たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

ある環境アセスメント <NHKBS 3~宙(そら)からわかる“奇景”の謎~>を垣間見ながら

2018-10-18 | 環境アセスメント

181018 ある環境アセスメント <NHKBS 3~宙(そら)からわかる“奇景”の謎~>を垣間見ながら

 

あの厳しい暑さが嘘のように昨今の朝夕は結構冷えます。そんなときスポーツ番組は見ていて熱狂とまでいかなくてもわくわくさせてくれることがあり、自然と体が温まることがあります。最近の森安ジャパンのサッカーはその一つでしょう。ロシアW杯のときも結構盛り上がるものがありましたが、それ以上です。より興奮させるものがあります。

 

コスタリカ戦、パナマ戦と、はじめはちょっと見るだけのつもりが、そのパスワークやドリブル、シュートに至る、躍動感はかつて日本代表チームで見たことがないくらいのものでした。足技というか、ボールを受ける前後の動きはとても予想できない、次は何があるのかと思わせるものです。そしてウルグアイ戦、実は見逃してしまったのです。後はニュースでゴールシーンだけを何回か見た程度で、残念です。魅力あるチームはゴールシーンに限らず観客を釘付けにさせる動きがありますね。それが見られなかったのが残念です。それも一流のチーム相手にどのような戦いをしたのか、勢いのある新代表と一緒に闘ったロシア代表選手たちも驚くほどだったというのですから、ほんとに惜しいことをしました。

 

話変わって、昨日は途中から見た<NHKBS Earth Scanner3~宙(そら)からわかる“奇景”の謎~>、途中から見たので<奇形>が何か分からないまま、ダイヤモンドの話が出て、しかもノースウェスト準州の州都イエローナイフが登場したので、つい見てしまいました。

 

というのは95年の夏頃でしたか、友人の大学教授に誘われて、その地に立ったことがあります。彼が主催しているカナダ各地の研究者が参加するある委員会(行政機関ではなく任意の研究団体)に参加させてもらったのです。そのときの会議は、当時、ノースウェスト準州でダイヤモンド鉱山開発計画が企画されていて、環境アセスメント手続の中で、その委員会のメンバーが事業者が提供するたしかヘリコプター(だった記憶ですが)で、現地に行くことになっていました。私もそれに便乗することになっていました。

 

ところが調査日に嵐になって、現地訪問が中止となり、現地に行くことができませんでした。委員会のメンバーも各地から来ていたため、時間的余裕がなく、この機会での現地調査はなくなったと記憶しています。ともかく私は北極圏でダイヤモンド発掘ということ自体、不思議な印象を覚えたのと、現地の様子を見なかったので、どんなところかなとぼやっとした感じで終わってしまいました。

 

ただ、たしか委員会が関係する現地の運動体の事務所にも訪れたのですが、そこには環境アセスメントの厚いファイル入れが何冊も置いてあって、それがワンセットで横に並べると厚さだけで2mくらいはあったような覚えです(もうすっかり忘れてしまっています)。カナダの環境アセスメントでは、事業者が提供する書類はすべて一定の場所、たとえば手続参加届出した団体(一定の要件があったと記憶します)の事務所に備え置かれています。ですからいつでもそれを読むこともコピーをとることもできます。私もそのときざっと見た記憶ですが、当時、いくつかの環境アセスメント事業をフォローしていたので、この件は事前の勉強もしていませんでしたので、中身はまったく覚えていません。

 

このときの環境アセスメントで対象となったダイヤモンド鉱山開発事業が、今回NHKで取り上げられたものか、判断する材料を持ち合わせていませんが、時期的には結構符合するというか似通っているので、その可能性もあります。

 

カナダ北極圏での開発事業は、金鉱山、油田開発などいろいろありますが、そのことにより北アメリカの白人に大きな経済的利益をもたらし、発展を促進した一方で、先住民の伝統的権利を侵し、自然生態系に大きなダメージを与えたこともよく知られた事実です。このような開発促進に歯止めをかけた金字塔ともいうべきは、元最高裁判事(BC州だった?)トーマス・バーガーによる報告書、“The Report of The Mackenzie Valley Pipeline Inquiry”だったと思います。

 

NHKの番組で、ダイヤモンド鉱山開発で、地元の先住民たちの雇用が確保され、村民のほとんどが鉱山で働くことができ、収入が確保され、住居をもって安定した生活ができるようになったといったことが先住民の家族の言葉として紹介されていました。

 

まさにバーガー元判事が初めてパイプライン計画の現地を訪問して、個々の先住民から直接話を聞くというかつてない手法で(むろん科学的な評価も行いつつ)、その影響評価を行ったことで、カナダにおける環境アセスメントにおいては単に環境への影響だけでなく、社会経済的な影響評価をも行うことが必須となったのではないかと思われます。

 

バーガー報告の時はどうだったか私も昔読んだきりなので、覚えていませんが、その後のアセスでは女性の権利や社会進出についても評価対象とすることが増えてきています。

 

NHK報道とは異なる視点でのブログとなりましたが、NHKでは北極圏でダイヤモンドの発掘ということで、Blood diamondsとの異名もあるアフリカ算出のダイヤモンドと異なり、「クリーンダイヤモンド」として適正な競争市場を提供できるようになったとの評価があったのでしょうか。ま、たしかにアフリカの異常さに比べれば、まっとうなダイヤモンドでしょうね。ダイヤモンドに縁のない私には・・・でも生態系への影響はどうでしょうか。

 

北極圏は冬場には完全に凍結した状態になり、その上を大型ダンプなどが運搬用に走るのでしょうね。夏はスワンプが多く車の走行が困難とも言われていますが・・・単に鉱山区域だけでなく、搬入道路がもたらす影響はかなり深刻な場合もあり得ると思うのですが、事後調査はどの程度行われているのか、気になるところです。

 

他方で、鉱山が後10年くらいで廃坑になる予定とか。その場合埋め戻されて、元の状態に近い回復措置が講じられるといったことですが、それは環境アセスメントでは当然の措置ですね。

 

この場所は、マグマだまりから噴出した後くぼんだ部分に水がたまり、その下に柱状にダイヤモンドを含む層が残ったようで、それをキンバーライトバンプというようですね。北極圏のような人工の手が入っていないところでは、採掘や製錬などの段階で、水質汚濁を含む環境汚染の懸念がありますし、浄化処理といっても限界があると思いますので、どの程度本来の自然を維持し、また、回復できるのか、気になるところです。

 

もう北極圏にでかける元気はないので、TVやウェブ情報などで少し注視したいとは思います。

 

今日はこれにておしまい。また明日。