たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

光と影 <神鋼 不正慣れ体質>などを読みながら

2017-10-12 | 企業・事業・研究などの不正 適正な支援

171012 光と影 <神鋼 不正慣れ体質>などを読みながら

 

今回の衆議院選挙、視界がはっきりしているようで判然としない落ち着かない感じを受けます。

 

それは経済状態もそんな印象をぬぐえないことと関係するかもしれません。今朝の毎日は見出しの記事で神戸製鋼の次々とでてくる検査データの不正を的確に示しているように思えます。ところがウェブ記事ではこの見出しはさすがにきつい表現だったのか見当たりません。しかし、ここ数日だけでも神鋼の不正問題が次々にでてくる記事で驚きます。

 

とりあえず今日の一部の記事<神戸製鋼所データ改ざん 過去の教訓生かせず 規範定めたばかり>はいかに神鋼が検査不正を会社全体で行っていたような実態を示しています。

 

<神戸製鋼所の製品検査データの不正問題が拡大している。端緒となったアルミ、銅製品のデータ改ざんのほか、鉄粉製品の強度などのデータ改ざんや、光ディスクの材料の試験を行う子会社のデータ不正が相次ぎ浮上、11日の市場では経営への影響を懸念し株価が大幅下落。>

 

神鋼の取り扱う製品は多くの産業の米ともいうべき必須のものです。それが安全性確保の基本である検査データの不正を持続的に行ってきたことが曝露されたのですから、各メーカーはもとより消費者はなにを信頼したらいいのでしょう。

 

しかも神鋼は同種の不正を過去にも繰り返しています。

 

<2006年 加古川製鉄所(兵庫県加古川市)と神戸製鉄所(神戸市灘区)で、大気汚染防止法の基準値を超える窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)を排出しながら、地元自治体に提出するデータを改ざん、隠蔽

  16年 グループ会社の神鋼鋼線ステンレス(大阪府泉佐野市)が、家電製品などのばねに使われるステンレス鋼線の試験値を改ざん、日本工業規格(JIS)を満たしているように偽装>

 

記事は<神戸製鋼はこれまでグループ内で法令違反などが発覚するたびに倫理綱領を定めたり、再発防止策を講じたりしてきたが、教訓は生かされなかった形だ。>

 

神鋼といっても、私の知識ではラグビーでの輝かしい活躍しか知りませんが、平尾を中心とする華麗でフェアなプレイはとても印象に残っています。その神鋼がこんなひどい不正を長く行ってきた、しかも社長はじめ経営者はまったく把握していないというのですから、これは大変な問題です。

 

そういえば日産の検査不正もつい最近まで話題を占めていました。<日産38車種116万台リコール 無資格検査問題で>安全性に問題ないと弁明していますが、たしかに検査データの改ざんといった競合メーカーと比べれば、ある種形式的なことと理解されてしまうかもしれません。

 

しかし、<社説日産で無資格検査が横行 消費者への重大な背信だ>が指摘するように、<国土交通省によると、資格のある検査員がやったと装うため、書類上では正式な立場の者の判子が押されていたという。さらに、有資格者の印影の異なる複数の判子が使用されていた形跡もあった。

 西川広人社長らの「現場の認識不足」という説明とは異なり、組織的な偽装工作の広がりをうかがわせるものだ。消費者の信頼を裏切る重大な背信行為とも言える。>

 

これは企業としてのコンプライアンスの欠如という意味では、無視できない積極的な偽装の疑いが強いのです。社説も<西川社長は記者会見で「検査そのものは確実にやっていた」と強調したうえで、「検査工程の意味が現場で十分に認識されていなかった」と釈明した。しかし、偽装工作の疑いは、不正な検査をしていることを現場が熟知したうえで、隠そうとした可能性を示している。>と問題視しています。

 

ところで、株式市況は<東証 21年ぶり高値>と高揚感が蔓延しているようにも見えます。ほんとうにそうでしょうか。上記の日本を代表する2社の例は氷山の一角に過ぎないのではないでしょうか。無理な競争で不当にコストダウンすることが企業体質として求めすぎ、そのことにより数字的には世界トップの売り上げを獲得したり、業績アップにつながるかもしれませんが、適正な生産工程、企業意思決定の適正手続きが担保されていないと、それは張り子の虎になりかねません。

 

私は別の記事に経済の本質を感じます。<企業業績、広く改善 「官製相場」冷めた声も>では前向きにとらえた内容もあります。

 

<2012年12月の第2次安倍政権発足後、日銀の大規模金融緩和などが導き寄せた円安を追い風に、日経平均株価は15年6月、00年ごろのIT(情報技術)バブル時を超える水準を記録した。今回は更に高値を更新し、一気に山一証券などが破綻した1997年の金融危機を迎える前の水準を回復。「足元で中国をはじめとする新興国経済の安定感が増している」(大和証券グループ本社の中田誠司社長)ことなどを根拠に、更なる株高に期待する向きもある。>

 

他方で、<今回の株高は巨大な公的マネーが支えている側面もある。日銀は16年7月に大規模金融緩和の一環として上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年6兆円に倍増すると発表。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株の運用比率を大幅に高めていることも、株価の押し上げにつながっている。市場では「日銀が支える官製相場で、実力を反映しているとは言えない」(債券アナリスト)と冷めた声も上がる。>

 

そしてなによりも、私はいまわずかに露呈された不正問題は、地下深くの地殻の中で、なにか問題が噴出しつつあるおそれさえ感じます。不正は染まると抜けがたく、また不正競争すら起こりえるわけで、社会全体がそうならないか、モリカケ問題の蔭には隠れた不正の温床が広がっていることを心配します。

 

今日はこの辺でおしまい。

 


灌漑施設の現代的意義 <小田井用水路 世界かんがい遺産 県内初・・>などを読んで

2017-10-12 | 大畑才蔵

171012 灌漑施設の現代的意義 <小田井用水路 世界かんがい遺産 県内初・・>などを読んで

 

昨日、<大畑才蔵ネットワーク和歌山>のメールで、世界かんがい施設遺産に登録されたとの一報が舞い込んできました。以前から登録が確実されていたのですが、安堵した気分です。

 

今朝の毎日和歌山版で見出しのように大きく取り上げられていました。残念ながら和歌山版なので、ウェブ情報にはまだ掲載されていません。

 

8月の記事ですが、概要がわかるので<小田井用水路世界かんがい施設遺産に 江戸時代に整備、紀の川右岸の農地潤す 10月認定見通し /和歌山>をご覧ください。

 

むろんネットワークの記事も参照ください。今月21日(土)、大畑才蔵が開設した、その小田井用水と藤崎井を辿る<歴史ウォーク>第2弾があり、その際、世界かんがい施設遺産登録の話も話題になるかと思います。

 

また農水省の昨日アップの<世界かんがい施設遺産>には次の通り記載されています。

 

<平成291010日(火曜日)にメキシコ、メキシコシティーで開催された第68回国際執行理事会において、下記の施設が世界かんがい施設遺産に登録されました。>

 

1.   土淵堰(どえんぜき)(青森県弘前市、つがる市、藤崎町、板柳町、鶴田町)(外部リンク)

2.   那須疏水(なすそすい)(栃木県那須塩原市)(外部リンク)

3.   松原用水・牟呂用水(まつばらようすい・むろようすい)(愛知県豊橋市、豊川市、新城市)(外部リンク)

4.   小田井用水路(おだいようすいろ)(和歌山県橋本市、かつらぎ町、紀の川市、岩出市)(外部リンク)

 

小田井も最後に掲載されています。一国で最大4カ所を申請できるのですが、わが国が瑞穂の国ですから、当然かもしれませんが、最も多い登録数ですね。

 

ところで<国際かんがい排水委員会(ICID)>のホームページを覗いたのですが、過去のものは掲載されていますが、今回の登録決定についてはアップされていないようです。ザッと見たので正確ではないですが。

 

世界かんがい施設遺産の背景や目的、クライテリアなどの概要は<Scheme for Recognition of Heritage Irrigation Structures (HIS)>で記載されていますので、詳しく知りたい方はどうぞ。ユネスコの世界遺産にならってといったところでしょうか。

 

その現代的な意義という公的な意味はその目的に掲げられているのが参考となるでしょう。

 

勝手な試訳ですが、参考に書いてみますと以下のとおりです。

    世界の文明化に占めるかんがい事業の歴史を辿り、その発展を理解すること 

    世界中の歴史的かんがい構造に関する情報を集約し、偉大な業績を理解し、長期的な事業に資する持続性をもつ特徴のある要素の知見を収集すること

    これらの構成から永続可能なかんがい事業に関してその哲学および知恵を学ぶこと

    歴史的価値のあるかんがい構造を保護し保存すること

 

この話題はこの程度にします。もしチャンスがあったら、今月21日にお会いしましょう。