たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

受信料の根拠 <NHK受信料訴訟 合憲か 番組放送へ不可欠/契約の自由侵害 最高裁で弁論>を読んで

2017-10-26 | 心のやすらぎ・豊かさ

171026 受信料の根拠 <NHK受信料訴訟合憲か 番組放送へ不可欠/契約の自由侵害 最高裁で弁論>を読んで

 

昨夕から今朝の毎日記事を見ながら、どのテーマを今日のブログで扱おうか迷ってしまいました。複数扱うには、本来の仕事が財務分析的な数字を追っかけていて、とてもそんな元気が残っていません。気になったテーマは、<東京モーターショー>でトヨタがAIを採用したEVを展示し他社と競い合うニュースですが、これは他方で同社がテスラからカリフォルニア州の規制対応のため排出枠を爆買いするという動きとの関係でどうみるか非常に興味深いものです。次に<旧日本軍の毒ガス禍>の記事です。それに<商工中金不正>の深刻な問題です。

 

とはいえ今日も業務時間終了時間が過ぎ、できれば一時間以内でまとめたいと思い、少し軽い?話題にしようと、上記の記事を選びました。実はとても重い問題ですね。憲法上の争点を抱えていて、多くの訴訟でなんども議論されてきた事柄で、簡単に結論を出すのはどうかと思っています。最高裁大法廷で弁論が開かれるのですから、それは当然、深い内容ですね。

 

ただ、ここでは私の感覚的な議論にとどめますので、あえて過去の判決例とかをチェックせず、気分で書いてみようかと思います。

 

TVは、長い間視聴していませんでした。面白いと思わなかったことと、仕事が忙しくて見る余裕がなかったこともあります。むろんテレビももっていませんでした。

 

NHKの受信料支払いの根拠については、当時から話題になっていましたが、私は放送法も読まないで、受信機を設置しただけで受信料を支払う義務があるというのはおかしいと思っていました。それは契約の強制という以上に、受信料を強制的に徴収する権利がNHKに認められるといった解釈であったと思いますが、そのような具体的な根拠規定があるとは思えませんでした。

 

ただ、あえてNHKと論争するほど、TV視聴に関心がなかったので、わざわざテレビを買うこともありませんでした。

 

20年くらい前でしたか、少し時間的に余裕があったこともあり、なんとなくテレビを買ったところ、NHKのドキュメンタリーが面白く、その後でしたかBS放送にいいものがあり、持続的に見るようになりました。受信料の支払については、これだけいい作品を、しかも相当な費用をかけていることがよくわかることから、その支援?というか、自然に支払うようになりました。支払拒否の理論闘争をするような気持ちは失せました。

 

ところで、記事では<NHK受信料制度の合憲性が争われた訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は25日、原告のNHKと、受信料の支払いを拒んだ被告男性の双方から意見を聴く弁論を開いた。NHK側は「豊かで良い番組を放送するために受信料は不可欠だ」と主張し、男性側は「支払いの強制は憲法が保障する契約の自由を侵害する」と述べた。大法廷は合憲性について年内にも初判断を示す見通し。【伊藤直孝】>

 

当然、、争点は<放送法64条は、テレビなどの放送受信設備の設置者は「NHKと受信契約をしなければならない」と規定。>の解釈をめぐるものですね。

 

受信料請求訴訟の被告とされた<男性側は、64条について「努力義務を課した訓示規定に過ぎない」と主張。契約を強制していると解釈すると「NHKに課税徴収権を認めるに等しく、非民主的だ」と述べた。>非常に明快な論理ですね。

 

これに対し<NHK側は「時の政権におもねらず不偏不党を貫き、視聴率にとらわれない多角的視点を踏まえた番組を放送するために、安定財源を確保する手段として制度は不可欠だ」と反論。必要性と合理性があり、合憲との見解を示した。>受信料を徴収できる必要性・合理性を訴えているわけですね。

 

もう一つの争点である<受信契約がいつ成立するか>については、<NHK側は「契約申込書が設置者に到達した時点で成立する」と主張してきたが、1、2審はこれを否定。設置者が支払いを拒否した場合は、「契約の承諾」を命じる判決が確定した時点で成立すると判断している。>ただ、<NHKが主張する契約の「自動成立」を認めた他の判決もあり、下級審の判断は分かれている。>そんなことも、大法廷で統一する判断を示すのでしょうか。

 

さらに合憲性との関係で、<放送法15条はNHKの目的を「日本全国で受信できる豊かで良い放送番組を放送する」とする。>のとらえ方について、NHKと国が異なる立場を表明しているようです。NHKは<「長期取材で問題を提起して議論を生み出し、視聴しなかった人も放送の恩恵を享受できている」と述べた。>と「豊かで良い放送番組」を素直に表現しているように思えます。これに対し国は(補助参加ですかね?)、<制度を合憲とする根拠として意見書で「災害・有事に的確な情報を提供するインフラで、受益者である国民が受信料を負担するのは合理的」と説明。>

 

で、私自身は、改めて放送法を見ましたが、(受信契約及び受信料)を定めた64条では、1項本文で「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」となっていて、規定上は契約締結義務を課していると読むのが自然です。原告は、これを訓示規定と解するのは、そう解釈しないと契約自由の原則、ひいては憲法が定める基本的人権規定に抵触するということなんでしょう。

 

私も原告の立場に近い位置にあるように思いつつ、広告放送を禁止された(81条)NHKとしては国に依存せず独立して上記の目的を達成するには受信料収入に依存するのですから、この点に配慮したいなと思うのです。これだけの公共放送を経済的に支援するのは利用者しかいないのですから、テレビを設置したら、民放しか見ないなんていわないで、受信料を払う気持ちになりたいですね。

 

ただ、放送法も契約を義務づけているだけで、受信料については642項で「協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。」と免除規定を定めるにとどめておりますから、NHK主張のように、テレビを設置しただけで自動的に受信契約成立というのは無理筋ではないかと思います。

 

でもこのような論争に時間をかけないで、内容のある放送を提供してもらい、それはもちろん視聴者の意見を迅速・的確に反映するようにして、いい番組をつくってもらうことで、受信料は免除対象者出ない限りは、快く支払ってはどうかと思うのです。高額の放送料をとる民間事業者と異なり、受信料はかなり抑えた金額ではないかと思うのです。

 

そんなわけで今晩もNHK番組をしっかり見ようと思っています。(最近、政治家の言葉に「しっかり」が常套文句のように繰り返されるように思うのですが、それだけ普段しっかりやられていないのかと改めて思うのです・私の場合あまりしっかりは見ていないので)

 

なんとか1時間未満で終わらせました。また明日。