2010年2月11日(木曜日)
もんじゅの連載記事の中に、シェルブールの地名があった。
高校生のときに、カトリーヌ・ドヌーヴの
「シェルブールの雨傘」を観て、シェルブールへいってみたいと
ずっと思い続けていた・・・
哀しくて切なくて、なんでふたりは結ばれなかったのだろうと
くやしくてならなかった。
この映画、セリフはすべて歌だけど、
ミュージカルとはまったく違う。
兵役に向かうギーとジュヌヴィエーヴが駅で別れるシーンで
「モーナムール」「ジュ・テーム」というフランス語を覚えた。
映画のシーンが鮮明に焼きついている港町・シェルブール・・・
甘く切ない恋愛の物語の舞台もいまやプルトニウムの積み出しや
核廃棄物を積んだ船が寄港する場所としてのほうが
有名になってしまった。
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20100211ddlk18040507000c.html
もんじゅ:40年の軌跡/3 1992年 核燃料輸送 /福井
◇資源を有効利用
92年11月7日午後9時(日本時間8日午前5時)、
1隻の貨物船が仏北部のシェルブール港を離れた。
船名も国籍も隠した船は一路、日本を目指した。
積み荷は翌年4月に起動した敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の、
次の燃料となる約1トンのプルトニウム。
もちろん公にはされていないが、紛れもない日本国籍の
プルトニウム輸送専用船「あかつき丸」(4800トン)だった。
「核物質防護上」と航路も明かさず、予想ルートに当たる
30近い国や地域が懸念を表明した。
動力炉・核燃料開発事業団の企画部長で、輸送の最高責任者を務めた
菊池三郎さん(68)=現原子力研究バックエンド推進センター理事長=は
「エネルギーの安定供給に役立つ我々の仕事が
暗いイメージでとらえられたのは不本意だった」と振り返る。
隠密航海は、日本のプルトニウム利用政策に
世界の目を集めるきっかけにもなった。
安全対策の難しさなどで開発先進国が次々と高速増殖炉計画から
撤退する中、大量のプルトニウム輸送を続ける日本に
「核武装の道を歩むのではないか」との疑念もくすぶった。
菊池さんは、ナトリウム漏れ事故(95年12月)直後、
“失地回復”の重責を担ってもんじゅ建設所(当時)の所長に就任し、
10年近く最前線で改革の旗振り役を務めた。
資源を有効利用する高速増殖炉開発を止めてはならないとの
考えは今も変わっていない。
14年を経て再起動しようとするもんじゅに、
「うまく船出をしてほしい」と願った。【佐藤孝治】
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20100211ddlk18040508000c.html
もんじゅ:運転再開、検討委が容認 県、敦賀市の最終判断が焦点 /福井
原子力安全・保安院がまとめた高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)の
運転再開を容認する評価案を、10日の経済産業省の審議会
「もんじゅ安全性確認検討会」が了承したことで、
運転再開に向けた手続きは大詰めを迎えた。
保安院は近く、評価を原子力安全委員会に報告する。
安全委が了承すれば国としての手続きは終わり、
残る県と敦賀市の最終判断が焦点になる。
安全委もプロジェクトチーム(PT)を設置して
独自にもんじゅ再開の安全性を審査しており、保安院の報告を受けた後、
16日のPTの会合で妥当性を検討。
早ければ18日の臨時会で、安全委としての見解をまとめる見込みだ。
旭信昭副知事と河瀬一治敦賀市長は、12日に保安院の
根井寿規審議官(核燃料サイクル担当)を県庁と敦賀市役所に呼び、
今回の評価の説明を受ける。
一方、県が運転再開の条件にしているもんじゅの耐震安全性評価については、
建物など構造物の耐震性を「妥当」とする評価案が
22日の作業部会でまとまる予定だが、
保安院としての最終的な評価は3月にずれ込む見通しだ。
日本原子力研究開発機構は、安全協定に基づく地元了解の協議願いを、
なるべく早く県と敦賀市に提出する考えだ。
河瀬市長は「国として太鼓判を押せば、
判断にそう時間を置く必要はない」と早期に判断する意向を示している。
しかし、西川一誠知事は「国の耐震専門家の意見聴取が終わらないと、
(判断の)前提にはならない」と、
再開の判断は耐震評価後になるとの考えを示しており、
年度内の運転再開に向けた手続きは綱渡りの状況が続きそうだ。【酒造唯】
http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000001002110002
もんじゅ反対派「再開もはや無駄」
高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の運転再開に向けた試運転を
原子力安全・保安院が認めた10日、
東京・永田町の衆議院第二議員会館では、
反原発の市民団体らが集まる
「脱原発政策実現全国ネットワーク」が全国集会を開いた。
文部科学省や保安院の担当者も出席。
参加者はもんじゅの運転再開への疑問をぶつけた。
集会は「『もんじゅ』の必要性を問う」と題し、
衆参議員やその秘書や市民団体の関係者ら約40人が参加した。
二部構成で、第一部では小林圭二・元京都大学原子炉実験所講師が
もんじゅの必要の無さをテーマに講演。
「高速増殖炉は危険性が高いために他国でも開発をやめており、
もはや無駄だ」などと主張した。
二部は質問会で、文科省、保安院、もんじゅの事業者である
日本原子力研究開発機構の担当者らに
「運転停止中のもんじゅに1兆円も投じた意味はあるのか」
「安全性の確認が不十分なのではないか」などと質問がぶつけられた。
「(高速炉の研究開発で)10兆円の経済効果がある」との受け答えに、
「何を根拠にしているのか」と質問者が食い下がる場面もあった。
集会に参加した「原子力発電に反対する福井県民会議」の
小木曽美和子・事務局長(74)は運転再開の容認について、
「関係機関の答えは論点のすり替えが多かった。
県や敦賀市は住民が納得できる説明がされるまで
判断するべきではない」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20100210-OYT8T01477.htm
もんじゅ 大きな節目
国の運転再開容認
3月末までの運転再開を目指す日本原子力研究開発機構の
高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市白木)は、
経済産業省原子力安全・保安院が10日に運転再開を
容認したことで大きな節目を迎え、関係者から様々な反応が聞かれた。
今後は内閣府の原子力安全委員会での審議とともに、
機構と県、敦賀市との事前協議が焦点となる。
保安院は12日に幹部を県、市へ派遣して今回の評価結果を説明し、
運転再開への理解を求める。
この日開かれた保安院の審議会「もんじゅ安全性確認検討会」には、
機構の岡崎俊雄理事長も出席。
冒頭で「設備面、安全管理面ともに(ナトリウム漏れ事故の起きた)
14年前から大きく改善されている。
現場も再開をやり遂げるという気概に満ちている」と
あいさつし、強い意欲を示した。
その後、保安院側がナトリウム漏えい対策、
事故対応時の体制などを項目ごとに評価した結果を説明し、
「いずれも適切で、試運転の再開にあたり、
安全確保を十分行い得る体制となっている」と結論付けた。
目立った質問や異論は委員から出ず、
保安院の結論が淡々と了承された。
検討会に出席した機構の早瀬佑一・敦賀本部長は
「安全性が保安院から認められ、ほっとしている」と表情を緩める一方、
安全協定に基づく県と市への事前協議の申し入れについては
「地元との調整が必要なので、今の段階では申し上げられない」
と慎重に言葉を選んだ。
地元自治体側にとっては、運転再開の是非を最終判断する
時期が迫って来たと言える。
桜本宏・県原子力安全対策課長は
「もんじゅの安全性が確保され、試運転を再開できるとの
規制行政庁の判断が示された。
県としては、原子力安全委員会の確認結果、
耐震安全性の審査状況を引き続き注視する」と話し、
松永隆司・敦賀市原子力安全対策課長は
「ようやくここまで来たという思いがある。
保安院の総括的な評価を、市の判断材料としていく」と語った。
一方、市民団体「原子力発電に反対する県民会議」の代表委員を務める
小浜市の中島哲演・明通寺住職は
「運転再開に固執し続ける国や原子力機構の姿勢には疑問を感じるし、
予測を上回る自然災害が起きた時の機器の耐震性にも
不安が残る」と批判した。(2010年2月11日 読売新聞)