杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

トレヴィの泉で二度目の恋を

2020年12月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年1月31日公開 アメリカ 97分 G

人生の晩年を迎えたエルサ(シャーリー・マクレーン)には、まだ叶えていない夢があった。それは、ローマにある“トレヴィの泉”を訪れ、フェデリコ・フェリーニ監督が「甘い生活」で描いたような甘美なシーンに自分も立ってみたい、というもの。80歳のフレッド(クリストファー・プラマー)は7ヵ月前、長年連れ添った妻に先立たれ、失意のどん底にあった。娘リディア(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の勧めで心機一転、住み慣れた家から小さなアパートメントへ引っ越したものの、心は沈んだまま。そんな時、隣に住むエルサが、リディアの車のヘッドライトを破損してしまう。修理代金の小切手を持ってフレッドの家を訪ねたエルサは、いつものクセでつい小さな嘘をつく。それは、未亡人である自分の年金で5人の孫たちを養っているという作り話だった。その嘘を信じたフレッドは、彼女に同情して小切手を返却。意外な行動に驚きつつ、その優しさにエルサの心は揺れ動く。“偏屈なジジイ”という最初の印象は、いつの間にか好意に変わっていた。けれど、楽観的で肯定的なエルサとは正反対のフレッドは、全てに対して悲観的で否定的。それでも、エルサの努力によって、冷え切っていたフレッドの心に少しずつ変化が訪れる。少しお洒落をして家を訪ねてきたフレッドに、“トレヴィの泉”に行きたかったこと、若い頃にピカソに絵を描いてもらったことなど次々と楽しそうに語るエルサ。その半分以上は愛嬌ある嘘で固められているものの、フレッドには刺激的な話だった。そして、一緒に散歩に出かけ、ダンス教室を訪れるうち、フレッドは笑顔を取り戻し、気づけば彼女に恋をしていた。まるで若い恋人同士のような2人の関係は順調そのものだったが、実はエルサはまだ秘密を抱えていた。そして、ある出来事をきっかけに、これまでのエルサの嘘がばれてしまう。すべてが明らかになった時、フレッドが取った行動とは……。(Moviewalkerより)

 

人生の黄昏期を迎えた男女の新たな恋を描いたハートフルドラマです。自由奔放なエルサと偏屈なフレッドという正反対の2人の出会いは最悪。 駐車場面で車をぶつけるシーンは外国映画でよく見かけますが、破損させてしまったらやっぱり事故扱いだよな~と 現場をフレッドの孫に目撃されながらも口止めを強要し、車の持ち主であるフレッドの娘夫婦に対してもしらばっくれる厚かましさに唖然 どうなってるの?エルサの頭の中??エルサの息子が間に入り、弁償することで事なきを得ますが、その小切手をフレッドに渡す際についた嘘もまたぶっとんでいました エルサの作り話を信じたフレッドはお金はいつでもいいと受け取らず、その小切手はエルサの芽の出ない芸術家の次男への援助金に化けちゃうという 

フレッドの妻はいかつい顔ですが、彼なりに妻を愛していたようです。娘婿が金に汚く何かと援助をせがむのも気に入らない彼は、誰からも指図されずに孤独に浸ろうとしますが、フレッドに好意を持ったエルサが何かとお節介を焼くんですね。

初めは煩く思っていたフレッドでしたが、いつしか自分と正反対のエルサの明るさや積極的な姿勢に惹かれていきます。彼女の嘘(5人の孫がいる息子の話に始まり、未亡人の筈が元亭主は生きていたり)が次々ばれても、何故かフレッドの気持ちは揺らがないんですね~~ここはちょっと不思議。自分だったら嘘つかれた時点で冷めちゃうと思うので 極めつけは、エルサが透析患者で余命いくばくもないことです。

エルサは憧れの映画「甘い生活」の中でマルチェロ・マストロヤンニとアニタ・エクバーグが戯れるトレビの泉に行くことが長年の夢でした。元夫はそんな彼女の願いを叶えてくれませんでしたが、フレッドは娘夫婦の投資話の援助を止めて、エルサとローマに行きます。(初めは娘や孫のために渋々引き受けようとした援助ですが、本当にやりたいなら自分たちで叶えろときっぱり断るシーンが見ていて痛快でした。

ローマの風景や名所も登場し、「甘い生活」の情況設定を忠実に再現しようとするエルサに寄り添うフレッドの紳士的な態度がです。

結局フレッドは再び愛する女性を喪うことになるのですが、それでもきっとこの恋を後悔はしないんだろうなぁと思いました。

エルサの息子たちも彼女の恋を温かく見守っている感じでした。70代と80代、老いらくの恋ではありますが、こんな人生も素敵 


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