Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

タングルウッド

2010-09-29 06:16:55 | MAへの旅
タングルウッドとは。
発端はある方がボストンシンフォニーオーケストラに約50万坪の敷地を寄付したことに始まる。
ボストンフィルは10月2日から6月中まではボストン市内のシンフォニーホールで演奏する。
そして6月下旬から9月上旬まではこちらのタングルウッドに移る。
もちろんボストン交響楽団の他にもいろいろなアーティストのプログラムが行われる。

タングルウッドに行くとは、ここの野外音楽堂で演奏を聴くことが目的だ。
近くのホテルやレストランでは5時から夕食が取れるそうだ。
その後、コンサートを聴き、それぞれニューヨークやボストンへと車で帰っていく。
あるいは、近くのホテルやB&Bに滞在して数日、この高原の生活を楽しむ。
周辺は別荘地や可愛らしい風情の街並みもある。

このタングルウッドへとシーズンオフになったばかりの9月13日に、
コンサートも行けないのに観光する意味があるのか。
空いている時だからこそ、じっくりとホテルや町の様子を観てくることができた。
私があるクラシックピアニストを応援していること、
ずっと読んで下さっている方はご存知かと思うが、
いつかK子M士君の演奏をここで聴く日がきっと来ると思った。
その日のためにしっかりと下見ができて良かった。

"Red Lion Inn"
ガイドさんとマネージャーが懇意にしていて、内部をじっくり見せていただいたのだが、
こじんまりとして昔風のとても可愛らしいコテージ。
シーズンオフのはずなのに大勢の人が食事やお茶を楽しんでいた。
現地の人達に人気があり、親しまれているようだ。
1773年に駅馬車の泊まる宿としてスタートしたそうだが、開拓時代の雰囲気が一杯で、
かつての時代にタイムスリップしたようだ。

その後、町を散策するが、「大草原の小さな家」に出てくるような雑貨屋がある。
5ドルで誰とも知らぬ人の書いたバスケットの中で寛ぐ猫のデッサン、台所用品などを買い込んだ。
未だに何のために使うか良く分からない道具もあるが。

その次に向かったのはウィートレイ、19室しかない。
かつてバーンスタインが贔屓にしてここで食事をし、また自宅(別荘)もこの近くにあったそうだが、
ここの別棟のスウィートに滞在することもあったという。
広大な敷地に人っ子一人見かけない。
ゴルフ場の真ん中に立っているような景色。
丸いプールがあって庭園には苔むした彫刻もある。

室内にはティファニーのステンドグラスで彩られた階段がある。
スタッフは親切でダイニングやロビーを見学させてくれた。
ダイニングでも食事中の人を数人見かけた。
ここの値段を帰ってから調べたら、一泊7~8万。
ヨーロッパにあるようなホテルとも言えるが、
シーズンオフのせいか余りに閑散としていて寂しい感じさえした。
人を寄せ付けない近寄りがたい雰囲気をあった。

それとこの町では東洋系もアフリカ系も全く見かけない。

さていよいよタングルウッドへ。
シーズンオフともあり、私たち以外の人は誰もいない。
屋根つきのホールがあり、その周辺に芝生が広がっている。
広大な敷地、ホールから離れれば音はそれほど聴こえないのかもしれない。
芝生に座りながら、飲み物とお摘みなどを手にコンサートの雰囲気を楽しむ場所なのだろう。

ご一緒した方の一人は芝生に大の字になって空を見上げている。
「空が凄くきれいで、気持ちがいいよ。皆もやってごらん。」と誘われたが、
コートを着てなかったので芝の露で濡れそうで、そのまま、
立ったまま雲のぽっかり浮いた空を見上げていた。
高原の空気が清々しい。

私の亡くなった祖母は山梨の人だったが、夏休みに遊びに来ていて家の中にいる私を呼んで、
「雲が綺麗だから見てごらんなさい。」と言われたことがある。
立ったまま見ている私に「寝転がらなくては分からない。横になって見て。」と言われた。
ほんとうに立って見るのとは大違いだな。そして祖母とこうやって二人で芝生に横になった日、
この日のことをきっと自分は後で思い出すんだろうな、と思ったことを覚えている。

タングルウッドでも素直に横になって空を見上げなかったのがちょっと残念。

売店にはクローズドの札が掛けられ、中でひとりの女性が、在庫整理をしている。
「日本から来たんだけど、中の写真を撮ってもいい?」と尋ねると室内に入れてくれた。
Tシャツが20ドルくらいで売られている。
もう一歩踏み込んで、「一生に2度と来られないと思うから、少しだけ買い物させてくれない?」
と言ってみれば良かったかな?
余りに厚かましいように思えてさすがにそこまで言えなかった。
いつかきっとK子M士君のコンサートのためにここに戻ってくる日が来るはずだ。