杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

薬屋のひとりごと5

2024年08月10日 | 
日向夏 (著), しのとうこ (イラスト) ヒーロー文庫

子の一族の反乱がおさまり、宮廷では皇子が生まれたことで玉葉妃が正室になった。壬氏もまた、宦官ではなく皇弟として政を行うこととなる。
一見、何事もなく平和におさまったかに見えたが、都にはすでに不穏な空気が漂っていた。猫猫はといえば、謎の毒菓子事件、蝗害への不安、紙の村の所有権問題……いつものごとく巻き込まれ、首を突っ込むことになる。
また、壬氏からの命令で、玉葉后の故郷、西都へと向かうことになった。
色とりどりの花たちが咲く舞踏会で何者かの陰謀が渦巻いていく。
猫猫はその思惑を暴くことができるだろうか! ?(内容紹介より)

序話
毎回一度読んだだけでは語り手が誰なのかよくわからないけれど、終話まで読み終えると「あぁそうか」と腑に落ちるという😓 
主上と阿多の子供時代ですね。

一話 蝗
子の一族の生き残りで趙迂 と名を変えた子供と共に花街に戻ってきている猫猫。クソガキに振り回され加減の猫猫とのやりとりが面白い。
緑青館の館主が持ってきた蝗の煮付けから、趙迂の断片的な記憶により蝗害の兆しを感じ取った猫猫は情報を集めようと動き出します。

二話 右叫
本屋で、猫猫が軟禁されていた砦にあった図録を目にした猫猫は、李白を通じてその出所を追求し、犯人が砦で猫猫を逃がしてくれた男と知り、彼から蝗害の研究をしていた元住人の話を聞き出します。趙迂 の素性を知る男を猫猫は緑青館の男衆・右叫 に預けます。

三話 眠り
砦から盗まれ市中に流れた図録を集めるため、猫猫は壬氏に協力を求めます。お疲れの様子の壬氏に休息を取らせようとする猫猫。やり手婆の協力で緑青館の最高級の部屋を用意し、滋養強壮剤を勧め、未通の娘たちが集められますが・・・戸惑いながらも期待した壬氏の思いは見事に肩透かしを食うのね。結局猫猫が歌う子守唄で熟睡することに。猫猫一人が周囲の期待を見事にスルーする様子が笑えます。

四話 火鼠の皮衣
趙迂の綿入れを買おうと市に出かけた猫猫は、店の主人から天女が織った白い衣装の物語を聞きます。それが火鼠の皮衣と気付いた猫猫は一計を案じ、ただで新しい着物を手に入れることに成功 します。火に強い石綿で織られた衣装なのね😮 

五話 パンがなければ
子どもが病気だと助けを求めてきた金を払えそうもない男の頼みに渋々承諾して出かけた猫猫は、原因が毒入りの焼き菓子を食べたためと推測し、家に連れ帰ります。数日後、その子の姉が訪ねてきて緑青館で働くことを申し出ます。物乞いで終わる人生から抜け出すことを望む娘の意思を猫猫は尊重します。厳しい現実を突きつけながらも最終的には後押しする猫猫の優しさが印象付けられるエピソードです。

六話 最後の一冊
薬屋に図録を持ってきた馬閃が白鈴小姐に迫られあたふた😁 童貞男には刺激が強過ぎね。
後宮を追い出された医官が不老不死の研究をしていた中で、蝗害を防ぐ方法についても調べていたことを知った猫猫は、壬氏と共に殺虫剤の製法や雀の禁猟などの蝗害対策を検討します。
壬氏に飛蝗の煮つけを食べさせる悪戯を仕掛けた猫猫ですが、壬氏はそれを食べて周囲を驚かせます。猫猫の手から直に口に運んで貰うことが彼にとって何より重要なんですね~。まさに恋は盲目。
やり手婆から好みの男性像を問い詰められ趙迂が描いた絵はやぶ医者に似ています。男嫌いの女華小姐の「人の心は変わるもの」との言葉は猫猫の心の中にある恐れを示しているようでした。

七話 白蛇仙女
白髪と真っ赤な目を持ち、人の心を読み金を生み出すという白娘娘の話に興味を持った猫猫は、羅半と陸孫に連れられ、彼女の不思議な芸を見に劇場へ行きます。その技が錬金術や奇術と見抜いた猫猫はその仕組みを羅半らに説明してみせます。彼女の一座が都から消えた後、謎の食中毒事件が残されます。白娘娘が飲んで見せた銀色の液体が水銀と気付いた猫猫はそれが毒にも薬にもなることに思いを馳せます。
 
八話 向き不向き
壬氏から、遠出の供をするようにとの文の対応に悩んでいた猫猫は、左膳(砦から図録を盗んだ男)が薬の知識があると気付いて薬師としての訓練を始めます。やぶ医者の実家で起きている問題もあり、彼を加えた一行(壬氏と馬閃)は都を後にします。ちなみに壬氏は顔に火傷痕を作り普段の彼とは別人の扮装で誰も気づかないのね😁 

九話 紙の村
やぶ医者の実家は紙作りの村。後宮にいた間に両親が亡くなって十数年ぶりの帰郷となった彼に、妹の長男は侮蔑の言葉を投げつけます。
地主に不当な要求を受け村を追い出されそうになっている状況を、猫猫は酒の強さを生かした計略で地主を出し抜いて助けます。話し合いの場となった食堂の酒の多さから、地主が税を誤魔化していると察した猫猫の脅しが効きます。😁 発端が地主の娘とやぶの妹の長男との関係にあると知って脱力する猫猫です。そんなんで村を巻き込むなよな~

十話 麻と民間信仰
主上が『月』への思いを吐露しています。旅の目的は、西方地域で発生する可能性のある蝗害への対処と、国内外の政治的安定を保つことにあり、そのための花嫁選びの要素もあるのね。

十一話 盗賊
やぶの村を出た一行は、山道で先行する阿多と里樹妃が盗賊に襲われている報告を受けます。壬氏は馬閃他数名を加勢に行かせます。人数に不安を覚える猫猫でしたが、その心配は杞憂でした。里樹妃がこの旅に同行しているのは、皇弟の花嫁候補であることが示唆されますが、猫猫の心が騒ぐことはないみたい。😔 はなから身分違いを強く意識して自制しているような。

十二話 積み重なる問題
里樹妃は、父親との親子関係に疑問を持ち猫猫に助けを求めます。馬車が襲われたことでその疑問がさらに深まったようです。真の父親についての確認は困難で、皇帝の可能性もあり、もしそうなら里樹妃と壬氏(皇弟)では近親婚となるという面倒なことに。
一方、馬借が旅芸人から貰った薬が阿片だとわかり、また盗賊たちが阿片中毒者で彼らの手首に巻かれた紐が白蛇信仰によることから白娘娘との関連が浮上してきます。

十三話 西都 初日
合流した一行の旅は平穏に進み、猫猫は薬師として翠苓から異なる調合方法を学び交流を深めます。虫嫌いの翠苓が徹底した虫除けをするので蠍などに出会わないことが残念な猫猫に失笑。
西都に到着し、贅沢すぎる部屋に案内された猫猫ですが、隣室から聞こえてきた里樹妃が異母姉に暴力を受ける音に気付くと彼女に寄り添おうとします。阿多と3人で食事をして里樹妃を慰めた猫猫は部屋に戻る途中馬閃から里樹妃についてあれこれ聞かれます。これって壬氏様の嫁候補としてというより彼の里樹妃への想いから発せられている気がしますが・・・。
話声を聞きつけた壬氏、羅半、陸孫に見つかった時の馬閃と猫猫の様子はどうにも密会の体があり、こりゃ壬氏様は完全に誤解するよな~😅 

十四話 西都 二日目
翌日。羅半と陸孫に呼び出された猫猫は、羅の一族の姫君として宴に出席するよう言われ、西方風の服に着替えさせられます。提供された特別な簪が注目を集めますが猫猫はその意味を気付こうともしません😁 
夕食の席で、里樹妃の父・卯柳の乱暴な態度が顰蹙を買いますがこれって伏線だったのね。
羅半から壬氏の子を産むよう促され断固拒否する猫猫のやりとりも笑えます。面食いな彼の狙いもわかりやすい。

十五話 宴(前編)
朝っぱらから里樹妃の異母姉の嫌味に気分を害した猫猫ですが、庭の植物(サボテン)について翠苓と薬草の知識を共有して和やかな時間を過ごします。薬師としての二人の関係は上々ですね。
宴では、前年都に来た女特使に再会します。彼女は羅半と穀物取引について互いの利益になる提案をし、北から虫の災いが近づいていることを示唆した上で協力し合うことをも提案します。それらが叶わない時の亡命についても依頼するの。
 
十六話 宴(後編)
西方から持ち込まれた獅子が逃げ出し、里樹妃(と猫猫)に襲い掛かります。絶体絶命の危機を馬閃が獅子を殴って退治します。気の利かない彼を何故同行したのか、その理由を猫猫は理解します。並外れた力の持ち主であり武官として最高の働きができる男なのね。
騒ぎの中で、猫猫は卯柳、里樹妃と異母姉の歯を調べて共通の遺伝的特徴に気付き親子関係についての真実を暗示し異母姉と卯柳に里樹妃をもっと大事にするよう促します。なんだかんだいってもちゃんと里樹妃の味方になるのね。😀 


終話
宴の後、一人庭の長椅子に座る猫猫に壬氏が近づきます。
獅子が里樹妃にかけられた香水の匂いに引き寄せられた可能性を指摘する猫猫。いつになく強引な壬氏の行動にたじろぐ猫猫ですが、白鈴小姐に仕込まれた技を用いて形勢逆転・・・って壬氏様も初心なのね~~😅
6巻を先に読んで二人の間に何があったのか気になっていたけど、やっと謎が解けた😀

阿多の述懐 。子の一族である翠苓の母との関係(幼馴染で親友だった)にも言及されています。
壬氏は彼女の実子であり、取り替えられたいきさつも語られます。
子どもの頃に交わした約束の相手は主上であり、その一つ「国母に」という約束をおそらく主上は覚えているのだと推察します。
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