1853年に出版された本人の実経験を綴った本、埋もれていたこの作品が、
1960年代になり再評価され、監督スティーヴ・マックウィーンがこの物語に惹かれ、
ブラッド・ピットがプロデューサーの一人としてバックアップしたことで、
映画化が実現した作品。
"12 Years A Slave"
アフリカ系アメリカ人の歴史としてというよりもアメリカの国として、
奴隷として使われていた人達の苦しみばかりか、
使っている側もそうとうに病んでいたという事実が重くのしかかる。
主人公は北部で家族も仕事も持ち「自由黒人」として普通の生活を営んでいる。
それが2人の白人に騙され、薬を盛られた酒を飲まされ奴隷として売られる。
生還して本も出しているわけだから、これはネタバレにならないと思うが、
主人公ソロモン・ノーサップ、一人が助かっても、
それは北部の自由黒人という恵まれた立場であり、
あの時代の南部の多くの奴隷が受けていた待遇を思うと救われない気持ちが残る。
突然、日常を奪われたという観点から北朝鮮の拉致被害者にも想いを馳せる。
また女性としての立場の弱さ、ジェンダーの問題も考えさせられた。
奴隷としては、美しく仕事もできる人がそのことで返って災いを招いてしまう。
ロケ地はルイジアナ州、ニューオリンズが中心。
ニューオリンズに二回行っているが、
うっそうと茂る樹木、そこにぶら下がるスパニッシュモス(苔のような植物)
南部の雄大なプランテーション、その陰にはあのようなドラマがあったのかと。
予備知識は持っていたものの生々しい映像を受け止めるのが辛い。
現地ではプランテーション、奴隷小屋は撤去され、農場主が住んでいた大邸宅のみ、
観覧できるようになっている場合が多い。
跡地を見学したプランテーションの中の一つ"Laura"のように、
農場主と奴隷が協調して暮らしていたという場所もあった。
そこはオーナーの住まいは質素で奴隷たちの住居もけっして劣悪な環境ではなかった。
そんな場所もあったということに一筋の光を見出すことができる。
エリックのファンつながりでニューオリンズで一緒の部屋で過ごした女性二人、
今でも連絡を取り合っているが、アフリカ系の人独特の「諦める」という感じ、
何かそれの奥の深さ、ずっと「しょうがない。」と受け入れてきた習慣が
DNAに組み込まれている、それはこういう歴史が刻まれてきたからと、
そんなことまで考えてしまった。
どん底の中でゴスペルを奴隷たちが歌い出すシーンがある。振り絞るように。
あの場面、やはりアフリカ系の音楽はこういうところから生まれてきているのだと、
魂に響くものがあった。
ブラッド・ピット、'96年に「12モンキーズ」でゴールデングローブ賞を受賞している。
ブラピ、注目されたきっかけはボクサー、マイク・タイソンの元妻のデート相手としてだった。
それだけ人種に拘りを持たない平等を絵に描いたような人柄で、
ニューオリンズの2005年、ハリケーンカトリーナの被害に対しても、
"Make It Right"という組織を立ち上げ支援している。
現地でブラッドが中心になって建設している復興住宅を2009年と2011年、
見学してきたが地元の人々はアフリカ系中心の地域ゆえに再建が進まないこと、
自治体がやってくれないことをブラッドはしてくれていると感謝の気持ちを言葉にしていた。
妻のアンジェリーナ・ジョリーも社会貢献を世界的な規模で行い、
おまけに昨年は手術も受けた。
今回は世に出るはずもなかった可能性の高い作品を知らしめたという点と、
ブラッド・ピットへの功労賞的な意味合いの作品賞受賞だろうか。
ちなみにアカデミー賞にノミネートされるような人種問題、黒人問題を扱ったような映画、
エリックのファン繋がりのアフリカ系アメリカ人の女性達、必ずしも評価していない。
「ヘアスプレー」あり「幸せの隠れ場所」など。
今回も助演女優賞をルピタ・ニョンゴが取ったという快挙に対しては素直に喜んでいるが、
作品に対しては納得していないようだ。
作品賞、助演女優賞の他にジョン・リトリーが脚色賞を受賞している。
主演はキウェテル・イジョフォー。
アカデミー賞にノミネートされなかったらはたしてこの映画は日本公開されただろうか。
1960年代になり再評価され、監督スティーヴ・マックウィーンがこの物語に惹かれ、
ブラッド・ピットがプロデューサーの一人としてバックアップしたことで、
映画化が実現した作品。
"12 Years A Slave"
アフリカ系アメリカ人の歴史としてというよりもアメリカの国として、
奴隷として使われていた人達の苦しみばかりか、
使っている側もそうとうに病んでいたという事実が重くのしかかる。
主人公は北部で家族も仕事も持ち「自由黒人」として普通の生活を営んでいる。
それが2人の白人に騙され、薬を盛られた酒を飲まされ奴隷として売られる。
生還して本も出しているわけだから、これはネタバレにならないと思うが、
主人公ソロモン・ノーサップ、一人が助かっても、
それは北部の自由黒人という恵まれた立場であり、
あの時代の南部の多くの奴隷が受けていた待遇を思うと救われない気持ちが残る。
突然、日常を奪われたという観点から北朝鮮の拉致被害者にも想いを馳せる。
また女性としての立場の弱さ、ジェンダーの問題も考えさせられた。
奴隷としては、美しく仕事もできる人がそのことで返って災いを招いてしまう。
ロケ地はルイジアナ州、ニューオリンズが中心。
ニューオリンズに二回行っているが、
うっそうと茂る樹木、そこにぶら下がるスパニッシュモス(苔のような植物)
南部の雄大なプランテーション、その陰にはあのようなドラマがあったのかと。
予備知識は持っていたものの生々しい映像を受け止めるのが辛い。
現地ではプランテーション、奴隷小屋は撤去され、農場主が住んでいた大邸宅のみ、
観覧できるようになっている場合が多い。
跡地を見学したプランテーションの中の一つ"Laura"のように、
農場主と奴隷が協調して暮らしていたという場所もあった。
そこはオーナーの住まいは質素で奴隷たちの住居もけっして劣悪な環境ではなかった。
そんな場所もあったということに一筋の光を見出すことができる。
エリックのファンつながりでニューオリンズで一緒の部屋で過ごした女性二人、
今でも連絡を取り合っているが、アフリカ系の人独特の「諦める」という感じ、
何かそれの奥の深さ、ずっと「しょうがない。」と受け入れてきた習慣が
DNAに組み込まれている、それはこういう歴史が刻まれてきたからと、
そんなことまで考えてしまった。
どん底の中でゴスペルを奴隷たちが歌い出すシーンがある。振り絞るように。
あの場面、やはりアフリカ系の音楽はこういうところから生まれてきているのだと、
魂に響くものがあった。
ブラッド・ピット、'96年に「12モンキーズ」でゴールデングローブ賞を受賞している。
ブラピ、注目されたきっかけはボクサー、マイク・タイソンの元妻のデート相手としてだった。
それだけ人種に拘りを持たない平等を絵に描いたような人柄で、
ニューオリンズの2005年、ハリケーンカトリーナの被害に対しても、
"Make It Right"という組織を立ち上げ支援している。
現地でブラッドが中心になって建設している復興住宅を2009年と2011年、
見学してきたが地元の人々はアフリカ系中心の地域ゆえに再建が進まないこと、
自治体がやってくれないことをブラッドはしてくれていると感謝の気持ちを言葉にしていた。
妻のアンジェリーナ・ジョリーも社会貢献を世界的な規模で行い、
おまけに昨年は手術も受けた。
今回は世に出るはずもなかった可能性の高い作品を知らしめたという点と、
ブラッド・ピットへの功労賞的な意味合いの作品賞受賞だろうか。
ちなみにアカデミー賞にノミネートされるような人種問題、黒人問題を扱ったような映画、
エリックのファン繋がりのアフリカ系アメリカ人の女性達、必ずしも評価していない。
「ヘアスプレー」あり「幸せの隠れ場所」など。
今回も助演女優賞をルピタ・ニョンゴが取ったという快挙に対しては素直に喜んでいるが、
作品に対しては納得していないようだ。
作品賞、助演女優賞の他にジョン・リトリーが脚色賞を受賞している。
主演はキウェテル・イジョフォー。
アカデミー賞にノミネートされなかったらはたしてこの映画は日本公開されただろうか。