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外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

上海からのビジター

2010-05-18 18:20:08 | ビジネス
先週はロンドンからの来客が金曜日までいて、その対応に数日間追われました。

そして今日は、上海から私のBoss、すなわち直属の上司が一日限りの予定でやってきました。
Bossといっても麗しい女性でして、米国の理科系大学院への留学経験もある、本当に聡明な中国人です。
ちなみに、米国留学中に知り合ったというエンジニアのご主人(現在は北京に単身赴任中)との間に、10歳の娘さんがいらっしゃいます。

彼女は、昨夜の遅い飛行機で、他のエグゼクティブと一緒に東京にやってきて、有楽町のペニンシュラ・ホテルに宿泊しました。

私は、今朝7:30にホテルのロビーで彼女と待ち合わせして、朝食をとりながら私の担当業務についてのビジネス・アップデートを一時間あまり。
美味しいはずのペニンシュラの朝食メニューですが、今日ばかりは、あまり楽しめませんでした。
(T_T)
(写真は待ち合わせした、ペニンシュラ・ホテルのロビーの朝7時過ぎの光景です)

その後、丸の内のオフィスに移動して、在日代表も加わって、今年の後半のビジネス・プランについて、本部と日本との考え方について摺り合わせを行ないました。

理科系の出身ということもあって、彼女は文字通り理詰めの思考回路です。

彼女は、人懐っこい笑顔を見せながらも実にシャープな質問をしてくるので回答するのも大変です。
でも、その代わりに判断も早いので、当方がきちんと問題点を整理して伝えることさえできれば、懸案事項がどんどん解決していきます。

まるで電子制御のブルドーザーのように案件を次々にこなして、夕方には上海に向かって、彼女は飛び立っていきました。

どこの国にも、優秀で働き者という人物はいるものです。

というわけで、今日も一日、本当に疲れました。

これから、湯島あたりに繰り出して、一杯ひっかけてから帰宅しようと思います。

P.S.
大好きなジャズ・ピアニストの一人であったハンク・ジョーンズが亡くなりました。
そして中学二年生の頃からの愛読書であった月刊『スイング・ジャーナル』も休刊になるとか。

ジャズ好きな私としては、二つの暗いニュースが重なり、かなり悲しい1日となりました。

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住宅専門金融会社

2010-05-12 18:12:24 | ビジネス
今日の日経朝刊に、旧・住専損失の最終処理を巡り、最大3600億円の追加負担を政府が金融機関に要請するという記事がありました。

久しぶりに『住専』という単語を目にしました。

住宅金融専門会社、いわゆる住専には、日本住宅金融、住総、地銀生保住宅ローン、日本ハウジングローンなど7社があって、出資銀行の別動隊として、あるいは住専自身の意思によって、大規模な不動産融資を都市部やリゾート地域で行なっていて、それらの経営悪化は、バブル崩壊による金融危機の象徴でした。

巨額の不動産融資の焦げ付き、金融機関同士の損失の押し付け合い、様々な金融スキャンダルの発生・・・
日経によれば、1991年10月から92年8月にかけて、母体行(=住専の株主である金融機関)を中心に第一次再建計画がまとまる、と書いてあります。

この再建計画を作成するための原資料を準備するために、1991年の4月から数ヶ月間、私は、ある住専の貸出債権洗い直し作業に銀行から派遣されて従事しました。
今朝の記事をみて、当時の記憶が鮮明に蘇ってきました。

まだ住専問題が社会問題となる前でした。
複数の銀行の融資審査担当者数名が極秘裏に召集されて、土日も、ゴールデンウィークも全て返上して、予約してあった家族旅行もキャンセルして、貸出債権一本ごとに、債務者の経営状況、返済履歴、担保の再評価などを行ないました。

私達の作業結果は、とてつもない金額の不良債権の存在を示しており、所属銀行の融資担当役員、あるいは銀行協会を通じて、逐次 大蔵省に報告されていました。

『これは世の中を揺るがす、未曾有の事件になる』
作業している私達の共通認識でした。

作業内容は、家族と言えども何も話せません。
また、心配して様子をうかがいにくる住専の社員にも話せません。

ですから、期間中、家族からも、住専の社員の人たちからも、かなり冷たい視線を浴びせられました。

今から考えると、なにか特別な手当が出るわけでもなく、唯一、タクシーチケットが使いたい放題であったことぐらいが役得であったような記憶しかありません。

あれから20年近くの年月が経過し、ありとあらゆる債権回収策を講じた結果、それでも処理すべき損失が数千億円規模で残っているというのですから、住専の破たんが、とてつもない規模の出来事だったのだなあと、改めて感じました。

------
さて今夜は、ロンドンから来ているリスク管理担当のオフィサーと一緒に、飲みに行きます。

堅苦しいレストランでなく、いかにも日本っぽい雰囲気の居酒屋に行きたいとの本人の希望ですから、こういう来客は大歓迎です。
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波乱の1日

2010-05-07 18:35:39 | ビジネス
昨夜から、世界の金融市場が大荒れ。

資産を投げ売る者、新たに投資する者が錯綜する展開に、目の回るような忙しさの一日でした。

ギリシャの財政危機とユーロ域内における伝播の懸念が、ずっと拭えない状態が続いていました。

ギリシャの短期的な資金繰りへの懸念は多少改善されたものの、ギリシャの財政再建という長期的な問題の解決は、これからです。

また、一国の財政危機が他のユーロ参加国に拡散しないような制度的な枠組みもありません。

そう考えると、これからも今回のように何度か金融市場が揺さぶられることは避けられないと私には思えます。
また、ギリシャと同じく財政悪化に苦しむ日本の国債にも、中長期的には飛び火してくるとささやく市場関係者がいることも、心に留め置いておくべきでしょう。

さて、このような経済不安が続くと、古今東西、公務員あるいは難関資格の取得を目指す若者が増えるものです。

社会科学を学ぶ学生にとっての難関資格といえば、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士という三つが思い浮かびます。

この中で、不動産鑑定士は、金融機関の長い歴史の中で培われてきた不動産鑑定評価の手法を基礎として、国家資格となった経緯があります。
したがって、企業内で不動産鑑定士の有資格者が社員として働くことも珍しくなく、それも不動産鑑定業務にとどまらず、不動産に関する専門家として幅広く活動しています。

一方、日本弁護士連合会あるいは日本公認会計士協会は、あくまでも判事・弁護士として、あるいは企業の監査業務を担当する専門家という、資格保有者にのみ排他的に許される業務の視点から、各々の資格の位置づけを考えています。

かたや、産業界のニーズは、企業内で法律や会計のプロとして働く社員が欲しいというもの。
そこには大きな隔たりが残されたままです。

このような懸案が解決されないまま、司法試験や公認会計士の試験制度が改正されたため、合格者が増加しても職に就くことができない“浪人”が増えているのが現状です。

それぞれに言い分があると思います。

しかし、高い志をもって勉強して難関を突破し、これから社会で責任ある仕事をしていこうという若者たちを悲しませるような事態は、社会の大きな損失です。

このようなギャップを一日も早く解消し、彼らに縦横無尽に活躍してもらいたいものだと思います。
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「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

2010-03-26 17:20:17 | ビジネス
ユニークな書籍をご紹介します。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
(岩崎夏海)ダイヤモンド社1,680円

主人公は都立高校の野球部の女子マネージャーです。
一回戦負けのチームを甲子園に連れていこうと彼女は決心しますが、その方法が分からず、悩んだあげくに書店で一冊の本を買う。
それが何と、企業経営に関する名著であるドラッカーの「マネジメント」!

彼女は、経営に関するドラッカーの数々の名言を、弱小野球部の練習の中に取り込んでいって、チームは地区予選に突入していきます。

都立高校出身の私は、ストーリーの中に、すぅーっと吸い込まれていってしまいました。

お薦めです。

なお、ご覧の通りの表紙です。
私と同世代の男性が、ブックカバーをつけずに電車の中でこの本を読んでいると、変な目で周囲から見られるかも知れませんので、くれぐれもご注意を。
(;^_^A
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国際会計基準のインパクト

2010-02-12 18:03:16 | ビジネス
IFRS (International Financial Reporting Standards. 国際会計基準) という単語の金融界での存在感が、日増しに大きくなってきています。
会計基準は、もはや日本国内だけのルールはなくなりました。

国際会計基準は、金融機関に様々な影響を与えます。

私の担当分野を例にとれば、貸出金の利息収入の認識基準。

従来の会計基準で、信用格付の低い(=貸倒リスクの高い)顧客に高金利で融資した場合を考えて見ます。

貸出当初には高金利による受取利息を約定どおり受け取りますから、会計上で利息収入を多く認識し、その後の時間の経過によって貸倒リスクが高まった段階で、初めて貸倒引当金という費用を計上します。

すなわち、会計上は収益を前取りして後で信用コストを吐き出す形となっている訳で、ややもすると低格付先への高金利融資を助長する側面がありました。

一方、新しい国際会計基準では、低格付の顧客への融資は貸出当初から信用コストを控除した後の実効金利を収入として認識されることになります。

すなわち、新しい会計基準では収益の前取りが困難となるのです。

貸倒引当金の計上方法も、融資の返済期日までの予想キャッシュフローに基づいて設定することになり、既存の概念が大幅に変化します。

これらの変更は、金融機関の融資戦略と財務諸表に大きなインパクトを与えるものと考えられます。


ところで、国際会計基準は、一般消費者にも無関係ではありません。
それは国債値下がりによる金融資産毀損リスク、財政逼迫による行政サービス低下もしくは増税です。

現在、税収不足に苦しむ我が国の財政は、国債の大量発行などに支えられて、介護医療などの行政サービスを維持しています。

これまでのところ、発行される国債の多くは、国内銀行によって引き受けられているのですが、新しい国際会計基準の下では、銀行が価格変動リスクの高い国債を大量に保有することが難しくなってきます。

もう一つの国債の買い手である生命保険会社は、株式から国債に運用資金を移動しているところですが、この動きも数年以内に一巡すると思われます。

また、銀行や生保の資金力を支える大きな源泉となってきたのは個人金融資産ですが、これからは大きな伸びは期待できません。

その金融資産の蓄積の担い手であった団塊世代の人々が、いよいよ現役を引退する時期となりますので、貯蓄の取崩しが始まるからです。

したがって1400兆円といわれている個人金融資産は、頭打ちから減少トレンドに移行していくものと考えられます。

このような諸要因によって、国債の国内購入余力は徐々に低下していきます。

景気が大幅に回復するか、あるいは税率を上げない限り税収は伸びませんので、これからは、米国と同様に、中国などの海外の資金による国債消化を真剣に考えていかなければならなくなる可能性が高いと思います。

しかし、円相場にもよりますが、現在の金利水準では外国人投資家は日本の国債に魅力を感じてくれません。

従って、国債の金利水準を徐々に引き上げていかざるを得ないと私は思います。

国債の金利水準が上がるということは、財政の金利負担を重くしますので、資金繰りが一層苦しいものになりますし、行政サービスなどの削減圧力が強まります。

また、金利上昇は、国債の時価を下げることになりますので、既に長期国債を保有している個人や金融機関の資産が毀損することになります。

評価損の実現を避けて国債を満期日まで保有しようとすれば、満期日までの数年間、実勢より低い金利を甘受しなければなりません。これも大きな損失です。

経済評論家の中には、いくら国債を大量発行しても、個人金融資産が国債に振り替わるだけで問題ないと説明する人がいます。

でも、新しい国債会計基準や団塊世代の現役引退を考慮に入れるとどうなるか。

個人金融資産の蓄積が止まり、会計基準が変更されると、国債の国内消化難が始まり、最終的には国債価格が下落して国内金融機関や個人の資産が大きく傷むリスクが高まってきていることを、私は危惧します。

そして、巨額の個人貯蓄が低利率の国債運用に塩漬けになってしまうことも、国家全体として大きな損失です。

ですから、やはり増税、公共サービス削減による財政再建は、避けては通れない重要な課題だと言わざるをえません。
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キリンとサントリーが統合を断念

2010-02-08 17:24:57 | ビジネス
昨年七月に、キリンとサントリーの経営統合の話題を、このブログで取り上げました。
経営統合のトピック

その後、あまり話題になっていなかったのですが、今日になって、両社が経営統合を断念したと報道されました。
経営統合断念のニュース

去年の七月に危惧した通り、財閥系とオーナー会社という企業風土、経営理念の違いが最後まで埋まらなかったのではないかと私は思います。

この両社の決断が10年後にどんな結果となって現われるのか、あるいは代わりとなる経営統合の相手を探し出してくるのか。
当面、両社の動きから目が離せませんね。

ところでサントリーといえば、ラグビーの清宮監督が辞任するとか。

勝負の世界、ましてプロの世界は結果が全て。
人気者の清宮監督でも例外ではありませんでした。
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銀行営業日

2009-12-30 15:49:38 | ビジネス
日本で銀行業を営む者は、年末は12月30日まで営業しなければならないことになっています。

もっとも、平成5年(1993年)に12月31日が銀行休業日と定められるまでは、大晦日も普段どおり営業していまして、1月の三が日だけが銀行休業日でした。

1979年、私が新入行員として配属となった支店は、国内有数の商店街にありました。

したがって、大晦日の忙しさは想像を絶する忙しさ。

通常どおりの月末の資金決済を行なうお客様に加えて、手元の現金を全て銀行に預けて正月を迎えようという商店の方々、お年玉用に新券への両替を求めるお客様が店頭に殺到し、行員は誰も昼食をとれませんでした。

営業課も融資課も、全員が出納課に応援に駆り出されて、支店内の現金整理が完了したのは夜11時過ぎ。

「いやあ、やっと終わりましたね」などと言いながら行員食堂に集合すると、一足先に一杯やっていた支店長と副支店長は、すっかり出来上がり、行員全員で乾杯する頃には、テレビで「ゆく年くる年」が始まっていました。

大晦日は電車も終日運行されていますので、日付が変わってもちゃんと帰宅できるわけです。

あの頃の銀行の年末風景は、私の中では、すっかりセピア色の思い出となりましたけれど、現在の邦銀の商店街店舗の年末はどんな感じなのでしょうか。

ところで、今日の午後、暇潰しに丸ビルの地下をブラブラしていたら、一昨年の野球部新人監督だった國府くん(電通)と出くわしました。
大きなカバンを持った彼は、これから名古屋出張ということで、とても忙しそうでした。
広告代理店の仕事は本当に大変ですね。

写真は、前回の箱根駅伝で、一区・矢澤から二区・尾崎へのたすきリレーの場面。

今回も、矢澤くんに頑張ってもらって、1月2日に同じ笑顔のたすきリレーを見たいものです。
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旧交を温める

2009-11-19 22:50:48 | ビジネス
今日は、とても寒い朝でした。

新型インフルエンザによる学級閉鎖が全国で高止まりしたまま、本格的な冬を迎えようとしています。

私の同僚の息子さんが通う小学校では、6学年のうち4学年が学年全体が閉鎖となり、通学しているのは4年生と5年生だけだといいますから、尋常ではありません。

もし地方の企業城下町にある学校が上記のような状況となったとしたら、職場-家庭-学校というスモールワールドの中で感染の悪循環が加速して、あっという間に学校も家庭も企業も深刻なダメージを受けることになるのではと危惧します。

私も、今週は1人でグループの仕事を捌く非常事態にありますので、ヴイルスを拾ってしまわないことを神に祈るばかりです。


さて、一応そんな心配をしている私なのですが、本能には抗しがたく、今夜は邦銀時代の先輩Tさんと一緒に横浜に飲みに行きました。
(;^_^A

年次が一つ上で明治大学出身のTさんとは、同じ部署に勤務したことはないのですが、30歳代半ばに銀行の従業員組合で同時期に中央執行委員を務めた間柄。

夜遅くまで賃上げや臨給(組合では賞与やボーナスではなく臨時給与といいました)の交渉をしたり、徹夜で組合員向けニュースを印刷したりした“戦友”です。

営業店を巡回したり、銀行との交渉が妥結に至ったときには、中央執行委員が集まって縄のれんで一杯やりました。

時には、本店近くのお店で人事部の企画担当者と鉢合わせして、「やっと交渉も妥結したんですから、今夜は呉越同舟でやりましょう」と一緒に乾杯したことも。

まあ、こういう感じだったので、「第二人事部」などという有り難くない呼ばれ方もしましたけれど。

私が本部での勤務が長かったのに対し、Tさんは営業店一筋。

私が融資関連の本部通達を営業店に発信すると、すぐにTさんから電話がかかってきて、「この通達の趣旨を、ウチの支店の役割に当てはめて自分なりに考えてみたんだけど、ちょっと聞いてみてayくんの意見をくれないか?」と。

新たな課題、あるいは本部で突然の方針変更があっても、それに対するTさんのスタンスは、常に正攻法で、かつ現実的。

本部の企画担当者からみて、実に頼りになる先輩でした。

Tさんは、金融界激動の時代に東京・神奈川の5カ店で支店長を歴任されて、先ごろグループの保険会社に転籍出向されました。

私が外資に飛び出してしまって10年以上経過しましたが、飲み始めた途端に組合役員時代の雰囲気に戻り、とても楽しいお酒になりました。
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JDC信託

2009-09-16 12:59:47 | ビジネス
改正信託業法に基づく信託免許取得第一号であった、ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託、マザーズ上場)が、金融庁から信託免許取消の行政処分を受けることになりました。

私自身も同じ金融業界に働く者の一人で、そして、かつて信託業務に深く関わっていた者の一人として、非常に残念な事態となりました。

信託(Trust)とは、他人による財産管理・処分のための法制度の一つで、委託者(Settler)が受託者(Trustee)に財産の名義と管理権を移転し、公益もしくは1人以上の受益者(Beneficiary)のために、受託者が信託財産を管理・処分する信任関係(Fiduciary Relationship)と定義されています。

いってみれば、民法における債権法(契約に基づく権利と義務)と物権法(物の所有権等に基づく権利と義務)の両方にまたがる概念です。

JDC信託の場合、例えば、単一あるいは複数の映画から将来産み出されるキャッシュ・フローの受取権を映画制作者(委託者)が信託会社(受託者)に信託譲渡し、受託者はキャッシュ・フローを裏付けとする信託受益権証書を委託者に発行。
委託者はその信託受益権を投資家に売却して、映画制作資金を調達するという信託スキームをとります。

こうすれば、映画制作者は、将来のキャッシュ・フローを先取りする形で制作資金を調達できる一方、、万が一映画制作者が業況不振や経営破綻に陥ったとしても、信託された映画のキャッシュ・フローは映画制作者の財産から法的に切り離されて信託会社名義で管理されていますから、投資家は確実に信託会社から資金の分配を受けることができることになります。

このように、信託は、不動産、有価証券、知的財産権などの財産の名義を受託者に移転する制度なのですから、当事者間に絶対的な信頼関係が存在することが、信託制度の大前提。

今回のケースでは、その受託者であるJDC信託で、よりによって信託財産を自己の債務返済に流用するなどの違法行為があったということですから、まさに信託の根幹を揺るがす大不祥事であり、免許取消もやむを得ません。

フーテンの寅さん流にいえば、「社長、それをやったら、おしまいよ」

創業者の元社長さん(東大‐日本長期信用銀行。知的財産権に係る金融のプロ)をはじめ、以前からの知人がいた会社なので、正直いってショックです。

このような事件が発生すると、金融当局の監督強化を求める声が当然出てくるでしょう。

でも、信託免許の申請書を審査する段階で、個別の申請企業に対して金融庁がメガバンクと同じような社内態勢を要求してきて、その結果として、ビジネスが軌道に乗る前から重装備で小回りの利かない低収益体質となってしまった信託会社もあるやに聞きます。

信託ビジネスの健全な発展のために、信託業に係る監督のあり方の議論は、ぜひ複眼的に行なっていただきたいと思います。


ところで、金融監督といえば、国民新党の亀井静香代表が金融・郵政問題相に就任されると報道されています。

これまでの亀井さんの言動を見ている限り、国際的な金融業務のスタンダード、あるいは民間の金融業界の考え方とかなり距離のある人物だという印象があります。

公共事業での軋轢と同様、郵政・金融においても、亀井大臣のもとで議論沸騰、一波乱起きることは避けられないと思います。

しかし、その波乱は、前向きに、生産的に解決していかなければなりません。

国家、産業、個人、そして国際的な業務標準、いずれの目線からも、より合理的で持続可能と思える郵政・金融サービスが提供される制度が築かれていくよう、注目していきたいと思います。 
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まだ会議中

2009-07-27 21:52:02 | ビジネス
この時刻にして、まだ会議中。
(T_T)

今夜は、新しい記事をアップできないと思います。

ごめんなさい。
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