思ったことをFBにさっと書いたのですが、それをブログのエッセイにしてみます。
7月に入り、研究に関連した出張を始めました。また世間がコロナで騒ぎ始めたので、今後どうなるか分かりませんが。
7月16日は、気仙沼湾横断橋の現場へ。RC床版を高耐久化するために、東北地整の手引きに基づいた工事が行われていますが、RC床版に発生したひび割れの調査を、発注者、施工者、今後の維持管理計画を策定するコンサル、横浜国大等で行いました。現場のひび割れの発生状況は、事前に想定していたものと異なりました。私がこれまでに想定していたひび割れに関する要因以外にも、要因があることを現場での議論を通して学ぶことができ、大変に有意義な現場での議論でした。
この調査から得た知見は、また東北地整の手引き等にフィードバックします。
今回の調査には、RC床版の耐久性・ひび割れ抑制の研究をテーマにしている留学生を同伴しました。彼も、今回の調査での議論や、道中での私とのやり取りから多くのことを学んだようで、やはり土木技術者として現場での議論の重要性を再確認しました。
この学生も非常に頑張る方ですが、指導する学生たちと、研究の打ち合わせをすると(最近はZoomで行うことが多いのですが)、清々しい気分になることが多いです。特に、こちらが様々な理由で滅入っているときに、そのような気分にさせられることがしばしばあります。世の中のかなりの情報がねじ曲がっている、場合にとっては意図的な嘘が多い中で、真実を探求しようとする研究という行為だから、そのような清々しい気分を感じるのだろうと思います。
また、研究においては、前提条件が重要なのは当たり前ですが、世の中の大半の議論は、前提条件が間違っているとか、前提条件を意図的にねじ曲げられて設定されている場合がほとんどで、これも気が滅入る大きな理由です。研究においては、そもそもなぜその目的を設定するのか、また議論を進めていくための前提条件や境界条件について徹底的に議論します。当然に、結果は条件によって変わるのであって、それらの条件をいかに設定するか、が研究の根幹とも言えます。
研究での議論を通して清々しい気分にさせられるのは、学生(特に留学生たち)が真剣に取り組んでくれているのが大きいですが、この場を大切にしたいです。
今回、要請もあって気仙沼湾横断橋の現場に行きましたが、今回の件は、大学の関係者の中でも私が最適任の研究者です。RC床版の施工段階でのひび割れについて、構造物の全体的な視点も含めて検討している、もしくは検討できる研究者はほとんどいないと思います。さらに今回の現場調査では、床版を施工した後、壁高欄、中央分離帯の施工で生じる荷重も影響していると思われたので、まさに「施工段階のひび割れ」であり、机上のみでの検討では対応不可能でしょう。
元々、研究者は、自分の最も得意なことをする人種でしょうから、他人の真似などして太刀打ちできる職業ではありません。
私自身も、「研究が下手」を公言してしまう研究者ですが、そうであっても自分にしかできない研究があるのは当然に自覚しており、自分にしかできない研究に大した価値がないのであればすぐにでも職を辞そうと常に思っているつもりです。
今年度は、東北地方整備局の品質確保、耐久性確保に関するいくつかの手引きの改訂を行う予定となっていますが、私も最前線のプレーヤーとして関わります。このような機会に恵まれていることを幸せに感じ、研究者として最善を尽くそうと思います。
清々しく感じることのできる、この場がある限り、・・・、と言いたいところですが、この場さえも失われようとしているのが現在の大学であり、心から危惧いたします。私自身はよいとしても、後に続く研究者たちが活躍できる場を確保しないと、この国の明るい将来はない(少なくとも近未来には)と思われます。どん詰まりの状況ではなく、取り得る対策があるのが歯がゆいですね。国民が賢明な選択を重ねることを期待します。
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