たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

税負担と民主政 <消費増税 よみがえるバラマキ 井手英策>を読みながら

2018-11-22 | 税制

181122 税負担と民主政 <消費増税 よみがえるバラマキ 井手英策>を読みながら

 

今日はいくつかのケースを扱い、結構疲れてしまい、ブログを書く元気は消え失せていますが、帰る前にやっておくのが日課となっているので、選んだテーマが冒頭のものです。

 

今日もカルロス・ゴーン氏の報酬の巨額不正について、新たな事実が次々とでてきたと新聞紙面を賑わせています。本来は国税庁の脱税摘発が端緒になってもおかしくない事案ですが、報道で指摘されているとおりだとすれば、トップ2人の独裁体制で秘密のベールに隠れていたのですから、マルサもお手上げだったかもしれません。その意味で、内部告発と司法取引新制度が絶妙に機能して、不正を暴いた最初のケースといえるかもしれません。検察発表通りだとすればですが。ゴーン氏の弁護人からの発言もなく、複雑なケースでしょうから、起訴後の公判で争点や事実が次第に明らかになるのかもしれません。

 

それにしても記事からうかがえるのは、巨額の収入を得ていたゴーン氏でさえ、税金の支払がよほど嫌いだったように見えます。税はなんのためにあるのか、政治はなんのためにあるのか、グローバル企業、そのトップのあり方が問われそうな印象です。

 

ひるがえって、増税一般も嫌われますが、とりわけ消費増税は国民から?嫌悪されているような印象を報道から感じてしまいます。それは国会の議論がそうなっているからかもしれません。

 

そのような私の感触を、わかりやすく整理していただいたのが井手英策慶応大教授の解説でしょうか。毎日記事<月刊・時論フォーラム消費増税 よみがえるバラマキ 井手英策>が消費増税をめぐる国会議論について、<よみがえるバラマキ>と指摘して、その問題性に言及しています。

 

<昨年10月の衆議院議員総選挙において、消費増税2%の使途変更が争点となり、財源の一部が幼保無償化等へと振り向けられることとなった。当初、使途変更を提案していた旧民進党が分裂し、消費増税の反対へとかじを切った一方、小さな政府を志向しがちな保守政党が幼保等の無償化のために増税を訴えるという「ねじれ」が生みだされた。>と政党の立ち位置の逆転現象を選挙と絡めつつ、戦後日本における左右政党の基軸がいずれも揺れていると整理しています。

 

とりわけ軽減税率をめぐる議論の混沌状況でしょうか。

 

<そもそも低所得層対策との名目から開始されたが、税率の軽減効果は中高所得層にもおよぶ。また、一定の税収を確保しなければならないなかで軽減税率を設けてしまうと、標準税率分をどうしても高めに設定しなければならない。>まあ言えば軽減税率自体の成立根拠が疑われているのに、あれこれ議論が活発にされているわけですね。

 

<軽減税率の適用対象をめぐって政治的な対立が引き起こされる。・・・どこで線引きをすればよいのかは、理屈だけでは決められない。事実、現在の日本でも、混乱を招いている。>一体何のための議論なのかと疑問を感じる人が少なくないのが現状ではないでしょうか。

 

はたまた<キャッシュレス決済>や<「プレミアム付き商品券」>まで取りざたされ、ますます本来の消費増税、しかもわずか2%の増税であたふたしているように思えるのです。その本来の目的が一向に注目されない印象ですし、低所得層対策とかに着目した制度設計が適切に議論されているのか疑問を抱かざるを得ません。

 

地方税さえ取り上げられ、自治体の悩み懸念が増大しつつあるという状況です。

<自動車の購入台数の減少を避けるため自動車関係税の軽減も検討されている。>

 

しかし、<なぜ自動車業界だけが減税の恩恵を受けられるのだろうか。しかも自動車税は地方税だ。国税の増税を地方税で戻すことに正当性はあるのか。>まったく議論の合理性が理解できません。

 

結局、このような軽減税率や負担軽減策(より直裁にいえばアメの提供)は本末転倒でしょう。

井手氏は<負担軽減のための制度設計が優先され、本来の目的、幼保の無償化に向けた具体的な制度設計は置き去りにされている。現場の怒りと不安は頂点に達しつつある。>と批判していますがごもっともです。

 

そして井手氏は次のように、現在の軽減税率等をめぐる議論を総括して、代替案を提示しています。

まず、<そもそも軽減税率は不要だった。>

ではどうするかですが、<低所得層対策を実施したいのであれば、例えば、直接その層に給付が集中する住宅手当を創設すれば、不要な混乱を抑えながら本来の目的を達成できたのではないか。とりわけ、日本では低所得層向けの普遍的な住宅手当制度が存在しない。また、子育て世帯だけではなく、貧しい高齢者も含めたより広い受益層を生むことができたはずだ。>

 

次に<景気対策>については、<パッチワーク的に、あるいは特定の業界だけに負担を軽減する>のはやめ、<職業訓練の充実や研究開発、防災など、経済の成長力につながるような投資を行うこともできたはずである。>というのです。

 

最後に、<自民党の政策は、表面的には社会民主主義化した。だが、総花的なバラマキという昔見た光景が、税を財源とする新たな装いでまたよみがえろうとしているようにしか僕には見えない。>そうバラマキですね。

 

で、日本で繰り広げられている民主政という名の選挙で選ばれる議員(さらに政府中枢に選ばれる議員)の心中、そして国会での議論は、どうやらいかに一票を投じた人たちに少しでも多くの利益還元をするかにかかっているような印象を拭えません。増税なんてもってのほか、真剣に話題にしてその重要性を語ると投票してもらえないと思っているのかもしれません。

 

増税の必要性、使途の合理性を丁寧に説明して理解を得る努力が議員に欠けているという印象は間違いでしょうか。負担を極端に演出し、景気の悪化まで当然のごとく誘導する姿勢には、本気でわが国の将来を見据えた信念があるとは思えないのですが。誤解出なければいいのですが。井手氏の指摘が国会議員に少しでも届くといいのですが。

 

30分で終えようとおもっていたのに、とっくにすぎてしまい45分くらいかけてしまいました。今日はこのへんでおしまい。また明日。


税制のあり方 <自動車減税 攻防本格化 経産省、燃費性能新税の凍結主張>を読みながら

2018-10-25 | 税制

181025 税制のあり方 <自動車減税 攻防本格化 経産省、燃費性能新税の凍結主張>を読みながら

 

昨夜のプライムニュースだったかと思いますが(情報が多くてすぐ記憶があいまいになります)、トランプ政権の目玉政策として、大幅減税と環境規制の骨抜きで、アメリカ景気が活況を呈している要因との指摘がありました。

 

とりわけ南部の州では、にくき環境規制ということで、それがなくなったか緩和されたことで、溜飲を下げているようです。個人の所得税減税はまだ実効化されていないか、一部ということでこれから本格化する見込みとか。それでも法人税が大幅に減税され、他方で大幅金融緩和の結果、お金がだぶつき、結局、株式や不動産などに投資されているとのことでした。

 

むろん相当額の設備投資もあるでしょうけど、だぶついたお金の行き先は株・債券に不動産というのはどこも同じですね。南部を中心にトランプ政権の公約実現に喝采をしている人たちの多くは、体も豊満な印象ですが、実際のところは仕事もお金もそれほど増えていないようです。民主党政権やオバマ大統領が嫌いで、それだけで内容を議論しないまま、聞く耳を持たない人が多いようですね。民主主義の基本である、お互いの主張の相違を理解しつつ議論して結論に至る、多数決原理の根本が怪しい状況ですね。

 

ながながとアメリカの話を持ち出しましたが(それも曖昧な記憶で)、わが国の場合そこまで対話がないとまで与野党の対立が厳しいとは思えませんが、内容のある議論がされていないという点では似通った印象をもちます。

 

トランプ政権と仲良しのせいか、環境規制についても少し後退気味に思えるのは誤解でしょうかね。あるいはアメリカでは大幅減税を採用したのに、日本では消費増税の議論でもちきりというか、これを軸に、新年度の税制も揺り動かされているようにも見えます。

 

政策の基本的方針が何で、これと個別の施策との折り合いというか、調整が明確でないように思えるのは私が知らないだけなのでしょうか。

 

今朝の毎日記事<自動車減税攻防本格化 経産省、燃費性能新税の凍結主張/総務省、地方自治体の税収減懸念>は、どうも性根が据わっていない政府の実態を浮き彫りにしているように映ってしまいます。

 

だいたいたった2%の増税(これは失礼ないい方かもしれませんが、私の本音です)で、あれこれと延期理由をこじつけて、さらに来年度は実施すると宣言までして、しぶしぶやろうとする姿勢には、税に対する国民の信頼を勝ち得なかった使い方の問題を露呈しているようにも思えるのです。

 

社会保障費の増加傾向は周知の事実です。他方で、アメリカと比べ金額的には低いですがGDP比率でいえば、その財政赤字額は異常なものになっています。この財政赤字に目を向けないことをいつまでもやっておられないでしょう。次の世代に負担を繰り延べすることはもう許されない段階でしょう。

 

社会保障費増大に対応するのに、2%の消費税増税では足りないことは明らかです。それを渋るのであれば、支出を大幅削減するしかありません。

 

また記事を離れて書いてしまいました。まず記事の取り上げた問題を引用しましょう。

 

<自家用乗用車にかかる税負担の軽減を巡り、年末の2019年度税制改正に向けた関係省庁の攻防が本格化している。>どういう問題かというと、

 

<19年10月に消費税率が10%に引き上げられるのに合わせ、経済産業省は燃費性能に応じて課税する新税の導入凍結などを主張。これに対し、総務省は「地方自治体の税収減につながる」などと反発している。減税は消費増税の影響を緩和する経済対策として検討されており、具体的な手法や期間などが焦点となる。【岡大介】>

 

<燃費性能に応じて課税する新税>は、地球環境問題対応はもちろん大気環境・健康保全、化石燃料消費の削減など、これからの環境政策として重要な施策の一つでしょう。それを消費税増税の緩和策として凍結するといった考え方には疑問です。総務省の主張する自治体の税収減になるという見方もどうかと思います。

 

この経産省の考えは、安倍首相の指示にしたがったもののようです。

<安倍晋三首相は消費増税を予定通り行うと表明した15日の臨時閣議で、自動車関連の減税を検討するよう指示した。高額商品である自動車は増税前の駆け込み需要や反動減が大きくなりやすい。減税は、増税後の購入を促して景気やメーカーの業績への影響を緩和するのが狙いだ。>安倍政権はトランプ政権ほどではないですが、環境保全に熱心でない政権の一つかもしれません。

 

すでに<与党税制調査会の幹部は「1~2年間の時限措置なら自治体の減収分を国の予算で補える」としており、時限的な減税には前向きだ。>という凍結案が支持される方向にあるようですね。

 

ところで、経産相の世耕氏と、対立する総務相の石田氏、いずれも和歌山県ですね。二階氏と合わせると、めずらしく和歌山県が政権中枢で重要な地位を占めているように思うのですが、それがいいことかどうかは別にして。

 

ただ、世耕氏は安倍首相の側近として長くつとめ、高い評価を得ているのに対し、石田氏は初めての入閣でこれまでもそれほど表舞台で目立った活動はされていなかったようにおもえます(知らないだけかもしれませんが)。どうもこのような立ち位置からすると、しかも消費増税を無難なく進めたい安倍政権からすると、経産相の凍結案に分がありそうですね。

 

そんなはしたない議論は置いておいて、きちんとそれぞれの政策目的に応じた税制議論をしっかりと公開でやってほしいものです。だいたい2%の消費増税のために、減税策をあれこれ打ち出し、そこには重要な環境規制を骨抜きにするような対応でよいのか、はなはだ疑問に感じます。

 

こうなると、林野庁が打ち出している新森林環境譲与税なんかも怪しくなるのでしょうか。なぜ2%の増税で、あたふたし、かえって減税策がはびこるようなことになるのか、どうも本質論が、そして税制のあり方が国民の理解を得るような運びになっていないことに問題があるように感じるのです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


来年度の税制をどうみる <18年度税制大綱 決定>と「2800億円増税」の舞台裏>などを読みながら

2017-12-20 | 税制

171220 来年度の税制をどうみる <18年度税制大綱 決定>と「2800億円増税」の舞台裏>などを読みながら

 

サラリーマンは気楽な家業ときたもんだ、という植木等の映画を見て育った私ですが、結局、その裏にある厳しい現実も知ることもなく、サラーリーマンになることもなく一生を送りそうです。

 

そのサラリーマンにとって重要な給与所得課税について増税だ減税だという話題もわき起こっていますが、とりあえず18年度改正の骨子を少し自分の頭で整理しつつ、今朝の日経ビジネス記事が指摘する「舞台裏」というものも覗いてみようかと思うのです。

 

とりあえず毎日記事が取り上げたものをピックアップして全体像というか概要を整理してみようかと思います。

 

18年度税制大綱決定 身近な増税じわり 企業は優遇ずらり>は、一連の増税対象のスケジュール表を示していますので、増税目白押しの印象があります。

 

この点、記事は<14日に決定した2018年度税制改正大綱では、企業の負担軽減策が目立つ一方、暮らしに関わる税制では増税メニューが目白押しとなった。安倍晋三政権は、賃上げなどに積極的な企業への減税策拡充などを通じ、賃上げによる消費拡大を狙うが、19年10月には消費税増税も予定されており、家計への負担増は消費に悪影響を及ぼす恐れもある。>と家計負担と企業優遇といった切り口です。

 

それぞれの増税内容について総括しているので、この記事で概要はわかるかと思います。それぞれ別の記事が詳細に取り上げていますので、それも引用しておきます。

 

まず、<所得税の控除見直しで年収850万円超の会社員を増税>については<所得税改革増税対象230万人 「年収850万円超」 自公税調了承>で、次のように指摘しています。

 

<政府・与党の試算では、増税額は年収900万円で年1・5万円、年収950万円で年3万円、年収1000万円で年4・5万円となる。

 政府・自民党は当初、会社員に適用される給与所得控除を一律10万円減額し、年収800万円以上は控除額を190万円で打ち切る一方、すべての人に適用される一律38万円の基礎控除を10万円増やす案を検討。年収800万円超の会社員を増税とする方針だった。>

この800万円に公明党が反対して、850万円に落ち着いたようです。この50万円の差がどういう意味を持つのか、両者の主張する根拠があまり説明されていないように思うのです。控除額10万円アップで減税することから、その分増減財源を探すのはわかるのですが、この分水嶺がどのようなデータで妥当といえるのかは国会で議論されるのでしょうかね。

 

850万円以上の人でも例外があり、<家族に22歳以下の子どもや介護が必要な人がいる場合は、増税対象外とする。政府・与党によると、年収850万円超の会社員は約430万人で、子育てをしている約190万人と、介護をしている約10万人を除く約230万人が増税となる。この増税による税収増は、900億円程度となる見込み。>とのこと。

 

次に<企業向けでは減税措置の拡充>は多岐にわたっています。<目玉は3%以上の賃上げに踏み切った企業に対する法人税の優遇措置だ。税制面から企業に賃上げを促して、消費底上げにつなげたい意向だ。>この目的自体は、内部留保に向けられていた分が賃上げに向かうことを促進するのですから、サラリーマンにはうれしい話しですね。景気のいい大企業だけでなく中小企業も恩恵を受けているところは賃上げマインドに入りやすいかもしれません。

 

この点記事は、この減税措置の広がりに懸念を示しています。<法人税優遇措置は、当然ながら法人税を支払っている黒字企業が対象。国税庁の15年度の調査では黒字企業数は全体の約36%にとどまる。そのため優遇措置を受けられる企業の広がりに欠けるのが実情だ。また、給与体系を引き上げる賃上げはボーナスと違って一度決めると従業員の退職まで影響が残る。優遇措置は3年間の時限措置のため、慎重に見極める企業が出ても不思議ではない。>3年を延長することもあるので、ま、この減税措置は好意的に見てもいいのかなと思うのですが。

 

インバウンドが急激に増大する中、「国際観光旅客税」(出国税)は遅きに失したかもしれませんが、それ自体は増税は妥当ではないかと思うのです。ただ、税額が1000円が妥当かどうか。各国比較をしても一桁違うとはいいませんが、この何倍かでもよかったのではと思うのです。観光客にとって1000円程度はさほど負担にならないのはわかりますが、5000円だと負担感が多少あるかもしれませんね。それか3000円くらいもありではないでしょうか。一定のデータを基に合理的な裏付けがあるのでしょうね。

 

<1000円という金額は、韓国とほぼ同じ水準。16年の出国者数約4100万人(日本人1700万人、外国人2400万人)で計算すると、約410億円の税収となる。>それが観光目的だけに使われる措置がとられていないので、政府の意向次第となるのも懸念です。5倍で1000億円くらいだと、観光目的に本格的な支出が可能となり、観光資源が豊富にある日本で、外国人向けの対策が不十分なところをかなりおぎなえるようになると思うのです。

 

出国税19年1月導入 名称「国際観光旅客税」 2歳以上1000円>という記事では、<旅行業界からは「格安航空会社などは運賃水準からすると少し影響が大きい」(片野坂真哉・ANAホールディングス社長)との懸念が出ているほか、国際線利用者からも「日本人にどのような恩恵があるのか疑問」(羽田空港から中国・上海に出張した62歳会社員)と不満が出ている。新税はそんな声を置き去りに見切り発車する形で、納税者が納得できるような税収の使い方ができるかが問われそうだ。>と不満・疑問の声が上がっています。

 

たしかに日本人の場合、とくにビジネスで利用している人にとっては、課税の合理性が問題になり得ますね。ただ1000円という金額だと、そこで問題にするほどでもないように思うのです。とはいえ、格安航空券を利用しているような人だと、1000円でも負担を感じるのでしょうか。それもどうかと思うのですがね。税収に見合う観光整備をすればさほど問題にならないように思うのです。

 

この点、<訪日外国人旅行客の買い物にかかる消費税を免税する制度>を拡充することになっているので、<免税申告の電子化>も相まって、訪日外国人にはタイムリーとまではいえないとしても及第点をあげてもいいように思うのです。金額をもっと上げて、観光整備がしっかりできれば上等なのですが。

 

インバウンドによる税収増はすごいですね。<今年1~9月の訪日客の旅行消費額は3兆2761億円で、年間最高だった昨年を上回るペースだが、政府は20年に訪日客の消費額を8兆円にする目標を掲げている。>消費税増税分を超える金額を得ているのですね。観光整備により重点を置けば、税収増が期待でき、医療介護福祉へもっと回せますね。

 

次はたばこ増税です。<2018年10月から、紙巻きたばこは4年間かけて1本3円、加熱式たばこは5年間かけ段階的に増税する。10年10月に紙巻きを1本3・5円増税して以来の増税となる。>

 

これも一覧表になっていて、種類に応じて段階的な増税が一目瞭然となっています。

<財務省などによると、16年度の紙巻きの販売数量は1680億本と20年前(約3500億本)から半減。ただ、03年度以降で3度増税したこともあり、たばこ税収は2兆円超で推移し、20年前とあまり変わらない。>

 

増税により、タバコの購買数が減少していることの結果でしょう。たばこの消費が抑制されてきたことや、健康志向も影響しているのでしょう。たばこの有害性を指摘する立場からすると、さらなる増税をとなりますが、自民党ではさきの喫煙規制案も結局強い反対で流れてしまったぐらいですから、当分はこんな状態で減少傾向を緩やかに描くのでしょう。

 

今度はお金のあるところからしっかり税収を確保するという意味での対策強化でしょうか。<相続税の課税逃れ対策を強化>については、さまざまな節税対策の一つとしてこれまで取られてきた方法にもメスを入れたという感じでしょうか。

 

<不動産などの資産に対して相続税が課されない一般社団法人を使った相続や、小規模宅地に対する相続税の軽減措置を使った相続について、課税逃れと判断される場合は税優遇や非課税の対象から外す。>というものです。

 

以前は社団法人の設立も簡単ではなかったと思うのですが、最近は管轄官庁も自由な団体活動を認める方向で、とくに一般社団法人については設立が容易になってきたのでしょうか。それを節税対策として活用する手法は、よくわかりますね。そういえば相続人の数を増やすために、膨大な養子縁組をするケースがあり、そのため相続税課税上は制限を設けたため、いまではその手法はすたれましたね。この法人化も実態のないものでしょうから、この規制ですたれるでしょうね。いたちごっこかもしれません。

 

こんなこすい手を使うのは知りませんでしたが、よほど相続税を免れたいのでしょうね。

<小規模な宅地を相続する際に課税評価額を8割減らす特例措置を使った節税にも対策を講じる。特例は、親から宅地を相続する子が親と同居していなくても、持ち家が無ければ適用される。子が自分が住む持ち家を親族らに贈与するなどした上で住み続け、形式上、持ち家が無いことにして特例措置を受けるケースがある。}

 

 この弊害をなくすため、<もともと自分の持ち家だった家や、3親等内の親族が所有する家に3年以内に住んでいた場合などは、特例の適用から外す。>というのは当然でしょう。ただ、税金が払えないといって、分割してさらに小規模区画にして分譲されると、分譲地の整った景観がますます失われる懸念が残りますね。北米の分割禁止を原則とする厳しいゾーニング制を直ちに採用することは無理としても、打開策を考えないと、相続税対策のため、ますます地域環境が悪化するように思うのですが。

 

以上については別の記事で少し詳細に書かれています。<相続税逃れ対策強化 社団法人設立「隠れみの」 政府・与党、非課税対象除外

 

森林環境税 「緑の恩恵」に一律1000円>

ようやく実現する日がやってきましたか。

 

<森林管理の財源として2024年度から「森林環境税」を導入する。住民税に上乗せし、1人当たり年1000円を徴収する。

 地球温暖化の防止や水源保全の一環として、増加する所有者不明林などを管理するための財源とする。>提唱されてから何年経ったのでしょうね。

 

税収の使途は当然、はっきりしています。<徴収した税金は既存の特別会計に入れたうえで、私有林の面積や林業従事者数などに応じて市町村や都道府県に配分。自治体は、間伐や林業の担い手の人材育成、公共建築物への木材利用促進などにあてる。税金は24年度から徴収する。>

 

ただ、上記の使途<自治体は、間伐や林業の担い手の人材育成、公共建築物への木材利用促進などにあてる>は、これまで都道府県などで先行した事例について、検証しておく必要があると思います。どのように有効に使われたかを可視化する形で検証できないと、その地球温暖化対策などに実効性に疑いをもたれる結果がすでに生じている懸念があり、そうしておかないと、森林環境税への負担に共感を得られないと思います。

 

いや、この程度の金額ではどの程度効果があるかも心配です。実効性が高いことが裏付けられれば、さらなる税額増大も検討してしかるべきだと思うのです。

 

そして企業活動に対する税制改革は幅広いですね。

まず、<事業承継 中小の代替わり、円滑促進目指す>という点。

 

<中小企業経営者の代替わりを集中的に進めるため、事業承継を促す税優遇策を拡充する。非上場の中小企業の経営者から親族や従業員などの後継者が株式を引き継ぐ場合、相続税を全額猶予することなどが柱だ。>これは全面的な優遇策となっていますね。TV番組の「陸王」を産み育てる工場は結構広い敷地・建物ですから、ほんとうなら相続税が大変でしょう。こんどの改正で、社長が息子に事業継承する負担が軽くなるでしょうね。それよりも今の競争に勝てるかが問題かもしれませんね。

 

<地方消費税 都市部に偏向、是正を目指す>これができたら、ふるさと納税のように、それなりの意義があると思います。

 

だいたい、当地のような田舎だと、デパートもありませんし、大規模ショッピングセンターもありませんので、近くの都会まで出かけていって大きな買い物をする傾向は一般にあるように思います。それではますます現行の地方消費税では居住する地元に入りませんね。

 

それで改正法は<消費額に使用する統計データの中でも、売り上げが計上される場所と実際の消費地が異なることが想定される百貨店や家電量販店の販売額など一部項目を除外。消費額で配分する比率を50%まで引き下げる。>とのこと。これでどのくらい増えるか、期待したいですね。

 

次は評価が難しい<法人税実質20% 「脱デフレ」にアメとムチ>です。

 

<デフレを脱却し経済を活性化するには、伸び悩む賃金を引き上げ、増えた所得が消費に向かう好循環が欠かせない。会社にためこんだお金を設備投資に回してもらうことも必要だ。このため今回の税制改正では、3%以上賃上げした企業や設備投資に積極的な企業を税優遇する。>詳細は記事を参照ください。

 

これに対し、賃上げに消極的な企業に対しては増税ですね。<賃上げや設備投資に消極的な企業には、税優遇する既存の租税特別措置の対象から外す。具体的には、研究開発に取り組んだ企業に適用する「研究開発税制」などの適用対象から外す。中小企業や業績が悪化している企業は例外とする。>

 

これがアメとムチの有効策となるかは、まだ見通せませんね。内部留保に傾く日本企業の体質は、企業風土によるともいえるわけですので、さてどの程度その岩盤が緩むかですね。

 

さて、最後に<税制改正、「2800億円増税」の舞台裏 安藤毅 日経ビジネス編集委員>を取り上げようと思うのですが、ここまでで少々つかれてきましたので、これは記事を読んでもらえば幸です。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日