、他方で、土壌汚染の問題は有効な解決策を見いだしていなかった時代でした。東京都内、河川周辺や東京港周辺は、工場が林立し、その移転後には、土壌汚染が深刻な状態でした。アメリでは、78年にナイアガラ滝の少し上流で、有害化学物質が大量放棄され周辺に大量の健康被害が発生し、カーター大統領が戒厳令を発し、そしてあの有名なスーパーファンド法が成立し、以降、数々の土壌汚染対策法が強化されていきました。

 

わが国でも類似の事件が、70年代に発生しました。その一つは東京都が73年に日本化学工業から購入した工場跡地、地下鉄・市街地再開発事業として購入した大量の土地にクロム鉱滓が発覚し、損害賠償訴訟となり、一定の浄化対策を前提とする和解解決をしたのです。それは当時、わが国には土壌汚染対策法がなく、緊急措置として成立したのが廃棄物処理法の共同命令という形で、処分場について一定の構造規制をしたに止まっていたからです。

 

そのため浄化対策も、まるで豊洲問題のように、各種専門家が入って多くの会議を開いて協議しましたが、結局、費用のかからない、現地処理になりました。実際の浄化方法は極めて杜撰で、後に公園等を造成しましたが、子どもの遊んでいるそばで、有毒な六価クロムの排出水が検出されるようになり、新たな住民訴訟となって長い紛争となりました。

 

東京都は、トップクラスの専門家に依頼して土壌汚染対策を検討することはできます。しかし、本来は汚染土壌を移設して浄化して別の安全なところで封じ込めが必要ですが、費用的な面や受入る場所がないことから、現実には現地処理が選択されるのが通常でしょう。具体的な浄化手法については、適切な監視とモニタリングが不可欠です。

 

汚染土壌の浄化については法的規制が整備(あるいは強化)されていない段階でなされたものと思われます。完成前に法施行されて、新に対応しないといけなくなった部分は想定外だったかもしれません。

 

ここで私が指摘しておきたいとおもっていることは、法的な側面です。盛土は、一般の土地利用からすると、都市計画法の開発行為に形式的には該当するので、開発許可を得る必要があります。また、築地市場施設の建築は建築基準法の建築確認が必要です。これらは特区なり、特別措置が講じられている可能性があるので、それは別途検討が必要です。

 

仮に上記の2つの法規制が必要な場合、多くの巨大建築物・工作物で問題となる、上物と地盤の規制の空白があり得るということです。どういうことかというと、地盤の盛土を完成し、検査の上、開発許可基準に該当するといった机上の論理が通用しないのです。上物である施設は、軟弱地盤ですから、地下何十mに達する杭基礎でしょう。つまり施設自体の建築を基礎からする場合、盛土を完成した後にやることは現実的ではないのです。そのため開発許可と建築確認の各担当者は、盛土工事の途中で、建築工事に入ることを認めたり、あるいは基礎部分は開発行為の対象から除外する取扱をしています。

 

これらは縦割り式のそれぞれが適切な情報交換の場を設けて検討していれば、たとえば盛土をするのか、しないのかといった問題は、議論の場で検討され、記録として残されるはずです。

 

さらにいえば、環境アセスメントです。東京都の環境アセスは、計画段階のアセスや代替案を入れるなど、いわゆる戦略的環境アセスに類するものに近い、最先端の条例の一つといってよいかもしれません。しかしながら、わが国の環境アセスの基本的な問題点を残しているため、それは市民のための制度とはほど遠い内容となっています。

 

たしかに環境アセスが実施され、問題なしとされて、土壌浄化や施設建設が行われたのだと思いますが、いったいどれほどの都民がこの情報にアクセスできたでしょうか。また、工事が長期化する場合や大きな変化があれば、新たなアセスが必要というべきですが、そのような措置は法的に担保されていません。

 

これから出かけるので、中途ですが、とりあえず終えます。