粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

復興庁参事官が抱く哀れみ

2013-06-14 15:23:54 | 原発事故関連

復興庁幹部職員が自分のツイッターで暴言を度々繰り返した事で更迭処分を受けた。45歳の参事官だが、彼は昨年3月制定された「子ども・被災者生活支援法」に基づく基本政策策定に取り組んでいた。しかし、この法律自体が問題があり、この参事官は政策として実施されることの意義には懐疑的だったようだ。石井孝明氏も問題点を次の通り指摘し「無駄な法律」と酷評している。

昨年3月に議員立法で成立したもので子供や避難者に健康診断、移動、移住、教育などの点で余分に補助を出すというもの。ただし法律を運用する政令などの規定はなく、棚上げ状態だ。支援の対象とする地域の放射線量の基準が決まらないためだ。

この参事官は、これを推進しようとする国会議員に対応したり、福島の自治体に赴き地元の意見を聞いたり、あるいは市民団体の活動家にも会って復興支援に向けて活動していた。対応自体、評判は悪くなかったが、相手方に反原発志向が強い人物が多く、彼らの態度には辟易していたようっだ。

それが「左翼のクソども」という暴言のツイッターになるのだが、この参事官が石井氏のいう「無駄な法律」を実行に移す仕事に自己矛盾を感じていたことは想像に難くない。「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけず曖昧なままにしておくことに関係者が同意したんだけど、こんな解決策もあるということ。」というつぶやきになったわけだ。

どうも法律での支援対象が極めて広く、年間1ミリシーベルト被曝を基準にして、過剰な放射能忌避が反映されているようだ。しかし、現在の報道をみていると政府役人のモラルばかりが先行している。確かに立場的にはこのツイッターは問題だが、もっと対象になった法律の意味を問題にすべきではないか。

石井氏は「これをきっかけに法律を潰すこと、もしくは形骸化する」ことを訴えている。最後はこの参事官の言葉にあやかって石井氏の激白で締めくくられている。

不思議と反発は感じない。感じるのは、ばかばかしい法律を賛美する人、何も反論できない役人を糺弾することに血眼になる人、そしてこうした『バカ騒ぎ』が福島と東日本の原発事故からの復興に役立たないことに気づかない人の、知性に対する哀れみのみ」

これは、いまだ日本を覆っている鬱陶しい空気を如実に言い表している。ともかくこの参事官、なかなかの人物かもしれない。あの外務省元官僚佐藤優氏、あるいは尖閣諸島漁船衝突事件の元海上保安官一色正春氏を思い出した。

追記;最後の激白を当初参事官の言葉として紹介してしまいました。これは石井孝明氏の激白でしたね。失礼しました。