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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

さんま漁16 航海目!

2008年10月09日 | モバイル

7日、3時30分女川入港。

この日はサンマ大型船9隻で約870トンの水揚げ、

やや集中水揚げ傾向!

11時20分、女川出港 Co50°

前航海と同じく沖よりのコースで宮古沖合いの海区向け!

N40°04, E143°24,付近。

すでに操業中の船団まで約15哩程の21時40分、スタンバイ。

操業中の僚船の漁模様は悪く、

「サンマは見えるが網に入らない」との事!

いわゆる(足の速いサンマ)22時30分過ぎから操業開始。

水温17.8~18.2℃

網を入れ、サンマを廻し、網を揚げる途中にサンマはいなくなる…!

(逃げ足の速いサンマ)

しかし我々の船の漁労長は

そういうサンマの群れを漁獲するのが実は得意!!

なんといっても操船が上手い!

網を入れ、網を広げる過程の操船

(舵を上手く使っての前、後進にサイドスラスター+

集魚灯を切り替えながらのサンマの誘導)を

北海道沖での通常の操業時より早くし、

(当然我々にもスピーディーで 、より確実な作業が要求されます)

大型船を小型船のように操る。(この操縦が凄い!)

普通、網が落ち着く前に網の浮き(長い棒状)を船から離そうと、

船を早めに動かす事はスクリューに網や足、(錘の付いたロープ)

ワイヤー等を巻くリスクが高くなり、危険なのですが、

これを難無くこなし、あっという間に網が落ち着く!

と同時に左舷側の集魚灯を点灯させるが、

右舷側の集魚灯での誘導(廻し)も早く、

サンマは網の上に誘導され、すでに網を揚げる段階。

この操船技術はサンマ漁では相当なスキルだと思う。

スピーディーな操業を繰り返し、夜明け迄!

しかし残念ながら若干足りず、漂泊…!

僚船をはじめ、ほとんどの船はこの海区を諦め、

襟裳岬沖へ北上して行きました…

サンマは見えているので群れが固まれば、

サンマも落ち着くのでしょうが…

いつも同じ状態で漁獲できるとは限らない!

漁の難しさを感じます。

8日は、14時20分、エンジン始動。

漂泊中に船は南東に約25哩程流れたようで

漁労長による潮昇せで航走!

16時40分にスタンバイ。  昨夜の残りの氷をデッキに揚げ、

17時20分から操業開始!

水温18.6℃ 他船は4隻、2回操業して終わり、

帰途航走女川向け!

9日朝7時半頃の入港予定。


さんま漁15 航海目!

2008年10月07日 | モバイル

さんま漁15  航海目!

3日の晩は休みで帰宅!

自宅のテレビで19時30分からのテレビ番組、

NHKの

「クローズアップみやぎ、燃油高騰!苦境に立つ秋刀魚漁」を

見る機会がありました。

今、国内では、色んな物が値上げされている中、

秋刀魚は安くなって嬉しい!という買い物客が

買い物カゴに秋刀魚を入れている様子が映りました。

自分達が漁獲し、流通していく秋刀魚が

購入されているのを見るのは喜ばしい事ですが、

あまりにも値段が安く、ちょっとガッカリ…

これはこの先の浜値の上昇は期待できないなぁと感じました。

昨年、TAC(漁獲可能量)が増枠された時で予想した事。

今週から2週間に5航海という微妙な生産調整になりますが、

集中水揚げで一気の魚価暴落だけは避けたいものです…!!

氷を積み込み、4日、16時30分、女川出港北上!

昨夜、宮古沖合いの海区で操業した船の漁模様は、

あまり良くなかったようです。    4日朝に出港して、

日暮れから調査している僚船からの連絡も芳しくない…!

「三陸沖 にも主漁場が形成されそう…」というのはもう少し後に

(時期的にはそろそろなんですが)なりそうです…

5日01時、数隻の操業船が見えるがスタンバイのベルは鳴らない。

3時頃に各船の操業ポイントを通過も素通りです…

夜明けを待たずに僚船や各船も、

宮古沖合いの海区から一斉に北上し、襟裳岬沖へ!

北上を続け、15時50分スタンバイ。

襟裳岬の北東から花咲の南東までの沖合いの広い範囲で

小型船が操業しており、

漁模様も魚体組成も水温もマチマチのようです。

17時20分、航走ストップ、群れに乗せ、即操業開始!

2回操業して付近を調査、水温16.2℃ 魚群は薄く5回目の操業後、

20時20分から南西へ2時間程移動して操業を再開。

N42°17, E145°33,~55, 水温15.8℃

9回目の操業でついに大群操業!

6日に日付けが変わった00時15分、操業終わり。

南下帰途航走、 7 日朝女川入港予定!


さんま漁14 航海目!

2008年10月03日 | モバイル

さんま漁14  航海目!

29日23時に気仙沼港入港、

30日、水揚げ、氷の積み込み後、11時気仙沼出港、

三陸沿岸沿いを北上し、17時から東よりにコースを変え、

17時30分スタンバイ。

集魚灯はLEDだけ、ライトは固定したまま点灯させ、

上部ブリッジに漁労長、無線室に通信長、

ブリッジと機関室には各当直者、

当直以外は寝室で休息しながら待機

(群れに当たれば即スタンバイ)という態勢で、

黒崎沖から襟裳岬の南までの低水温域の潮境を調査航走!

数匹で泳ぐサンマやイカが時々見えるものの、

ライトの探照先で跳ねるサンマの群れは見えず、

夜明け前に消灯、

各船の操業ポイント襟裳岬の北東沖向けに針路を取り、

凪良く微速で北上。

10月1日、昼頃に漁場着も

漂泊中の各船より20哩程北東側へ漁労長による水温調査、

昨夜から集魚灯を出したままでの航走なので、

夕食を済ませ、16時30分にスタンバイ。

17時、航走ストップ。

ストップ中の船の下、魚探(魚群探知機)には

海面から水深20mを頭に濃い反応があり

集魚灯を点灯、日が暮れてサンマが浮くのを待ち、

17時40分から操業開始!

他船は4隻と少なく、

「水温15.4℃ 水色は濁水系」(特大混じり)4回操業し、

20時40分から1時間半程南西に航走、

他船多く大船団の中、

僚船数隻が並んで操業中のポイントの西側で1回操業、

「水温16.7℃ 水色は澄んだ青色系」(大、中主体)

サンマの魚体は16℃台の方が揃っていた感じがします。

尚、宮古の沖合いでも纏まった漁獲があったとの事で、

いよいよサンマの南下回遊が本格化、

三陸沖にも主漁場が形成されそうです。

22時20分終わり!

僚船に群れを預け、南下帰途航走。

宮古の沖合い(2日の日暮れから、漁獲のあった海区を

ソナー、魚探を起動させながら)を通ってのコースは

北西の風がやや強く、うねりも高い、微速で航走。

画像は沖合いまで風に乗って飛んで来た珍客 「赤トンボ」

明 かりに迷い船内に…

久しくトンボに視点を合わせる余裕がなかっただけに

季節を感じました。

10月に入り、さんま漁は中盤戦突入!!

船は3日朝女川港入港予定!