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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

さんま漁最終航海!

2008年12月19日 | モバイル

18日朝、久慈港での水揚げ後、

いよいよ最終航海の出港、Co100°

FAX天気図を見ると夜半から海況悪化が予想される。

15時スタンバイ、16時40分から操業開始!

水温10.6℃ 他船なし。

19時頃、雷光が合図のように冷たい雨が強く降り始め、

一時的に粒の大きな雹が、甲板に音を立てて落ちてきた。

20時頃からは北西の風が強くなって、海面には白波が立ち、

風波でうねりも高くなった…

それでも順調な漁獲を続けていましたが、

21時、更に風雨が強まって嵐になり、

操業をあきらめて集魚灯を仕舞い荒天準備!

あと操業1回、不足分4~5トンというところで…

「もし、朝方凪れば操業を再開する」との事で

漁労長は船を風上に向け「支え」中

(不定期に折れる高波やうねりに合わせ

微速航走からクラッチを中立、航走をストップさせて

船にぶつかる波からの衝撃をかわす) 我々は室内で待機!

平成20年のさんま漁最終航海は

トラブルが多かった今シーズンを象徴するかのように嵐に邪魔され、

スムーズな操業終わりとはいかなかった…

夜が明けても嵐は治まらず、ずっと舵を持ち続けた漁労長に変わり

船長が舵を持ち、「支え」ながらも、船を少しずつ西へ…

19日11時頃から微速で航走、昼過ぎから風が弱まり、

夕刻トドヶ崎沖の陸寄り、

山のシルエットが見える辺りまで来ると、うねりも落ち着き、

コースを変え、全速力で南下帰途航走、女川向け!


さんま漁38 航海目!

2008年12月18日 | モバイル

16日11時に久慈港入港。

水揚げ後15時15分、集魚灯を出しながら久慈港出港 Co115°

20時45分スタンバイ、数隻が操業していたが

漁模様はよくないようで、すぐに各船航走した。

操業準備後、Co90°でライトを点灯させ固定したまま調査航走。

船団の操業ポイントは更に沖!

23時頃にポイント着、23時20分頃から操業開始、水温12.5℃

薄群れを操業しては北東側へ調査のパターンを繰り返し、

ようやく連続で操業できる壺サンマにあたり、

6回程操業も群れは薄く纏まった漁獲とはならず…

操業時の集魚灯の切り替えで赤灯のみとなった時、

東の空が薄明るくなってきているのに気付いた。

もうそんな時間に…

その後1回操業し、6時10分、夜明け。

残念ながら魚艙3ヶ所が残り、沖泊まり。

1時間程潮昇せの航走後漂泊!

洋上での久々の朝日は重くなった瞼に眩しく感じられた…!

17日は、15時から漁労長による水温調査が始まり、

16時 航走ストップ、魚探(魚群探知器)のモニターには

色が薄いが水深30mまでの反応があり、16時30分から連続操業!

ライトには全く跳ねない為、

ライトはゆっくりと深いサンマを廻すように動かす。

操業毎に底の方から反応の色が濃くなり、

底から湧き上がるような、群れの濃い壺サンマ!

4回目には網の下のサンマに揚網前の網が持ち上げられる…

昨晩とは漁模様も魚体組成も一転、

この時期には珍しい形の良いサンマ!

操業前、12.3℃だった水温は13.4℃に上がっていた!

18時30分、終わり。

これまで積んだ事がない程の積み荷で船足重く帰途航走、

18日朝の水揚げに向け久慈港へ!


さんま漁37 航海目!

2008年12月16日 | モバイル

14日18時、石巻入港。15日朝から水揚げ、

水揚げ後の氷を積み込む前に、金華山沖の鱈縄漁に乗り組む

「三陸海人」さんが船に訪ねてくれましたが揚げ出しの為忙しく、

ゆっくり話している余裕がありませんでした。(申し訳ありません)

10時40分、石巻出港北上!  16時スタンバイ

各船も揚げ出しで、先を走っている船は

前航海の操業ポイントより南西側で操業を始めたらしい。

19時30分頃から操業開始、水温12.5℃

1回操業しては北上調査航走というパターンが続きましたが、

なかなか壺サンマにも大群にもあたらない…

更に北上し、水温10.1℃ の澄んだ青色系の水色で

集魚灯の灯りの下には「ジャミサンマ」が多く集まった…

調査航走が続き、

3時を過ぎた頃からめっきり気温が下がり、寒さが厳しくなった!

操業回数は15回を超えた4時半頃にようやく終わり。

帰途航走は久慈向け、

16日11時頃に入港し、今回も揚げ出しの予定。


さんま漁36 航海目!

2008年12月14日 | モバイル

12日19時に女川入港、接岸後に

潜水士が潜って船底を確認してみると、

栓(網目の蓋)が外れて無くなっていたという事で、

栓を新しく取付ける作業が潜水士によって行われました!

4ヶ所がボルトで締められているのですが、

ボルト穴がふけていて溶接で固定、

どうやら大丈夫になったようです!

「水中溶接」で上架せずに済みました。

13日朝女川港での水揚げは、11日晩に一緒に操業した3隻。

水揚げ中、女川港に係留していた僚船や各船が

一斉に出港して行った。

我々も水揚げ後、10時15分に女川出港、凪良く北上。

いよいよラストスパート(予定は後、4航海)!

15時のスタンバイ後、

夕食を済ませていつものように各自、合羽や手袋をはめていると

「目指すポイントまでは、まだ40哩程あるので休んでいるように」

と漁労長。

19時頃から北東の風が強まり、

良かったはずの凪が一転、海面が波立った!

21時、スタンバイのベルが鳴り、操業準備。

操業中の船団は前航海の操業ポイントよりも

更に北側へ調査しているようだ!

21時45分から操業開始、水温9.3℃ 冷たい雨も降り出し、

厳しい寒さの中、壺サンマを6回程連続操業して更に北上!

日付けが変わった頃から風向が北に回り、

海が次第に凪始め、

水温が9℃台から13.8℃~14.7℃と一気に上がった

N39°59, E143°53, 付近から

ライトの探照先でサンマが跳ね始め、

集魚灯の灯りの下、船の周りで暴れるサンマの大群!

久々にライトの探照動作に素直に従い、

サンマが跳ねながら次々と勢いよく船に向かって来る!

ライトを持つ手が冷たくかじかみ、

寒くて震えていた体が一気に熱くなった!

操業再開、大群操業!黒崎の沖合い約90哩。

「12月中旬、この時期までのサンマ漁はこれまで

あまり多くは経験した事はないが、

北ほどジャミサンマ(小)が多くなり、

房総沖での操業が主だったのですが、

今年は三陸の沖合いで形の良いサンマが多い、

シーズン序盤に見たあのジャミサンマの大群は?

あれから急激に成長したとは思えないが?

そういえば今年は、網に付着してくるサンマの卵を見たのは

10月中旬の1航海だけ(例年は数回見るのですが?)

サンマ(回遊魚の)生態系は不思議で謎だらけです… 」

冷たい雨の中での操業は3時に終わり、

僚船に群れを預けて南下帰途航走、石巻港向け!

14日夕刻の入港予定。