杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

九十八歳。戦いやまず日は暮れず

2024年07月28日 | 
佐藤愛子(著) 小学館(発行)

草笛光子さん主演の映画『九十歳。何がめでたい』の原作は、『九十歳。何がめでたい』と、その続編である本作。90歳を超えて刊行した『九十歳。何がめでたい』がなんと2017年の年間ベストセラー第1位になるほどの大ヒット。にわかに忙しくなった愛子センセイはヘトヘトの果てに昏倒!? 

タイトルは、1969年に発売された直木賞受賞作『戦いすんで日が暮れて』の本歌取り。夫が作った莫大な借金をひとり背負い込んで奮闘する妻(=佐藤センセイ)の姿を活写し、愛子センセイが世に出るきっかけになった代表作の一つです。それから半世紀以上を経て、作家人生最後の一冊として発売した本エッセイ集のタイトルに『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』と付けたのは、こんな年になっても戦いは終わらず、日も暮れていない――。愛子センセイが長い人生を生きて来た実感です。愛子センセイがヘトヘトになりながら綴った抱腹絶倒のエッセイや林真理子さんや綿矢りささんとの対談をご堪能ください。(内容紹介より)

目次
こうしてソレは始まった
ヘトヘトの果
どこまでつづくヘトヘトぞ
桃食ったむくい
なんでこうなる?
時は流れぬ
お尻の役目
算数バカの冒険
無精の咎
今になってしみじみと
前向き横向き正面向き
嘘は才能か?
ブルンブルン体操
小さなマスク
みいれなのか ねのね
思い出考
マグロの気持
千代女外伝
「ハハーン」のいろいろ
釈然としない話
さようなら、みなさん

前作に続いて、映画でもいくつかのエピソード(病院での検査前の注意事項を知らずに出直した件など)が登場しています。

人生相談の話では佐藤先生ならではの回答「あなたの弁当はおそらくまずいのです」に思わず納得しちゃいました。

若い頃の話の中で、嘘を付けずに困った話で孫の「いい馴れていればすぐに出てくる」におぃおぃ!と思いながらも逆に嘘をつけなかった純真な少女時代の筆者を思い浮かべてしまいました。

森さんの「女性が多いと会議の進行に時間がかかる」 発言やアベノマスクの話では、世間からバッシングを受ける中で感じた思いについて書かれていますが、戦争を経験した世代から見たら、今の安易に同調する世相に眉を顰める気持ちが伝わってきます。

目にも耳にも衰えがきて、身体にもきて、遂には精神的にもヘロヘロになったという筆者の、最後は断筆宣言で終わります。現在は100歳を超えていらっしゃるそうですが、「書かないと死ぬ」体質らしいのでまた何かの機会に作品が発表されるかもですね。世間に公表しなくても日記は続けていそう😊 

文庫化された本作では、林真理子さんや綿矢りささんとの対談、爆笑エッセイや群ようこさんの寄稿を新たに収録されていて、今は亡き文学仲間との話や人生の意味などについても語られています。
対談でのやりとりを読むと、至極真っ当、といったら失礼かもですが、エッセイに投影されるキャラとはまた少し違って、穏当で誠実な人柄がうかがえました。😀
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