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細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

一身の独立

2013-07-14 11:19:40 | 人生論

藤井聡先生の「強靭化の思想」という本を購入して読んでいます。これまでに,藤井先生があちこちで発信してこられた小論をテーマごとに整理して発刊された本で,私も読んだことの無いものが多く,とても興味深く,勉強させていただいています。共鳴する考え方がほとんどであり,私たちが展開しようとしている種々のプロジェクトと相通じることが非常に多いです。

その第5章,「一身独立」して一国独立す,の中に以下のような文章がありました。実は,私が初めて藤井先生にお会いした2012年3月9日の夜の懇親会でお話ししたときも,福沢諭吉の「学問のすすめ」の内容でとても盛り上がりました。以下引用する文章は,2012年10月10日に刊行されたものです。「学問のすすめ」には,今の日本人こそが読むべき,身に付けるべき考え方がほとんどの箇所で書かれており,私も何度も読んでいますが,常に感銘を受けます。

「この福沢諭吉の志をこの平成の御代で引き継ぐ者が,何をすべきなのか - それは,驚くほどに単純なこと以外に何もない。あらゆる場面,あらゆる局面で,さまざまな心ある人々の言葉に耳を「傾け」つつ,自らの頭で「考え」,その場その場の状況の中で適切な言葉遣いのもと「発言」し続けること - それ以外に何もないのである。

言論の場を持つ言論人なら,一身の独立を前提としたあらゆる言論を公言し続けることが求められよう。言論の公的な場を持たぬ市井の民であるなら,さまざまな言論に耳を傾けつつ,自らが参画する共同体や社交の場で,適切な言葉遣いを続けることが求められよう。そして一国の総理であるなら,独立せんとする強い意志のもと,「戦後レジームからの脱却」を高らかに掲げ,そのために求められるあらゆる言論を発し続けることが求められよう -。」

福沢諭吉は,「一身の独立」のためには,「気力」が必要であり,その「気力」のためには「学問」が必要である,と言いました。

学ぶことで気力が充実する。適切な言葉遣いのもの「発言」し続けることとは,実践を続けることです。「さまざまな心ある人々の言葉に耳を傾けつつ」,「その場その場の状況の中で適切な言葉遣いのもと」,というところに非常に共鳴いたします。皆がそうなれるよう,私の持ち場では実践を続けます。 


積重ね

2013-07-14 09:55:25 | 研究のこと

私自身は,日々ベストを尽くすことを考えてやってきたつもりです。その日にできることをやる,という意味でもそうですし,中期的な,あるいは長期的な戦略を考え,人と議論することでブラッシュアップする,という意味でもベストを尽くしてやってきたつもりです。

鞆の浦の研究は昨年,赤間君と開始しましたが,そこに至る経緯や,その後の進展は,これまでの積重ね無しにはあり得ません。私自身には日常の積重ねなのであくまで日常なのですが,私自身よりも,私の側近で見てきた人の方が積重ねの重要性を認識できるようです。

鞆の浦に私たちが関わることになったのは,木谷正道さんと私が出会ったからですが,その出会いが無かったら,私が鞆の浦に関わることは絶対に無かったでしょうし,今の我々の防災研究もやっていなかったです。なぜ,私と木谷さんが出会ったか。

横浜市の熱血職員たちが木谷さんの活動に共鳴してサポートしておられたわけですが,その熱血職員たちが私と木谷さんを引き合わせてくれました。この二人を合わせたら面白いだろう,ということで。25歳も年が違う二人を引き合わせてくれました。木谷さんと熱血職員二人で私の研究室に来てくださり,二時間,お茶も食事も無しで夕方6時から話し続けて終わりました。そこから鞆の浦に関わる道が開けました。なぜ,横浜市の職員たちが私を木谷さんに紹介したか。

横浜市でコンクリートや維持管理の研修を数年にわたって実施してきました。大学と同じ熱血研修ですので,次第にファンが増え,横浜市の全技術管理課長の前でプレゼンをしたこともありますし,2012年の2月には150人を超える職員たちの前で2時間ほど講演をしたこともありました。その直後に,木谷さんが私のところに来られました。

横浜市でファンを作る研修や講演ができるようになったのは,山口県でのひび割れ抑制,品質確保の取組みに深く関わらせていただき,多くを学び,力を付けさせていただいたからであり,JCIのデータベース委員会なども通じて,東北の復興道路の品質確保の取組みにもど真ん中で関わらせていただけるようになったからです。

山口県の取組みに関わらせていただけたのも,それまでJR東日本での実務経験や,東大コンクリート研での本質的な物の見方がバックグラウンドにあります。

また,東日本大震災の学会調査団での経験や,土木史の講義を立ち上げてベストを尽くしてきた経験も大きいです。

もちろん,日々,読書を重ねてきたり,このブログなどで地道に情報発信してきたことの積重ねが無ければ,今の展開は無かったと思います。

これまでの積重ねのどれが欠けていても,今の状態には至っていないと思います。

積重ねとは,つまり,人との出会いです。どれだけ多くの素晴らしい方々と出会い,コミュニケーションを重ねてきたか,ということです。本当に素晴らしい方々とたくさん出会うことができ,私の人生は幸せだと感じます。世の中に貢献することでしか,報いることはできないと心から思います。

これから先の状態は,ある意味で予測不可能です。でも,積重ねの先に,結局は私自身が心から望む方向に展開がなされていくと思いますので,今後も変わらず積重ねて行きたいと思います。

久しぶりに3冊の本を並列で読んでいます。