Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

ホーチミン2日間

2010-08-19 00:16:25 | その他の旅
成田19時発のベトナム航空でホーチミンへと向かう。
事前に座席指定のできない格安ツアー、チェックインの際に「もう空いてないだろうなぁ。」
と思いつつ「通路側の席を・・・できれば前方で・・・」
カウンターの女性はにっこりと言った「一応、お取りしますけれどガラガラですので、
離陸したらお好きなお席にどうぞ。」

左右に3席ずつの小振りの飛行機、乗客は定員の一割を割っていたのでは。
久々の空いてる飛行機、3席分を使ってゆったりと寝られて気分がいい。
ベトナム航空も初めてだがキャビンアテンダントは可愛らしくて感じが良い、そして働き者だ。

ミュージックチャンネルにアッシャーがある。
ベトナム航空の社長の知り合いの方がいらしたら、
ぜひエリック・べネイのチャンネルを作るようにお伝え下さい。

映画の画面が座席ではなく、9席に一つづつ天井からのスクリーン。
したがって映画も選べない。
最初はゲイリー・マーシャル監督のオールスターキャストで
バレンタインを巡る数組のカップルの様子を描いたコメディー、そこそこだった。
次はメル・ギブソン主演の"Edge of Darkness"そんなタイトル。
久しぶりに帰郷した娘をいきなり目の前で殺されてしまったマサチューセッツの刑事が、
犯人や黒幕を追い詰めていくサスペンス。ぐいぐいと惹き込まれて観ていたが、
最後の場面で着陸のためにヘッドホーンの回収が始まってしまい結末を見逃す。

初めての場所、着時間は11時と夜遅いので空港のピックアップ付きのツアーにした。
空港の出口は小さく、いとも簡単にベトナム人のガイドさんとご対面。
ドライバーを電話で呼んでくれてすぐにホテルへと向かう。
ベトナムの通貨ドン、どうしても日本円に換算するのがピンとこないと思っていたら、
「金額から0を二つ取って、2で割ると日本円の金額です。」これでとても分かりやすくなった。

空港から20分位だろうか。
パークハイアット・サイゴンに到着。
街の中心部にあるのと初めての国なのでホテルには拘った。

夫は喫煙者だがベトナムは未だに喫煙大国。
ところがハイアットに関してはアメリカナイズされていて、喫煙室は9階のみ。
そして空室がないと言う。
そこで特別に6階だけど灰皿を用意してもらうことになる。
最後の日は夜中の飛行機で帰る。
「お部屋は夜9時を過ぎると一泊分、8時までなら半額で押さえられますけれど?」
1日外出しているのなら部屋は必要ないかとも思うが、リーズナブルな値段なら部屋があった方が、
疲れた時に寛ぐことができるし、暑さの中、戻ってから出発前にバスルームも使える。
迷うところだ。「そのお返事は後でもいい?」と聞くと「もちろんです。」

ベルボーイに案内されて部屋に通されると灰皿がない。
先ほどのフロントとのやり取りを話すと「ちょっとお待ち下さい。」とどこかに電話をしている。
「フロントとこちらとの誤解がありまして、すみません。
喫煙可のお部屋を用意しますので、少しここでお待ち下さい。」

アジアンモダンと言うのだろうか、シンプルな白い部屋に木がたくさん使われていて、
置いてある小物やバスルームの作り、部屋の誂えがとても居心地が良い。

しばらくしてベルボーイは戻ってきた。「ずいぶん待たせてしまってごめんなさい。
お部屋を用意するのに少し時間が掛かってしまって。」
9階の部屋に案内してくれて「僕はベルのチームリーダーです。ご要望、そして何かありましたら、
おっしゃって下さい。」と名刺をくれた。
ここまでしてくれたらやはりチップを渡したい。
空港に着いた時に両替しておいて良かった。

荷物を置くとそのままホテルのバーへ。
ドアを開けた途端、お洒落なアジア系、アフリカ系、アングロサクソンと多民族の人達でぎっしり。
カウンター前で立っている人、踊っている人もいる。
黒、白でスタイリッシュにまとめた服装の人が多く、バーのスタッフと区別がつかない。
これはもしかしてプライベートなパーティーか何かなのかと思っていたら、
ようやくスタッフが声を掛けてくれる。
一階は席がないとのことで吹き抜けの横にある半二階のVIPコーナーのようなソファーへと案内される。

夫は地元のビール、私は散々迷ってモヒートにする。
フルーツカービングしたみたいなライムがたっぷり、そしてミントもザクザク。
南国のフルーツとハーブの香りに旅の疲れが癒される。
二杯目はマルガリータ、これは普通でした。
時間を見ると現地では午前1時を廻っている。日本時間では3時。
明日もあるので部屋へと戻る。

翌日は8時頃に目が覚めてプールで泳ぎたいなぁと思ったが、昨夜は遅かったし最初から飛ばすのも、
と思ってそのまま横になって二度寝する。
9時頃に起きてダイニングルームへ行った。
メニューを見せられたので「朝食付きのパックでお願いしているのだけど?」と尋ねると、
「それならビュッフェとメニューの中から何でも好きなだけ頼んで下さい。」
すべての具を入れたオムレツを頼みつつ、ビュッフェへと向かう。

フレッシュなジュースがオレンジ、ウォーターメロン、キャロット、ビーツ、セロリ、パイナップル等。
ココナッツも生のを切ってストローを入れて出してくれた。
その上、フォーもある。
自家製のマーマレードとストロベリージャムでクロアッサン、コーヒー、そしてオムレツを食べた後、
フォーも頼む。たっぷりのハーブや香辛料を入れて食べる。


朝食後は街を歩いてみることにする。
半日観光ツアーとかもあるが、地図で見るとすべて徒歩圏にある。
問題は暑さだ。歩ける距離でもタクシーを利用した方が良いかもしれない。
タクシーはホテル前が最も安心だとは思うが、流しもきちんとした会社のロゴ入りは問題ないらしい。

市民劇場、コンチネンタルホテル、レックスホテル、国営百貨店。

いくつかの繁華街を経て、バンタイン市場へ。
歩いていると次々と声を掛けられる。
断ると「なんでやねん?」いきなり関西弁が出たので笑ってしまった。
夫が値切りながらお土産のキーホルダーやランチョンマット、
水牛の角と言って売っていたがどうもプラスティックにみえるサーバーなどを買っている。
傍で見ていたら、何度か靴を売る女性から手を引かれる。椅子も出してきて、
「座って。ぜひ見てみて。」

国営百貨店の2階でもお土産を見ていたらお風呂で使うような椅子を出してきて、
「ゆっくり見てね。」みたいに言われた。

とにかく凄く暑くなってきたので、市場を出て向かい側のエアコンのあるフォー屋さんへと入る。
お腹は空いていないので、取敢えず飲み物と思ったが、スモールサイズのフォーを頼んでみる。
それとベトナムのビール、333。
食後にプリンとベトナムアイスコーヒー、蓮茶を頼む。
たっぷりの氷が入ったグラス、コーヒーはドリップを待って自分でグラスへと注ぐ。
生水は気をつけていても氷で食当たりという話を良く聞くので、ちょっと心配したが、
全く問題はなかった。

食事後に市場の近くの骨董街を見る。
ジッポーのライターがたくさん並べられていてネーム入りだったり、言葉が刻まれている。
「ここには希望がない」とか「パパは最高」とか。
これが本物ならこんなものを売買して良いのだろうか。
中を見るとビスが新しくなっていて偽物だとは思うけれど。


炎天の中を歩き詰めでさすがに疲れたのでタクシーでホテルへと帰った。
タクシーや市場はベトナムの通貨ドンが必要だが、一般のお店では案外米ドルが通用する。
ドルの方がお得な感じすらした。

ハイアットのスパは日本のクイックマッサージ並みの値段だ。
アジアンスパには何度か裏切られているので期待していなかったが、
「シロダ―ラ」がメニューにある。これは一度やってみたかったのでそそられた。
予約が取れたのは6時。
それまで同じフロアのプールで一時間程のんびりする。
アイスティーを頼むとこれにもライムがたっぷり入っていてフルーティーだ。

スパはジャグジーとスティームサウナとシャワールームがある。
髪を洗って乾かしているとスパルームへと案内された。
最初は30分のインディアンヘッドマッサージ。
椅子に座った状態なら好ましいがうつ伏せ。
その後仰向けになりシロダ―ラは始まった。
等間隔で温かいオイルが額の中央へと垂らされていく。
眠くなる、目が覚める、うつらうつらを繰り返す。
時々、オイルを頭皮や髪へと摺りこんでいく。
途中から「こんなに油だらけになった髪はどうするんだろう?」と気になり始めた。
終わると「頭は30分このままにして置いて、それから洗って下さい。」

このびん付け油のようなものがやたらしつこくて洗っても中々落ちない。
一気に疲れも出てきた。
部屋に戻ると眠くなってきたが、気を取り直して夕食へと外出する支度を始める。

ホーチミンのレストラン、行く前に散々調べたがお奨めの一押しというのが見つからない。
ベトナムは12年位前に一気にブームが到来し
そして今は日本からの観光ブームのピークは過ぎているようだ。
迷った挙句、マジェスティックホテルの隣『マキシムズナムアン』の予約をコンシェルジュに頼む。
時間は9時近くで電話が繋がらない。
それではとBプラン、「ハイアットの傍の『スーレストラン』はどう?」と聞くと、
「ホテルを出たら25mくらいで着きますよ。予約は必要ないけれど後で僕が電話しておきますから、
どうぞいらして下さい。」と外に出て方向を教えてくれた。

『スーレストラン』、「現地の人が集まる人気スポット。1階はバー、2階はレストラン。」
とのことだったが、入ると一階には一人もお客がいない。
二階に案内されると「Mr & Mrs.○○!ハイアットから先ほど電話をもらってお待ちしてました!」
と劇団ひとりにそっくりの青年が飛び出してきた。

二階も客は一組だけ。
「さっきまでは混んでいたんだけど、ちょっと前に皆帰っちゃって。だから空いてます。」
お客がいないことを気にしているようだ。
「煙草は吸っていいの?」と夫が尋ねると「1階と2階のバーはいいけど、テーブルはだめなんです。
ごめんなさい。でももう一組が帰っちゃったら必ず灰皿持ってきますから。」
飲み物は夫はビール、私はパッションフルーツのモヒートにした。
芳しい爽やかな香り。ベトナムのモヒートはほんとに美味しい。
料理は創作フレンチベトナミ―ズという感じ。
その後もワインを白、赤とグラスで頼む。
料理は好みとは違ったが劇団ひとり君の必死のサービスが楽しかったので良しとする。

お店を出て近くのホテル、カラベルの最上階のバーへと行ってみる。
歌と演奏が生で曲が趣味ではなかったので入らずに隣のコンビニを冷やかし、
ホテルへと戻った。

翌朝は目覚めてすぐに水着を着てプールへ。

早朝起きて誰もいないプールで泳ぐのは私の旅の楽しみの一つだ。
水深は残念ながら浅く足が着く。
しばらく泳いで部屋に戻りシャワーを浴びて朝食へと向かった。
この日はバナナ、ストロベリーリコッタパンケーキを注文する。
このホテルの朝食は美味し過ぎる。そのためにここでお腹一杯食べてしまい、
街の食事が食べられなくなってしまう。

ホテルを出てホーチミンの名所巡りへと歩き始める。
中央郵便局、19世紀の建物とされながらも今も普通に郵便局や両替所が運営されている。
サイゴン大聖堂、戦闘の間もここは人々の心の拠り所として存在し続けたのだろうか。

統一会堂、かつての南ベトナムの迎賓館であり、旧南ベトナムの大統領、副大統領の応接室、
乗用車、また台所なども公開している。ベトナム解放時を辿る写真や記念品も飾られている。
そして地下は軍の施設だった。
通信室や作戦会議室などがある。
これだけでも一つ一つの物事を深く捉えて見て行くと圧迫感がある。
エアコンがないのでかなり暑くなった。

今までアジアに夏行くと(アメリカでもそうだが)エアコンのきつさには悩まされた。
それが今回はエアラインも含めてエアコンが弱い。
人々は外で風に当たっている。お店もお客が来ると扇風機やエアコンを付けたりする。
倹約のためなのか、エアコンが嫌いなのか。そこまでは私にはわからない。

統一会堂の中は広いので歩き回った後にドンコイ通りに出て、
そこからホテルまで歩いて帰るとかなり疲れた。
結局夜8時まで部屋をキープすることにしたのが正解だった。

この日は3時からホテルのスパのホットストーンマッサージを予約していた。
これも一度、やってみたいと思っていたらメニューに前日見つけてしまったのだ。
温めた石で体をマッサージする。温かさと刺激が加わり温灸、テルミーに似ていると思った。
途中で少し寝てしまったようだ。

部屋に帰って荷造り。
そして7時過ぎにはチェックアウトをしてホテル内のレストラン、スクエアワンへ。
ここは設計も料理長も日本人と聞いていたのであえてベトナムで行く意味があるかとも思ったが、
帰りのピックアップが9時なのでホテル内のレストランがベストだと選択した。
事情を話して1時間くらいで簡単な食事をしたいと伝える。
テーブルは満席とのことで料理を作っているカウンターに案内されたが、この席がとても楽しかった。

サービスのスタッフに相談しながら限られた時間で食べられるメニュー、
シーフードピラフと空心采炒めを選ぶ。
飲み物は夫がグラスでカベソー、私はシャルドネ。
目の前で様々な種類の肉、部位が料理されていく。
日本では入荷のない活のブラックタイガー、スキャンピにも似たものを捌いている。

音楽はR&B、ダイアナ・ロス、EW&F、エモーションズ、クール&ギャングがかかっている。
料理が早く出揃ったので食後のデザートと飲み物の時間も充分にあった。
食事を終えて階下に降りると行きのガイドさんが入口からちょうど入ってきたところだった。

この日は他のサイゴンホテル、マジェスティックなども回り私達も入れて計8名をピックアップ。
航空会社はそれぞれANA、JAL、そしてベトナム航空。

帰りの飛行機は左右2列、真ん中3列。
ほぼ満席だった。
座席も小振りで前後の間隔も通路も狭くなる。
行きの余裕たっぷりにサービスしていたクルーたちも今回はさすがに顔付が厳しい。

映画は座席前のスクリーンで見ることができてリストから選べる。
最初は行きに最後の落ちを見損なった"Edge Of Darkness"、それからフランス映画のスパイ物、
次にラッセ・ハルストレム監督の作品で従軍する青年と民間人女性との恋愛物。
残念ながらこれもラストは着陸態勢に入り見逃した。

成田に着き、成田エクスプレスで家へと向かう。
夜中に出て朝着のフライトは苦手だ。
電車の中で眠気が襲ってくる。
家に帰るとベッドに倒れ込んだ。

ベトナムへ行ってみたいと思ったのは12年前だった。
その後、行く機会のないまま、インターネットで4つのショップからベトナム雑貨を買い、
料理も蒲田のミーレイ、大井町のメコンセンターなどで習った。
蒲田にはベトナムやアジアの料理の食材、空輸してきたハーブを買える店もあり通った。
映画も「ラマン」「インドシナ」「青いパパイヤの香り」「シクロ」などに旅情をかき立てられた。
その後、自分の中でベトナムのブームが納まってしまった。
世間のベトナム観光のピークも過ぎたようで今回、お盆休みの旅行を取ることができた。
ここは香港と同様、長い付き合いになりそうだ。
あのミントとライムがたっぷり入った一杯のモヒートを飲むために。

今回は二日間という時間の中でホーチミンの街中のみの滞在だったが、
次回は郊外なども訪れてみたいと思っている。