Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

大統領の執事の涙 Butler

2014-02-26 01:11:19 | 私の日々
全く予備知識のないまま、地元のシネコンの前を通りかかり観ることになる。

綿花畑で働く家族、母親の役、どう見てもマライア・キャリーだと思ったら、
ほんとうに彼女だった。
冒頭の部分だけでセリフもほとんどないがマライアの存在感が光る。
白人の家族に仕える奴隷の子供としての厳しい環境と事件。
しかし農園主の母親(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)に救い上げられ、
サービスのプロとして子供の頃から仕込まれる。
この女性との信頼関係が後のセシルの輪郭を形作る。
やがてそこに先がないことを見定めて離れることになるが、
バーテンダー、給仕として仕事に恵まれた結果、
ホワイトハウスのバトラーとして採用される。

「事実を基に描かれたフィクション」とのことだが、
実際に7人の大統領に仕えたバトラーの存在がニュースになり、
実在の人物から掘り起こされた物語ということになる。

大統領や夫人、それぞれの人となりが描き出される。
JF・ケネディーやナンシー・レーガン、癖のあるキャラクターだが、
抜きに出た魅力も持ち合わせていたと思わせる。
ケネディーを演じるジェームズ・マースデン、
ナンシー役のジェーン・フォンダの演技によるところが大きいのかもしれない。

妻役のオプラ・ウィンフリーは、アフリカ系アメリカ人の黒柳徹子、
それを更に辛口にしたイメージの司会者であり女優。
仕事に徹する夫セシルとすれ違いの生活からアルコールにおぼれたり、
隣人と浮気したりもありだが、最後は夫との信頼関係を取り戻す。

部屋の空気となるようにサービスするようにと教育され、
白人と迎合して生きるかに見える父、それを嫌い公民権運動に走る息子、
その息子の存在を気に掛けてくれる大統領がいて、
セシル(フォレスト・ウィテカー)の苦労や努力を買う大統領や夫人がいる。

父の仕事を軽蔑する息子にキング牧師は諭す。
「彼らの勤勉な仕事振りのお蔭で黒人の持つ典型的なイメージが改革されている。
自分達では気付いていなくてもバトラー達は私達と同じ『戦士』なのだよ。」
父と息子との葛藤と和合、そこで息子よりも夫の気持ちに添おうと努力する妻。
歴史をたどりながら家族のドラマとしても深い。
断絶してしまった父と息子の間もそれぞれが時を経て相手の気持ちを、
理解しようと歩み寄るところに救いがある。

セシルが生まれた時、ホワイトハウスに仕えていた頃にも想像もできなかった、
アフリカ系アメリカ人初のオバマ大統領誕生へと物語は繋がっていく。

この部分、エリック・べネイという一人のアーティストのファンとなり、
同じファンであるアフリカ系の女性達と交流する中で、
オバマ当選へと一緒に気持ちを運んだ頃のことを懐かしく思い出す。
エリックはクルーズの仕事が入っていたので、
オバマに投票するために、期日前投票を済ませた。
クルーズ船の中からオバマ当選の喜びに泣くエリックの姿が投稿された。
大統領就任式、一般席で観戦するために乗ったタクシーの中で、
「こんな日がくることを亡くなったお父さんに見せたかった。」と
感無量になって話すエリックべネイの姿もかつてのSNSの投稿で見た。

テーマの一つが差別であるだけに観た後でいろいろと考えさせられる。
州に依っては、スタンド ユア グランド法が未だに存在し、
アフリカ系アメリカ人への偏見が無くなったとは言えない社会。
そしてR&Bやソウルミュージックを愛し、
アフリカ系のアーティストやファン達と交流しながらも、
真の意味での彼らの苦労は何もわかっていないのかもしれないと一石を投じられた、
そんな思いが残る。

監督は「プレシャス」のリー・ダニエルズ。
セシルに理解のある同僚としてキューバ・グッディングJr,
問題の多い隣人役にテレンス・ハワード。
ロビン・ウィリアムズ(アイゼンハワー)、リーヴ・ジェレイバー(ジョンソン)
アラン・リックマン(レーガン)、ジョン・キューザック(ニクソン)
がそれぞれの大統領を個性的に演じている。

映画のコマーシャル、日本のヴァージョンは娯楽作品的なイメージ、
US版はもっとシリアスなドラマを予感させる。

映画『大統領の執事の涙』予告編


THE BUTLER Movie Trailer (2013)


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