たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

懲戒と自省 <アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定・・>を読んで

2017-10-30 | 司法と弁護士・裁判官・検察官

171030 懲戒と自省 <アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定・・>を読んで

 

台風一過青空を期待したものの、どんよりした天候ですね。体調や気分が悪くないと、これもまた素晴らしく感じるのが人間の感性かもしれません。

 

さて、見出しの記事、産経記事ですが正確には<アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定 東京弁護士会の懲戒委員会 処分理由の詳細判明>ということで、処分を受けた法人の悪質性の観点で問題を取り上げています。これに対し、毎日記事では<東京弁護士会 アディーレ処分で混乱 相談8000件>として、むしろ依頼していた利用者や就職希望を予定していた修習生からの困惑が取り上げられています。後者の記事(ウェブ上でなく紙面も)からは同法人が過払い金処理で依頼者に不評をかっていたとか、働く弁護士の労働条件が悪いというより、どちらかというといい印象でとらえられていた印象です。

 

産経記事では、<懲戒委は、アディーレの報酬総額が21年10月から27年7月までで約268億5400万円に上り、「取扱件数も桁外れで社会的影響は極めて大きい」と判断。広告が複数回更新され、サービス内容の変更も3回にわたることなどから、こうした広告を利用した集客行為には悪質性があるとした。>と取扱件数や違反広告の長期継続性が悪質とされています。

 

ただ、この取扱件数は驚くべきもので、しかも後発の若い人中心の弁護士法人としては破格の報酬を獲得していた、ある種の成功モデルを提供しているともいえます。

 

以前、ブログでこの問題を取り上げたとき、平成28216日付けの消費者庁より広告禁止の措置命令>を受けて、東弁も審査して処分したことを触れました。では、消費者庁の措置命令は、当然、何度も指導・勧告を経て行われるのが通常で、本件でも同様です。消費者庁には東弁はじめ弁護士会の消費者委員会の主力メンバーが関与してきたと思います。

 

当該法人の問題は当然、産経の記事で指摘されたれ広告掲載一覧の当初、あるいはそれ以前から問題にされていたのではないかと思います。ところが消費者庁がようやく出した措置命令まで、なんの対応をも講じなかったのは、だれあろう自治権を持つ弁護士会です。

 

懲戒申立事例が増大する中、対処が困難だったという理由はある程度理解できると思いますが、それは弁護士以外の国民・関係者に理解されるでしょうか。より迅速な対応をしておれば、長期間問題を放置したのは弁護士会でもあり、それが悪質だとして、業務停止処分という法人や関係者に多大な影響を受けるような処分を下すのは、果たして妥当性があるか、日弁連で検討してもらいたいと思います。

 

東弁のその間の会長は私の知り合いや仲間みたいな人なので、あまりこの問題を取り上げたくないのが半分、他方で、弁護士会が独立した公正な立場で社会に警告や提言を発する役割を担うことが期待されている中、懲戒手続きについて再考を検討してもらいたいと思うのです。

 

おそらくは消費者委員会で問題とされていたと思われる当該法人の広告がなぜ見逃されてきたのか、綱紀・懲戒制度になにか問題がなかったか、社会の声を聞くことに十分でなかった点がなかったか、また、迅速・的確な処分となっているかを、調査検討してもらい、改善をも視野に入れて欲しいと思うのです。

 

むろん委員のメンバーはボランティア的に懸命に長時間にわたって大量の作業をしていると思います。ただ、日産・スバルなど多くの不正(東弁の対応が不正ではありませんが)は、一生懸命作業していても起こりえます。システムに見えない欠陥があるかもしれません。それを自省の意味でチェックしてもらいたいのです。

 

今日の話題というわけではないのですが、つい身内感覚でとりあげました。


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