たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

悪徳商法への対応 <NHK 助けて!きわめびと>で懐かしい人を見ながら

2018-06-30 | 消費者問題

180630 悪徳商法への対応 <NHK 助けて!きわめびと>で懐かしい人を見ながら

 

TVや新聞などでは昔の仲間が時々登場していて、普段は関心を惹かない内容でもつい見たり読んだりすることがあります。元気に頑張っているなとか、当時は楽しかったなとか、ちょっとした思い出を振り返ることもあります。

 

本を読みながら少しニュースを見ようかとチャンネルを変えていたところ、懐かしい人が画面に映っていたため、ついしばらく見てしまいました。

 

この番組自体はじめて見ますが、タイトルがすごいですね。<助けて!きわめびと>ですか。

 

続いて

<もう泣き寝入りしない親の買い物トラブルを妨げ!

きわめびと村千鶴子さんのワンポイシ卜

正しい知識を身につけて、買い物トラブルから身を守ろう!

 

となかなかテンポがいいですね。さて村さんは30年以上前、定期的に集まって議論したり、会食したりしていた仲間の一人です。当時は彼女が一番若かったような記憶です。気持ちもとても若々しく、明るい人でした。ただ、こういった消費者問題ではなく(当時も若い弁護士はたいてい手がけていましたが)、医療過誤問題でした。

 

医療過誤では私は別の女性弁護士とよく一緒にやっていましたが、村さんとは結局、一度もやったことがなく話仲間でしたが、当時からなにか目立つ人でしたね。

 

消費者問題を結構やられていて、たしか大学の教授としてしばらく教えていたこともあったように思いますね。実務でも相当場数を踏んできたのでしょうね。だから「きわめびと」といった恐れ多いような名称で呼ばれているのでしょうか。

 

番組では、ある悪徳商法の事例をドラマとして紹介して、村さんがその被害に遭った方の対応を見て、適切なアドバイスをするという流れでした。

 

途中から見たのですが、どうやら2人の青年が無料で布団を回収する?といった申し出を家人にして、回収作業中(後?)に家人に貴重品を見せてもらいたいと申し出て、家人が断ると、布団の回収をしないとか、あの手この手を使って、結局見せてしまい、高価なネックレスでしたか、これを適当に根付けして回収費用分と相殺するといった手口でした。

 

ま、この手の無料訪問サービスをうたった悪徳商法は昔から次々と新種が生まれていますので、無料と聞いただけでお断りするのが常套手段なのですが、相手も表向きは優しく繕っても心の中では必死ですから、なかなかそうもいかないのでしょうね。

 

さて村さんのアドバイスは<「契約しまぜん、帰ってください」>を一番に上げています。

<「断っている人に勧銃を続けた場合、行政処分の対象になる」と特定商取引法で規定されています。さらに「帰ってください」と何度も伝えているのに居座り続けると「不退去罪」という罪に問われます。>とのこと。

 

たしかに法的にはそうなんですが、一人住まいのお年寄りだと、なかなか言えないかもしれませんね。法律違反とか、犯罪とか言われても、冷静に考えることができたり、心底法律解釈を理解していれば、対応できるかもしれませんが、実際はなかなかできない人が多いのではと思うのです。

 

私が30年以上前結構消費者問題をやっていたときも、そういう方が多かったように思います。そのときに比べればクーリングオフ制度を含む消費者契約法などが充実して消費者保護制度が広がってきましたが、相手はその上をいっている感じでしょうか。

 

次の手法として、村さんは<困ったときは、電話番号「いやや(=188)」にかけて相談>としています。これはいいですね。「いやや」は覚えやすいです。私も初めて知りました。無料相談などで消費生活センターなどに連絡することを伝えるのですが、私自身、連絡先を手控えていないので、ネットで調べる余裕がないときは、ネットや104で調べてねとお願いします。

 

ただこの188はすぐに電話相談に対応してくれるわけではなく、身近な相談窓口を案内してくれるだけのようですから、そうだとすると、悪徳商法の相手方と交渉中だと、そんな相手を待たして電話する余裕がある人なら、おそらくこんな商法にひっかかることはないでしょうね。最低でも、普段から最寄りの相談窓口の連絡先くらいは控えておくことか、携帯電話に入力しておくことでしょうね。

 

3番目は<クーリング・オフを活用しよう!>ということです。それが今回の眼目だったかもしれません。この名称自体は割合よく知られていますが、その制度の仕組み、どんどん進化している改正内容となると、その詳細をフォローしていないと実際はわかっていないことがあります。私自身も、たまに相談があるので、そのときは調べますが、すぐに忘れてしまい、取引内容に応じてチェックする必要があります。

 

クリーニングオフの期間についても、契約書記載が適切な表示がされていないと期間制限の適用を受けないなど、細かなチェックが必要となるようですね。

 

さて今回の番組の話だと、基礎的な情報提供ということで、あえて村さんが話さなくてもよかったかもしれませんね。彼女はより先進分野を研究しているのではないでしょうか。でも<きわめびと>の話だと、同じ内容でも効き目が違うかもしれません。

 

ところで、私は消費者問題から離れてすでに四半世紀以上経過していますので、最近の実情はよくわかっていません。それでも消費者目線でいつも見ています。そのような視点からは、難しい話はそれはそれでいいのですが、現実的な対応策としては、「無料」のサービスはどのような内容であっても、すべてお断りを徹底することではないでしょうか。むろん、災害時のボランティアは大いに歓迎ですが。

 

そして万が一、そういった相手を玄関先で追い払うことができないときは、相手の前に、携帯でもスマホでも、どっちでもいいのですが、ボイスレコーダーをクリックして、録音することですね。取り出しただけで、相手はしゃべらなくなると思います。オフレコはここでは通用させません。そういったことが苦手なら隠し撮りでもいいでしょうけど。むろんどんなレコーダーでもいいので、ICやカセットテープもOKですね。

 

さらに言えば、録画するともっといですね。顔もわかるし、行動全部がわかりますね。

 

そんなことできないという人がだいたい被害に遭っていると思いますが、最近、スマホが手軽になってきたので、気持ちを改め、なにかあれば録画、あるいは録音することを、ふだんから予行演習?くらいの気持ちでやっていれば、その場ですっと使えると思います。

 

法律の話はその後でもいいかもしれません。

 

村さんの快活でお元気そうな姿を見て、私も少し明るく頑張らないと、と思う次第です。

 

今日はこんなところでおしまい。また明日。

 

 

 


公取委の新たな潮流 <公取委員長 ITのデータ利用注視 専門家採用で強化>などを読みながら

2018-05-15 | 消費者問題

180515 公取委の新たな潮流 <公取委員長 ITのデータ利用注視 専門家採用で強化>などを読みながら

 

21世紀になり、株式市場や世界経済を動かす業界地図に大きな変化がいつの間にか起こっているのに、私たち?庶民はなんとなくその勢いに押されて、日々の日常の異変を意識しないまま送っているような気持ちをふと感じてしまいます。

 

考えなければ、考えなくてもいいのかもしれません。それでも生きていけるわけですからね。私も朝からいろいろ仕事をこなしたり外に出かけたりして、いつの間にか気づくと6時をとっくに回っていて帰り支度をしたくなる時間になっていました。さて今日のブログはといっても思いつかず、新聞を斜め読みして、ぴんとくるものがないと思いながら、ふと公取委員長が2つの記事で登場していて、珍しいなと、そういえば気になるなと、これを今日の話題に取って付けたように決めた次第です。

 

杉本和行・公取委員長金融庁との連携、慎重 地銀統合審査で>という記事で、金融庁が金融機関をどうコントロールしようとしているのか、大蔵省時代に問題とされてきたことが(財務省の昨今取りざたされている様な大丈夫と不安をあおるような)どうも指摘されているように思えるのです。

 

金融庁はどうやら地銀統合で金融機関のグローバルスタンダード化を目指そうと躍起になっているように見えるわけでして、それを阻むような公取委の対応に連携と言った怪しいことばで規制緩和させようとしているようにも見えるのです。

<地銀の統合を巡っては、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)の統合について、公取委が統合後に貸出金利が引き上げられる恐れなどを指摘して審査が長期化している。そうした中、有識者会議は4月11日に出した報告書で、独占禁止法に基づく公取委の審査と銀行法に基づく同庁の審査が別々に行われている現状を改め、両者が連携する体制を整備するよう提言した。>

 

でも公取委は戦後、一貫として独占禁止と公正取引確保のため、独立行政委員会として、ま、唯一といっていいほどの活動を長年続けてきた自負があるのでしょう。実際は、必ずしも事項的な措置が執れてきた分けではないでしょうが、それでも規制権限を独自の立場で行ってきた数少ない、アメリカ法制が残した良以上の成果をあげているように思えるのです。

 

<杉本委員長は「金融庁の意見も取り入れられるところがあれば取り入れる」としながらも「我々の意識と食い違っていることを言われても、納得できなければどうしようもない」と述べた。金融庁は、統合後に貸出先へ不利益が及ばないよう同庁が監視する形を提案している。しかし杉本委員長は、企業結合の審査基準は全産業に共通であることや、金融庁が個別の融資先への貸出金利などを細かく把握することは現実的ではないとの立場から、課題は多いとの認識を示した。>

 

いま公取委が直面しているのは、金融機関の統合や金融サービスの急速な合理化の流れ以上に、IT大手独占の脅威ではないでしょうか。

 

公取委員長ITのデータ利用注視 専門家採用で強化>の記事では、まさに公取委が長い間、IT企業が急速に市場を独占していく中で、プラバシー侵害や系列企業や消費者への不公正取引の強制など、さまざまな弊害が生じていることについて、その実態を追求する専門家不在のまま、等閑視してきたと批判されても仕方がない状態を、大きくチェンジして、独禁法の唯一最高の番人としての役割をしっかり担おうとする姿勢を示しているように感じさせるものです。

 

委員長は2期目の優先課題について<経済の国際化とデジタル化への対応をさらに進めたい。特に(大手IT企業が商品やサービスを集めた「場」を提供する)プラットフォーム(基盤提供)ビジネスが市場で支配的になっている。多くの消費者がつながることで便利になる一方、顧客を不当に囲い込み新規参入を阻害したり、(優越的な地位を乱用し)取引先に不利益を与えたりするような行為には目を光らせる。>と明確な目標を掲げました。

 

公取委の対象範囲は広いわけですが、IT分野の専門家を養成してきたとはいえないでしょう。海外の最近の動向から見れば、スタートの遅れを感じさせますが、やる気をだせば大きな遅れにはならないでしょう。

 

<欧州当局がグーグルに巨額な制裁金を科した他、ドイツ当局がフェイスブックを調査中で、関心を持って見ている。デジタル分野はITなどの専門知識が不可欠で、調査手法も高度化している。ITや経済分析の専門家を外部から招くことも必要だろう。>

 

今後を期待して今日は終わりとします。30分未満でつくりあげた、ずさんなまとめで申し訳ないですが、そういえば別の話題、纏向遺跡での発見と日本書紀制作の目的といった話題を取り上げようと思っていたことを忘れていていました。明日思い出したら、取り上げます。

 

今日はこれでおしまい。また明日。

 

 


浜の真砂と・・ <なぜだまされる?架空請求>などを読みながら

2018-05-11 | 消費者問題

180511 浜の真砂と・・ <なぜだまされる?架空請求>などを読みながら

 

今日も朝からいろいろな用事と打ち合わせに忙殺され、事務所に戻ったらすでに6時すぎです。やるべき仕事が残っているものの、当地に移ってからは6時を過ぎると、仕事ができる体力というか精神というか残っていません。ブログはなんとか書けるのですが・・・

 

今日も簡潔に仕上げようかと思います。天下の大泥棒、五右衛門の最後の台詞?は有名ですね。たしかに泥棒、窃盗は古代からいたわけですね。共同で平等な社会といわれる縄文時代はどうだったのでしょう。物々交換はあったでしょうし、収穫物を常に平等に配分する集団ばかりではなかったかもしれません。でもそういうユートピア的な状況はあったかもしれないと思いたいですね。

 

とはいえ仏教の世界では五戒の一つとして、「不偸盗戒(ふちゅうとうかい)」が有名です。それは日本で成立したというより、発祥のインドで確立していたのではないでしょうか。

 

宗教の戒律比較表>というのをうまく整理したものがありますが、やはりどの宗教でも窃盗は禁止ですね。それでも盗む人がいるというのは、それだけ宗教の戒律にする必要性があったのでしょうね。それが「浜の真砂が尽きるとも・・・」にいう名台詞が生まれるゆえんでしょうか。

 

では詐欺はどうでしょう。意外と宗教上の戒律にはなっていないようなのです。だから詐欺師は良心の呵責を感じない、なんてことはないともいえないのですね。私が詐欺の弁護を相当数担当していた頃、結構な人がそのような片鱗もないのです。というか自分はだましていないと信じていますが、詐欺の認識がないような精神状態になっているように思えるのです。あるいはだまされる方が悪いのだといった感覚をもった人もいましたね。

 

少し前に担当した特殊詐欺の被疑者の場合、中国を舞台にして、日本中に電話を駆け回り、ヒットした人がいれれば、各地に乗り込み、キャッシュカードやクレジットカードを預かり、それを使って現金化するタイプでしたが、反省していたので、彼にはこんこんと説教をしてしまいました。説教強盗というのは以前ありましたが、説教弁護人というのは昔はいたようですが、最近ははやらないかもしれません。それでも被疑者は60代でしたか、若い人と違って、酸いも甘いもわかっている感じで、私の話をまじめに聞いていました。それで改悛して二度とやらないことを祈っているのですが・・・なかなか話し上手で、頭の回転もよく、一旦仲間に入ると、出所するとお誘いがあるはずなので、そのこと前もってよく話したのですが、そのときはまじめそうに、この年だから今度やったら一生ムショ暮らしになるので、辞めますとはいっていました。期待したいのですね。

 

さて、余分の話をしてしまいましたが、詐欺の歴史を少しウェブで探すと、<詐欺学データベース 詐欺の歴史>というのがありました。

 

私の感覚では、交換経済がある程度成立していないと、本格的な?詐欺は生まれないのではないかと思っています。上記の詐欺の歴史では、古事記の稲羽の素兎(いなばの白兎)や八十神の迫害が取り上げられていました。ま、だますという点はたしかにそうなんですが、やはり経済的利益を虚偽の事実を告知して、その誤信した第三者から利益を得ることが本質でしょうから、ちょっと筋違いかなと思うのです。他方で曽根崎心中での九平次が徳兵衛から借金しておきながら、借りた覚えがないといって居直り、お初と徳兵衛の悲しい心中物語にきっかけの一つになるわけですが、これも詐欺といえますが、典型的な類型ともいえないように思うのです。

 

とはいえ江戸時代には、多様な詐欺類型が成立していたと思いますが、それ以前になかったかというと、相当あったと思うのですが、たしか律令かなにかにも刑事罰の規定があったのではと思うのですが、思い出せません。ま、要するに窃盗ほどではないとしても、相当古くからある、人間のある種の本能(規範意識が弱ったときにでてくるような)の一種ではないかと、時折思うのです。

 

今朝の毎日記事<どうすれば安全安心 なぜだまされる?架空請求 世間体意識、つけ込まれ>では、なくならない「架空請求」という詐欺の一類型を取り上げています。

 

記事は< ありもしない「契約不履行」や「代金未納」をでっち上げる古典的な架空請求の被害が続発する中、男性弁護士が電話で詐欺業者と直接対決する動画が話題になっている。記者の生家にも最近、「最終告知」と題するはがきが届いた。分かりやすい詐欺に、だまされる人が出るのはなぜだろうか。【奥村隆】>とだれもが感じる疑問を提起しています。

 

手口はいろいろな方式・表現はありますが、架空請求類型では、契約不履行を指摘して、最終通告などと表示して、放置すると訴訟提起するなどとして、連絡先を記載し、そこに連絡すると、いろいろな話法で支払させるパターンでしょう。

 

その中には、記事にあるように<出会い系サイトに登録>とか閲覧利用したとか、<「アダルトコンテンツ閲覧料金」>とかは昔からあるパターンの一つですね。そういえば20年以上前、ある大学教授からこの種の相談を受けたとき、放っておけばいいですよ、もし繰り返し請求があれば私から内容証明を送りますアドバイスしたら、そのまま解決したようです。

 

弁護士に依頼するまでもなく、放置するのが一番簡単ですが、消費者センターに電話して対応してもらうのも一つでしょうか。

 

<「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」>とか<「法務省管轄支局 消費者訴訟告知センター」>などのそれらしい表現も昔からのパターンですね。でも「久保田法律事務所」が詐欺師と対応している内容の動画がユーチューブで人気を博しているというのは、それだけ対応に困っている人は、次々と生まれるんでしょうね。

 

もう一つの記事<特殊詐欺固定電話の転送悪用増加 03表示 企業や行政装う /東京>も、携帯電話なら着信拒否されるということで、固定電話の転送を使うという手法も当然あるでしょうね。ほんと浜の真砂以上に、次々と新種が生まれますね。

 

人を信用しないという生き方は難しいですが、ITや電話、郵便物など便利な情報手段でどこからでも誰でも、ある人に情報を伝えることができるのですから、用心にこしたことがないですね。私は、電話もメールも基本、知らない人、なんらかの勧誘話がでたら、電話を失礼ないように切り、あるいはゴミ箱行きですね。

 

30分以上経過しましたので、終わりとします。また明日。


欺す欺される <ある詐欺事件の事実関係を調べながら防御策を考えてみる>

2017-12-19 | 消費者問題

171219 欺す欺される <ある詐欺事件の事実関係を調べながら防御策を考えてみる>

 

以前少しこのブログか、fbで触れた記憶がありますが、私自身、四半世紀前くらいまで割と詐欺事件を取り扱っていました。なぜ欺すか、またなぜ欺されるかを被告人との面会(接見)を通じて聞き取りを行っていました。記憶も薄らいでいますが、欺す人間の中には強い自負とそれを事実と自分自身を洗脳する(みせかけかもしれませんが)ことに長けているように思いました。そうでないと簡単に欺せません。

 

さて、あるキャッシュカード詐欺事件で使われた騙しのテクニックというか、そういうものを踏まえて、どう防御するかを少し考えてみたいと思います。

 

この騙しの構造は、ある名簿を使って電話を片っ端からかけ、かけられた相手の中で信用した人からキャッシュカードやクレジットカードを受け取り、それを使ってATCで現金を引き出したり、クレジットカードで買い物をするものです。

 

その騙しの手口はいろいろあるでしょうが、たとえば電話をかける、かけ子役は、よく知られた公的団体や金融庁などの名前を使って、本人のカードが不正に使われたので、本人がもっているすべてカードが今後使われるおそれがあるため、それらを協会の職員に預けて新規発行手続きをする必要があるので、職員に預けて欲しいと連絡し、その際、すべてのカードの暗証番号も聞き出したうえ、本人の自宅付近に待機させている別の受け子に連絡して本人からカードを受け取らせ、そのカードを使ってすぐに現金化するといった方法です。

 

この場合、大抵の人は、上記の電話内容で、不正使用されたら、そのカードの使用を停止する連絡をすれば十分であり、なぜ預ける必要があるかと疑問に思うでしょうから、そうすればかけ子は引き下がるでしょう。そもそもそのような不正使用があったとカード発行の金融機関でさえ連絡することは考えにくいですし、まして公的団体や行政機関自ら電話してくることも疑問に感じるでしょうから、それでそれ以上会話がすすまないのが普通でしょう。

 

おそらく欺される人は、著名な団体や行政庁の名前を信頼するのかもしれません。それと不正に使用されたという不安状態が助けを求める思いに駆り立てられるのかもしれません。

 

しかし、こういったことも、その団体の連絡先を確認するだけで、かけ子はひるむでしょう。不正使用されたという被害感情が先に立つと、それが事実かどうかの確認すらできないある種精神のフリーズ状態になるのかもしれませんが、そういうときこそ、相手の言葉の確認をする余裕が必要でしょう。自分のカードが不正に使われたといっても、カードは自分の手元にあるわけですから、一体どんなカードとか、いつどこでといった確認作業を一つ一つ抑えていけば、相手は適当な嘘をつくばかりで、それ以上は進まないと思われます。

 

むろん、怪しいと思えば電話を切るのが一番です。なにかと突っ込むと、用意周到なマニュアルでそれなりの回答を用意している可能性もあり、引きずり込まれるおそれもありますね。

 

カードの暗証番号を求めることは取引先の金融機関でもないことを知っていれば、こういった重要情報を開示することはないでしょうけど、不安な状態を利用する救済型の詐欺の場合、不安状況を一刻でも早く逃れたい気持ちになり、そういった疑念も浮かばないのかもしれません。

 

さらに電話が終わった後、すぐに取引先の金融機関にこのことを連絡すれば、カードを引き渡すこともないのでしょうけど、それだけの気持ちの余裕もなくなっているのでしょうね。詐欺グループも間髪を入れず、カードを受け取りに来る受け子役を事前配置していますので、油断なりません。

 

それでも受け子は、著名団体の職員を名乗る分けですから、顔を隠したり、適当な服装ができませんし、身分も明らかにしないといけません。それらをしっかり確認できれば、すぐに身元がいい加減であることがわかるはずなのですが、見せかけの身分証でころりと欺されてしまうのでしょう。

 

カードを受け取れば、どこにでもATMがあるので、すぐに現金化されますね。カードを渡してすぐにおかしいと思って金融機関等に電話しても、最近は直ちに取引停止措置がとられるようですが、それでも詐欺グループも必死ですから時間の勝負となるでしょう。

 

こういった詐欺グループはあの手この手と、次々と詐欺手法を手を変え品を変えて繰り出しますから、相手にしない方法が最も有効でしょうね。

 

それは物理的な対策です。電話機を発信番号が表示されるものにして、知らない電話番号からかかってきたら、受話器を取らないのが一番でしょう。あるいは留守電にしていて、相手の対応を見て、この種の詐欺では伝言を残しませんから、その電話番号の場合は出ないことでしょう。

 

また、最近は捜査が及ばないように、外国にかけ子を住まわせ、そこから電話をかけさせるようですから、海外からの発信とわかれば(それがわからない人が欺されやすいかもしれません)受話器を取らないのが一番でしょう。いや、家族には外国暮らしをしているのがいると言われると、困りますが、そうであれば、とりわけその番号は特定され、それ以外は受話器を取る必要がないわけですね。

 

電話を取って、話を聞くことが一番、危険一杯の誘惑でしょうね。そういうと、一人暮らしで心細い生活をしているとか、家族がいても日中はいなくて淋しいと思っている人には、折角かかってきた電話を無視できないと言われそうですが、それはクールに考えて欲しいと思うのです。

 

彼らの言葉はきっと耳にやさしく、心にも響く、信頼できる話しだと思います。一度電話で話すと、詐欺師たちは簡単には獲物を逃しません。彼ら自身が洗脳されているのです。

 

でもお金がなければ安心です。ある事件では銀行残高を聞き、わずかな金額だったので、カードをだまし取ることは断念したという話しもありました。それはそうでしょうね。

 

彼らも欺される人の何倍何千倍?の人に電話して、やっと一人の獲物をみつけるのでしょうから、ま、ジャングルのハンターのように獲物も逃げ足が速いわけで失敗がほとんどでしょう。コストのかかる犯罪ですし、競争も激しいようですから、獲物がそれ相当のお金を残していないのなら、危ない橋は渡りません。

 

普段あまり考えていないことをつい今日の話題にしました。それなりの話題もあったのですが、頭の整理がつかず、簡潔に終わるテーマで今日はおしまいとします。また明日。


「山のきもち」考その1 <毎日記者山本悟著作から森林業を考えてみる>

2017-12-09 | 消費者問題

171209 「山のきもち」考その1 <毎日記者山本悟著作から森林業を考えてみる>

 

私自身、森林に関わったのはおそらく約30年前の日弁連ボルネオ島熱帯林調査に参加してからではないかと思います。その後海外や国内各地の森林調査みたいなことをしながら、一時期枝打ち、間伐、下刈りなどを自己流でやってみたこともあり、いま林業に関係する仕事をしています。まだまだその奥の深さを理解できるところにいたっていません。とはいえ森や杜、森林、山川草木、そして一本一本の木々などに興味が尽きません。

 

このブログでも時々、取り上げてきましたが、制度論などは読み込みと理解に時間がかかるので、ついつい一回限りで尻切れトンボになっていました。

 

地球環境問題対策としてバイオマス発電に林業は有効とか、多様な加工技術で作られる木材とか、AIIoT、ドローンなどの先端技術が導入されるとか、境界紛争に新たな対応とか、高性能林業機械の進化とか、・・・あげればきりがない新たな動きもありますが、山はさほど大きな変化がないようにも見えます。欧米の林業システムも導入の声は以前からあったと思いますが、なかなか山林現場には受け入れる土壌がないようにも見えます。

 

ちょうどそんなとき、毎日新聞記者である山本悟氏が昨年、『山のきもち 森林業が「ほっとする社会」をつくる』という森林をめぐる現状を取材した成果を出版されました。まだざっとみたというか、流しただけですが、林業家が書いたものや、林政・林業制度の研究者や環境問題に取り組む人の著作とは違って、割合、バランスがとれて多様な観点からアプローチされていますし、なにより一般人の見方(多様な専門家の意見を取材しつつも)かなというところがいいです。

 

明日からでも連続で読みながら、山本氏の取材内容や意見に触れた感想みたいなものを何回かにわけて書いてみようかと思います。

 

どのくらいのペースで書いてみるかとりあえず、章立てを基本にしてみようかと思います。

 

1 国産材が動き出した

2 林業の現場も活発化

3 課題を考える

4 木材活用の動き

5 見直される木の力

6 日本人は「森の民」か

7 はげ山緑化の歴史

8 森に学んだ共助の発想

9 緑化の原点に学ぶ

10 持続可能性を求めて

11 山村が走り出した

12 自然資本の考え方

13 ヤマと都会

14 都市と里山の交流

15 模索する新たな価値観

 

と、私が勝手に順番をつけましたが、実際の構成は、3部で、第1部を「活発化する林業・林産業」、第2部を「木の底力と森の歴史」、第3部を「『ほっとする社会』ヘ新たな価値観」となっていまして、それぞれ私の順番で言えば1~4、5~8,915となっています。

 

私自身は、「山のきもち」というタイトルに惹かれたので、それをこの書の中でどう扱われているかを上記の順番を基本にして、順次、日々言及しようかと思っていました。しかし、改めて順序立ててみますと、第2部を先に取り上げた方が理解しやすいかなと、思い直しました。

 

おそらく「ほっとする社会」に森や木がどう生かせるか、あるいは人は生かされるかを、少しでもこの書を通じて理解できればうれしいかなと思うのです。

 

で、順番もその意味では、その日に興味を抱いたところから始めるかもしれず、とりあえずは第2部でこれまでの日本人と森を掘り下げてみたいと思います。

 

今日は、交通事故による損害額について資料を読んで算定しようと思っていたのですが、いろいろ雑用をやっているうちに、ブログを書くのを忘れていたと思い直し、花と禅が終わった?ので、次は何にしようかと少し考えているうちに時間が経ちました。

 

明日から内容に入りたいと思います。