報道によると、福島県の県民健康管理調査で18歳以下の子供17万4千人のうち甲状腺がんの診断が確定したのが12人、疑いがあるのが15人ということがわかった。2月に公表されたときは、診断対象者3万8千人のうち確定が3人、疑いが7人だったから、今回の結果は大体予想通りであるといえる。
調査の主体である福島県医大では、これは原発事故の影響でないと再三強調している。2月の時は、反原発を唱えるメディアやジャーナリスト、学者がその結果に飛びつき大騒ぎしていたが、4ヶ月しか経たないのにメディアのこの静けさは一体なんだろうと思う。
環境省による福島県以外の甲状腺検査が福島とほとんど差が見られないという報告も大きかったが、つい最近の国連の科学委員会が出した報告書のインパクトは絶大だった。「(福島県内の)住民が被曝した放射線量は低く健康に悪影響は確認できず、今後も起こるとは予想されない」と相当明確に結論をだしているのだ。甲状腺についていえば、福島の子供被曝は多くて88ミリシーベルトであり、甲状腺がんのリスクが高まるとされる100ミリには及ばず、チェルノブイリ事故での最大5000ミリ台の被曝とは桁が違うのである。
この報告には、これまで被爆による健康被害を煽っていた反原発派の論陣も沈黙するばかりだ。あの武田邦彦中部大学教授も、もはや甲状腺の「こ」の字も出てこない。国連の科学委員会が「今後も起こるとは予想されない」と踏み込んでいるのも注目される。甲状腺がんが今は出なくても今後2,3年後が不安だとか、他のがんでも20年後はわからないとか、放射能被害を強調する人は決まって反論する。しかしこれも説得力を失いつつあるのではないか。9月に詳細が国連で発表されるのでそれを期待したい。
そんな最中、ひどくマイナーともいえる報道があった。「全国流通 福島産ウナギ『産地偽装』の裏側」。記事の出所は日刊ゲンダイだ。たまにしか食べない福島のウナギが標的だ。読んで字のごとし、タイトルを見れば想像がつく。ただ調べもしないで「汚染されていてもおかしくない。」と決め付けているのが気に障る。
あの岩上安身氏が早速この記事をツイートしていた。確かに偽装は褒められたことではないが、相変わらず福島を標的にして、重箱の隅をつつくような感じだ。大本命?の甲状腺がんが心配するほどでないという昨今の報道に、反原発が悔し紛れの意趣返し、なんて言い過ぎだろうか。