報道によると厚労省幹部は19日午前の野党会合で「一般労働者と裁量制を異なる手法で調査し、比較したのは不適切だった。おわび申し上げる」と陳謝した。問題となっているのは厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査」。政府が今国会に提出する「働き方改革関連法案」に、裁量労働制の拡大を盛り込む効果の根拠データとして使っている。一般労働者にのみ「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」を尋ねたうえで、法定労働時間の8時間を足していた。このため、当然裁量労働者より一般労働者の方が長時間働いているとの回答が集まりやすくなった。
この比較に乗って、安倍晋三首相は1月の衆院予算委で同調査を取り上げ「裁量労働制で働く人の労働時間は、一般労働者よりも短いというデータもある」と述べ、この後、調査に不備が見つかり答弁を撤回、謝罪した。首相が大恥をかいたのである。
何故こんなことが起こるのか?基本的には長時間労働過労死から国民を守ろうと、時間外規制を目的とする法案に、時間規制を撤廃する裁量労働制を加えることが無理筋なのだ。厚労省の官僚はそのことを何とか通そうと別々の調査結果のつまみ食いをしたわけだ。裁量労働でも、労働時間を計ることが必要だ。医師や教員の長時間労働がようやく問題となっているが、多くの犠牲者が出てから問題となった。
森加計問題での文科省やスパー詐欺師に引っ掛かった経産省、そして今回の厚労省、優秀な日本の官僚がおかしい。内閣官房1強のなせる業なのか