たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

ひげを考える <ひげ理由に低評価ダメ>を読みながら

2019-01-17 | 行政(国・地方)

190117 ひげを考える <ひげ理由に低評価ダメ>を読みながら

 

今日もとくに取り上げたい話題がなく、パスしようかと思いながら、ふとこの記事にでくわしました。

 

今朝の毎日記事<訴訟ひげ理由に低評価ダメ 地裁、大阪市に44万円賠償命令>です。そういえば大阪市が入れ墨とかを問題にしたことがありましたね。口ひげも問題にしていたのですね。

 

記事によると<ひげをそらなかったことを理由に不当に低い人事評価を受けたとして、大阪市営地下鉄(当時)の運転士2人が、市に慰謝料など計約450万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は16日、計44万円の支払いを命じた。>とのこと。

 

理由は<内藤裕之裁判長は「ひげを理由に減点評価したのは、裁量権の逸脱で違法」と判断した。>です。

 

具体的には<判決などによると、市は2012年、服務規律を強化する職員基本条例を制定。市交通局(当時)も、ひげをそるよう求める内規を設け、従わなかった2人は13、14年度の人事で低評価を受けた。>大阪市は服務規律を条例で強化したのですね。で、ひげはダメということにしたようです。たしかに行政職員の中でひげを生やしている人はすくないかもしれません。でも結構ひげがふさふさした人もどこかで見かけたような記憶です。

 

ひげを生やしていない人でも、ルーズな性格だと(そうとばかりいえないかもしれませんが)、そり方がいい加減だったり、剃る回数が少ないため、いわゆる無精ひげが目立つ人もいますね。これはどうかと思います。身だしなみくらいは、行政マンとして、また社会人としてきちんとしてもらいたいものです。と口では私もいいますが、まさに身だしなみに気をつけるタイプではないので、頭の髪も口ひげも結構適当にやってきました。

 

そもそも私の口ひげは、熱帯林調査でボルネオ島に入り、現地の先住民の多くが口ひげを自慢そうにふさふささせていることに驚きつつ、ひげを剃るのを失念していて、いつの間にか生えていたのでした。それまでひげが少なく、薄いので、口ひげを生やすなんて考えたことがありませんでしたが、若干生えたのを見てまんざらでもないかと思ってしまったのです。というか、これは楽でいいと思ったのです。しばらく放置していてもまあなんとかなると勝手に考えたわけです。

 

最初は口ひげだけでしたが、次第に無精が身についてあごひげも生やしだし、日々楽なスタイルを通していました。私の場合とても個性を表現するといったこととはかけ離れていましたが、手入れをしないでいいので、その後続いています。ただ、ある時期、あごひげは事情があって剃りました。また高齢の域に達してからは、あまりにひどいと余計に老いぼれて見える?と思ったのか、少しずつ手入れをするようになりました。

 

頭髪も床屋に行かない時代もありましたが、最近は毎月定期的に行っています。少しは身だしなみを気にしておかないと、よぼよぼの老人扱いをされそう?です。

 

さて本題の口ひげの自由を訴えた方に話を戻します。記事では<運転士側は、内規が個人の尊重や幸福追求権を定めた憲法13条に反すると主張。市側は、他の鉄道会社にも同様の規定があるなどと反論していた。判決は、人事評価の理由にすることは服務規律の限度を超えると指摘した。>

 

まあ憲法違反かどうかはともかく、服務規律としてどうかと思いますし、それを理由に人事評価まで低くするとなるとアウトでしょうね。なぜ大阪市はここまで厳しい姿勢をとったのでしょう。

 

<判決後に記者会見した河野英司さん(56)は「ひげは個性の表現で、そると自分ではなくなる。伸ばす自由が認められてうれしい」と話した。【戸上文恵】>という気持ちは、私のようなずぼらではやしている場合でも、それをはやしてはダメ、口ひげを生やしていると人事評価を下げますよとなったら、いやでも反抗したくなりますね。

 

だいたい、口ひげによって、行政の評価が下がるとか、仕事の効率が落ちるとか、あるいは職員全体の士気が落ちるとか、いろいろ主張されそうな理由があるでしょうけど、合理的とは言えないように思います。

 

むろん私は当該服務規律の規定自体を読んでいませんし、今回の事件でどのような点で低い評価されたか、この記事以上にわかっているわけではないので、この条例を策定したご本人に説明してもらわないと、断定的なことはいえません。

 

ただ、記事で取り上げた反論のように、他の行政でやっているからといった、横並び式の対応であれば、これは恥ずかしい話でしょう。

 

私自身、なにがきちんとしたスタイル、対応かは特別考えておりませんが、なぜ背広でなければいけないか、ネクタイをしないといけないか、制服でなければいけないか、といったことも根本的に検討されるべきだと思います。

 

韓国徴用工事件で、関係のない興味をもったことがあります。記者会見に登場した、担当弁護士の衣服が自由自在という感じだったことです。若い方ということもありますが、その衣服の自由さに少し驚きました。たしかネクタイをするような格好の人もいなかったように思います。私はそれでよいと思っています。仕事と服装は直接関係ない。自由に服装や頭髪などの容姿を決めればいいと思うのです。それがアイデンティティだとまで私は思っているわけではありませんが、そんなことはあれこれ言う話ではないでしょうと思うのです。

 

まして口ひげのあるなしにどうこういうのはいかがかと思うのです。組織、さらには公共サービスを担う行政の場合は違う、なんてことは本来ないと思うのです。

 

律令制で衣服や髪型、色など、事細かく決めた時代ならともかく、身分制の江戸時代を超えて、さらに独特の天皇制国家をようやく乗り越えたのですから、自由はできるだけ尊重したいし、してもらいたいものです。

 

今日はこのへんでおしまい。またあした。


万博会場の安全と適正さ <大阪市水道工事不正 産廃、夢洲に不法投棄>などを読みながら

2018-09-16 | 行政(国・地方)

180916 万博会場の安全と適正さ <大阪市水道工事不正 産廃、夢洲に不法投棄>などを読みながら

 

大阪府市などが中心になって2026年万博誘致で長年運動してきたようですね。私自身はあまり関心がないので、その動きはほとんど分かっていません。

 

ただ開催場所が夢洲ということは昨年あたりから話題になっていましたので、その程度の知識はありましたし、その開催目的もいまどき関心を呼ぶのかと思いつつも、意欲的なものだなと、ほんの少しだけ耳をそばだてることもありました。

 

今朝の毎日記事<大阪市水道工事不正産廃、夢洲に不法投棄 業者証言 偽造印で管理票>では、産廃不法投棄の発生源が大阪市(水道局?)で、投棄先がその夢洲、つまり大阪市(港湾局管理)ですね。むろん不法投棄したのは施工業者ですので、その責任が一番問われるべきですが、他方で、発生源であり、かつ、不法投棄を等閑視した大阪市の責任も見過ごしにできません。

 

まずは不法投棄の手口について、毎日記事が以前から調査報道していますが、今回は施工業者に取材して、その内容を具体的に明らかにしていますので、これを取り上げたいと思います。

 

産廃処理の適正さを担保するマニフェストを偽造していたことは以前の報道で明らかにされていましたが、遠藤浩二記者が今回は業者の証言を入手したものです。

<大阪市発注の上下水道工事で、産業廃棄物を適切に処分したことを示す管理票「マニフェスト」が大量に偽造されていた問題で、複数の施工業者が毎日新聞に「大阪湾の埋め立て地に、工事で出た産廃を不法投棄していた」と証言した。>

 

土木工事ではさまざまな産廃が排出され、上下水道工事では次のような処理区分になっているようです。なお、一般の工事では汚泥も排出されますが、都市下水道については例外扱いで、<掘削工事に伴う汚泥と土砂の判断区分について>で、汚泥も土砂として取り扱うことになっています。

 

さてそれ以外の産廃については<上下水道工事では、道路を掘る際に出るアスファルトと、その下地となる砕石や鉄鋼スラグなどの「路盤材」を産廃として処分場に運ばなければならない。その下の土砂は埋め立てに利用する決まりだ。>と3区分で、前2者を産廃、残りはすべて土砂として埋立利用できることになっているのですね。

 

マニフェストの本来の管理は<運搬業者を通じて処分場に産廃を運び、マニフェスト用紙に産廃の種類や量を記入。処分場で押印してもらい、そのコピーを市に提出する仕組みだ。用紙は7枚つづりの複写式で、各業者は5年間保管する義務がある。>として、これが実際の産廃の種類・量を反映していれば、適正処理が確保されるのですね。

 

おそらく排出土量は、当該施工業者が担当する区間分に応じた正立方体の形状で上下水道管の長さを乗じて推計するのでしょうね。そのような推計を前提に、実際の掘削土砂量を減らして、他方で、その分、混ぜるアスファルト・路盤材の分を増やすことができるように掘削方法も巧妙にされていたようです。

 

<地面を斜めに掘ることで掘削土砂の量を減らし、その分だけ路盤材を混ぜていたという。>やり方が計算高いですね。これで、業者としては、架空の産廃処分料金をいただき、他方で、埋立土砂量を水増しして土砂料金をいただく、一石二鳥となるやり方ですね。

 

<大阪市では、土砂は全て人工島の夢洲(ゆめしま)(此花区)に運んで埋め立てる>そうですが、こんどは<搬入の際に、大阪市港湾局は、土砂の量を計測するなどしていたが、産廃が土砂に混ぜられているのを見抜けなかったとみられる。>

 

つまり大阪市は、マニフェストの偽造文書で排出事業者として騙され、路盤混入をチェックしないで騙される、ダブルパンチを食らわせられたということでしょうか。

 

こんなことが長年にわたって見過ごされたというのはいかがなものでしょう。本当にそうだったか、大阪市は公正かつ適正な調査を行ってもらいたいものです。

 

その金額は、<市によると、2016年度の上下水道工事の産廃の処理量は、アスファルト約4万1000立方メートル、路盤材約4万3400立方メートルなど。計約5億円に上る処理費(運搬費を含む)が業者に支払われていた。>ということですが、土砂埋立処分費は支払っていないのですかね。

 

業者の証言がいくつか掲載されていますが、たとえば< ある業者は「書類さえそろっていれば市の職員が工事現場をチェックすることはなく、やりたい放題だった。路盤材に関しては全て偽造していた」と打ち明ける。偽造したマニフェストは年間1000枚近くに上ったという。>と不正を黙認していたかのような状態ですね。

 

実際、不法投棄に関与した業者の数がひどいです。<市は5月から調査。9月11日、16年度の全工事221件のうち全体の半分となる約2万3500枚に偽造の疑いがあると発表した。元請け業者177社中163社、運搬業者85社中69社が関与した可能性があるとされ、市は業者への立ち入り調査を進めている。>

 

それで、処分先の夢洲ですが、大阪府のウェブサイトでは、<大阪府では、2025日本万国博覧会誘致をめざしています。>として、<立候補表明文書>がアップされていて、そこには次のような記載があります。

 

<会場の夢洲は、大 阪の都心から約十キロメートルの近距離にあるため、既存の都市機能が容易に利用 可能です。また、会場までの鉄道延伸や道路拡幅などの整備が計画されているほか、 夢洲が人工島であることから、海上アクセスの導入も容易です。>

 

たしかにアクセスのよさは今後期待できます。しかし、台風21号による高潮高波被害や南海トラフ大地震・津波のリスクは開催機関が長い分、対応できるのか懸念されていると思います。それに加えて今回の不法投棄先というのは管理者として大阪市はいかがなものでしょう。

 

そのウェブサイト<夢洲地区>では<安全性>の箇所で、

<•         粘性土を主成分とする浚渫土砂等での埋め立てされているため、液状化しにくい地盤となっています。

            地盤沈下を見込んだ50年後でも、9メートルを超える地盤高を確保しており、津波の侵入を許しません。(平成258月に大阪府が公表した「南海トラフ巨大地震」を想定した最大津波高さに対しても43メートルの余裕高さを有しています。)>

 

とうたっていますが、割合が少ないかもしれませんが、上記の<粘性土を主成分とする浚渫土砂等>に該当しない路盤材などの混入は安全性を担保すべく厳密に管理しているといえるのでしょうか。関空においても計画以上に地盤沈下が進んでいるのではないでしょうか。

 

今回の不法投棄事件は、大阪市の管理責任が大きく問われるべきではないかと思います。大阪都構想もそれ自体は意欲的なものと思いますが、個々の現場での事業管理が適正に行われていないことの是正を早急に行ってもらいたいものです。

 

今日も別のテーマを考えていたのですが、どうもまとまらなく、ピンチヒッターのごとく上記のテーマに鞍替えしました。これにておしまい。また明日。


公文書とは <メールは公文書か>と<加計問題 柳瀬氏答弁広がる矛盾>を読みながら

2018-05-12 | 行政(国・地方)

180512 公文書とは <メールは公文書か>と<加計問題 柳瀬氏答弁広がる矛盾>を読みながら

 

今日は懸案の仕事を片付けようと思っていたのですが、いろいろ所用がはいり、つい私の興味のある話に花が咲いた?ような気がして、残務整理などしていると6時になっていました。

 

今日も行き当たりばったりでブログのテーマを考えながら、書いています。看護師のセクハラ問題が取り上げられていて、興味を引いたのですが、やはり懐かしい顔を記事に掲載されていたので、これはこちらかと<論点 メールは公文書か>を取り上げることにしました。

 

と同時に、あまり取り上げるには気が重い<加計問題柳瀬氏答弁広がる矛盾 愛媛知事、証拠示し反論>も関連で無視できないので、関連のある範囲で少し取り上げてみようかと思います。

 

さて今日の論点では、メールが公文書かどうかを対立する論者が意見を独自に述べ合っています。私の知り合いは弁護士の森田明さんです。彼と仕事を一緒にした経験はないですが、日弁連などでなにかと議論した記憶があり、明快な議論は聞いていて気分がいい方です。私より世代が若いこともあって、私には丁寧に対応してくれるというか、私がおおまかなので、気安く話す相手でした。といっても20年も前の話でしょうかね。

 

私は彼が長く情報公開問題に関わり、努力しているのを見ていましたので、彼の立ち位置がぶれない点を評価しています。

 

ところで記事では<学校法人「加計(かけ)学園」や自衛隊イラク日報の問題を巡り関係省庁で送受信されたメールが公開され、実態解明に大きな役割を果たした。しかし、公用メールの多くは事実上、官僚の裁量で廃棄され、大臣、副大臣らは私用メールや通信アプリを多用している。公文書管理の点から電子情報はどう扱われるべきか。【聞き手・日下部聡、大場弘行】>と電子情報の扱い方を問題にしています。

 

森田さんの主張は、多くの弁護士、日弁連の立場とも大きく変わらないと思います。

 

彼の意見は<メールは送受信した時点で誰かと共用されるわけだから、職務上のメールは行政文書に当たるとみなされるべきだ。たとえば、知事が秘書と日程について連絡したメールなどは行政文書だ。1対1でも、職務上の相手方であれば私的なものとはいえない。また、私用アドレスだったとしても、職務上のやり取りであれば行政文書だろう。>と。

 

これに対し、福田峰之・元副内閣相は意思決定<「プロセス」を残す怖さ>を指摘して、メールなど電子情報を公文書として扱うことに反対の立場です。

 

<副内閣相だった頃、官庁から与えられていた公用アドレスのメールは一度も使わなかった。>というのですから、クリントン女史が国務大臣時に私用メールを使ったことへの批判は彼には意外と言うことなんでしょうかね。あるいは立場が違うというのでしょうか。

 

しかし、電子情報は最も重要な情報伝達・交換・意思形成などのツールとして使われていることを自認しています。<私用アドレスのメールを使うこともあったが、LINEは特定メンバーでグループを作って一つの画面でメッセージをやり取りできて便利だ。当時、約30人の官僚、他省庁の副大臣、与党議員らとLINE上に複数のグループを作っていた。他の副大臣や議員とは「この案件、どう思う?」と意見交換し、官僚らには外出先から指示を出したり、報告を受けたりして、必要な資料は添付して送ってもらった。多い日で数十件のメッセージをやり取りしていた。>

 

彼なりに興味深い弁明をしています。<こうしたツールは電話でしゃべるのと同じ感覚で使う。実際、スマホの音声入力機能はしゃべった内容をそのままメールの文面にしてくれる。それを紙の文書と同じように公文書として残せというなら、電話で話した内容も全部録音して残さないとバランスが取れない。>

 

バランスがとれないというより、電話会話も録音する公用として必要があればすべきでしょうし、少なくとも文書化すべきではないでしょうか。音声入力は有効なのですから、それこそ一定の条件で公文書として扱うのが本来ではないでしょうか。

 

これに対し、福田氏のプロセス論からの消極説は<メールや通信アプリを使う目的はあくまでもコミュニケーションと情報収集だ。プロセスの断片に過ぎない。本や資料を読んだり、人に会って話を聞いたりするのと変わらない。そうした行為まで公的な記録として残すのは思想チェックになってしまう。>と一気に思想検閲になっています。えっと思いますね。

 

だいたい一般的なコミュニケーションや情報収集なんでしょうか。しかも本や資料を読んだり、人と会って話を聞くのと同じという、それぞれ異なる内容を一緒くたにしていますね。例に挙げた本や資料を読むことと、電子情報のやりとりは明らかに違います。特定の組織の一員との電子情報の伝達は、行政組織としての活動以外の何物でもないように思うのです。人と会って話すことも、その内容が業務に関わることであれば、基本は行政活動の一環ではないでしょうか。それは決して内心の思想を開示させるものではないと思うのです。

 

ある行政施策について、是非を議論するような電子情報のやりとりもあるでしょうが、そういった議論も、行政過程、政策やさまざまな行政行為の実行に至るプロセスを合理化する、あるいは後に検証するために、公文書として記録化することが本来ではないでしょうか。それこそ民主主義の毛細血管の最も敏感な部分になるのではと思うのです。

 

福田氏はさらに情報の一部が切り捉え一人歩きする怖さを指摘しています。

<例えば、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題。官庁内のメールやメモ類が流出して首相や官邸幹部の関与があったかのように批判された。官僚は政治家の発言をメモしたり、上司らにメールで報告したりする。政治家の発言した言葉と官僚のメモやメールの文面のニュアンスが異なることはあり得る。それなのに、政治家側に内容の確認も取らずに表に出され、世論は「事実」として受け止める。これでは、官僚はメモやメールにウソを書いて気に食わない政治家を抹殺できることになる。>

 

まるで愛媛県職員の記録について言っているようにも感じるのは私だけではないでしょう。その記録が、記憶だけで平気で事実をねじ曲げることを許容する政府・官僚の対応について<加計問題 柳瀬氏答弁広がる矛盾 愛媛知事、証拠示し反論>として赤裸々になったのではないでしょうか。いや、そうではない、柳瀬氏の弁解のように、勝手にメモを書いて残せば、それが正しいというのはおかしいといった、とんでもない発言を現在の政府・与党が許しているように思うのは少なくない人たちではないでしょうか。

 

また福田氏は<公用メールは全部残すべきだとの議論もおかしい。>と断言し、<もちろん、正式な報告書や議事録、決裁文書など結論が記載されたものは残さなくてはいけない。これらは発言者に内容を確認させた上で保存、公開対象にする。政治家はその結論に対して責任を持つ。それで十分だ。>というのは、いずれもプロセスをベールに包んでしまい、国民には結果だけを示せば良いといっているのに等しい、一代前の考え方ではないかと思うのです

 

むろん費用や時間をかけて、公文書管理のために過大な負担を課すことは避けるべきでしょう。他方で、AI機能を充実させ、より簡易に、記録・整理が可能ではないかと思うので、できるだけ電子情報を公文書として管理する方向で検討してもらいたいと思うのです。

 

森田さんの意見を最後に引用しておきます。

 

<米国では公用メールに管理基準を設け、公文書として保存する方向に向かっている。日本も電子的な記録に合わせた管理システムを導入する時期だろう。少なくとも「役所のどこにどんな文書があるのか」を一元的に把握できる仕組みが必要だ。そうすれば検索が可能になり、情報公開請求があるたびに書棚やファイルをひっくり返すようなことをしなくて済む。役所にとっても負担の軽減になるだろう。公文書を巡る一連の問題を公文書管理改善の好機ととらえたらいいのではないか。>

 

30分を過ぎてしまいました。今日はこの辺でおしまい、また明日。

 

 


モリ・カケに一言 <加計文書 愛媛県職員と官邸やりとり全文>などを読んで

2018-04-11 | 行政(国・地方)

180411 モリ・カケに一言 <加計文書 愛媛県職員と官邸やりとり全文>などを読んで

 

さまざまな用件が少しだけ一段落したので、ちょっと気になっていたことを書いてみようかと思います。ま、私が書くまでも内はなしですが・・・

 

その前に、今朝も田中陽希のグレート・トラバースを1時間、じっくり見ながら、初めて1時間室内ジョギングができました。最初は10分でしたが、次第に増えて、陽希さんの歩き走り登り下りを見ていて、次第に元気をもらい、15分、20分、30分と少しずつ増やしていって、ついに1時間です。ま、陽希さんの強靱な持続力には到底及ばないというか、論外の話ですが。

 

それでも南アルプス、中央アルプス、そして北アルプスへと次々と踏破する彼の姿は、美しいし、子供のような純真さと、感情豊かさを感じさせてくれます。そういえば奥穂高の登攀が最後に放映されましたが、私も45年以上前に登ったことを思い出しました。山岳部出身の友人のしごきのような(これは当時当たり前だったのですが)指導で、5月初旬、涸沢でキャンプし、穂高連峰を踏破したのです。私にとっては涸沢までの登りがきつく、参りました。たしか20kg強を担ぐのですが、そんな重いものを担いで歩いた経験がなく、これは泣きたくなりましたね。でも山岳部出身の彼は30kg強をかついでどんどん登り、涸沢につくと、すぐに雪で氷のブロックを作るとっても頼りがいがありました。

 

登攀は軽装でしたので、私にとっては高山病も経験せず、軽快でした。まったく寝袋で寝られないほどの寒さで、睡眠ゼロの状態で登攀しても平気だったのですね。若かったあの頃ですか。

 

そして1週間くらい滞在して下山後、そばがおいしかったですね。モリだったか、カケだったか忘れましたが、どっちも好きですから、あまり大きな違いがなく、忘れがたい味でした。外国で食べるモリ・カケは二度と食べる気持ちが起こらないもので、やはり日本に帰ってきて食べるモリ・カケの誠実で新鮮な味わいはなんともいえません。

 

さてそのモリ・カケは政治の世界ではいつまで続くのか、困った問題ですね。そこには誠実さや新鮮な味わいがなく、ドロドロしたものばかりが目について、ほんとは取り上げたくない話題ですが、一言。

 

佐川氏の国会答弁の日に、「トラック何千台も走った気がするという言い方をしてはどうか」と理財局職員が学園側に持ちかけたというのですから、なんともお粗末というか、ひどい話ですね。

 

これを佐川氏の答弁に合わすためといった話がありますが、どうでしょう。佐川氏の答弁は彼が自分で当日、アドリブでしたものでしょうか。そんなはずがありえないと思います。事前に答弁内容は、首相答弁とのすりあわせもあり、内閣府などとも資料を踏まえて調整して回答しているとみるのが自然でしょう。

 

だいたい、積算根拠の廃棄物量でトラック4000台ちかい搬出入があれば、さまざまな資料と手続きが必要です。通常、搬出入のルート、その道路構造が耐えられるものか(補強が必要か)、沿道の住宅への影響の可能性が問題になるので、近隣説明会の開催や協議が不可欠です。近隣のトラックが通ったかと行った話ではなく、そういった本来の手続きがとられていれば、資料が残っているはずです。その資料を確認すればすむのです。逆に言えば、いまさら口裏合わせをするといった職員のお粗末さを感じますね。無理に誰かから突然、言われて思慮分別を失ってやむなくやったとしか思えません。

 

それをやらしたのは、むろん佐川氏とは考えにくいですね。

 

加計学園問題は、今朝の毎日記事は大量の情報を提供しています。

まず、<加計文書愛媛県職員と官邸やりとり全文>では、

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11時30分》とのタイトルで、

<・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。>

<・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。>

これらいずれも、愛媛県の職員が勝手に書いた内容といえないことは明らかです。

 

<要請の内容は総理官邸から聞いており>は重い言葉ですね。

 

次の指導というか指示というか、これまた政府側でないとここまで具体的にいえないですし、愛媛県職員が仮装してねつ造することも無理でしょう。

< ・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

 ・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。>

 

そして今度は 《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15時00分》です。

 

<・本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。>と問題の<首相案件>が上がっていますし、それだけでなく、上記との連携があることまで記載されていることに真実性を否定することは容易でないと思います。

 

次の言葉は、勝手に書けるような内容ではないですね。

<・加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。>

 

非常にリアルですし、<安倍総理と同学園理事長の会食>時、下村文科大臣の注文、それへの対応への助言(これは安倍総理がした趣旨かしら?)とあまりに機微な内容ですね。

 

むろん加計学園側からの入り知恵が介入した可能性もないではないですが、そこまで愛媛県職員が備忘録に加工する必要があるとは考えにくいですね。

 

加計文書柳瀬唯夫元秘書官の否定コメント全文>では、柳瀬氏は全面否定していますが、少なくとも当日11時30分のスケジュールを明らかにすべきでしょう。むろんマル秘事項もあるでしょうが、それ相応の説明責任が必要でしょう。藤原氏はどうなんでしょうね。

 

柳瀬氏の木で鼻をくくるような、というか、それ以上に内容を明らかにしない対応は責任ある立場の内容とはいえないですね。

 

その点、中村愛媛県知事は、部下を信頼し、妥当な対応かと思います。

加計文書愛媛知事の会見要旨

 

結局、<加計文書首相答弁崩壊も 官邸疑惑深まる>と指摘されても仕方がないですね。はやく決着をつけてもらいたいものです。


森友問題と人事と責任 <森友文書改ざん 太田理財局長「佐川氏知っていたと思う」>などを読みながら

2018-03-16 | 行政(国・地方)

180316 森友問題と人事と責任 <森友文書改ざん 太田理財局長「佐川氏知っていたと思う」>などを読みながら

 

昨日のTVニュースを見ていて驚きました。前川前文科省事務次官が中学校で講演したことについて、文科省の課長補佐が教育委員会にメールを送り、天下り事件で責任を負って辞任したとか、出会い系バーの店を利用したとか指摘しつつ、そのような人物に講演を依頼した理由などを明らかにするよう要請したとのことでした。

 

一体、わが国の官僚はどうなっているのだろうと驚きました。その後文科省が問題ないといった対応を示したようですが、一課長補佐の判断で、このような要請ができるはずがなく、文科省の組織的関与、ないしは内閣官房なのか、ぴりぴりしている印象を感じます。私は課長補佐くらいの方とは霞ヶ関ではいろいろと相談したり、割合気軽に話しをうかがっていた記憶があります。もう20年ないし30年暗い前のことですが、こんなことを元トップであった前川氏にできるとは思えないのです。

 

むろん、講演を聴いた保護者の誰か、あるいはこの情報を知った誰かが、内閣あるいは文科省に抗議したため、やむなくとったのかもしれませんが、それが官僚のあり方でしょうか。教育行政に直接に泥足で踏み入れるようなもので、介入以外の何物でもないと思うのですが、それが仮に安倍政権の体質からでたのであれば、問題とする必要があるように思うのです。

 

毎日記事も<前川講師問題なぜ要請「詳細に」 文科省のメール公表>と問題にしていますが、当然です。

 

さて、いま公文書が存在したこと、それが買い換え(あるいは改ざん)されていたことで大変な事態になっている森友学園問題、どうも国会答弁した当時の理財局長であった佐川氏の問題が特別に注目されているように思えます。たとえば今朝の毎日記事<森友文書改ざん太田理財局長「佐川氏知っていたと思う」>。

 

しかし、それはこの国有地取引の経緯との関係で、適切な問題意識と言えるのか、以前から気になっていましたので、改めてウェブ上の資料を参考に考えてみたいと思います。

 

まず、国有地の取引経緯について、同じ毎日記事<森友学園国有地売却問題 文書改ざん、主な削除部分>では、文書改ざんに係わる文書の内容と作成日を指摘しつつ、国有地問題のうち、貸付処理の経緯についてのみ、H25(13年).6.28~H27(15年).4.28の間の経緯を整理しています。なぜ所有権取得の経緯を取りあげていないのか、よくわかりませんが、よくできていますので、次の資料を基本にしつつ、これも必要に応じて引用したいと思います。

 

これとは別に一般の方が作成した<森友学園問題を時系列で検証してみた>があり、コメント部分は除いて、その当初からの経緯を時系列に一覧表にしているのは便利なので、これを参考にして、検討してみたいと思います。

 

1201月(大阪音楽大学が最大7億円での購入を希望)から1606月(森友学園の買取)まで時系列でかなり要約・あるいは省略されている部分もありますが、整理されています。

 

で、なにが気になるかというと、国有地売却における特例扱いの一つ、貸付処理したときの責任は問われなくてよいかという点です。次に売買価格を含む偽装工作ともいうべき処理の責任は誰が問われるべきかという点です。

 

佐川氏は、国会答弁の内容を責任追及されていますが、たしかにそれ自体問題であるものの、異例の貸付処理と不当あるいは不法な売買処理のとき、彼はどのような立場にあったか、誰も問題にしていないように見えます。それぞれの時点で、彼がなんらかの関与をしたのかそれが気になっていました。

 

それで、今度は理財局長の人事を時系列で調べてみますと、<財務省(旧大蔵省)組織 理財局 人事>というものがあり、それによると、

2013年(平成25年)329日~2014年(平成26年)74日 林 信光

2014年(平成26年)74日~2015年(平成27年)77日  中原 広

2015年(平成27年)77日~2016年(平成28年)617日 迫田英典

2016年(平成28年)617日~2017年(平成29年)75日 佐川宣寿

 

となっています。佐川氏は理財局長になった日から3日後に国有地の売買契約が締結されていますが、レールがすでに敷かれていて、その前に売買価格の交渉を終えていたのであり、成り立ての佐川氏がちゃぶ台返しをするような状況ではないですね。

 

では佐川氏が長官就任以前から本件取引に係わっていたかというと、上記の人事一覧で彼の名前のところをクリックすると、その学歴・職歴が記載されています。13年6月から佐川氏は理財局長に就任するまで国税・関税の関係の職務に就いていて、国有財産の処理には一切係わっていないとみられます。

 

他方で、その前任者である、林氏、中原氏、迫田氏こそ、貸付処理、売却処理の実質的決定に係わっている責任者と言うべきです。

 

だからといって、かれら当時の理財局長の個々の判断によってなされたと即断することもどうかと思われます。

 

ちょっと職歴等をフォローすると、学歴のわかっている中原氏、迫田氏、佐川氏、いずれも東大卒で、前2人は法学部、佐川氏が経済学部です。中原氏が一年上、迫田氏と佐川氏が同期です。当然、両者は出世競争を激しくしたと思いますが、ある時点で迫田氏が一歩リードしたと思われるのです。それは11年に内閣官房に出向した時点ではほぼ同じなのですが、その後迫田氏は引き続き内閣官房ないし大臣官房と内閣と密接な関係あったのに対し、佐川氏は大阪国税局長など少し距離を置いています。

 

その他迫田氏の出身地が山口県で安部首相の同郷といったことでいろいろ情報があるようです。それは別にして、本件取引の特例措置は、佐川氏の判断で行われたものでなく、迫田氏ないしは前任者らが行った可能性が高いといえます。

 

佐川氏のある種、毅然とした国会答弁は、そうした安部氏の問題発言もありますが、前任者の問題処理を組織として守ろうとしたのか、そんな疑問を抱いています。いずれにしても、佐川氏一人の責任問題ではなく、財務省全体、あるいは内閣をも含んだ問題ではないかとの疑いを払拭できない状況にあると思っています。

 

こんなことでいつまで議論を続けるのかという思いもありますが、内閣府と官僚の現在の組織に大きな異常事態が起こっているとしたら、徹底的に改善してもらいたいものです。

 

今日はこのへんでおしまい。また明日。