Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

金子三勇士、8/28 19:20~NHK・FM「名曲アルバム」に出演

2010-08-29 01:45:10 | ピアニスト 金子三勇士
金子三勇士のNHK・FMラジオ出演、7/8にNHKにての収録に立ち会ったが、
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20100710
どのように編集されるのか、
またラジオで初めて彼の演奏を聴けるのもたいへん楽しみにしていた。

私たちはNHKラジオというものを全く甘くみていた。
なにしろ、エリック・べネイがアメリカのラジオに出演する時もパソコンからオンラインで聴くことが可能だ。
そしてエリックに「日本では○○時からオンラインで聴いた、素晴らしかった!」なんてコメントをしていた。

家のラジオから、あるいはスカイ―パーフェクトTVでもラジオが聴けるし、
またNHKラジオのサイトからオンラインでも聴けると思っていた。
音声を録音するのはどこからが良いだろうなどと考えていたほどだ。
ご本人からも連絡があり家でラジオを聴くのみ、録音はできないそうなので、
是が非でも私たちは録音してできればyouTubeに音声をアップしたいと思っていた。

放送開始30分前、家のラジオにFMが入らないことを知る。
前はラジオを聴いていたが最近聴かなくなっていたので気付かなかったのだ。
スカパーもHDに替えてからラジオは入らなくなっていた。
最後の頼み、パソコンのオンライン、これもNHKの場合は料金を払わなければならず、
以前、一時オンラインを聴ける状態にしてあったのも解約してしまい聴くことができない。

金子三勇士、エリック・べネイ、それぞれのBSテレビ出演の前には録画の練習までして、
その上、弟や友人にバックアップの録画まで頼んだのに今回は全く詰めが甘かった。

夫と二人、だんだんと焦ってくる。
「その辺に普段使ってないラジオなかったっけ?」
「あれは使わないから捨てちゃった。」
結局、家の中には聴く手段がないことを知る。

10分前。
夫は「車で聴く。」とキーを持って先に駐車場へと向かった。
私はアイスボックスに缶ビール、食卓にあった枝豆、おつまみのチーズやナッツを詰めて、
後を追う。
しかし、ここまでしても聴きたいラジオ、応援したいアーティストがいるって幸せだなぁ。
金子三勇士、私たちの人生を確実にカラフルにしてくれている。

バルトーク「ルーマニア民族舞曲」
続いてコダ―イ「7つの小品、セーケイ族の民謡」
ハンガリー的で近代的な作品の美しさ、独特の世界が拡がっていく。
金子三勇士ワールドへとぐいぐいと惹き込まれていく。

車で聴くことに追い込まれたのは大正解だった。
集中して車内に満たされた音に全身をゆだねることが可能だ。
音だけに神経を研ぎ澄ませることで金子三勇士の演奏の素晴らしさに改めて深い感銘を受けた。
今更ながらだが彼はほんとうに巧い。ひとつひとつの音に細やかな神経が行き届いている。
曲の解釈、残響も含めて計算されつくした音楽を作り上げていく。
日々の鍛錬と生まれ持った天性の素質そこに日本とハンガリー、二つの祖国を持つことで培われた感性が加わる。

インタビューのもとにハンガリーでの生活を語るのだが、
6歳でいきなり高崎から雪深い人里離れたハンガリーの祖父母との生活が始まる。
遊び相手の子供などいない場所なので雪の中の動物と戯れ、野鳥の声を聴きながら育った。

夏の思い出として、8月は一月ほど日本に戻る。
日本で両親の元、楽しい夏休みを過ごしまた一人で成田からハンガリーへと立つ。
ブラペストの空港に着くと気温が低く冷やっとした空気感に飛行機に乗っている間に、
季節を一つ越えて冬になったような気持ちに身が引き締まる思いだったと言う。

そういう話を聴きながら、金子三勇士の演奏の情感の豊かさはこういう体験に基づいているのだと理解した。

リスト「愛の夢第3番」この曲は恋愛ではなくリストが人間愛をテーマに作曲したと以前知ったが、
こうして聴いてみると確かに大きく広い意味での愛が感じられる曲だ。

「ハンガリー狂詩曲」では回りを圧倒させる存在感を出す。
ショパンの「英雄ポロネーズ」
本人からショパンの中でも男らしさ、躍動感に溢れるこの曲が好きで今年のショパンイヤーにも
相応しいと思い選曲したと説明がある。

NHKの509録音室、ピアノはスタインウェイのDモデル、そこから紡ぎだされる音の美しさ。
これだけの音を作り出し全国へと放送が送り出される、さすがNHKだ。

途中、三勇士の演奏が終わった時点で家にダッシュで戻り、炊飯器のスイッチを入れる。
車に戻ると夫が今度は煙草を吸いに家へ。
最後の締めの挨拶は二人で聴く。
ここはもう少し長かったのが編集されていた。
また音響の良さから咳や荷物を落とす音も拾っている。
そして三勇士のユーモラスな受け答えに思わず吹いてしまった私の笑い声も。
「ハンガリー狂詩曲」の終了後、夫ともう一人の男性の「ブラボー!」と叫ぶ声も入っていた。

金子三勇士、16才だった彼と知り合って今年で4年なる。
いよいよと深みを増しマチュアな演奏を聴かせてくれると共に、
まだまだ知らなかった彼の苦労や人生の一こまをそこにみた。
人間的にも音楽的にも知れば知るほど奥の深さがあり、尽きない魅力に溢れている。