たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

海外視察は必要? <岡山県議 海外視察報告書、10人がミスもコピペ>を読んで

2018-01-31 | 議員の役割(国会・地方)

180131 海外視察は必要? <岡山県議 海外視察報告書、10人がミスもコピペ>を読んで

 

今ようやくある会議が終わり、事務所に戻りました。もう業務終了時間ですが、これからブログを書こうかと思います。午後は打合せと会議があり、その内容は結構興味深い物で、これを題材に書いてみようかと思いつつ、うまくまとまるかちょっと気になり、今朝読んだ新聞記事をテーマにすることにしました。

 

今朝のブログで、ついつい日弁連の調査について触れましたが、その後朝刊記事をよく見ると議員の海外視察が一面で取りあげられていました。記事の見出しが「これ区書」というもので、意味不明だったので読み飛ばしていたのですが、実は以前から問題にされてきた議員の海外視察でした。

 

内容の詳細は、毎日記事<岡山県議海外視察報告書、10人がミスもコピペ これ区書、これ区書、これ区書? 11人は「作られ珠緒ので」>を引用します。

 

<岡山県議13人が昨年度に公費で実施した海外視察で、ほとんどの報告書に同じ文章が使われていることが毎日新聞の取材で分かった。共通部分には、インターネット百科事典などと同一の記述があったほか、大半の議員が同じ変換ミスをしているケースも見られた。ネットからのコピー・アンド・ペースト(コピペ)や議員間で使い回しをしていた可能性がある。【竹田迅岐】>

 

この海外視察は、参加者13人で、公費1400万円が使われています。

<岡山県議会の定数は55で、海外視察には▽自民11人▽民主・県民1人▽無所属1人が参加。2016年11月、米国のワシントンDCやニューヨーク市、ボストン市などを10日間の日程で訪問し、視察報告書をそれぞれ県議会事務局に提出した。視察には公費が充てられ、計約1446万円が支出された。>

 

毎日記事は、基本的に、報告書の内容の問題に迫っています。

<報告書は公開されておらず、毎日新聞が情報公開請求で全約1600ページを入手した。内容は▽州や市の概要▽観光施設の紹介▽大使館公使らの講義メモ▽議員の感想--などだった。

 13人のうち11人は「感想」以外の半分以上が同じ文章で、全体的に独自の表現を用いていたのは1人だけだった。また、10人は「コレクション」とすべきところを「これ区書」と記し、11人は「作られたもので」とすべきところを「作られ珠緒ので」と書くなど、同じミスをしていた。>

 

この記事からは、報告書が1600頁もの分量であるものの、参加者一人一人が報告書を作成したようです。そして問題の1点は、2名を除く全員の内容が感想部分以外では、その半分以上が同じ文章となっていたというところに問題がある旨指摘しているようです。

 

感想以外の内容についてもネット情報と同一のものがあったというのです。

▽州や市の概要▽観光施設の紹介▽大使館公使らの講義メモ>のうち、<州や市の概要、観光施設の紹介についてはネット百科事典「ウィキペディア」や旅行代理店のサイトなどと同一の表現が複数見られた。>というのです。

 

参加者の中にはこの事実を認め<「時間の節約になる」と答えた議員もいた。>というのですから、あきれてしまいます。公費負担の意味を全く理解していないようですね。

 

毎日記事は、岡山県議の今回の旅行に限らず、各地で同様の問題が起こっていると事例を紹介しています。さらに返還を命じた裁判例も紹介しています。

 

<海外視察が観光目的だったとして、費用に充てられた政務調査費(現政務活動費)の返還を命じる判決も出ている。東京高裁は17年4月、山梨県議11人が13年にフランスを訪問した際の視察報告書について「視察の必要性や合理性は認められない」と判断。視察に充てられた政調費のうち約550万円を県議に返還させるよう県に命じた。>

 

これは全額の返還を認めたわけではないような記事ですが、裁判所が<視察報告書について「視察の必要性や合理性は認められない」と判断>したのであれば、なぜ全額の返還を命じなかったのか疑問です。

 

さて私がこの問題を取りあげたのは、議員が海外視察をする必要性・合理性があれば、それを公費をかけて実施することは認められてもよいと思いますが、そうでないときはそのような視察は絶対に実施されるべきではないと考えるからです。

 

政務調査費の使い道がない?という理由で、海外視察を安易に決定するようなことはあっていいはずがありません。高齢者には介護・医療費負担、幼児や子どもについては保育・教育費の支援がいまとりわけ高まっている時代です。視察の必要性・合理性を欠くようなものが認められて良いはずがありません。

 

なぜ海外視察が必要か、まずそのことが問われるべきですし、その視察の効果が費用を上回るだけの裏付けがあるかどうかも検討されるべきでしょう。

 

いま海外の情報は、ネットで相当入手できます。英語はもとよりほとんどの言語が翻訳機で翻訳してもらえます(むろん誤りが多いのでチェックは不可欠ですが)。仮に海外視察の必要性が認めれるとしても、事前調査として、このような国内で得られる調査資料をきちんと整理し分析することで、なにが必要な調査かを絞り込みができますので、そのような調査の効率性をはかるための事前準備がなされていない場合、それだけで合理性に疑いをもたれても仕方がないでしょう。

 

その意味で、岡山県議の視察目的がここでは明らかにされていないため、その必要性・合理性の中身について検討することができませんが、毎日記事からはするまでもないように思えるものですね。

 

たとえば<▽州や市の概要▽観光施設の紹介>は、視察目的とどう関係するのでしょう。むろん基本情報として添えることに異議はないですが、この中で唯一ある程度特定されているのが観光施設ですので、観光事業についての視察であればこれも取りあげて良いと思いますが、そうでなければ論外ですね。

 

で現地で入手した具体的な情報が何かですが、毎日記事からは<大使館公使らの講義メモ>が唯一でしょうか。これが視察目的に合った調査先で、その内容が有用な物であれば、この視察自体に一定の合理性もあるかもしれません。しかし気になるのは、たまたま<大使館公使らの講義メモ>とあり、これって日本から質問状でも送れば簡単に入手できるのではと思ってしまいます。ともかく視察目的に適合する必須の人材から具体的なヒアリングができているかが問われるべきです。

 

むろん大使館公使なら一般情報はえられるでしょう。しかし、わざわざ<ワシントンDCやニューヨーク市、ボストン市など>を10日間かけて調査したというのですから、視察目的に具体的に把握している現地の責任者からヒアリングするのでないと、わざわざ海外にでかける意味があるとは思えません。

 

この3市は近いようで、離れています。しかも「など」と書かれていますから、他の都市もあるようですね。この流れだと東海岸の主要都市中心と思われますが、それでも移動時間を考えるとあまり多くの市を訪問する余裕はないでしょう。一つの市で一カ所の視察先を訪ねることで済むのかどうかですが、視察目的の現地体験も必要でしょうから、よほど効率的に移動しないと有効な視察ができないと思われます。

 

ここまでぐだぐだ書いてきましたが、この上がっている3都市に共通するものは見いだすことはできますが、それは目的との関係で微妙ですし、どうも海外視察の目的があまり明確でないということにつきると思うのです。そして視察報告書の体裁も、参加者それぞれが作成するようですが、それは視察団としては有効でないと思うのです。個人的な目的は別途あってもいいですが、基本は共通の視察目的であり、視察先が共通するのですから、その視察による情報は参加者の中で役割分担を決め、全体として編集すればいいのであって、最後にそれぞれの感想を付記する程度が本来ではないでしょうか。

 

で、私がこの問題をわざわざ取りあげたのは、海外視察のルールがないという状況を改めて欲しいと思うからです。岩倉視察団のごとく、しっかりした目的で視察し、その結果は必ずしも遂げたわけではないですが、その後の日本の方向性を明確に示す内容であったと思うのです。当時や戦後もしばらくはそれに近い海外視察には一定の必要性・合理性が当然のごとく認められたかもしれません。しかし、現在は他を学ぶというより、自ら考えていくことの重要性の方が高いと思いますし、海外情報もさまざまな方法で入手できます。時代に合った海外視察としてルール化が必要でしょう。

 

私は日弁連調査になんども参加してきましたが、調査の必要性を十分検討の上、事前調査のうえ、調査先の選択を行い、調査に当たっては事前に詳細な質問事項を準備し、ヒアリングの内容は分担で参加者に割り当て、聞き取りの内容とさまざまな対象についての調査内容をうまく整合性をとりながら、報告書を作り上げることが一般だと思います。これがベストとか望ましいとかとまで言うつもりは毛頭ありませんが、少なくとも自分たちで工夫して調査計画、実施、報告書の作成まで行うのが本来ではないかと思うのです。

 

上記の視察費用は一人当たり100万円を超える金額ですが、仮にお土産代を入れたとしても、東海岸10日間で、異常にかかりすぎではないでしょうか。50万円でも十分豪華な視察旅行が可能でしょう。この費用の内訳を知りたくなりますね。

 

いずれにしても、海外視察を安易に認める時代ではないと思うのです。そういえば大村益次郎は、日本の兵隊組織を西欧式に変え、<事実上の日本陸軍の創始者>とも言われていますが、元々は医者で、適塾で学び、兵学は独学で学んだと思われますが、海外にはでたことがなかったと思います。安易な海外視察は毒にならないかもしれませんが、薬にもならないでしょう。アンチ海外視察ルールをつくってみてはどうでしょう。

 

ちょっと気合いが入りすぎて一時間を超えてしまいました。今日はこれにておしまい。また明日。


コスタリカの悲哀 <NHKBS トカゲ王国コスタリカ>を見てふと思う

2018-01-31 | 国・自治体のトップ 組織のあり方 民主主義とは

180131 コスタリカの悲哀 <NHKBS トカゲ王国コスタリカ>を見てふと思う

 

昨日は終日、風邪のせいか朦朧とした状態で、寝床で冴えた?頭の働きだけが残っているという錯覚の中にいました。ようやく今朝は回復して青空を気持ちよく迎えることができました。

 

毎日朝刊をみると、厚労省発表の<受動喫煙対策案 屋内禁煙「骨抜き」>、それに加えて小池都知事も政府の後退に整合性を合わすような後ろ向き姿勢となっていて、識者が指摘している原則喫煙の状態を維持するシニカルな批判もごもっともと言いたくなります。

 

こういう自民党政権の対応は、アメリカで90年代に全米各地で起こった、喫煙や受動喫煙による医療費増加の負担分を州政府がタバコ業者に請求する訴訟しか、有効な方法がないかもしれないと思ってしまいます。わが国の法制上、地方自治体にそのような請求が可能か疑問ですが、保険料システムの改訂を求める訴訟、あるいは受動喫煙被害者には追求できませんので、喫煙者に対する治療費負担の増大など、改めて検討し見てもいいのではと考えたくなります。

 

ま、こういう対処は一つの手法ですが、喫煙者も受動喫煙で被害を受ける人も、だれもが一定の線で納得できる、道筋を公開の場その他多様な機会を通じて、実践的に協議する機会を増やすことが大事かなとは思います。

 

農家や林業者は、自然豊かなところで、一服に極上の憩いを感じてきたのは、長い歴史もあり、尊重されてしかるべきことに、あまり異論はないでしょうね。私がとりあげる大畑才蔵も、農作業の極めてきつい作業を続ける一つの考え方として、この畝を最後までやったら、一服できることを考えてやれば能率も上がるといったことまで書いています。

 

主題と関係のない今朝の記事からつい脱線してしまいました。本題に入りたいと思います。

 

一昨日のNHKBSプレミアムで<ワイルドライフ▽中米コスタリカ イグアナVSバシリスク トカゲ王国を生き残れ!>を見ました。

 

内容は次の通りです。

<中米・コスタリカはトカゲ王国。70種以上のトカゲがすむ。この地に君臨するのが、全長80センチに達する肉食のトカゲ、バシリスク。性質はどう猛で、鳥や他のトカゲまで襲って食べる。しかし、この王国で最も成功しているのは「草食」という独特の食生活を選んだグリーンイグアナだ。無尽蔵の食料と2メートルの巨体を武器に、中南米の広範囲に分布を広げた。バシリスクとイグアナ。対照的な2種のトカゲの息づまる攻防を追う。>

 

私も日弁連調査の生態系管理制度を学ぶ目的で2000年のはじめ頃に、コスタリカを訪問し、イグアナも、バシリスクも、さまざまな生物とともに見る機会がありました。

 

コスタリカは、軍隊の持たない平和国家とか、教育熱心な国家とか、そして生態系管理の先端的な国家とか、さまざまな指摘がなされてきたことで、当時私も訪問したい国でした。

 

主目的は、生態系のそれぞれのゾーンに応じた管理手法を整備していて、その内容を各地の管理事務所を訪問して現地調査をかねて管理方法を聞き取るものでした。そして環境大臣とのヒアリングで全体としての法整備も調査したのです。

 

もう一昔前の話で、その調査結果はすっかり忘れてしまいましたが、この放映を見ながら、いくつかの出来事を思い出しました。

 

たしかにイグアナはどこにでもいて、身近に感じることができました。また、バシリスクもたしか一匹だけでしたか見ることができ、近づくとあの忍者走り?番組では「水面走り」とかいってましたか、これをやってのけてくれました。その走りから愛嬌さを感じさせてくれました。

 

そこは観光客目的の船上ツアーで保護地区内の河畔林が生い茂った川を上ったり下ったり(といってもあまり勾配がなく緩やかな流れ)するものでした。これは調査目的と言うより観光的ものでした。日弁連調査は、メンバーは全員自己負担で参加しますので、ま、観光目的でといった批判は当たらないと思います。だいたい、調査内容は朝から晩まで次々と会議が目白押しで、そのヒアリング結果は報告担当者が報告書にあげますので、よくあるコンサルが企画して報告書をまとめるような、問題になった議員の調査旅行とはまったく異質物です。とはいえ、息抜きに、こういうツアーも用意されているのです。

 

さて、私がここで取りあげた目的の一つは、こういった観光では、生態系の実態をほとんど把握できないことがよくわかりました。ある意味では生態系の実態は、専門家による地道な長期間にわたる観察、それは何ヶ月単位というより、何年、何十年単位の調査が必要ですね。

 

それは番組で紹介されたバシリスクの水面走りは、ハンターであるワニなどのから攻撃を巧みにかわす生きる知恵というか能力なのだということがよくわかります。また、小さなバシリスクは肉食で、大きなイグアナは草食ということで、あまり接点がないのかと、当時は思っていました(もしかしたらツアー解説があったのかもしれませんが見ることに熱中していたので聞き漏らしただけ?)。しかし、NHK取材班の見事な撮影は、バシリスクがその得意な走りで、イグアナの赤子を襲う様子をとらえていましたが、ハンターでもあることがわかりました。その素早い動きと飲み込んだ表情は、私たちが川の中に水没している枯れ木の枝でひなたぼっこでもしているかのような茫洋とした、のんきな表情とはまったく異なる物でした。それが弱肉強食の世界を生きる姿の実態かと改めて思いました。

 

観光で楽しめるのは、かれら生命体のほんの一瞬の姿であり、そんなものだとわかっていても、NHKの放送を見ると、そのために相当な費用をかけて楽しむ意味がどこにあるのか、ふと考えてしまいます。むろん灼熱の大地、さまざまな生き物の声や臭い、ワニが身近に生息している多少の恐怖感などは実体験しないとわかりません。観光と生態系の実態を意識しつつ楽しむのでしょうか。

 

なかなか本論に入れず、前置きが長くなりました。

 

では、コスタリカは様々な理想的な価値を実現する先端的な国家として理想的な国づくりをしているといえるか、それが主題です。

 

日弁連の調査目的は、そういった国家のあり方についてまで対象としていませんので、これから先は私が見聞したコスタリカの一つの側面からの感慨です。

 

最初に驚いたのは、飛行機から首都、サンホセ(San José)に近づいたとき、見事に豊かな森が広がる中、目前に見えてきたものはまったく異質の物でした。トタン葺きの簡易な建物が延々と続くのです。首都の少し郊外に当たりますが、それは多くの人がこういった難民キャンプ並の生活環境で生活をしていることを感じさせるに十分でした。

 

首都サンホセは、人口30万余ですから、和歌山市くらいでしょうか。古くから発展した街ですので、スペイン時代の建物が相当残っていて、近代的な建物はさほど多くない印象でした。

 

最高裁判所など官邸のある一帯はよく整備されていますが、ちょっと町中に入ると混雑した雑多な印象のまちなみです。とりわけ多くの人の足は、バスですが、たぶん郊外から通っているのでしょう、首都圏並みの混雑と交通計画がうまく機能していない印象を感じました。広大な面積でわずか30万人の人口にしては、観光客の数を考えても、その交通渋滞は交通コントロールができているとはいえませんでした。

 

で、驚いたもう一つは、たしかにコスタリカは観光立国です。生態系や遺伝子研究など先端的な研究も評判です。しかし、いずれも主体として担っている、あるいは利用しているのはアメリカ人ではないかと思うのです。コスタリカ人の住居の多くは古い様式です。ガイドが日本人で、私と気さくになり、私一人彼の家に案内されましたが、コスタリカ様式の住宅で、ちょっと記憶があいまいですが(写真がでてくればもう少し思い出すかも?)、質素な印象でした。それが普通のコスタリカ人の生活環境ではないかと思うのです。

 

ところが、私たちが宿泊したホテルはいずれも高級リゾート施設のように(私レベルの基準ですが)、とてもデラックスで、食事もサービスも、すべてアメリカ方式です。朝食のときにレストランに行くと、私たち以外はほとんどがアメリカ人という印象を受けました。

 

コスタリカ人がそういったホテルを利用することもあるのかもしれませんが、彼ら彼女たちの日常風景を見ていたり、住居をみていると、とてもそういう高級施設を利用する状態にはないような印象を感じました。

 

わが国では、さまざまな宿泊施設があり、昔から民宿もさらにはビジネスホテルもありますし、最近では民泊施設もありますから、それぞれの経済状態に応じて宿泊施設を利用するでしょうけど、ときには奮発して高級ホテルに泊まることもあるでしょう。そういう状況は、一瞥したコスタリカの世界では感じられませんでした。

 

イグアナを含むトカゲ王国として、いや私たちが見聞した盛りだくさんの生態(名前は多すぎて写真でも見ないと思い出さない・・・と弁解しておきます)はたしかにすばらしいものですが、その価値を享受しているのは、アメリカ人など外国観光客ではないかと思います。

 

そこには格差を是正する施策が、アメリカ資本の影響でうまくいっていないのではないかと感じていますが、その裏付けもありません。それが2000年代初頭に感じたものですが、いまもそれほど大きな変化がないのではと思っています。

 

で、最後に余分な一言、同じように生態系が多様で観光立国に加えて工場立国にも転換してめざましい経済発展を遂げたマレーシアに新しい動きが出ていますね。その立役者であったマハティール元首相が92歳の高齢にもかかわらず、現政権に対抗して首相に返り咲きを目指しているというのです。これは国のあり方の問題ですが、同時に、高齢者も日々の精進?で90代になっても新たな意欲を発揮できる、健康維持の見本かなと思って取りあげてみました。記事は<マレーシア政界復帰のマハティール氏 92歳、愛弟子を糾弾 ナジブ首相に疑惑> 

 

 


米映画の先端性とシニカル性 <映画Disclosureを布団の中でふと考える>

2018-01-30 | 人間力

180130 米映画の先端性とシニカル性 <映画Disclosureを布団の中でふと考える>

 

昨夜は昼間お客さんからごちそうになったコーーヒのせいか、体調不調のせいか、ほとんど眠れませんでした。私は午後3時以降はコーヒーを飲まないように心がけています。3時に特別意味があるわけではないのでしょうけど、それ以降に飲むと眠れない、あるいは眠りにくくなるというジンクスみたいな感覚をもっています。

 

少し早く調停が終わったこともあり、お客さんの誘いで、その行きつけの喫茶店に入ったのですが、普段は紅茶かなにか別の物を頼むのに、うっかり3時をすぎているのに気づかず、後の祭りとなりました。夜は当然?眠れなくなり、それと風邪を引いたのか少し熱も出てすっかり体調不調の状態で、布団の中で悶々としていました。

 

録画番組を流していれば、普段はすぐに眠りこんでしまうのですが、体調不良があったためか、どうもいけません。眠気がやってこず、頭の中は自由奔放に考えが飛び交ってしまいました。

 

ところが、ふと昔見た映画Disclosureのストーリーがどうもおかしい、何がおかしいのだろうと、そのストーリー展開を頭に描きながら、どこか腑に落ちない箇所があることをいつまでも考えている自分に驚いたのです。

 

ともかくこの映画、ご存じのない方もいるでしょうけど、94年封切りで、そのころカナダで字幕もないのに見てとても面白いと思った映画の一つで、帰国後ずいぶんたってDVDを買って何度か見ていて、最近は何年も遠ざかっているのに、なぜか突然、気になったのです。

 

94年当時は、まだWindows95がでてなく、私はAppleを買って初めてPCを少しずつ使えるようになった頃でした。その前のms-dosPCは買ったものの、さっぱり使い方がわからず、ゴミになってしまいました。

 

そんな私には、この映画がとりあげたPCの最先端技術、バーチャル画像方式はただただ感心させられました。特殊めがねをかけて、画像の中に立体的なPC室内が建物の中のように作られていて、しかも操作する人間はその中でPC内をエンジェルというガイド役の案内で企業内情報を調べるという、現在でも実現していないのではないかと思うような状態を作り出していました。

 

で、私が何を一人悩んだかというと、Disclosureというタイトルと、そのストーリー展開になにか不自然さを感じたのです。Disclosureは曝露とか発見とか、いろいろ意味がありますが、なにを曝露したのか、当初理解していた単純な筋書とは何か違っている裏の意図があるのではないかを、毎回見るたびに感じていたからです。

 

ストーリーの大筋は、ハイテク新進企業ディジコム社がその先端PC製造事業を、有力企業の投資を得て子会社化する基本軸があります。その子会社のトップに抜擢された若き有能な女性の偽装工作と製造事業の責任者との間の争いがメインストリートとして描かれているように思います。

 

その女性を当時とても輝いていたデミ・ムーアがメレディス役、製造責任者トムを熱血漢の塊のようなマイケル・ダグラスが演じています。彼ら二人を中心に、社長のボブにドナルド・サザーランドなど名脇役がそれぞれいい感じで絡まっています。

 

プロットはサスペンスタッチで、最初のマイケルの自宅での親子4人が賑やかな朝を迎える長閑な場面から、いくつもの仕掛けを登場させ、最後の結末までの伏線というか重要な手がかりを配置しています。

 

で、メレディスが仕掛けたワナというか、工作は、セクハラの仕掛けと、劣悪な製品を製造して、その2段構えでトムに責任をとらせて、会社から追いやることでした。

 

セクハラは、実際はメレディスがトムを追い込むためにパワハラの一端として演出するわけです。当時男性によるセクハラは、言葉遣いや接触を含め、具体的な所作などが問題視される時代であったと思います。しかし、女性によるセクハラは、まだアメリカでもほとんど取りあげられていなかったような印象でしたので、驚きの場面ですが、ムーアらしい白熱の演技でした。

 

メレディスのセクハラ強要を最後の段階で拒否して逃げ帰ったトムに、翌朝、メレディスが会社にセクハラ被害を訴え、支社に追いやる話しをします。この辺りは単純なセクハラを拒否したことへの腹いせかと思ったのですが、これがメレディスの仕掛けた最初のワナだったのです。

 

トムは事実と違うと反論して、自分と家族を守るために会社と闘うことを決意し、訴訟ではなくmediation(一般には調停と訳されることが多いのですが、北米の場合多様で、映画の中では審判といってよい手続きでした)の場で自分が正しいことを主張するのです。この手続きでは裁判官の前で双方が当事者双方、証人の尋問や証拠の提出を行い、準裁判手続きで行われていました。

 

トムが雇った女性弁護士はセクハラ裁判で有名なやり手ということですが、メレディスに当日用意したワインの入手方法を追求するだけという奇妙な戦術をとりました。セクハラのセッティングを誰が主導していたかを周辺事情から外堀を固める方法ですが、一応の効果があったものの、さほど決め手にはなりませんでした。

 

余分の話しが長くなってしまいましたが、この審判的な手続き、途中で社長から和解の話しが持ち出されました。現状維持というもので、トムとしては敗訴のリスクを負うよりはベターな選択になり得たものです。

 

こういったセクハラは二人だけの密室の世界で行われるのが一般ですから、トムの場合女性の訴えに対し反証をだすのは容易でないですね。そこで第一弾の偽装発覚となるのです。それはトムがメレディスからセクハラを迫られたとき、同僚に携帯電話で連絡して留守番に伝言を残している最中だったところ、その携帯電話を切らないままにしていたことを思い出したのです。

 

実は同僚では間違った友人の留守電にかけたのですが、その友人の留守電に残っているテープの音で、セクハラの最初から最後まで、どちらが迫ったか、どちらが拒否したかを明らかになったのです。この留守電が、まいえば、Disclosureの一つかなと納得していたのです。

 

ただ、私の疑問の一つ(小さな物ですが)は、この社長の申出が、この携帯電話の存在をかぎつけたことによるものです。メレディスの被害者説に疑問をもちなかったことにしようとしたのです。しかし、ハイテク企業の通信制御システムでは、携帯電話の発信記録まで探知できるのかなと思いつつ、しかし、探知はできても内容まではわからないのではと思ったのです。すると盗聴していたのかな、企業内で発信した内容は盗聴される仕組みがあるのかな、ここは推測の域をでませんが、そうでないと、社長が和解を提案するとは考えにくいので、とりあえずその可能性を考えています。

 

この審判は留守電のおかげで、会社がセクハラの加害者の使用者として、多額の賠償金をトムに支払うとともに、メレディスは病気を理由に退職させることで、トム側の大勝利となりました。

 

しかし、メレディスの仕掛けは巧妙でした。トムが勝訴の喜びを満喫している裏で、着々と裏工作を実現すべく満を持していたのです。翌日の子会社スタートの発表の席で、不良品の責任をトムに負わせる準備をしていたのです。

 

トムは、それまで、不思議な謎のメールを受け取っていました。そのメールから受けるヒントでメレディスの陰謀に次々と対応してきたのです。そして弁護士は勝利を満喫する一方、その余韻に浸りながらも、メレディスのセクハラ自体に不審を抱いていたトムは、謎のメールでまだ終わっていないという通告があり、メレディスらの様子をうかがうと、上記の工作を知るのです。

 

製造はマレーシアの工場で、なぜどのような方法で不良品がでたかについては、工場長がメレディスの支配下にあり、また工場のデータについてはトムのPCアクセス権が制限されていたため、内容を入手できないという、絶体絶命のピンチにさらされるのです。

 

最先端のハイテク企業の責任ある立場でも、アクセス権が制限されると、ただの人になる、という一つのテーマかなと、ふと思ったのです。

 

このピンチを救ったのは、トムの人情味溢れる社員との付き合い方というのでしょう。これおもハイテク企業らしかぬ?いやだからこそ必要と作者は考えたのかも。映画の最初に、トムがマレーシアの社員がディズニーランドに家族旅行をするというので、入場券と宿泊予約を妻(弁護士)に特注したのです。審判の最中もそのことを気にかけるのです。そして特上のチケットを手に入れてあげるのです。

 

トムが窮地に立って、弁護士の助けも得られない状況に合ったとき、その社員から連絡があり、チケットの話しをする中、彼に工場のデータや契約書などを送るよう頼むのです。その社員は当然のように喜んで対応したのです。

 

そしてトムの責任追及をはかっていた発表の席で、メレディスの不良品の原因追及が始まるのですが、ここからが第2弾のDisclosureです。トムはマレーシアの社員からファックス送信されてきた資料を配付します。そこには機械作業であるはずなのに手作業に、エアコン使用条件が外されていたりなどで、不良品が発生することになる工場システムの大幅な変更がありました。トムはこの変更はメレディスが行ったものだと糾弾するのです。

 

これに対してメレディスが、自分はマレーシア工場に行ったことがないと弁解している最中、彼女が見学している様子を放映しているニュース番組がビデオで流されます(ビデオはどうやって送信できたのでしょうね、当時のPC送信では無理だったように思うのですが・・・)。

 

そして極めつけは、マレーシア政府との間の契約書です。そこには上記の工場システムの変更が明記されていたのです。見事なDisclosureです。

 

結果は、メレディスは解雇され、トムは別にトップに選任されたベテラン女性の右腕になったのです。

 

で、最後には、そのベテラン女性と、その子でワシントン大学の助手をしている若者が、謎のメールの張本人であることが明かされるのです。

 

こういったストーリーは割とわかりやすいのですが、どうもひっかかったので、昨夜一晩頭を抱えたのです。

 

この原作者の隠れた意図は、女性の進出に対するシニカルな見方と、よくある弁護士への批判的な見方ではないかと思っています。社長はガラスの天井という、女性が進出するときに見えない壁の存在を指摘しつつ、メレディスをトップに登用しました。英断でしょうね。しかし、彼女はセクハラを行い、偽装まで行っています。なんて怖ろしいことをと思わせますね。その彼女を解任した後に選んだベテラン女性も、負けずとトムを蔭でリードするやり手です。とても油断ならない存在に仕立てています。

 

弁護士は一応、審判では勝利させる役割を演じていますが、勝利を導いたのはトムが留守電に気づき、その証拠を入手したからです。また、メレディスが仕掛けた不良品偽装の責任追及に対してはなんの手も打てません。しかもトムが責任を負う根拠となる和解書を作成させています。役立たずといはいいませんが、弁護士の役割をシニカルに描いているように思えます。

 

で、ここまでは、まだわかるポイントです。わからないのは、なにが本当はDisclosureだたのかという点です。私が二つのDisclosureといったものがほんとうにそうなのかという点です。

 

だいたい、なぜメレディスはトムを会社から追い出す必要があったのでしょう。メレディスは製造部門の関与したことがなく、トムこそ一番わかっている人物であり、最先端技術のメンバーを束ねる責任者です。その彼をこんなあざとい工作で追いやる意味がわからないのです。彼女ほど力量があれば、トムを支配下に置いて事業経営することに支障がなかったように思うのです。

 

メレディスとトムが引き継ぎのために会う最後の場面での会話は、社長の計略だったというメレディスの言い分に、トムは工作したのは自分だというのですが、これはいずれも別れの挨拶みたいなもので、真実を語っているとは思えないのです。ただし、そこが悩みの一つであることは確かですが。

 

結局、頭の中で整理してきたつもりですが、もやもやした状態は変わっていません。それでいつの間にか寝入ってしまったのです。

 

そして今日は一日、風邪気味で熱があり、今日はブログはパスしようかと一時は思っていました。ようやく5時近くなってブログを書く気になって、書き出したら、少しずつ調子も良くなりました。このブログを書くことは体調を回復させてくれる良薬かもしれないと、本日のテーマと関係のないまとめとなりました。

 

長文となってしまいました。最初はぼやっとした状態から次第に元気が出て、止まらなくなり、無駄な話が長々と続くことになり、テーマも曖昧となりました。

 

とまれ、本日はおしまい。また明日。


仮想通貨大丈夫? <仮想通貨流出 金融庁がコインチェックに改善命令>などを読みながら

2018-01-29 | 金融経済と合理性・倫理性

180129 仮想通貨大丈夫? <仮想通貨流出 金融庁がコインチェックに改善命令>などを読みながら

 

いま世の中は混沌としたカオスに近い状態だと指摘する専門家もいるようです。地球誕生や生命誕生時、あるいは人類誕生時に比べれば、まだ未来がみえているのかもしれません?

 

科学技術やさまざまな研究の成果で、古代や地質時代も少しずつわかってきているようですね。いや歴史時代もわかったようでわからない状態でしょうか。ましてや現代は気にすればわからないことばかりです。気にしなければ、生きていけますし、自然の寿命をまっとうもできるでしょう。

 

そんな感覚で最近騒がれているビットコインも無視してきました。たまたま見た記者会見の様子や金融庁のヒアリングを受けてでてきた関係者の様子を見て、ちょっとだけ気になり、どうなっての、と思いながら30分あまり新聞情報やウェブ情報を探ってみました。

 

結局、よくわからない状態にあまり変わりませんが、なぜこの仮想通貨という「見えない価値」に大勢が関与し、また法令改正が機能しているのかどうか、金融庁の対応が適切なのか、といった疑問はいまだ解けていませんが、概略がおぼろげながらつかんだように思いますので、といっても「仮想」ですから、思ったと思ったら消えてしまうような内容に見えてしまうのですが、書いてみようかと思います。

 

まず、私が気になったことから書きましょう。仮想通貨がなにかよくわからないので、そのことは後に触れます。それ自体が気になったのではなく、580億円も流出し、26万人がいま被害に遭っているというのに、記者会見は真剣さを欠いている印象でした。少なくとも代表者である社長については。ま、これは外観ですから心の中では動揺してまともな対応ができなかったのかもしれません。

 

対応した常務でしたか、割合平然として経過説明をしていましたね。記者会見全体を見ていないので、一部を見て判断するのはどうかと思う断り書きを入れておきますが、対応からは大失態という反省はあまり見えませんでした。それと、この種の不祥事では必ず脇に座る弁護士がいませんでした。法的対応ができないほど、いい加減な業務運営をやっていたのかと不審に思いました。

 

それは金融庁に対するヒアリングでも弁護士が立ち会った様子は見られませんでしたので、これも不思議に感じました。

 

が、私のようにビットコイン取引を全く知らない人間から見た場合、もしかして先端的なこの種の取引手法の場合、弁護士も情報理解がついて行けないのかと思ってしまいます。むろんビットコイン一般の取引について相当通暁している弁護士は少なからずいると思いますが、この会社の業務で問題になった仮想通貨「NEM(ネム)」は新種のようですので、それを理解してもらうには適切な弁護士がいなかったのかと一瞬、思ったりもしました。

 

その可能性は少ないと思いますが、これもこの会社に対する不審の一つです。先端業務を行い、他方で金融庁が改正資金決済法で取り締まりを始めた昨年以降、コンプライアンスをしっかりやろうとすれば、弁護士への相談をしないとは考えにくい、しかも580億円もの巨額取引サービスを提供しているのですから。

 

また、金融庁のヒアリングの後、26万人全員を対象として、460億円の日本円での返済方針を発表していますが、そのすばやい対応を評価しつつ、その根拠が明らかにされていないという、疑問は拭いきれません。

 

可能性としては流出先が判明していて、換金するとばれるので犯人の手元にある、だから回収可能だというのでしょうか。あるいは別に巨額のビットコイン資金があり、それで返済できるというのでしょうか。狐に包まれたような対応です。

 

だいたい金融庁のヒアリングは2時間程度でしたか、それで580億円の取引データが全部チェックできたのでしょうか。いや、コインの管理方法や、流出原因について概要を確認しただけなのでしょうか。データはネット上にある?のでパスワードなり認証手続きさえすれば、すべて表示でき、チェックできるというのでしょうか。それにしてもあまりに短い調査時間だったように思うのですが、それはこのシステムを知らない外野の偏見でしょうかね。

 

さてそろそろ報道記事を基に、私が理解でいていない事実関係を少し引用します。

 

質問なるほドリ ビットコインってどんなもの? ネット上の仮想通貨 取引4割日本円建て=回答・松本尚也>は基礎知識ですね。

 

ビットコインは<実物の紙幣(しへい)やコインは無く、インターネット上でやり取りされる「仮想通貨(かそうつうか)」の一つです。仮想通貨は世界で1000種類以上あり、時価総額(じかそうがく)は約7700億ドル(約87兆円)。ビットコインは約2600億ドルと3割強を占め、最も多く取引されています。>

 

その仮想と普通の通貨との違いは

<日本円や米ドルといった「法定(ほうてい)通貨」と違って中央銀行などの管理者(かんりしゃ)がいないのが特徴です。取引データはネット上の台帳(だいちょう)に記録され、ネットワークにつながる複数のコンピューターに保存されます。参加者が互いに監視(かんし)することで偽造(ぎぞう)や改(かい)ざんを防ぎます。>

 

どうやって手に入れたり利用したりするかは

<コインを売買するネット上の取引所に口座(こうざ)を開設して日本円や米ドルなど従来ある通貨で購入します。国内でも家電量販店(かでんりょうはんてん)などコインを使える場所が増えていますが、値上がり益を狙う投機的(とうきてき)な取引が大半です。世界の取引の4割を日本円建てが占めるといわれています。>

 

仮想通貨の定義は

<17年4月に施行(しこう)された改正資金決済法(かいせいしきんけっさいほう)では(1)不特定多数への代金支払いに使え、(日本円などの)法定通貨と交換できる(2)電子的に記録され移転できる(3)法定通貨または法定通貨建て資産ではない--の3要件>を具備する物と言うことです。(2)が中核でしょうか、(1)有用性ですね。

 

仮想通貨流出事件の概要については次の2つの記事によります。

金融庁がコインチェックに改善命令

26万人に460億円返金方針 コインチェックネット、遮断せず管理

 

前者では、<仮想通貨取引所大手「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正流出した問題で、金融庁は29日、流出を防ぐための安全管理体制が不十分だったとして、同社に対し資金決済法に基づく業務改善命令を出した。>と素早い処置をとったといえるでしょう。

 

このような命令を受ける可能性が十分にあったのですから、弁護士がヒアリングなどに立ち会うか、会見に立ち会うのが普通ではないかと思うのですが、これもこの会社の不自然さを感じるのです。むろん同社が適切な処理をしていて、業務命令に問題があれば異議申立もできるわけでしょうが、もともと交換業務者としての登録義務を怠っていたようですので、このような取引を行うこと自体、問題があったと思われますから、弁護士に相談しても意味がないと思ったのでしょうかね。

 

2つめの記事では同社の管理のずさんさが次のように指摘されています。

<同社は被害に遭った仮想通貨を外部のネットワークに接続した状態で管理していた。多額の仮想通貨は不正アクセス対策のためネットを遮断した状態で保管するのが一般的で、同社の安全対策が不十分だった可能性が高い。>

 

流出の経過については

<同社によると、26日午前3時前から複数回、外部からの不正アクセスでネムが出金された。同社が異常を察知したのは8時間以上が過ぎた26日午前11時25分ごろで、すでに顧客から預かったネムのほぼ全額が引き出されていた。> 約8時間程度で同社が補完していた全額に当たる580億円が引き出されたというのですから、それも平日に、というのですから、杜撰なのか、腑に落ちない経過です。

 

その管理方法も不思議です。

<同社はビットコインなど取引高の大きい仮想通貨はネットから遮断して保管していたが、ネムは全額ネットに接続した状態で管理しており、不正アクセスの標的になった可能性がある。><また、ネムの普及を進める国際団体が、取引の際に複数の電子署名が必要でより安全性が高いとされる技術の採用を呼び掛けていたが、やはり未対応だった。>

 

どうぞ不正アクセスしてください、とその危険性を承知していて、許容していたというのもおかしいですね。

 

この点についての社長の釈明は<「(ネット遮断での保管について)技術的な難しさや人材不足がある。開発には着手していたが、間に合わなかった」と釈明した。>ということですが、同じような仮想通貨で、技術的困難性がどこにあるのか、それを合理的に説明できるかが、これから質されるのではないかと思われます。

 

この<NEM(ネム)>の解説がありますが、すごいものなんですね。

<インターネット上で取引される仮想通貨の一つで、2015年3月に発行が始まった。名前は「New Economy Movement(新経済運動)」の略。17年1月ごろは1ネム=1円未満の価格で推移していたが、その後急騰し、18年1月には一時200円を超えた。>ビットコインが昨年一年間で20倍といわれていたかと思いますが、これだとたった一年で200倍ですか、こんなおそろしい取引というか、投機というか、・・・やはり渋沢栄一辺りが大事にしてきた「商い」ではないように思うのですが。

 

なお、この問題はこれから尾を引くようにおもいますが、金融庁の基本的なガイドラインがわかりやすく解説しているので、参考までに紹介しておきます。

「仮想通貨」をより安全に使うために。改正資金決済法がスタートしました

 

少々長くなりましたが、最後に、まだ改正資金決済法を読んでいませんが、該当箇所と思われる規定からすると、改善命令の根拠がどこに求められるのか、少し判然としないように思うのですが・・・

 

(情報の安全管理)

第六十三条の八 仮想通貨交換業者は、内閣府令で定めるところにより、仮想通貨交換業に係る情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない。

(利用者の保護等に関する措置)

第六十三条の十 仮想通貨交換業者は、内閣府令で定めるところにより、その取り扱う仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認を防止するための説明、手数料その他の仮想通貨交換業に係る契約の内容についての情報の提供その他の仮想通貨交換業の利用者の保護を図り、及び仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

(利用者財産の管理)

第六十三条の十一 仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業に関して、内閣府令で定めるところにより、仮想通貨交換業の利用者の金銭又は仮想通貨を自己の金銭又は仮想通貨と分別して管理しなければならない。

2 仮想通貨交換業者は、前項の規定による管理の状況について、内閣府令で定めるところにより、定期に、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。第六十三条の十四第三項において同じ。)又は監査法人の監査を受けなければならない。

 

などが関係するのかなと思うのですが、内閣府令に具体的な管理内容が規定されていれば、それに適合しないと言うことで、改善命令を発することができるかもしれませんが、それを調べるとまた時間がかかるので、今日はここまでとします。毎日記事などからすると、府令にそこまで具体的な規定がない印象ですが。

 

それと法律上は、

(業務改善命令)

第二十五条 内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の前払式支払手段の発行の業務の運営に関し、前払式支払手段の利用者の利益を害する事実があると認めるときは、その利用者の利益の保護のために必要な限度において、当該前払式支払手段発行者に対し、当該業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

など、業務改善命令の規定が結構たくさんありますが、すべて内閣総理大臣権限です。金融庁長官ではないですね。これは私のざっとした読み込みですので、誤解かもしれません。

 

あるいは金融庁(長官)に委任しているのかもしれませんね。安倍首相がここまで頑張るのはなかなか大変でしょう。

 

ともかく少し長丁場になりました。今日はこれでおしまい。また明日。

 

 

 

 


心の健康 <女性のひきこもり>と<離婚歴を隠す彼という人生相談>を見聞して

2018-01-29 | 健康に生きるとは

180129 心の健康 <女性のひきこもり>と<離婚歴を隠す彼という人生相談>を見聞して

 

今朝のNHKおはよう日本では、女性の引きこもりが取りあげられていました。登場したのは30代や40代の女性でした。これまで取りあげられてきた男女の引きこもりと異なり、取材に対して割合普通に対応されていました。そして家事は自分でしっかりできているようです。ただ、買い物に出ることはできても、人と話すことや人の中に入っていくことができないようです。ある女性は、就職試験の面接で落ちたショックから、人と話すことができなくなったという引きこもりの契機を話していました。

 

彼女たちまだこれからという女性たちは引きこもりですが、一般の統計からは落ちこぼれてきたようです。家族との関係とか家事とか普通にできるようですので、対象にならないのでしょうかね。もっぱら親の年金で暮らしているけど、外で働くことに恐怖感があり、収入が得られず、きっかけもなく、悩んでいるのです。通常は、幼友達が救い手になるのでしょうけど、そういう女性たちも就職したり結婚したりして、そちらの生活も忙しいでしょうし、話題も共通しなくなるのでしょうか、まったく話す相手がなくなっていったようです。

 

ま、いえばまだ40代前後の若々しい孤独状態で、独身を謳歌しているのではなく、収入の目処もなく生活の糧もない、将来は孤独死になりうる予備軍になる危険を感じているようです。

 

そういう問題について、過去にひきこもりを経験した林さんという女性が、ひきこもりで悩む女性の集う会を立ち上げ、彼女たちの社会への一歩を手助けしています。やはり同じ悩みを抱えた女性同士だと、また、抜け出したリーダーの林さんみたいな人がいると、自然に悩みを打ち明け合い、まずは自分一人が抱えている悩みでなく、ちょっとしたきっかけで、あるいはほんのわずかな気持ちの切り替えと勇気で、社会の中に踏み出していけるのだと気づく人も次第に増えているようです。

 

彼女たちの会話を断片的にですが、聞いている限り、普通の感覚の方ばかりのように思います。他方で、ちょっとした言葉や所作に敏感なのかもしれません。ある種大事な心の持ち方ですが、現代の競争激しい社会では、気持ちが萎えてしまうのかもしれません。

 

家事は大変な作業ですが、人と接しなくて済むので、そういった脅威に向き合わなくてもいいかもしれません。そういう彼女たちを見ていて、多くの離婚に踏み切れない夫婦の関係をふと感じてしまうこともあります。最近は女性も外で働くことが普通になり、離婚に躊躇しないというか、壁が低くなったかもしれません。

 

遡って考えれば、安易に結婚していることにも問題の本質があるのかもしれません。

 

すこし飛躍があるでしょうけど、今朝の人生相談<彼が離婚歴を隠していた>は、回答者・高橋源一郎氏による、いつもの明快な回答で、すがすがしいものでした。それが効果的な影響を与えるかは相談者次第ですが。

 

相談内容は<付き合って1年の彼がいます。彼に冗談で「離婚歴ある?」と聞いたところ、バツイチで5歳の子どももいることが分かりました。子どもとは2年ほど前から会っていないそうです。年齢も42歳と言っていたのに46歳で、隠しごとが多く信用できなくなってきました。ただ、彼のことは好きです。彼はこれ以上隠しごとはないと言っていますが、このままお付き合いを続けるか悩んでいます。(35歳・女性)>

 

多くの女性、そして男性、いずれもひきこもりなど関係なく、自然に多くの人と交わり会話をそれなりに楽しみ、そして中には親しく交際したり、ついには結婚し、子どもが生まれることもあるでしょう。

 

その男女の会話は、引きこもりの方のように、まじめさだけでなく、多少の虚言もあるでしょう。それがどこまで許容されるかが問題ですが、多くは失敗の要因になり、心の健康を害する場合もあるでしょう。

 

高橋氏は開口一番、相談に対し<相談者の「彼」は根本的に信用することができない人のように思えます。>と明言します。私も同感です。

 

離婚歴、子どもがいること、収入や借金など、まじめに相手のことを考えるのであれば、真実を伝えることが相手に対する真心ではないかと思うのです。そういうことがおろそかにしている結果、ときに弁護士に相談するような破局を迎えるのですね。子どもがいることを正直に話す人でも、養育費は支払わなくてもいいなんて、平気で話す人は危ないですね。借金はあったが返済したという人が、結婚した途端、その借金返済のために働いて欲しいなんて平気で求めることをなんとも思わない、こういう不健全な精神の持ち主が世の中いますね。

 

安易に相手の言葉を信頼して社会生活を営むのも、この世の中、いかなる荒波が待ち構えているかわかりません。その意味で、引きこもりを選んだ選択が完全な間違いとも言い切れません。こういった敏感で慎重な女性、おそらく男性もいると思いますが、そういう人たちに社会参加への支援策が必要ではないかと、改めて思いました。その意味で林さんの活動がより多くの賛同・支援を受けることを期待したいと思うのです。

 

他方で、男は、同時に、女は、「オオカミ」というか、自分の描いた仮装の世界観で言葉巧みに生きる人も少なくない、これも世の中ですね。これはそういうオオカミに対しても、またオオカミに補食される人たちにも、適切な支援策がどう仕組むことができるか、これからの課題かもしれません。

 

世の中、アメリカファースト、自分ファーストが蔓延しているわけですから、政府がこのことに注視して対策を講じないと、もっとひどい状態になるおそれがあるように思うのです。それは社会全体の改革の一つかもしれません。