酔眼独語 

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川口父親刺殺 供述の変更は本当か

2008-08-04 05:13:18 | Weblog
 一時は「覚せい障害」が原因の特殊な事件との見方が広がった川口市の中3女子による父親刺殺事件が、おかしな展開になっている。

 8月1日付けの各紙は一斉に「家族全員を殺すつもりだった」と供述、なる記事を掲げた。埼玉県警がこんな発表をするわけがなく、捜査幹部への取材結果と見られる。リークしたのが誰かによって、記事のニュアンスは微妙に違うが、大筋以下の通りである。



 《埼玉県川口市のマンションで7月、中学3年の長女(15)=殺人容疑で送検=が会社員の父親(当時46)を刺殺した事件で、県警の調べに対し、長女が「すべてが嫌になり、父の後に母と弟も殺し、自分も死のうと思っていた」などと供述したことが分かった。県警は、長女が事件前、何らかの理由で過度のストレスを抱え、自暴自棄になっていた可能性が高いとみている。

 長女は「人に気を使って生きるのに疲れた」「全部をなくしたかった」などと2日、事件後初めて涙を流しながら話したという。「自殺も考えたが、残された家族が周りから変な目で見られると思いできなかった」とも供述しているという。

 これまでの調べに、長女は「直前に、父が母と弟を殺す夢を見たので殺そうと思った」と話していたが、「自分が母も殺そうとしていたことが分かると、残った母や弟につらい思いをさせてしまうと思い、うその夢の話をした」と供述を変え始めているという。

 父親については「特別な恨みや憎しみはなかった」と話していて、「お父さんを殺してごめんなさい」と後悔している様子だという》=朝日


 一見理路整然としている。反省の色も顕著だ。でも、逆にそれが不自然にも思える。殺意に具体性が乏しいのが最大の理由だ。「すべてが嫌にな」ったという。それは「人に気を使って生きるのに疲れた」ためであり、こんな人生は「全部をなくしたかった」というのだ。


 一連の通り魔事件の「容疑者」らと同じような言い草だ。決定的に違うのは、境遇であろう。この中学生の場合、何にそれほど追い詰められていたが見えてこない。殺意が家族に向かう理由もなさそうだ。



 警察が供述を誘導しているように感じる。確たる動機のない殺人が増えている。この件もそれで公判維持できそうだ。少なくとも「夢」が殺人にかかわっているよりは、はるかにいい。こう考えて、一斉リークに走ったのではないか。


 身柄を拘束された直後に発した言葉は重い意味を持つ。一突きにした勢いも覚せい障害と符合する。この事件の報道は、今後「夢」から離れ、「15歳にして人生に疲れ果てた少女の物語」となっていくに違いない。

引き続き要注目だろう


 
コメント
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