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行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

実ってきたネパールの児童労働対策

2015-01-09 22:41:03 | Weblog

ILOの報告では、全世界の5~17歳までの1億6800万人以上の子どもたちが児童労働に従事、これは9人に1人の児童が何らかの労働に従事していることだ。ノーベル平和賞を受賞したカイラシュ氏がこの児童労働対策でとなえたのが「現場から子供を連れてくるだけではダメで、学校に通わせなければまた元の職場にもどされる」ということ。国際労働財団はネパールに児童労働対策で非正規学校(現在9校)をつくり、農業やカーペット工場で働く子供を教育し、正規学校に編入させる運動を地道に18年やって来た。親を説得して子供の教育の大切さを認識させ、無償で学校に通わせる学校プロジェクトは日本の労組からの寄付金で賄ってきた。

最近の同財団の追跡調査によると、18年間で約10000人もの卒業生を輩出し、8割が正規の公立学校に編入され、判っただけで大学を卒業した人が9名、高等学校卒業資格試験合格者が17名という成果が出ている。親は皆貧しいので、おそらく篤志家からの奨学金をもらっての進学だと思うが、カーペット工場で働いていた子供が大学を出られるなど想像も出来なかった。内戦で危険な状態であった2005年前後は財団のスタッフも入れない地域もあったが、ネパールポカラ在住の和田現地事務所所長の尽力によるところが大きい。ゲリラが和田氏の自宅に来て学校プロジェクト活動を止めろと迫ったこともあった。

まさに継続こそ力なり、この非正規学校プロジェクトでネパールの未来を担う人材が育ち、国力を増すことによってやがては児童労働に従事する子供たちがゼロになる日が来る。

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