180930 養育費支援と自治体の役割 <明石 養育費の受け取り保証>を読んで
台風24号の猛威が当地にも及んできたかのように、雨風も強まってきました。ま、まだそれほど強いものではないですが、ニュースでは四国が暴風に襲われています。紀伊半島も間もなくでしょうか。
すでに今日のブログは終わったのですが、少し気になっていた毎日記事があり、ウェブ上で見つかったので、紹介しておこうかと思います。
昨夕の記事で<兵庫・明石 養育費の受け取り保証 11月からモデル事業>というものです。これまで養育費について日弁連の新算定基準を紹介したりしてきましたが、問題はいくら算定基準額が上がってきても、それが履行されないと絵に描いた餅になるという点でした。
そこに明石市がメスを入れたのです。これは素晴らしいことなので、紹介したいと思います。
<兵庫県明石市は11月から、ひとり親世帯の子育てを支援するため、養育費の受け取りを保証するモデル事業を始める。離婚の相手方とあらかじめ決めた養育費が未払いになっても、年間で60万円を上限に受け取れる。>
自治体が受け取りの保証をするとは驚きですが、全国初だそうです。外国ではさまざまな履行確保制度が充実していて、わが国のその点の遅れは、子育てと仕事を両立しようとするシングルマザーにとっては厳しい現実となっていました。
ただ、<1年間の実施後、本格的な導入の可否を検討する。>ということで試験運行ということのようですが、ぜひ持続的な事業化を実現して、全国的な運用の先駆けになってほしいものです。
養育費受け取り保証制度の内容は次のように説明されています。
<制度の対象となるのは、離婚した際に、家庭裁判所の調停調書や公証役場の公正証書などで子供の養育費を決めている明石市民。1カ月分の養育費と同額の保証料(上限5万円)を、市が業務委託先の総合保証サービス会社に支払う。養育費が支払われない場合、会社が月額5万円を限度に、ひとり親世帯に立て替えた上で、支払い義務のある相手方から同額を債権として回収する。>
総合保証サービス会社が養育費を支払われない場合に、代わって立て替え支払い、その債権に基づき相手方に直接請求して回収するという制度ですね。これは画期的な内容で、これにより離婚で一人で子育てする母親(ま、父親の場合もゼロではないでしょうが・・・)にとっては恵みの雨ですね。これで若い人たちが明石市を住居として選ぶことも考えられますし、また、他の自治体に移ろうかと思っていた人も住み続けることになるかもしれません。
ただ<市の今年度予算は90万円>ということですから、いくら会社が債権回収を行っても、結構予算的には厳しいという印象です。とはいえ最初は厳しくてもその成果が上がれば、より持続性のある事業となるでしょうと期待したいです。
<厚生労働省の調査(2016年度)によると、母子世帯の場合、離婚した父親からの養育費は、受けたことがない56%▽受けたことがある15.5%▽現在も受けている24.3%--となっている。市は「養育費の必要性は高い。官民の連携で子どもの健全育成を進めたい」としている。【浜本年弘】>
この養育費支払いの実態、それを放置している司法・行政・立法、それぞれが責任を感じないといけないことでしょう。
明石市はこれまでも<養育費確保に向けた支援策の実施について>など、さまざまな支援措置をとってきたようですね、市長が女性弁護士ですが、これからも注目したいです。
今後は他の自治体、国が本格的に養育費支払い確保の問題に向き合うことを望みたいです。
今日はこれでおしまい。また明日。