杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

えんとつ町のプペル

2020年12月25日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2020年12月25日公開 100分 G

信じて、信じて、世界を変えろ。

厚い煙に覆われた“えんとつ町”。煙の向こうに“星”があるなんて誰も想像すらしなかった。一年前、この町でただ一人、紙芝居に託して“星”を語っていたブルーノ(声:立川志の輔)が突然消えてしまい、人々は海の怪物に食べられてしまったと噂した。ブルーノの息子・ルビッチ(芦田愛菜)は、学校を辞めてえんとつ掃除屋として家計を助ける。しかしその後も父の教えを守り“星”を信じ続けていたルビッチは町のみんなに嘘つきと後ろ指をさされ、ひとりぼっちになってしまう。そしてハロウィンの夜、彼の前に奇跡が起きた。ゴミから生まれたゴミ人間・プペル(窪田正孝)が現れ、のけもの同士、二人は友達となる。そんなある日、巨大なゴミの怪物が海から浮かび上がる。それは父の紙芝居に出てきた、閉ざされたこの世界には存在しないはずの“船”だった。父の話に確信を得たルビッチは、プペルと「星を見つけに行こう」と決意する。しかしこの町の治安を守る異端審問官が二人の計画を阻止するために立ちはだかる。それでも父を信じて、互いを信じあって飛び出した二人が、大冒険の先に見た、えんとつ町に隠された驚きの秘密とは?(公式HPより)

 

「キングコング」の西野亮廣プロデュースで、イラスト、着色、デザインなど総勢33人のクリエイターによる分業体制、クラウドファンディングを使い資金を募って制作された絵本「えんとつ町のプペル」がアニメ映画になりました。(といっても絵本は未読ですが

原作者の西野亮廣自ら製作総指揮・脚本を手がけ、絵本では描かれなかったえんとつ町の“本当の物語”が描かれています。アニメーション制作は圧倒的クオリティと世界観を持つSTUDIO4℃。設定開発にとことんこだわり、町の創設からエネルギー構造までを再構築し、ファンタジックな町並みと魅力的なキャラクターを立体的に映像化したと謳うだけありました 窪田君がプペル役という理由だけでも十分だったのですが、TVで予告映像見た途端、これは映画館の大きなスクリーンで観たいと思わされましたもの 

オープニング主題歌はHYDE、エンディング主題歌はロザリーナが担当しています。

空から降ってきた輝く隕石状の物体が心臓の形になり、周囲のゴミをまとって人間の形になります。折しも町はハロウィンで賑わっていて、モンスター(子供の仮装なんですね)たちのダンスにゴミ人間も加わるのですが、このダンスシーンはティム・バートンの作品を連想させます 子供たちは彼が仮装しているのだと思っていたのですが、そうではないと知り逃げ出します。異端審問官から逃げる途中、ゴミ収集車の中に落ちてしまった彼を、人間だと思ったルビッチが助け出すところから二人の物語は始まるんですね

ルビッチの父ブルーノは単純だけど男気のある人でした。息子に夢を信じることを教えます。母のローラ(小池栄子)もブルーノの良き理解者です。彼女は病弱な設定ですが、気風の良い姉御肌なキャラ 黒煙に覆われた町で喘息が悪化しているようなのですが、それと車椅子がどうかかわっているのかはよくわからなかったなぁ

実はブルーノはお喋りな鉱山泥棒のスコップ(藤森慎吾)から「えんとつ町」ができた由来を聞いて紙芝居を作り青い空や星が輝く夜空の存在を人々に気付かせようとしていたのですが、それは町を統べるレター15世(野間口徹)と彼を陰で操るトシアキ(宮根誠司)にとって大変都合が悪かったのです。

父が消えた後も、ルビッチは星を探すことを諦めませんでしたが、ブルーノの話を出鱈目と決めつける町の人々や友達だったアントニオ(伊藤沙莉)、レベッカ(諸星すみれ)、デニス(大平祥生)から孤立していました。家計を助けるため煙突掃除屋になったルビッチですが、高いところが苦手な彼がこの仕事を選んだのはお金だけではなく、星を探すのに高いところは絶好の場所だったのね。

自分が誰なのか、どこから来たのかも知らないゴミ人間に親近感を抱いたルビッチは、容貌の似ている父の紙芝居に出てくる登場人物のプペルという名前を彼に付け友達になってと頼みます。異端審問官に追われているプペルを、えんとつ掃除屋のボスのダン(国村隼)はブルーノの店に匿い仕立て屋の仕事をあてがいます。えんとつ掃除の仲間たちも概ね二人を黙認していました。でもスーさん(飯尾和樹)は理解者の振りをしていたけれどスパイだったのね 純粋で優しいプペルは仕事の傍ら、ルビッチが落としたお父さんから貰ったブレスレットをゴミ山で探し回るので、ルビッチが毎日洗っても洗っても彼は臭いの そんなある日、アントニオたちからルビッチを庇おうと、彼が星を探していることを話してしまったプペルは、ルビッチに誤解されもう友達じゃないと言われてしまいます。アントニオは小さな頃、偶然星に気付いたけれど、言い出せずにいたことが後に明かされます。信じて貰えないと思って黙ってしまった自分への反動でルビッチやプペルに辛く当たったというわけね。

それでもブレスレットを探すことを諦めなかったプペルは遂に見つけるのですが・・・。

友だちだからこそのすれ違いと誤解。それが解けて、より一層深まる友情。王道の展開ですが、なかなか感動的です。

プペルの仕草に父を感じたルビッチ。その時プペルの心臓が高鳴り、船が出現します。スコップから町の真実を聞いたルビッチは、自ら星を探しに行く決意をするんですね。

スコップの協力のもと、船に大量の無煙火薬を積んで気球で空に浮かばせるという壮大な計画が始まります。姉貴分のドロシー(本泉莉奈)も力を貸してくれます。(子供があんな装置を作れるのかというのは置いときましょう

異端審問官たちが迫る中、町の人たちに訴えるルビッチを見て、母は息子を信じると啖呵を切ります。えんとつ掃除の仲間たちやアントニオたちも加勢し、船は空へと浮かび上がり・・・爆発と共に空を覆う黒煙は吹き飛ばされ一面の星空が姿を現すシーンはただただ美しかったです。

プペルが勇気を出して信じることに突き進んだことで町の未来が変わるのね。そして見届けたプペルは・・・あぁやっぱり彼はそうだったんだ

(個人的には最後まで窪田君の声でいて欲しかったけど、展開的にはあれが正解なのよね)

「えんとつ町」は夢を持てば笑われて、行動すれば叩かれる現代社会の縮図。これは黒い煙を突き破り、星空を見つけるまでの希望の物語なのだとこれは作者の弁。 信じることの大切さを教えてくれる作品です。
 

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