Aruiのスペース

自分の身の回りで起こったことの記録であったり、横浜での生活日記であったり・・・です。

天津148

2005-05-31 20:16:11 | Weblog
天津148  仏、欧州憲法を否決            5531
                                                            
一昨29日、フランスで実施された国民投票で、欧州連合(EU)の基本法である
欧州憲法の批准が反対55%で否決された。70%の高投票率での結果で
事前の予測よりも大差がついての否決だそうである。本来この問題は、中国・
天津に住む日本人である私の知ったことでは無い。ただ10日程前まで、短期
ではあるがSwedenを旅行して、EUに対するSwedenの友人の意見が耳に
残っていて、私としては、一般庶民の気持ちが判るような気がします。NHKの
フランスの特派員は、今回のフランス人のnonは、拡大EUが実現すると、会社が
製造コストの安い地域に工場を出して、結果、自分達の生活が脅かされると
いう恐れから出されたものと解説してました。私は聞いていて、そんな馬鹿な!
と思いました。会社が製造コストの安いところに工場を出すのは、経済共同体を
持たない日本でもドンドン進んでる、今更何をと思いました。日本は相手の国民
から嫌われてる中国にまで工場進出してますよ。

SwedenはEUに加盟しましたが、通貨はユーロにせず、以前通りKronaを使用
しています。人口870万人、高度な社会福祉を実現し、そのコストを維持する
ために高い税金を払っています。所得税も高いですし、消費税は25%です。
外国人もSwedenに住めば消費税を払う訳ですから、社会保障の恩典を
受けられます。だから外国からの流入が多いです。天津144で書いた街の広場
でのウオッチングでも有色の人達が増えているのが判りました。白人の流入も
多いのでしょうが、これは広場でのウオッチングでは判りません。バルト海対岸の
エストニア、ラトビア、リトワニアの人達がSwedenに来るのはわけないですし、
来ても私には見分けがつきません。有色はアフリカ系、中東系両方が増えてます。
アジア系はそれほど目立ちません。兎に角現実的に、高福祉は外国人を招き
寄せます。

私がSweden滞在中に世話になった友人のうち、レイはEU加盟に反対でした。
彼の意見はSweden人はヨーロッパ人とは違うと言うんです。どうしても一国経済
で成り立たないから他国と経済統合するなら、カナダやアメリカ東部の方が親近
感が強いと言うんです。彼は私の顔を見て、こう言いました。お前は世界のあち
こちを見てるから判るだろ、俺たちと、ポルトガル人やスペイン人と、どこか共通
する所があるか?言葉は勿論違うが、気候も違う産業構造が違う、食べ物が
違う、気質も違う。EUに加盟してしまった今、彼はこう言います。EU本部のある
ブリュッセルがクレムリンだ。彼らが勝手に命令し、結局俺たちは、それに従うほかは
無い。

もう一人の友人、ベアは経済人として、EU加盟に賛成したそうです。ですが
今は、加盟した後にいろいろ遭遇する矛盾に、不信を感じています。例えば、
天津146に彼らの食事について書きましたが、彼らが食べるパンは、パサパサの
黒パンかクネッケと呼ばれるカリカリに固い、薄いパンが中心でした。それがEU加盟
後、近所のスーパーマーケットには、こういったSweden古来のパンに替わって、
ヨーロッパのどこかで作られたパンが海を越えてトラックでやってくるそうです。それは
消費者が安いパンを選択した結果で、仕方がないが寂しいと言います。ベア夫婦は
値段の高い昔馴染みのパンを買っていました。彼の本業であった電池の製造は、
Swedenでは無くなり、スペインとかフランスの工場で生産されて、昔、彼が居た
工場にデポされ、彼が住むイエーテボリにあるVolvoの工場に納入されます。それは
経済原則に適っているから当然と受け止めています。ところが、彼は砂糖を例に
挙げました。西インド諸島の砂糖キビから作る砂糖を買えば、ヨーロッパ圏内で
作られる砂糖大根から作る砂糖の4分の1の値段で買える。それなのに、EU政
府は補助金を出して、EU内の砂糖大根農家を保護してる。何故そうなったかと言えば、
最初にECを作ったヨーロッパの国に砂糖大根農家がいた。それを保護したばかりに、
あとあと拡大加盟した国の砂糖大根農家を保護し続けるはめになったらしい。保護は
打ち切るのが難しいのは日本だけではないと言うことですね。これで終わればまだ
良いんですが、麦や乳牛で立ち行かなくなった農家が、砂糖大根に転換する動き
があるとのこと。そんなに高い砂糖大根ばかり作ってどうする。これに似た話が農産品
にはつきまとうとか。

私がたまたま知っているレイとベアの意見がこうだからと言って、Swedenが
EUから脱退する訳も無いですが、今回のフランスのnonで拡大は、危うくなり
ました。次のオランダの国民投票も事前予想では、否決されそうだとのことですが、
否決が決まれば、難しいでしょうね。2007年のブルガリアとルーマニアの加盟
までは決まってるようですが。そんな、イスラム教国のトルコまで入れなくても、と
思いますが、どうなんでしょうか。ま、小さなお世話ですよね。でもね、これは日本が
アジアの国々と経済共同体を作る時に、必ず問題になる点です。農産物の保護、
資本移転、宗教です。