ヤマト運輸が1年前、労使で働き方改革で扱い量を減らしてでも従業員の健康を守ろうとしたことから、残業時間の制限や裁量労働とか、高プロ(ホワイトカラーエグゼンプションの焼き直し)とか国会で議論されてきたが、労働の実態がデータ不備などで解らず。議論が上滑りになっている。
基本の基本がほったらかしにされているのが気になる。先ずこのブログで何回か指摘してきたが情け無いくらい前進しないのが時間外割増率の世界水準への到達だ。日本の時間外割増率は欧州に比べれば半分ぐらいでアジアでも最も低い水準、経営にとって人を新たに雇うより現在員に残業をやってもらった方がコストが安い。この悪弊を取り除くことが政府・連合・労働組合の役割だ。時間外割増率の国際比較をすると、日本は通常日25%(1か月60時間を超えるとその部分50%)休日35%、マレーシア、シンガポールは通常日50%、休日100%で以前の統治国英国と一緒、ドイツは最初の2時間25%、それ以降50%、休日は60%、韓国は通常日も休日も50%となっている。
一般組合員は残業時間を制限すれば収入が減ると、反応する。経営者はそこを充分知っている。現場の労働組合は実際やりづらい。時間外割増率の改善と合わせててやらないと一般組合員は納得しないだろう。
基本の基本では有給休暇の100%取得だ。人員補充をしないとできない労働現場も多々有る。鶏の卵ではないが100%取得が先で、アジアの国々では日系企業でさえ実現できている。売上げや扱い量を減らしてでも先ず100%取得だ。
生産性を上げなければと経団連は叫んでいるが、一人ひとりの従業員がその気にならなければできない。欧米の企業は今やどうしたら従業員がその気になるか腐心している。米国でも非正規社員は40%を超えることを見据え、究極の働き方は好きなときに好きな場所で働くことが最も生産性が上がるという コンセプトで生産性を上げようとしている。日本ではかつて福利厚生を充実させることに労使は努力したが、今や欧米企業に後塵を拝している。