酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

カフカスの火遊びをやめよ

2008-08-21 21:19:26 | Weblog
 グルジア・南オセチアの紛争が勃発してから2週間になる。サーカジビリ大統領の思惑がどこにあったのかはいまだはっきりしないが、事前にアメリカとの間で何らかの情報交換が行われていたと考えるのが自然だろう。


 ロシアの反撃を待っていたかのようなポーランドとのMD協定調印、米海軍の黒海派遣…。一連の行動はあらかじめ準備をしていたとしか考えられないほど手際がいい。軍事的にはロシアの圧勝に終わったかに見える今回の紛争だが、真の勝者は誰かとなると、判定がつけにくい。


 ロシアが旧ソ連各国(CIS加盟国)をいまだに自分の属国と考えていることがはっきりした。バルト3国やウクライナなど、ロシアの脅威にさらされている国にとって今回の事態は喉元に匕首を突きつけられたようなものだろう。


 資源で締め上げられている上、いざとなれば空爆されるかもしれない。アメリカにすがりたくなる心情は理解できる。


 アメリカが軍事介入するのは、資源が絡んでいたりや地政学上の要衝であったりするケースが大半だ。脅威の度合いより優先しているかもしれない。北朝鮮を大目に見て、イラクやイランに厳しく出るのもそうした傾向の反映だろう。


 数年前までアメリカはロシアの軍事力など歯牙にもかけなかった。ところが、今は違う。アメリカが景気低迷で身動きが取れないのに対して、ロシアは原油高に支えられて国富を増大させている。兵器の近代化も一気に進んでいるようだ。


 アメリカがロシアを疲弊させる手段として重用してきたのが軍拡である。グルジア紛争もこの観点から眺めてみる必要がありそうだ。


 米海軍艦船の黒海派遣は挑発の一種だ。ロシア海軍はバルト海、黒海、太平洋の3艦隊からなる。ロシアの内海とも言うべき黒海に、星条旗を掲げた米国軍艦が遊弋する。ロシアにとっては屈辱以外の何物でもない。


 米国もロシアも「腐ってもタイ」だ。面子がぶつかり合えば、対立がエスカレートする。まして、現場はバルカン半島以上ともいえる危険地帯である。火遊びは許されない。
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