たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

将来のリスク <大阪・城東区役所 撤去求め提訴へ 土地一部所有者「賃料、勝手に倍に」・・・>を読んで

2017-10-09 | リスクと対応の多様性

171009 将来のリスク <大阪・城東区役所撤去求め提訴へ 土地一部所有者「賃料、勝手に倍に」・・・>を読んで

 

森友・加計事件がうやむやのまま国会冒頭解散、選挙ということで、いまだ批判の声は上がっているものの、総選挙の争点全体からすると問題がベールに包まれてきたように思われます。

 

今日は体育の日でしたか、高野三山をもう一度と思いつつ、まだ体力が十分でないので、散歩気分で上れると近くの三石山を登りました。とんでもない、登りにつぐ登りで息絶え絶えでした。やはり運動不足と体力がもどっていないためでしょう。登山者もわずか3組でした。倒木もかなり多く、蜘蛛の巣も張っていて、それ以上に湿気がむんむんで、これは困ったと思いました。散歩気分ですから、飲み物も携帯せず、万が一熱中症にでもなったらどうしようと、とくに抑制気味でとぼとぼと歩きました。

 

ちょうど山頂に2組いて食事していました。私が2時間かかったといったら、ずいぶんゆっくり登ったんですねと言われてしまいました。ま、熱中症で倒れるよりはましと思ったのです。帰りは、下る一方で、さほど膝の疲れもなかったので、快適に降りていき、30分あまりで降りました。このあたりは若い頃に近くなった?なんて油断すると転んで骨折しそうなところもあり、油断大敵でした。

 

そんなこんなで疲れ果てて帰ってきて、弁護士会から依頼された「私の薦める一冊」の原稿を書き上げました。安直に、昨日毎日広告にでていた五木寛之著「孤独死のすすめ」がいいと思い本屋に直行したのですが、田舎の小さな本屋さん(以前しょっちゅう通っていた東京駅前の丸善や神田の各書店と比べてはいけませんが)には案の定、ありませんでした。ただ、「玄冬の門」という昨年出版された本があり、同じような趣旨の内容でしたので、これでいいかといい加減な選択でした。でもその内容は驚くほど私がこれまで考えてきたことと一致し、一気に読み上げました。昨日のことです。

 

そして今日はその原稿の下書きを書いたのです。1200字という字数制限ですが、1500字以上と当然のように超えてしまいました。まだ〆切には余裕があるので、後日校正なりしようと一段落。

 

さて本日のお題はと考えたのですが、昨夜ちらっと見た「盗伐」(討伐ではありません)問題もおもしろいとは思いつつ、最後の数分しか見ていないので、別の機会にしようと思います。ただ、盗伐は森林法違反の森林窃盗です。昔は価値も高かったので、森林窃盗も多かったようで、パトロールもしっかりしていたと思いますが、昨今は低価格の影響もあって放置され、荒廃する一方ですから、盗伐されてもなかなか発見されないのかもしれません。他方で、悪質なメンバーだと、境界を間違ったなどと、過失を主張して逃れようとするから困ったものです。

 

この話は、また別の機会にして、そろそろ見出しの本題に入ります。森友のときも不動産鑑定が問題になりましたが、今回も不動産鑑定結果が問題ですね。ただ、新聞記事からだけの判断ですが、基本的に契約書が将来リスクを勘定に入れていない、お役所頼みのような印象を受けます。

 

私も最近、ある貸し地の貸主が、借主が所有する土地建物のうち、建物を買取り借地契約を取り交わすのですが、地代を双方チャラにすることで契約書を取り交わしたのです。それぞれについて不動産鑑定をすれば、異なる評価になった可能性が高かったと思いますが、そういう交渉や鑑定費用に金や時間をかけるより、早期の土地利用を優先して、確定額で合意したのです。その分、当然、リスクが大きく減少しますね。

 

他方で、見出しの記事では、大阪市城東区役所と城東鶴見工業会が<10年、工業会が事務所としていた土地を貸す代わりに、市が新庁舎に工業会を入居させるとの合意書を交わした。>のですが、肝心の工業会側の貸し地の地代と、区役所側のテナント賃料とについては曖昧になっています。

 

<工業会によると、市が払う借地料と、工業会が払う庁舎の賃料は不動産鑑定で算定するものの、「近似することが望ましい」との文言が盛り込まれ、実際は相殺する前提だったという。>

 

工業会は、<「近似することが望ましい」との文言>が合意事項であったとするようですが、契約上の拘束力があるように記載されているのか疑問です。不動産鑑定は本来、客観的に算定されるわけで、たしかに森友学園での財務省の鑑定はいい加減のような評価をされてもやむをえないと思います。しかしそれは財務省側が行ったもので、本来の不動産鑑定ではありません。

 

たしかに不動産鑑定は、3人の鑑定士が行えば3通りの結果が出るとも言われていますが、それでも客観的な裏付けや、鑑定基準に基づく合理的な評価が行われる必要があります。最初から、「近時にすることが望ましい」と鑑定結果について鑑定士に対して偽装を依頼するようなことが認められるとは思えません。

 

むろん財務省のように、航空法上の規制がある地域だとかの便法で、自分たちで独自の評価をすることも、区役所の場合、まったくないとはいいませんが、よほどのことがない限り、会計監査で認められないと思うのです。

 

たしかに工業会にしてみれば、自分の所有地がないと庁舎が建築できなかったわけですから、敷地の10%に過ぎないとしても、特別の配慮があっても契約上は合理性が認められることもあると思うのです。区役所の行為だから公平でなければならないとしても、とくにその用地部分が必要だとすると、特別の配慮はあっても認められる場合があるように思うのです。

 

ただ将来の建築物の評価との関係で、限度があってしかるべきでしょう。当初の設計段階の見積もりから費用が嵩むことが一般で、それが予定の2倍になっても、元の賃料予測を前提に、地代価格と近似にしないといけないような制限は有効でないと思うのです。

 

その意味で、当初の合意の段階で、あいまいな「近似」条項と異なる規定で将来のリスクを見込んで賃料設定をすべきであったと思うのです。一定の限度額を設け、それ以上の賃料になるような場合は貸し地として提供できないといった条項も必要でしょう。

 

はたして建築費を抑制できるような合意が可能かは、具体的な条項の定め方、その後の建築費の増大の事情との関係で工夫が必要でしょう。

 

そろそろ1時間が過ぎました。この辺で今日はおしまい。