改正信託業法に基づく信託免許取得第一号であった、ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託、マザーズ上場)が、金融庁から信託免許取消の行政処分を受けることになりました。
私自身も同じ金融業界に働く者の一人で、そして、かつて信託業務に深く関わっていた者の一人として、非常に残念な事態となりました。
信託(Trust)とは、他人による財産管理・処分のための法制度の一つで、委託者(Settler)が受託者(Trustee)に財産の名義と管理権を移転し、公益もしくは1人以上の受益者(Beneficiary)のために、受託者が信託財産を管理・処分する信任関係(Fiduciary Relationship)と定義されています。
いってみれば、民法における債権法(契約に基づく権利と義務)と物権法(物の所有権等に基づく権利と義務)の両方にまたがる概念です。
JDC信託の場合、例えば、単一あるいは複数の映画から将来産み出されるキャッシュ・フローの受取権を映画制作者(委託者)が信託会社(受託者)に信託譲渡し、受託者はキャッシュ・フローを裏付けとする信託受益権証書を委託者に発行。
委託者はその信託受益権を投資家に売却して、映画制作資金を調達するという信託スキームをとります。
こうすれば、映画制作者は、将来のキャッシュ・フローを先取りする形で制作資金を調達できる一方、、万が一映画制作者が業況不振や経営破綻に陥ったとしても、信託された映画のキャッシュ・フローは映画制作者の財産から法的に切り離されて信託会社名義で管理されていますから、投資家は確実に信託会社から資金の分配を受けることができることになります。
このように、信託は、不動産、有価証券、知的財産権などの財産の名義を受託者に移転する制度なのですから、当事者間に絶対的な信頼関係が存在することが、信託制度の大前提。
今回のケースでは、その受託者であるJDC信託で、よりによって信託財産を自己の債務返済に流用するなどの違法行為があったということですから、まさに信託の根幹を揺るがす大不祥事であり、免許取消もやむを得ません。
フーテンの寅さん流にいえば、「社長、それをやったら、おしまいよ」
創業者の元社長さん(東大‐日本長期信用銀行。知的財産権に係る金融のプロ)をはじめ、以前からの知人がいた会社なので、正直いってショックです。
このような事件が発生すると、金融当局の監督強化を求める声が当然出てくるでしょう。
でも、信託免許の申請書を審査する段階で、個別の申請企業に対して金融庁がメガバンクと同じような社内態勢を要求してきて、その結果として、ビジネスが軌道に乗る前から重装備で小回りの利かない低収益体質となってしまった信託会社もあるやに聞きます。
信託ビジネスの健全な発展のために、信託業に係る監督のあり方の議論は、ぜひ複眼的に行なっていただきたいと思います。
ところで、金融監督といえば、国民新党の亀井静香代表が金融・郵政問題相に就任されると報道されています。
これまでの亀井さんの言動を見ている限り、国際的な金融業務のスタンダード、あるいは民間の金融業界の考え方とかなり距離のある人物だという印象があります。
公共事業での軋轢と同様、郵政・金融においても、亀井大臣のもとで議論沸騰、一波乱起きることは避けられないと思います。
しかし、その波乱は、前向きに、生産的に解決していかなければなりません。
国家、産業、個人、そして国際的な業務標準、いずれの目線からも、より合理的で持続可能と思える郵政・金融サービスが提供される制度が築かれていくよう、注目していきたいと思います。
私自身も同じ金融業界に働く者の一人で、そして、かつて信託業務に深く関わっていた者の一人として、非常に残念な事態となりました。
信託(Trust)とは、他人による財産管理・処分のための法制度の一つで、委託者(Settler)が受託者(Trustee)に財産の名義と管理権を移転し、公益もしくは1人以上の受益者(Beneficiary)のために、受託者が信託財産を管理・処分する信任関係(Fiduciary Relationship)と定義されています。
いってみれば、民法における債権法(契約に基づく権利と義務)と物権法(物の所有権等に基づく権利と義務)の両方にまたがる概念です。
JDC信託の場合、例えば、単一あるいは複数の映画から将来産み出されるキャッシュ・フローの受取権を映画制作者(委託者)が信託会社(受託者)に信託譲渡し、受託者はキャッシュ・フローを裏付けとする信託受益権証書を委託者に発行。
委託者はその信託受益権を投資家に売却して、映画制作資金を調達するという信託スキームをとります。
こうすれば、映画制作者は、将来のキャッシュ・フローを先取りする形で制作資金を調達できる一方、、万が一映画制作者が業況不振や経営破綻に陥ったとしても、信託された映画のキャッシュ・フローは映画制作者の財産から法的に切り離されて信託会社名義で管理されていますから、投資家は確実に信託会社から資金の分配を受けることができることになります。
このように、信託は、不動産、有価証券、知的財産権などの財産の名義を受託者に移転する制度なのですから、当事者間に絶対的な信頼関係が存在することが、信託制度の大前提。
今回のケースでは、その受託者であるJDC信託で、よりによって信託財産を自己の債務返済に流用するなどの違法行為があったということですから、まさに信託の根幹を揺るがす大不祥事であり、免許取消もやむを得ません。
フーテンの寅さん流にいえば、「社長、それをやったら、おしまいよ」
創業者の元社長さん(東大‐日本長期信用銀行。知的財産権に係る金融のプロ)をはじめ、以前からの知人がいた会社なので、正直いってショックです。
このような事件が発生すると、金融当局の監督強化を求める声が当然出てくるでしょう。
でも、信託免許の申請書を審査する段階で、個別の申請企業に対して金融庁がメガバンクと同じような社内態勢を要求してきて、その結果として、ビジネスが軌道に乗る前から重装備で小回りの利かない低収益体質となってしまった信託会社もあるやに聞きます。
信託ビジネスの健全な発展のために、信託業に係る監督のあり方の議論は、ぜひ複眼的に行なっていただきたいと思います。
ところで、金融監督といえば、国民新党の亀井静香代表が金融・郵政問題相に就任されると報道されています。
これまでの亀井さんの言動を見ている限り、国際的な金融業務のスタンダード、あるいは民間の金融業界の考え方とかなり距離のある人物だという印象があります。
公共事業での軋轢と同様、郵政・金融においても、亀井大臣のもとで議論沸騰、一波乱起きることは避けられないと思います。
しかし、その波乱は、前向きに、生産的に解決していかなければなりません。
国家、産業、個人、そして国際的な業務標準、いずれの目線からも、より合理的で持続可能と思える郵政・金融サービスが提供される制度が築かれていくよう、注目していきたいと思います。