たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

原発テロ対策とは <検証 原発テロ対策、一転厳格 規制委、施設設置延期せず>などを読みながら

2019-04-25 | 原子力・エネルギー・地球環境

190425 原発テロ対策とは <検証 原発テロ対策、一転厳格 規制委、施設設置延期せず>などを読みながら

 

以前、歩く道のブログで、歩いているとき空き家が目立つことを改めて気づいたことにふれたことがあります。そのとき歩いている道は広いところで幅3mくらい、狭いところで人がやっと通れる幅60㎝未満といったところでした。歩くには雰囲気のあるいい感じに思えるところが割とあったかなと思うのです。

 

でも道路が私道であったり、そうでなくても認定道路でなかったり、あるいは建築基準法の2項道路の要件を満たさないといったことで、接道条件を欠いているところがほとんどであったかな思うのです。戦前とか戦後初期に建てられたものであれば理解できるのですが、バブル前後まで、そういう建て方がされているのもありますね。銀行も無審査状態に近い状況があったかもしれません。それが時折、現代でも見受けられるのでニュースを見て驚きます。

 

空き家に関してはいろいろな背景・理由があると思いますが、やはりきちんとしたまちづくりの基本思想が現場で活かされてこなかったことが底流にあるように思うのです。

 

さて花言葉に移ります。今日はサマーナイトドリーム『サチ』という真っ白の花です。なんという名付けかと思うのですが、まあ、商売ですから、私のように名前を見ないで買う人は別にして、ネーミングで売れ行きが変わることもあるのでしょう。

 

花言葉を探しても見つからず、このブログでは<花言葉は「まごころ・思いやり」>ということです。品種はよく見るデンドロディュームだそうです。まあ、見た目が色合いといい、形といい、すっきりしているので、この花言葉も悪くないと思っています。

 

その花言葉とは全然関係のない、今朝の毎日記事<検証原発テロ対策、一転厳格 規制委、施設設置延期せず>を取り上げようか迷いつつ、結局、これを本日のお題にしました。

 

だいたい原発テロ対策って何という、そもそも出発点から判然としない思いを抱き、今回の<施設設置再延長を認めず>から原発稼働の停止の経過も、なんとも不思議な流れを感じてしまったのです。

 

ただ、電力会社は別にして、地元は安全優先ということで、規制委の対応を評価しているようですね。毎日の別の記事<原発規制委方針 伊方3号機、2年後停止の可能性 四電に衝撃 知事「安全最優先」と理解 /愛媛>。

 

さて、原発テロ対策とは何かについては、規制委が定めている要件は次のようです。

<航空機の衝突で制御室や建屋内の注水施設などが破壊されても炉心溶融(メルトダウン)を遠隔操作で防げることが重要だとして、例えば原子炉建屋から100メートル以上離れた場所への設置などを要求。緊急時制御室▽冷却用の注水設備▽電源>などとのこと。

 

原発テロのリスクで想定されているのが、<2001年の米同時多発テロ>を契機にしていることからでしょうか、<航空機の衝突>が最も重大な脅威のように思えます。これで大丈夫と思いたくなります。わが国の原発にとってもっと可能性があり、最も脅威となるのは北朝鮮の核ミサイル、あるいは他のミサイル攻撃ではないでしょうか。まあ、北朝鮮と名指しすると、テロとは違うという人もいるかもしれません?他方で、核ミサイル自体はテロ攻撃を標榜しているさまざまな組織が狙っていますね。そこまでいかなくても同等もしくは航空機テロが最大の脅威と限定するのはどうかと思うのです。

 

現状で対策が可能な方法ということで、この脅威を想定しているのでしょうか。それが実現可能な措置・対応としては自然かもしれませんが、万全かと言われると疑念は残ります。

 

そのことは置いておいても、<原子炉建屋から100メートル以上離れた場所>という離隔距離の基準はどこから生まれたのでしょう。たしかに航空機の衝突であれば、国際貿易センタービルの崩壊のときも、100m以内に崩壊による重大な影響がほぼ収まったのでしたか。多くは衝突されたビル自体で衝撃を受け止め、ビル構造物が破壊して遠くへ飛散することがないということかもしれません。これまた航空機衝突のみを想定していますね。航空機内に爆発物を持ち込むことは現在のセキュリティーシステム上ありえないから、航空機衝突に関してはそうかもしれません。

 

たとえば、戦闘機のハイジャックはありえないのでしょうかね。ソ連崩壊時に核ミサイルが相当数行方がわからないという見方もありましたか。そういったミサイルを利用して攻撃するテロの可能性もなかなか消しがたいかもしれません。平和国家で他宗教・多民族に寛容なわが国にテロ攻撃は考えられないといった見方は通用しないでしょうね。

 

規制委が定めたテロ対策施設の要件が妥当かどうかはそのくらいにして、設置期限を一旦5年延期し、再び延期を、現在稼働している原発を抱えている電力全社が要請したのは一体どういうことでしょうか。赤信号みんなで渡れば怖くないではないありませんが、該当する全社がすべての稼働原発について、設置期限を守れず、危険な状態にさらすことをあえて規制委に要請したこと自体、安全軽視と見られても仕方がないと思うのです。

 

稼働原発10基のうち、設置遅延の見通しがたっていない2基を除き、8基は1年から2.5年の延期の見通しと言うことのようです。むろんこれら8基は施設設計自体は承認されているのでしょう。その工事完了が遅れたということのようですが、遅延期限が明確な8基のうち6基が1年と横並びとなっているのは、奇妙な偶然でしょうか。

 

100m以上の離隔距離をもって電源などの緊急時対応施設を設置することになっていますが、原発自体の立地条件はそれぞれ異なっていますし、100m以上離れるだけでなく、緊急時に有効に作動するような地理・地形的条件も必要でしょうし、地盤の安定も求められるでしょう。一体何が遅れの原因かは分かりませんが、このように一様に1年というのはいかがなものか、さらに遅れる見通しがでそうと勘ぐってもおかしくないかもしれません。

 

それにしてもこのことで、このままだと、運転停止は避けられない状況で、そうなると脱炭素社会を目指すわが国としても、火力発電にその間依拠することはコストの面だけでなく、地球温暖化対策の遅れが顕著となることになりそうです。

 

そもそもこういったテロ対策施設に巨額の費用をかけないといけない、しかもそれで十分かと疑問が残る中で、その設置が遅れ、そのために費用支出が増大するわけですから、原発政策の今後について、改めて見直すいい機会ではないかと思うのです。

 

テロ対策により有効な措置は原発を極力動かさないことでしょう。その特定施設建設費用を再エネの普及、送配電網やシステム構築に回すことの方が望ましいのではと思うのです。

 

施設設置の延長ができない以上、原発稼働を一旦停止し、施設設置後再び稼働するといったリスクとコストのかかることは明らかです。しかも施設ができてもテロ対策として十分とは言えないわけです。原子力政策見直しのいい機会でしょう。

 

今日はこれにておしまい。また明日。

 

 


day after tomorrowはいつ? <米国 中西部、氷点下41度><山火事で電力会社が破産申請>を読みながら

2019-02-01 | 原子力・エネルギー・地球環境

190201 day after tomorrowはいつ? <米国 中西部、氷点下41度><山火事で電力会社が破産申請>を読みながら

 

いまアメリカ中西部は驚異的な南極化現象に脅かされているようです。たしかトランプ大統領はこういった状況を踏まえて、勝手な解釈で地球温暖化なんてどこにあるの、とパリ協定から離脱したことの自己流弁解をしていたようです。他方で、カリフォルニア州で発生した大規模山火事については州政府とかの人為的なミス、責任といった発言があったように記憶しています。

 

昨夕の毎日記事は改めて興味深い記事を二つ並べて掲載していました。一つは記録的寒波で、<米国中西部、氷点下41度 南極超えの寒さ>という記事です。もう一つは地球温暖化影響による初の破産申請というもので、<山火事で電力会社が破産申請 米メディア「地球温暖化で初」>です。こういった異常気象は、地峡温暖化の影響で、気温上昇による減少も、他方で極端な気温低下も起こることが以前から指摘されてきたかと思いますが、私自身、勉強していないので、ありうるかなと思う程度です。

 

まず、寒波の記事では、<米中西部は30日、記録的な寒波に襲われ、ミネソタ州パークラピッズで氷点下41度に達するなど各地で数十年ぶりの寒さを記録した。南極点近くのアムンゼン・スコット基地(氷点下31・7度)の気温を下回った場所も多く、強風により複数の地点で体感温度が氷点下50度前後に達した。>これは凄いですね。私自身、北極圏の旅を何度かしましたが、氷点下30度台くらいでしたか、それでも厳しかったです。強風だとときに10度くらい下がることもありますからより深刻です。

 

実際、死者も出ていますね。<ミシガン、ウィスコンシン両州では29日以降、計3人が凍死とみられる状態で見つかった。>むろん公共交通機関への影響も甚大でしょう。

 

こういうとき避難弱者の一つについても取り上げられています。<各地ではホームレスらに提供する臨時の避難所として市役所や警察署、教会のほか、看護師が乗ったバスなどが開放された。>それ以外については紙面がなかったのでしょうね。

 

他方で、乾燥化による巨大山火事については<【ロサンゼルス長野宏美】米カリフォルニア州で起きた山火事で経営が悪化した同州の電力大手PGE29日、日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を裁判所に申請した。>と報じられています。

 

山火事と電力大手の破産とは何の関係もなさそうですが、記事ではそれらしい言及があります。

今回の山火事以前、<2017年に44人が死亡した複数の山火事も含め、同社に原因があるとして住民らが多くの訴訟を起こしている。賠償などで、少なくとも負債は300億ドル(約33000億円)を超える可能性があるという。>山火事の賠償?で3.3兆円の負債はちょっと考えられませんね。記事は詳細を明らかにしていません。今回の山火事に関連して、<州北部で昨年11月、大規模な山火事が起き、80人以上が死亡した。出火前に送電線の設備不良があり、山火事との関連で調査が続いている。>という含みのあるないようですが、これだけでは破産原因との関係がますます不明です。

 

<同州では近年、山火事が頻繁に起き、被害が拡大している。背景には地球温暖化による気温上昇や乾燥があると指摘されて>いる点は、ある程度理解できますね。でも山火事の原因が何か、そして発電会社がなぜ巨額負債を負ったのかが不明の中で、<米メディアは「地球温暖化の影響による初の破産申請」などと報じている。>というと、トランプ流フェイクニュースの一種と見られるおそれもありますね。

 

ところで、これらの記事を見て、思い出したのが映画<『デイ・アフター・トゥモロー』(原題:The Day After Tomorrow)>です。ウィキペディアにより、そのストーリーを引用しましょう。<地球温暖化により、南極大陸の棚氷が融け始めた。棚氷の調査中にその光景を見た気象学者のジャック・ホールは、温暖化によって極地などの氷が融解して真水が海へと供給されることで海水の塩分濃度の変化が起こるなどした結果、海流の急変が発生し、これが将来的に氷河期を引き起こす可能性を考え、危機を訴えたが、実感のなさから、ベッカー副大統領などには相手にされなかった。>

 

ところが、世界各地で冷却異常現象が起こり、氷河期が地球時間ではなく、映画時間で?たしかわずか数日のうちに転変するのです。ウィキペディア情報では、この映画2004年公開時日本をはじめ全世界で大変な人気を博したようですが、私は知りませんでした。まあ当時も今も映画館で見ることがないので、新作映画に関心がなかっただけですけど。

 

この映画では親子のすれ違いと愛情の強さとか、子の恋愛感情や災害時の機転とか、いろいろ感じるものがありましたが、DVDをわが子に見せてもあまり関心を示してくれなかったようで、少し残念な思いでした。それにしても地球温暖化についていろいろ対立する議論があった2000年代初期、<今後十年単位で平均気温が4度低下する恐れがあるとの科学者の見解>をも踏まえたものだったのでしょうか、こういった大氷河期に襲われるという企画の映画が生まれるのはさすがアメリカといえるかもしれません。

 

映画をごらんになっていない方は、その驚異的な地球の凍結化について理論的な面も含め画像でビジュアルにシミュレーションしてもらうと、時間軸はともかく、一つの理解となるのではと思うのです。

 

で、再び記事に戻ります。


電源をどうする <再生エネ・主力電源への難路 /番外編 二人の専門家の提言>を読みながら

2018-12-25 | 原子力・エネルギー・地球環境

181225 電源をどうする <再生エネ・主力電源への難路 /番外編 二人の専門家の提言>を読みながら

 

昨夜の満月(欠けていましたが)、オレンジ色に大きく輝き、とてもすてきでした。ちょうど地平線の上方10度くらい?の低い位置でしたか、とても大きかったですね。こんなすばらしい月を見て一句ひねろうかと思っても、それは無理でした。

 

すがすがしい夜の闇は朝方とても澄んだ空気をもたらしてくれたように思います。野鳥もいつものように楽しそうに飛び交い声高に鳴いています。でも地面を見ると霜が降り、冷え冷えとしています。凍結した柿畑の枝条や下草も朝日に映えて美しいものです。

 

そんな自然の移ろいとは関係なく、昨日のNY市場が大幅下落した影響をまともに受けた東京市場は1000円安と、一気に2万円の大台を突き抜けました。安倍政権はいつものように日本経済のその指標全般がよろしいとのことで、一喜一憂しない姿勢を示しています。

 

私自身、以前にも書きましたが、この間の株式高騰はアメリカ市況の影響が主流で、経済指標も当てにならないと思っています。そのアメリカ自体怪しい不動産・株式バブルの中にあるとしかいえないように映りますから、こういった状況は当然と思っていました。いや、こんなものではすまないとさえ思っています。私が保有しているわずかな株式も風前の灯火ですが、そんなことは関係なく、適切な経済政策をとらないでいる各国政府の問題かと思っています。

 

さて素人の株式の話はこの程度で十分ですね。今日も話題を見つけがたく、つい毎日朝刊記事<再生エネ・主力電源への難路/番外編 東京大学特任教授・荻本和彦氏、環境エネルギー政策研究所所長・飯田哲也氏に聞く>の紹介で、短時間に終わらせようかと思います。

 

この連載記事<<再生エネ・主力電源への難路>は<今秋の北海道地震時に発生した大規模停電(ブラックアウト)などを機に、日本のエネルギー政策のあり方が問われている。>ことを受けて特集されていました。そして今回はその番外編として、<専門家2人による日本のエネルギー戦略に対する大胆な政策提言を紹介する。【聞き手・袴田貴行】>というものです。

 

荻本和彦氏は消費者の立場に、飯田哲也氏は供給サイドの立場に重点を置き、それぞれ議論しています。むろん、両氏とも総合的な対策を十分検討されているわけですが、紙面の関係でそこに重点を置いた意見を述べたのでしょう。

 

<二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料を使わない「脱炭素化」の世界的な流れが強まっている。>ということは前提にしつつも、何がより効果的な手法かということを荻本氏は、EVを例にとって指摘しています。

 

EVといえば環境にやさしいと一般に思われている節があります。しかし、<電気自動車(EV)も化石燃料で発電した電気で動かせば、結果的にガソリン車とCO2排出量は大きく変わらない。>というのはライフサイクルを考えたとき、現段階では容易に想定できることでしょうね。

 

そして上記の脱炭素化の目標に向かう手法として、供給サイドより、<私はEV普及をはじめ社会全体の電化推進という需要側の取り組みを先行した方がいいと考える。>というのです。

 

そして蓄電技術の革新・普及を狙うのです。<EV普及など社会の電化が進めば、蓄電池の技術革新が進んで、再生エネ活用の余地も広がる。電源構成に占める比率もおのずと上昇し、地球はどんどんクリーンになる。>

 

直ちに石炭火力の発電設備の廃止(新設は?)するのではなく、現実策として、消費サイドでの蓄電活用を勧めるのです。

 

<家庭用蓄電池の代わりになるEVは、災害時には非常用電源として使える。災害でブラックアウトが起きても、家庭は節電しながらEVの電池から電気を引くことで、数日間は生活をしのげる。>

 

そして現在風当たりの強い火力発電擁護論に言及し、<石炭火力発電などの設備は慌てて廃止せず、天然ガス高騰などに備えて、(再生エネが主力電源化される)ぎりぎりまで温存するのが賢明ではないか。>と指摘します。

 

なるほどと思いつつ、投資の優先順位だけでなく、どの程度にするか、廃止は少し遅らすとしても、新設はダメでよいのかは、この論からははっきりしません。それとどの程度消費サイドにこの意見が受け入れられるかも気になるところです。EVの普及はわが国ではまだまだですね。政府の推進策もいまいち効果的とは思えません。このあたり蓄電池開発も含めどの具体策を講じるかそこがポイントのように思うのですが、これはどこかで述べられているのでしょうね。

 

他方で、飯田氏は、<集中型電源の危うさ>を指摘し、<分散型の電源配置をしていれば、どこか1カ所がダメージを受けても全域で電気が使えなくなるような事態は起きない。>と結論し、その手法のありようについて議論を展開しています。

 

それはデンマークが先進例というのです。<地域熱供給システム>です。これは大都市でも<住宅などを含む全ての建物に対するカバー率は約6割に達する。温水が導管を通じて各家庭などに送られ、バルブをひねれば暖房や給湯ができる。建物ごとに灯油やガス、電気など別々の燃料でストーブや給湯器、エアコンなどを使う日本などに比べて、エネルギーの利用効率が高い。>

 

こういった地域熱供給システムは、別にデンマークだけでなく、ヨーロッパでは割合普及していると思いますが、大都市となるとデンマークが先進的でしょうか?カナダでも相当な都市で普及していたように思うのですが、そこはしっかりしたデータが手元にないので、・・です。

 

ともかく飯田氏が指摘するように、<地域熱供給システムを支えるのは、デンマーク全体で約1000カ所に分散されたコージェネレーション(熱電併給)だ。コージェネは、総発電量の約4割を占める風力発電の出力制御にも力を発揮している。政府はコージェネの燃料を天然ガスからバイオマスや太陽熱などの再生エネに移行し、電気、熱利用とも二酸化炭素(CO2)を排出しない環境に変えていく方針だ。>

 

これまでの住宅政策、住宅関連企業、電力・ガス会社などのあり方が一変する内容ですので、考え方に共感できても、いかにその方向に制度のパラダイムシフトをするかの道筋を示さないと、絵に描いた餅になりかねません。おそらく飯田氏は相当具体的な策をすでにお持ちだと思いますが、一度勉強したいものです。

 

<デンマークを参考に北海道で再生エネと分散型電源、地域熱供給を組み合わせた電力と熱のネットワークを構築してみてはどうか。政府が再生エネの主力電源化を本気で目指すなら、それくらいの大胆なトータルデザインが必要だ。>というグランドデザインは期待大ですが、これまた消費者・一人ひとりがついて行けるかも大きな課題でしょう。

 

と簡単に30分で切り上げることにしました。

 

今日はこれにておしまい。また明日。


太陽光発電と環境保全 <橋本市の太陽光発電条例成立、来月施行へ>などを読みながら

2018-12-18 | 原子力・エネルギー・地球環境

181218 太陽光発電と環境保全 <橋本市の太陽光発電条例成立、来月施行へ>などを読みながら

 

週末は時折、山間部を一時間くらいドライブすることがあります。また和歌山にもたまに車で出かけます。そんなとき普段は山岳景観や河川景観を楽しむのですが、違和感を感じるものが少し増えてきたと思っていました。太陽光発電設備です。といっても大がかりなのは滅多に見たことがないので、小規模なものがほとんどです。たいていはあっという間に通り過ごしますので、さほどの感慨もわきませんが、日常的に接している近所の人だと違うかもしれません。

 

昨日の毎日ウェブ記事<和歌る?紀になる!橋本市の太陽光発電条例成立、来月施行へ 住民説明と届け出義務化 /和歌山>で、橋本市にも新条例ができ来月から施行される見込みとのことです。

 

新条例の背景や今後の動向について、<発電設備の普及に伴って周辺の生活環境や景観への影響、災害発生が懸念されることから、一定規模の設備の設置について事業者に近隣住民への説明や市への届け出を義務付けた。条例化による今後の設置動向が注目される。【松野和生】>とのこと。

 

橋本市条例<橋本市太陽光発電設備設置条例は、和歌山県条例でカバーされない小規模なものを対象としています。<今年6月に施行された太陽光発電設備の設置に関する県条例は発電出力50キロワット以上が対象で、市条例は50キロワット未満。>

 

和歌山県条例<和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例>だと、事業計画の認定制度となっていて、認定基準を定めているなど規制的手法に近い内容となっています。これに対し、橋本市条例<橋本市太陽光発電設備設置条例>だと、届出制ですので、行政指導手法でしょうか。といいながら、県の認定基準も、基本的に森林法や宅造法などの規制を根拠としており、まあそれ以上に特別な規制をかけるということではないように思えます。

 

それでも手続として、県条例では、自治体との協議、関係自治会への説明、事業計画の公表、その上で県へ認定申請して一連の手続を経て、県が認定か不認定かを決定し、認定されて初めて工事着手できるということで、事業者にとっては相当手続負担が大きくなるでしょう。

 

よく問題になる一つとして、32項で、事業廃止後の廃棄物処理の適正さの確保について、県条例では事業計画の中に次の事項を定めることとされています。

<太陽光発電事業の廃止の方法に関し次に掲げる事項

ア 廃止予定日

イ 太陽光発電設備の解体及び撤去に関する工事の内容

ウ イの工事に伴い生じる廃棄物の処理方法

エ 太陽光発電設備の撤去後の土地の整備方針

オ イの工事、ウの処理及びエの整備に要する費用の見積り

カ オの費用を確保するために講ずる措置>

 

むろん元の環境の改変自体がどのような影響を及ぼすかが重要ですが、環境アセスメントの義務づけまでは求めてなく、簡易な環境調査を求める程度で終わっているようです。その内容に問題があったときにどう対応するのか気になるところです。私の記憶ではカナダの環境アセスメント制度では、すべての環境影響行為について簡易なアセス報告をさせ、問題があれば本来的な環境アセスメント手続に入るといった、2段階制に近かったように思うのですが、わが国では環境アセスメント制度も十分なものとはいえない中、それすら実施されない事業がほとんどですね。

 

ところで、記事では住民の懸念を取り上げて、<市内では南向きで日照条件の良い急斜面の高台で立木が多数伐採された例がある。近くには発電パネルが一部設置され、拡張の意図がうかがえる。住民によると今年6月中ごろに突然作業が始まり、伐採した木も搬出された。立木は住宅地を囲む形で強風を防ぐ役割も果たしており、台風の際は周辺の住宅に屋根瓦が飛ぶなどの被害が発生した。現在、工事は行われていないが、住民の一人は「山肌が崩れ落ちる恐れもある。パネルが完成すれば強風で飛ばされないか」と懸念する。>

 

しかし、このような住民の懸念に対し、現行法はもちろん、県条例、橋本市条例も適切に対応できる内容となっていません。伐採規制も森林法の規制対象地でしかも規制対象行為で初めて可能になりますから、条例でなんらかの規制を加えると、それこそ法令違反とか、財産権侵害と言った批判に晒されますから、自治体行政の法令担当者は二の足を踏みます。

 

むろん災害発生のおそれが認められれば、県条例で認定に当たって厳しい対応ができる可能性がありますが、現行の森林法や宅造法などの土地利用規制基準以上に、新たな規制となるような指導、勧告も難しいでしょうね。

 

条例によって、必要性と合理性があれば、法律にない規制が可能という立場に立てば別ですが、厚い壁ですね。それでも各地の自治体は地域の特殊性や法律の隙間をついて、頑張ってきたと思います。和歌山県、橋本市にもそういう運用を期待したいところです。

 

他方で、太陽光発電の普及は再生エネルギー普及の重要な柱ですので、さらなる促進を期待したいところです。しかし、これまであまりに無軌道に計画され、開発されてきた面も否定できないところですので、このような自治体行政の動きに的確に対応してもらいたいものです。

 

ところで、自治体の太陽光発電対応を見ていたら、和歌山市の<太陽光発電設備等の設置に関する景観ガイドライン>というのがありました。しかも和歌山市は市全域が景観計画区域になっていて、太陽光発電設備については、<高さ13mを超える場合又は築造面積が1,000㎡を超える>ものが届出対象となっています。

 

<景観形成基準>は基準としては抽象的すぎますが、図で明示されている内容だと、これは具体的で、配置では北斜面がダメとか、地域の景観資源に近接してはダメとか、形態意匠・色彩も低反射性のものとか、緑化など、相当使えるものかと思います。英国やドイツなど西欧の具体的な景観基準に少し近づいた印象ですし、わが国の環境アセスメントの景観アセスメント指針を彷彿させる内容で、この基準は是非普及してもらいたいと思うのです。

 

太陽光パネルの規模が合計面積で10ha以上(景観重点地区だと1ha以上)だと、さらに配置規模など厳しくなっています。

 

橋本市議会は<太陽光発電事業の規制に関する意見書>を衆参両院議長、内閣総理大臣、経済産業大臣に提出していますが、これは橋本市だけでなく、少なくない市町村や都道府県(東京都は?)が賛同しているのではないかと思われます。

なお、<地方公共団体の太陽光発電施設に係る対応状況環境省>では、各自治体のおおまかな動きがわかります。


 

こういった姿勢で新たな太陽光発電事業、既存の事業に対処してもらいたいものです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。

 


電力管理 <大規模停電、水力も影響 第三者委中間報告>を読みながら

2018-10-24 | 原子力・エネルギー・地球環境

181024 電力管理 <大規模停電、水力も影響 第三者委中間報告>を読みながら

 

最近は朝6時になろうとしていても、薄暗い感じです。急に晩秋になったかと勘違いするほどです。それでも小庭の花たちはいろいろな色彩で賑やかに咲き誇っています。

 

今年はすでに10月も残り少ない日を数えるばかりとなりました。まだなにが起こるかわかりませんが、今年の自然災害は各地で大きな被災を発生させました。このブログではあまり触れてなかったように記憶していますが、北海道地震に伴う大規模停電を今日は取り上げようかと思います。

 

毎日朝刊<クローズアップ2018大規模停電、水力も影響 第三者委中間報告>では、<北海道地震に伴う大規模停電(ブラックアウト)を検証する第三者委員会(委員長=横山明彦東京大学大学院教授)は23日、発生原因や再発防止策をまとめた中間報告案を了承した。>として、その内容について掲載しています。

 

第三者委の事故原因に関する説明は<ブラックアウトは主力の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(全3基、出力計165万キロワット)の停止だけでなく、水力発電所の停止など複合的な要因で発生したと分析。>となっています。

 

他方で、<「北電のミスない」>と結論しています。

 

そして<再発防止策として、強制的に停電させる上限量の積み増しなどを提言したものの、中長期的な課題は残ったままだ。【袴田貴行、和田憲二】>

 

この第三者委の位置づけが変わっていますね。

<第三者委は経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」に設置された。>この認可団体が委員を選任し、その報告を受けることになっているのでしょうか。北電でなく認可団体が設置主体となっているところが興味深いです。

 

地震発生からブラックアウトに至る経過は次の通りです。

    午前37分 地震発生 同時に、苫東厚真の2、4号機が運転停止

    830秒ころ 本州からの電力融通拡大、強制停電(1回目)124万㎾

    同      送電線の損傷で水力発電が送電不能、運転停止 43万㎾

    21分過ぎ   苫東厚真の1号機の出力が低下

    22分過ぎ   強制停電(2回目)16万㎾

    25分ころ   苫東厚真の1号機が運転停止

    25分過ぎ  強制停電(3回目)6万㎾ ブラックアウト

 

といった経過を辿ったようです。ブラックアウトの要因について、<横山委員長は「水力発電の停止がなければ、ブラックアウトには至らなかった可能性が高い」と指摘した。>というのですが、なぜ水力発電だけ取り上げるのか、素人にはよくわかりません。北電の電源構成によれば(17年度ですので原発が含まれていません)、水力は4%にすぎないですし、京極水力は43でなく40㎾となっています。委員長の趣旨は、他の電源がアウトになっても、水力発電がきちんと働いていたら、大丈夫だったという趣旨でしょうか。石炭火力と石油火力を合わせると75%を占めていたのですが、地震当時どうなっていたのでしょう。

 

苫東厚真の火力発電は3基合計で165㎾ですが、他の再エネ(19)とかには触れていません。なんとなく釈然としないものが残ります。

 

人為的ミスはないとの結論につき委員長はこれを比定し、<電力供給で苫東厚真に過度に依存していたとの指摘もあったが、中間報告は北電の電力供給体制や設備の運用で不適切な点はなく、ブラックアウト前後の対応で人為的ミスなどもなかったとした。>

 

報告書の中では私の疑問程度はしっかり抑えてすべての電源への考察の上、そのような結論に至ったのかと思うのです。<ブラックアウト前後の対応で人為的ミス>がなかったという点も、まず想定されていたかどうか、操作マニュアルがあったかどうかをふまえ、当時の操作内容をつぶさに検討してこのような結論に至ったのだと思うのですが、より丁寧な口頭説明を求めたいと思うのです。紙面の関係で省略しているのであれば仕方ありませんが。

 

やはり気になるのは、負荷遮断の方法ですね。

<委員会では、負荷遮断を巡り、きめ細かい対応を求める意見が出た。岩船由美子東大生産技術研究所特任教授は「非常時に完全に停電するのではなく、(対象外とする施設などを決めて)一部の通電を残すなど、停電によるダメージを抑制する取り組みも重要だ」と対応を求めた。>

 

今回、苫東厚真の出力合計165万㎾のうち、最初124万㎾、次に16万㎾、最後に6万㎾と合計146万㎾を強制停電させる「負荷遮断」をしていますが、それが委員会で討議されたようです。私にはこれだけの議論ではなんとも判断がつきません。

 

私がこの問題を取り上げたのは<地域間融通、高コスト>という指摘が気になったからです。

 

ここでは再発防止策として、地域間融通の拡大(すでに来年3月から現在の60万㎾に新たに30万㎾が増える予定)が取りざたされています。

 

しかしそれでは問題の根本的解決にはほど遠い量というわけです。<焦点は、緊急時に供給エリアを越えて送電する連系線の増強だ。特に北海道と本州は現在の60万キロワット(北本連系線)から増強し、来年3月に容量が計90万キロワットに増えるが、ピーク時で500万キロワットを超える道内電力需要の2割弱の規模しかない。>

 

<本州-九州間の連系線は九州の電力需要の4割弱に達しており、北海道-本州間の弱さが目立つ。>道知事が世耕弘成経産相に増強を要請し、応じているようですが、現実は厳しいようです。

 

それは費用の問題のようです。

<連系線の増強には関連設備も含めて「一般的に10年以上の時間と数百億円では収まらない費用がかかる」(電力広域的運営推進機関)といい、最終的には電気代に跳ね返る。>

 

これに驚きました。数百億円で尻込みしているのですね。いったい原発再稼働にどのくらいかけているのでしょう。桁違いでしょう。

 

連係線の増強拡大、さらに大都市圏への送電網が拡充できれば、北海道のように再エネの潜在力が大きいところではもっと増大するのではないでしょうか。

ところが現実は潜在能力を発揮できるインフラを欠いています。

<北海道には太陽光や風力など再生可能エネルギーの適地が多く、今後も導入拡大が見込まれる。そこに停止中の泊原発が再稼働すれば、大量の再エネ電力が余って管内で消費しきれなくなる。需給バランスが崩れ、太陽光発電の事業者に供給停止を求めたりしている九州電力と同様の事態になりかねない。再エネの大量導入には、電力需要の大きい大都市につながる送電網の拡充が必要だが、「今の送電網は再エネの余剰電力を送る発想で整備されていない」(大手電力幹部)のが現実だ。>

 

最後の研究者の指摘を紹介しておきます。

<電力業界に詳しい東京理科大の橘川武郎教授は「東日本大震災の教訓は、大型発電所への依存を見直して電源を分散させることだったが、電力会社の多くが古い発想から抜けきれていない」と指摘する。長年にわたる地域独占の経営で、原発を含む自社の大型発電所に経営資源を集中し、再エネを軽視してきたツケが回っている。>

 

今日はこれでおしまい。また明日。