行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

福島第一原発事故の中間的総括その1

2011-04-20 15:51:52 | Weblog
私は1980年代の後半、約10年間安全性の追求という面からいくつかの研究会を作り、原子力を含むエネルギー政策に取り組み、連合の前身民間連合のエネルギー政策を主導した。この間、日本だけでなくドイツ、フランス、カナダ、米国など欧米の原子力発電、核燃料再処理施設などを現地視察し安全施策を調査研究した。当時は反原発運動も活発で大いに議論をしたし、電力会社も緊張感に包まれていた。

その後、エネルギー政策の現場から離れていたが、原発で何となく危惧を抱いたのは次の2つの問題に代表される現場のゆるみというか安全第一の精神が弛緩しているのではないかという思いがよぎった。反原発運動が弱まった反作用かもしれないとも考えた。

一つは2004年8月9日福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機の2次冷却系の配管が破損し、高温蒸気が噴出して作業員4人が死亡した事故で、同社は2003年11月に破れた部分が計画的な点検が必要な個所と把握しながら、2004年8月14日から始まる定期検査まで、何もせずに運転を継続して9日に事故がおきた。

もう一つは2007年1月31日、東京電力は原子力発電所で行った定期検査に関するデータの改ざんについて調査結果をまとめた。福島第一、第二、柏崎刈羽の原発、合計17基中13基で新たな不正が発覚し、緊急時に原発のメルトダウンなどを防ぐ非常用炉心冷却装置(ECCS)のポンプ故障を隠して検査を通すなど、悪質な改ざんが明らかになった

今回の福島原発の事故は想定外の津波が原因と当初私も思ったが、上記のごとく電力会社全体に安全第一の精神が弛緩していたことが今回の大事故を招いた背景と考えている。
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