Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

1.5泊4日間、香港激安ツアー

2009-08-16 20:12:14 | その他の旅
夏休み、近場でも一泊位したいと、探し始めたのが、7月末。
どこも良さそうな所はいっぱいだし混み合いそう。
インターネットをいじっているうちに「羽田から香港激安4日間」
というのを見つけた。

羽田空港を8/13の夜8時半に発ち、現地時間の翌8/14の12時10分頃に香港着。
ホテルに着くのは日本時間の午前2時半頃。寝るのは3時半頃になるか。
8/15の午後10時にホテルを出発、翌16日の12時半の飛行機に乗り、
羽田着が日本時間の午前6時頃。 1・5泊4日間、激安香港ツアー、
ホテル代1.5泊と航空券込みでしかも、お盆の時期この値段は破格。
企画を請け負う旅行社に連絡すると、まだ空席はあるという。
いったい何が落とし穴なのかと思うと、それはホテルだった。

泊まるホテルはリーガルオリエンタル、旧名称は「エアポートホテル」
旧空港に面しているので、便利なホテルとして親しまれたという。
それが新空港ができてから、当然、お客も激減し、
近くに地下鉄の駅もなければ、九龍の繁華街からは外れ、香港島にも遠い。

香港は返還前の10年間に3度ほど行った。
最初の2回は九龍の中心部、チムサチェイに泊まったが、最後に行った14年前、
返還の前年は香港人気が過熱していてホテルの値段も上がり、中心部が取れず、
地下鉄で一つ先のジョーダン駅の近くに泊まった。
地元の人達で賑わう街の様子も活気があり楽しかった。

返還後、新空港になってからも行っていない香港。
かつて香港の夏は蒸し暑いと言われ敬遠されたが、今は日本と大差はないだろう。
家からそう遠くない羽田から発つというのも興味はあり、行くことにした。

品川で乗り換え京急線で羽田空港へ。
羽田の国際線ターミナルは国内線から更に奥。
まるでバスの発着所。国際線どころか国内線のターミナルにも見えない。
韓国、香港、上海また夏季のみグァム行きのチャーター便も出るらしい。
液体のチェックもなく、博多にでも行くノリで飛行機に乗り込む。
左右2列、真ん中3列の飛行機は小さい。
全日空のスチュワーデスさんたちは優しくて笑顔がある。
こういう飛行機に乗るのって久しぶり。
「綺麗なお姉さんばかりでいいわねぇ。」呟くと
隣の夫「その発想、おばさんじゃなくておじさん化している」
荷物を持ち込みにしたが、飛行機が小振りのせいか行き帰り共に、
預けた人も待ち時間なしですぐに受け取れていたようだ。

旧空港は夜着くとまるで銀座の晴海通りに着陸していくような高揚感を覚えた。
空港も胡散臭く、街中は優雅な部分と怪しげな世界が共存し、
香港のその雑多感が好きだった。
新空港は近未来的な建築物。市内までも40分程かかるようになった。
香港はサーズ後に、「町をクリーンに」をスローガンにしてきたそうだ。
そのせいか妙に整えられ、また以前より日本料理やエスニックの料理店も増え、
シンガポールに似てきた印象がある。
香港島も九龍もやたら人が溢れている。中国からの観光客が多い。
そしてあちこちで建設工事、道路工事が行われている。

唯一、泊まったホテルの近辺には旧香港の名残があった。
ごちゃごちゃした建物と、得体の知れない路地。
建物の外には各階にクーラーの室外機とプランターが置かれている。
以前はチムサチェイもこんな景観が見られた。
ホテルの部屋は空港跡地に面していて野原が広がっている。
滑走路の残骸もあり。
左右には山と高層ビル群が見える。
近くには九龍城を壊して作った公園がある。
魔の巣窟、香港のカスバと言われた九龍城跡と旧空港跡地に挟まれ、
市場の前に立つホテル。

周りの市場、野菜果物、肉魚が積まれている。
そして車の修理工場や専門道具店。
タイ料理、インド料理、いろいろな種類の中華料理屋、
定食屋やテイクアウトの店。
カスタードタルト、焼き立てを買う。一つが約30円。
露店でライチを一枝、約100円。物価は安い。

朝食を食べようと入った店、セットメニュー約300円。
出てきたものは、コーヒーとハムエッグ、トーストにチキンラーメン。
安価なのはありがたいが、2日しかいられない香港滞在がこれでは寂しい。
翌朝は鶏や豚を捌いて料理している露店で台所にある物を指差し、
お粥を頼む。言葉はわからないが、店主が「それだけじゃ、物足りないだろう?」
と店の中の物を目で示す。豚のローストを指す。
こちらは両方で200円ほど。
夫は鶏肉に葱ソースが添えられた掛けご飯とビール。
こちらは両方で400円位。サービスでゆで豚を3切れほど食べさせてくれた。
店の前には子豚の丸焼きが。テイクアウトで買物に来る人も多く、
美味しそうな物がたくさん並んでいる。


広東語は「ムコイ」(Please、Excuse me)「ト-チェ」(ありがとう)
「マイタン」(会計)「レイ ホーマ?」(How are you?)
[ホーセイ」(美味しい)「ホー、ホーセイ!」(すごく美味しい!)
しか知らない。
「ムコイ」は万能語だ。
空港で前の人達が並んで歩いていたら、
「ムコイ!」と叫ぶと、道が開ける。
香港映画『インファナルアフェア』では、「ムコイ」が連発されていた。

二日とも、お昼頃からバスで九龍のチムサチェイ、その後、地下鉄で香港島に移動。
初日は夕方からライブハウスやバーの集まる夜の街、ランカイフォンへ。
ライブハウス、R&Bの聴こえてくる店があれば当然入ったが、ヘビメタがガンガン唸っている。
ソウルバーがあれば、エリック・ベネイをリクエストするが、それもない。
外にテラスがあるビアバー、明るい内からハッピーアワーでピールを飲む。
そして14年前に食べたピータンやガチョウのロースト、
鮑の蒸しスープが忘れられない味のYung Keeへ。
以前は落ち着いた2階で食べたが、1階も混雑の中、きちんと統率が取られ、
きびきび働くスタッフの動きは見ていて気持ちが良い。
チャーハンやワンタンも食べたいし、マンゴプリンも追加したかったが、
バーで飲みすぎたせいでお腹が一杯に。残念!

二日目は昔に行った飲茶の店を探したが、
見つからずに暑さの余りマンダリンホテルへ入る。
ここは観光客でごった返すペニンシュラと違って落ち着きがあり、
地元の人に人気があった。
しかしサーズが香港で流行った年、香港スターが飛び降り自殺する事件があり、
その後、全室バルコニーを取り払い、リニューアルオープンした。

香港に行くといつも夫に「アフタヌーンティーだけは勘弁してくれ。
香港に行ったら絶対に中華で通す。」と言われていた。
待つこと20年、ようやく初めて香港でアフタヌーンティーをする機会に恵まれた。
私はアフタヌーンティーセット、夫は飲み物のみを注文する。

お寿司風の形に整えられたそれぞれ違う種類のパン、
サーモン、生ハム、きゅうり、等で巻いてある。
可愛い型の暖かなキッシュ、ミートパイ(4種のメニューからチョイス)
小振りの濃厚なチーズケーキ、フレッシュなマンゴがジューシーなタルト
(こちらも4種からチョイス)
熱々のスコーン二種にストロベリーの香り豊かなジャムと、クロティットクリーム。
どれも素晴らしくお洒落で美味しい。お菓子ではなく前菜にもなる。
私はアールグレイティーにしたが、夫は最初はビールで次はワイン。
赤ワイン、日本の2倍位の量がワイングラスに並々と。
3時からのアフタヌーンティー2時半頃に入ったが飲み物は先に出され、
3時過ぎた頃にはすぐに満席になっていた。
それでもペニンシュラで見かけるような観光客の行列はない。
外は暑くて室内はエアコンが効き過ぎの香港、
さすがマンダリンの冷房は、適温で心地良かった。

街を歩いていると「足マッサージ」「全身マッサージ」の立て札を持つ人がいる。
初日はチムサチェイで雑居ビル、手で開けるエレベーターで上階へ。
約1300円で50分のフットマッサージとのことだったが、
10分は足湯、30分の足マッサージと10分と言う筈が5分の肩と頭。
(私の方が上手にできるかと思う程の腕だった)
夫の足は二人掛り、しかし携帯で喋ったりしながら、片手だけ動かしている。

翌日はセントラルで45分の全身。
やはり路地裏の雑居ビルの上階、夫と二人、二人分のベッドが並んだ小部屋で
用意されたルームウェアに着替えて待つ。
うつぶせの状態。周りが見えないだけに手荷物が気になる。
これってこの年でも女一人だったらちょっと怖い状況。

その後、タクシーでホテルに戻る。
土曜日のせいか、道は渋滞している。
香港島からトンネルを抜け、九龍。
そして旧空港のあった九龍糖のホテルへ。
香港のタクシーは安く、24時間割増料金もない。
かなり乗っても、約1500円位。

ホテルから歩いて2~3分。
一時期、話題になっていた店、創發潮州飯店に行ってみる。
一昨年、食中毒を出してから、店の雰囲気が面白みがなくなったそうだが、
外に生簀があり、蝦蛄、海老、蟹、マテ貝、ほら貝、太刀魚、マナガツオ。
値段を聞かないで「時価」という魚を注文して、
お会計で唖然とした経験があるので、すべて値段を確認しつつ注文する。
海鮮料理が売りのようだが、それなら香港から船で1時間余り、
長州島の港の市場で選んだ魚介類をそのまま料理してもらった時の方が美味しかった。
全体的に塩味が濃く、作り方が荒い。
揚げた太刀魚を食べようとして夫は箸を折った。
割り箸ではない、プラスティックの中華箸。
この太刀魚、二人とも一口しか食べなかった。
生臭くて揚げすぎ。ちなみに夫はこの手の食材を扱うプロだ。
その他の物もお腹が一杯なのではなく、口に合わずに残した。
フカひれとチキンのスープだけは美味しかった。
この店に来ることは二度とないだろうと、店先で記念撮影。
夫を撮った時、横を通りカメラに収まった女性、
今度は私を撮る時も、横切り、両方の写真に収まった。

荷物を預けてあるホテルに戻る。
空港に向かうまでまだ2時間以上ある。
コーヒーショップにもバーにも入る気にはなれない。
かなり眠くなってきた。
ロビーで寛ぎながら、飽きると時々、ホテル周辺の夜の街を散策する。


空港に着いたのは10時半だった。
上海灘で買ったコロン、オンスで表示があるが100cc越えているか心配に。
チェックインカウンターの女性は持ち込みは無理と言う。
箱に小さな字で100ccと書かれたのを発見。
そのまま持ち込むことにする。
拒否されたら時間はたっぷりあるから、ここに戻って荷物を預ければいい。

チェックイン、引っかかったのは夫だった。
先に行ったはずなのに、前にいない。
振り返るとボディーチェックを受けている。
金属探知機のみで身体検査はない。
ジッポーのライター、小銭をポケットから出している。
ライターを取り上げられるかと思ったら、持込OKとなった。
アジア航路はあまり厳しくないようだ。

搭乗寸前までカートで荷物を運べる。
免税店がここ数年、利用した空港の中では最も充実していた。
一昨年、機内販売で買ってから使うようになったボビー・ブラウンのコーナーがある。
化粧品の値段、物によって日本との価格の比率に差があるのが意外だ。
カードで買物をする。
チェックが済んで「アリガトウゴザイマス、バ~イ。」と言われるが、
カードを返して貰った覚えがない。
催促すると「オー!」とキャッシャー下から出してきた。
「あれってわざとかな?」と夫に聞くと、「いや、単に忘れたんだろう。」

16日、12時半に香港を離れる。日本時間では1時半。
夫は爆睡しているが、私は行きに観ていて着陸態勢に入り、
途中で終了してしまった映画、『ソリスト』を観る。
ジュリアードでチェロを専攻していたジェイミー・フォックスのその後の人生と
新聞コラムニスト、ロバート・ダウニーJr、との物語。
引き続き、リーアム・ニーソンが、パリで行方不明になった娘を探しに行く
『96時間』も観てしまい、またしても一睡もせず。
『レオン』と似ているところがあると思ったら、脚本と製作がリュック・べッソンだった。

羽田に着くと、行きは海風と湿気で蒸し暑かったのが、
早朝は風もあり、爽やかだ。
機内でも夜が明けていく雲海の眺めが神々しかった。
大島に始まり、三浦半島、房総半島も地図通りの形に見ることができた。
入国も税関も空いている。カスタムを抜ければすぐに外。
帰りはタクシーに乗る。
20分もしないうちに我が家のドアの前に着いた。
成田ならまだリムジンにもエクスプレスにも乗れていない時間。
夫と共に海外旅行をするのは実に10年振りのこと。
パスポートの日付を見ると、香港入国は8/14、出国は8/15とスタンプされていた。