Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

初秋の昼下がり

2012-10-21 08:24:22 | 私の日々
2010年の10月、3度目の挑戦として始めたフランス語学習。
最初は学生の時、次は卒業して5年目位に半年ほど、そして一昨年から、
かつて学んだのと同じ学校に通い始めた。

今年の10月で2年が経ったことになる。
その割に期待していたほどの成果は出ていない。
やればやるほど難しくなっていく。
文法が複雑で動詞の変化が多岐に飛んでいる。
単語に女性形と男性形があること、代名詞の使い方などもややこしい。
その上、大学生の時と違い、覚えたことをその傍から忘れていく。

最初は土曜日の午前中、次に日曜の午後の時間帯を取った。
その後、クラス閉鎖に伴い月曜の夜のクラスへと移動したが、
平日の夜の6時半から9時半という時間帯、
夏の暑さ、冬の寒さ、夜の眠さ、午後9時も過ぎると目も霞んで来るし、
記憶力も更に低下してくる。
クラスメートもそれは同じで励まし合いながら頑張った。

平日の午前中の時間帯にレベルと私の都合に合うクラスがあり、
今年の4月からここに移った。
授業が終わるとすぐに学校を離れ電車に乗ることもあるが、
時間のある時は校内に留まり、併設のカフェでサンドイッチやパンを摘まみ、
そのまま図書館で勉強したりしている。

また平日のランチタイム、神楽坂周辺は「この値段でここまでやるのか?」
という飲食街が和洋中と控えている。
ずっとこの時間帯で通って来ているクラスメートの中には、
こういうお店事情に精通している人がいて生徒だけでなく、
先生も加わり一緒にランチすることもある。

一方学校を離れた人達ともメールやface bookを通して連絡を取り合っている。
フランスやセネガルに仕事や勉強のために旅立った人、
結婚してフィンランドに住む人もいる。
若い女性達が各国でがんばっている姿を見るのは頼もしい。

学校の隣にあるブラッセリー、初夏の頃はオープンエアのテラスが一杯になる。
さすがに真夏には屋外で食べる人もなく、店内のみ。
秋になってきてまたテラス席がセッティングされているが春ほどには混雑していない。
2階の図書館からその様子を見下ろしている内に、荷物はそのままで教科書と辞書だけ持って、
一人で食事をするためにレストランへと向かうことにする。

フランス人のレストラン・マネージャーとここの庭で放し飼いにされていたカラス、
ジェイコブの話になる。
怪我した子烏を保護して手当てをしながら、スタッフ達が育てた。
皆に可愛がられていて餌も貰い、自分を人間だと思っていたようだ。
しかし悪戯盛りとなり近隣からも苦情が出るようになり、
郊外に広い庭を持つ知人に引き取ってもらったという。
カラスというと毛嫌いする人がいるが、ジェイコブはとても可愛かった。
マネージャーがジェイコブの話をする時にはいつも懐かしそうな優しい目をする。

ワンプレートランチを頼んで、運ばれてくるまでの間、
教科書を開き、単語を調べ始める。
すぐにサラダが来たので教科書を閉じる。

秋の日差しは柔らかで、もう少しするとこの暖かさが遠ざかって行き、
寒さがやって来るのかと思うと、この時期の気候は何とも言えず愛おしい。
春先よりも初秋の陽光の方が私は好きかもしれない。

隣の席では日本の女性二人が子供の塾の人間関係、
嫉妬や欺瞞に満ちた話を声を潜めてしている。

学校の庭園は緑が豊かで樹齢の高い木がうっそうと茂っている。
桜や梅や椿の木もあり、季節感が豊かだ。
庭にオブジェが置かれてそのまま作品展になることもある。
校舎も古い建築物を補修しながら使っていて趣がある。

駅から遠いけれども、ここの学校を選んで、
やはり正解だったと思いながら、エスプレッソを飲みほし、
再び図書館へと戻って行った。