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80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

ゲームブック・仮面の破壊者/R・ウォーターフィールド・社会思想社

2012-03-22 20:59:20 | ゲームブック

 仮面の破壊者は、1987年に社会思想社より発売されたファイティングファンタジー23番目の作品。著者はロビン・ウォーターフィールドで、タイタン世界の暗黒大陸クールが舞台。


 君は、暗黒大陸クールにある都市アリオンを収める領主。共同統治者の魔術師アイフォー・ティーより、邪悪な魔女モルガーナの陰謀について知らされる。彼女は、12種の魔法の仮面を使った破壊者ゴーレムを作り、世界征服を企んでいる。すでに11体のゴーレムが完成されてしまった・・・というもので、主人公は、町の北部に位置する死の湖、枯葉の谷、矛槍草の大平原、瘴気の沼を抜けて、魔女モルガーナの住む北部山脈のクリルガーナッシュを目指すことになります。


 目的を果たすためには、枯葉の谷の領主へヴァーの協力を得なければなりません。彼以外にも、隠遁の魔術師ジュジャ、時間のない国に住むヴァシティなど、幾人かの情報と協力が必要となります。領主へヴァーの信頼を得るためのサーベルタイガー狩りが、ミニゲームになっており、FF(ファイナル・ファンタジー)みたいなゲーム内ゲームに挑戦する展開があります。隠遁者ジュジャや、異世界のヴァシティに会うためにも仕掛けがしてあって、一筋縄ではいきません。また本作の一番の特徴は、ラストにどんでん返しが在ること。そのため物語の進行に合わせて、徐々に伏線が張り巡らされています。悪の対象を倒すだけではなく、裏切りと策略とが織り込まれ文学的になっているんですね。


 巻末に訳者の解説があるのですが、リビングストン・ジャクソンを超えたゲームブックの新しい展開が生まれた!とかなり賞賛しています。ただ本国イギリスでは、この後も60巻近くまでシリーズが続きますが、日本ではこのあたりでそろそろ陰りが見え始めてきたようです。発行部数が減ってきたのか、現在の古本市場でこの辺りの巻からプレ値的な値段が付き始めるんですね。ちなみに日本では、第33巻天空要塞アーロック(91)までで社会思想社のシリーズが打ち切りになっています。87年より91年の4年間で約10冊ですから、発行されるペースも随分落ちてます。


 87~89年頃というと日本人作家によるオリジナルも登場していて、そちらの方はまだ勢いがあったようです。(東京創元社のこれらものは、88~89年の出版)
 

 東京創元社の折込チラシとして発行されていた、ミニコミ誌的なアドベンチャラーズ・イン1989年2月13号。20号まであったようです。


 13号は、第2回創元ゲームブック・コンテスト新人賞の発表と、第3回の作品募集のお知らせ。


 このようにゲームブック・ファンによる、ある種のコミュニティが成立していたんですね。ゲームブックが衰退した理由は色々あると思いますが、一番大きかったのはFCソフトなどの中古市場が発達してきて、ゲームソフト自体が入手し易くなっていたことなどでしょうか。


 個人的にも、この頃には書店で新作をチェックすることはなくなっていました。ただ90年代になると、古本屋にゲームブックが溢れるようになり、専門書や文学書を物色するついでに、懐かし~という感じでつまんでました。80年代で終わったように思われるゲームブックのブームですが、今度は古本屋で花開いていたんですね。

参考:Wiki スーパーアドベンチャーゲームの項、アドベンチャラーズ・イン(東京創元社)

ゲームブック・恐怖の神殿/イアン・リビングストン・社会思想社

2012-03-20 14:16:48 | ゲームブック

 恐怖の神殿は、ファイティングファンタジー13番目の作品。著者はイアン・リビングストンで、日本では1987年に社会思想社より発売されました。


 若きマルボルダスの暗きねじくれた力は、今や絶頂に達しようとしていた。そだて親のエルフらは、砂漠のどこかに隠された都市ヴァトスに秘められてきた竜の飾りを探し出すよう命じた。この5つの竜飾りを手にした時、マルボスダスのアランハ制覇が成し遂げられる・・・というもので、主人公は魔術師ヤズトロモより依頼を受け、どくろ砂漠にある失われた都市ヴァニスに向かうことになります。第12作目フリーウェイの戦士に続いてのリビングストン作品で、第9作の雪の女王以降、久々のタイタンを舞台としたのファンタジー作品です。


 リビングストンのタイタンものということで、ストーンブリッジの町に立ち寄った主人公は、ダークウッドの森(運命の森)で魔術師ヤズトロモの教えを乞い、彼の助けを借りて、南のどくろ砂漠を目指します。まずヤズトロモの塔にて、(バルサスの要塞/S・ジャクソンのように)あらかじめ10の魔法より4つを選択して習います。その後は、ポート・ブラックサンド(盗賊都市)に立ち寄って船を使う選択肢があったり、船の沈没に巻き込まれたり、砂漠の大砂蛇と戦う展開などもあります。ちょうど時期的に映画デューン・砂の惑星が公開された頃でしたので、この頃の砂漠ものといえばサンドワームがお約束でした。ハイドライド2にも砂漠に隠された都市があり、そこでも登場していました。前半は砂漠での冒険、後半は失われた都ヴァトスでの竜の飾り探索へと移ります。


 この作品の一番の特徴といえるのが、ヴァトスに到着と同時に現れる死の使者の存在。これは、主人公に先回りしてD・E・A・T・Hの5文字をあちらこちらに隠しており、それを見つけると呪いがかけられて、5文字全てを見つけたときに死が訪れるというもの。竜の飾りを見つけるためには、あちこち探さねばならず、必然的にD・E・A・T・Hの文字を発見する可能性も高まるというトラップでした。またヴァトスには巫女リーシャという女性の支配者もいて、マルボルダスだけではなく、こちらも相手をせねばなりません。このように、細かな仕掛けや様々な冒険がぎっしりと詰め込まれた作品になっています。


 タイタンが舞台のファンタジーものなのですが、砂漠が舞台ということもあって、どこかオリエンタルなムードも漂っています。衛兵は上半身裸に半月刀のアラビアンないで立ちだったり、巫女リーシャは骸骨兵士に守られていて、ストップモーションの巨匠ハリーハウゼンの世界や、レイダースの街中での立ち回りシーンなどをどことなく連想させます。最後は、マルボルダスとの対決になるのですが、彼は部屋の床に空いた穴より下からせりで登場してきます。イラストも地味なおっさんみたいで、若い才能や野心に満ち溢れた悪役を想像していると、肩透かしをくらいます。シリーズ中もっともかっこわるいラスボスかもしれません。


 これは4~5年前に古本で購入したもので、当時の持ち主の冒険記録が挟まってました。FCの復活の呪文とかバックアップもそうですが、これらは一種のタイムカプセルみたいなものと言えるのかも。


 個人的には、前作のフリーウェイの戦士や、サムライの剣、迷宮探索競技、サイボーグを倒せ、ロボットコマンドウなどは遊んでいるのですが、これは当時の印象は薄い作品です。この位の時期になると、オーソドックスなファンタジーものにはそろそろ飽きてきていた時期だったのかもしれませんね。


ゲームブック・死神の首飾り/ジェイミー・トムスン&マーク・スミス・社会思想社

2012-03-17 06:37:56 | ゲームブック

 死神の首飾りは、ファイティングファンタジーシリーズの11作目として、社会思想社より1986年に発売されたゲームブック。本作の特徴は、S・ジャクソン、I・リビングストンは監修にまわって、2人以外の作家さんの手によるものという点と、このシリーズに馴染み深いタイタン世界ではなく、オーブ(Orb)という特殊な世界を舞台としているという点。シリーズ8作目サソリ沼の迷宮/S・ジャクソンも、2人以外の手による作品でしたが、これ以降2人は監修にまわって、別の作者による作品が増えていくことになります。


 物語は、オーブ(Orb)の世界に世界を転覆させる死神の手が迫っていた。それを阻止するには、昔作られた死神の首飾りが必要となる。君は、死神の首飾りの力を無にするためにオーブ(Orb)の世界の神々によってこの世界へ召集され、死神の使途の追跡を逃れて、首飾りを運ぶ役割を担うことになる・・・。主人公は地球よりこの世界に招集され、オーブ(Orb)世界のダンジョンに現れます。そこでは、十字軍のパーティが首飾りを使途の手より奪取しており、主人公にそれを託します。プレイヤーはこの世界を回って情報を集め、元の世界へ首飾りを持ち帰る道を探すことになります。ウルティマみたいな感じですが、読者が主人公となる巻き込まれがたの冒険ものですね。物語の前半は、学問の都グレイギルドでの邪悪な巫女との対決。後半はグレイギルドを出て元の世界へのゲートを目指す展開になります。


 主人公は、グレイギルドに付いた途端、ホーカナという巫女に首飾りを奪われてしまいます。学問の都ということで、学者アポテカスの協力を得て、この世界の仕組みを教わり、手助けをしてもらいます。その後、酒場レッドドラゴンにて情報を集め、盗賊のギルドの助けを借りて寺院に潜入し、ホーカナと対決することになります。とてもTRPGっぽいというか、ありがちですがよくできた展開になっています。ライバル的な2人組の盗賊や妖術師の手を逃れて、後半の山場は元の世界へのゲートの門番をするレッドドラゴンとの対決になります。ドラゴンの弱点や装備など、情報を集めて対決をするのですが、このレッドドラゴンあの手この手を使って主人公を懐柔しようとし、一筋縄ではいきません。ここまでのシリーズに登場した中でも、屈指のラスボスになっています。この辺りの老練なドラゴンとの交渉も、TRPGを連想させていい感じだと思います。


 という感じで、なかなかいい雰囲気の作品なのですが、残念ながら当時はあまり印象に残っていません。少ないこずかいの中でやりくりしながらゲームブックを買っていますので、S・ジャクソン、I・リビングストン以外の作品には目が向きにくかったんですね。ゲームブックブームも去った90年代頃に、古本屋で100円で投売りされていた時に買って読んでいるとは思うのですが、これもあまり記憶に残っていません。もうその頃には、他の事に目が向いていたのだと思います。

クエストブック・魂の宝箱と12の呪文・イアンリビングストン/社会思想社

2011-08-25 02:09:29 | ゲームブック

 『クエストブック・魂の宝箱と12の呪文』は、1990年に社会思想社より発表された(パズル)ゲームブックです。著者はゲームブックの第一人者の一人であるイアン・リビングストン。


 同様のシリーズに、スティーブジャクソンの『魔術師タンタロン12の難題』があります(知名度としてはこちらの方が上でしょうか)。これらは、両方ともゲームブックブームの末期に発表されていますので、ゲームブックに詳しい方でも実際に遊んだことのある方は少ないかもしれません。


 内容の方は、イラストを見ながら謎をとくパズルブック。大きさも絵本ほどのサイズで、海外などでは子供向けに割とメジャーなジャンルなのでしょうか。ウォーリーを探せとか、迷路が一面に書かれたパズルブックとか、イラストを見ながら犯人を当てる推理物とか、ああいった種類のものです。ただしファイティングファンタジーの作者が送り出した作品ですから、ただのパズルブックには終わりません。子供でも十分遊べるとは思いますが、世界観もファイティングファンタジーと共有しており、難易度もかなりの高難易度で、ゲームブックの読者であった層でも十分に楽しめるように作られています。


 舞台は、アマリリア王国。アマリリアにはデーモン軍団が押し寄せておりアマリリア軍との戦いが行われていた。大魔術師サラザールは、そのデーモンを封じ込める呪文を12の宝に託して王国の中に隠した。読者はサラザールの依頼を受けて、12個の宝を探すこととなる・・・。構成は、見開きの左側に物語、右側に大きなイラストが置かれています。各ページごとに文章にはタイトルが付けられ、12個の宝物のイラストも示されています。宝物には1~12までの番号が振ってあり、イラストの中から宝箱を探し出して、見つかったページ最初の語句を順番につなげてゆくと、ひとつの文章が現れてきます。これがデーモンを退ける呪文で、この呪文を探す事が目的となります。


 要は、だまし絵というか、隠し絵ですね。上のようなファンタジー風の美麗なイラストの中に巧妙に宝物が隠されていて、それを探すゲームです。ただしその謎が一筋縄ではいかないもので、いろいろな角度から眺めたり、時にはページを折ったり、鏡を立てたりしないとわからないように巧妙に隠されています。そもそも冒険の目的すら、文中でははっきりとは示されておらず、解答もこの本には入っていません。あまりにわかりにくいので、訳者の安田均氏がイントロ部分で、解き方の解説をしているほどで、それがないと何をすればよいのかいまいちわからないまま、解答のない世界をさまよい続けることとなります。


 宝箱の隠され方もかなり抽象的で、解釈によっては幾通りもの解答が考えられ(しかもフェイクも入っている)、正式な解答が明かされていないため、現在でもネット上で謎解きがされてるような感じになってます。正式な解答を示さず、はっきりとした遊び方も明示されてないというのは、読者に遊び方を委ねているというようにもとれます(安田氏も野暮を承知の上と断った上で、遊び方のヒントを出しています)。実際のところあまり謎解き中心には考えず、ファンタジー世界をきままに楽しむという方が、ほんとうの遊び方なのかも知れません。


 宝物のひとつ王冠。


 黄金の聖杯。


 タイタンの旗印。どこかで見たことがある?


 スティーブジャクソンの『魔術師タンタロン12の難題』の方は、ロープにつながれたとらわれの囚人を助け出せるのはレバーの右か左か・・・というような感じのパズルブックになっています。こちらはゲームブックブーム最中の1987年に先に出版されており、知名度だけではなくゲーム性としても、こちらが上のようです。魂の宝箱と12の呪文の方は、ゲーム性としては幾分淡白な感じです。火吹き山の魔法使いで迷路を挿入したり、バルサスの要塞やソーサリーなどで魔法を導入するなど、新しいルール作りやパズルのようなゲーム性を得意としたジャクソンと、物語や世界観を重視したリビングストンの作風の違いが、ここでも現れているように思います。


 高難易度で解答も含まれてないなど、クールで読者を突き放したかのような作りが、あの頃のPCのPRGなどをおもわせます。同時にそれが神秘性を生んでいるような気もします。また日本製のものだと、このような味わい深いイラストや奥深いファンタジー性もなかなか難しいかなと思います。



参考:Wiki ファイティングファンタジーの項、タイタン放浪記

T&T RPGシナリオ・ベア ダンジョン・社会思想社

2007-10-14 21:32:43 | ゲームブック

 『トンネルズ&トロールズ』(Tunnels & Trolls)は、1975年に米フライングバッファロー社より発表されたTRPGです。これまで何冊かゲームブックのような感覚で遊べるソロシナリオを紹介しましたが、この『ベア・ダンジョン T&T PRGシナリオ』は、多人数で遊ぶことを前提としたTRPG用の本格的なシナリオです。これだけではゲームブックのように遊ぶことはできず、ゲームを司るDM(ダンジョンマスター)のために、迷宮の構造だとか、罠の配置などの設定を解説したものになります。写真は初版なのですが、日本では88年に社会思想社より出版されました。


 このシナリオは、書中の解説によるとT&Tのルールブックや、迷宮の原型などが作られてから約一ヵ月後に作られたT&Tのシナリオ(ダンジョン)の中では、最も初期のもののようです。これは地下三層からなる巨大なダンジョンから構成されており、地上には“監視の城”と呼ばれる廃墟があります。そして女魔術師“バニタルア”の手により配置された悪魔がダンジョンの入り口を監視しています。実はかなり難易度の高いシナリオでもあるようで、基本的には一度に最後まで攻略するものではなく、地上と地下を行き来しながら少しずつ歩を進めてゆくタイプのものになります。実際、入ってすぐ巨大な球が転がってきたり、部屋に閉じ込められて上から水(ピラニア入り)が噴出してきたりと、いきなり過激な罠が登場してきます。また、これはプレイヤー用ではなく、ゲームを管理する(DM)ダンジョンマスター用のものですから、部屋A、部屋B、などそれぞれの部屋と、罠、モンスター、(冒険の結果得られる)宝物などが、順番に記されています。プレイヤーはDMと会話をしながら、部屋に入ったキャラがどういう行動をとり、その結果どういうことが起きたかを(DMに)判定してもらってゲームは進んでいきます。ですから実際にこれで遊ぶ場合には、(TRPGのルールに精通した)DM役と、(TRPGのルールを理解している)冒険者役のプレイヤーが何人か必要だということになります。


 私の場合はゲームブックやPC、FCのRPGには熱中しましたが、周りにTRPGを分かる人(関心を持つ人)がそれほどいなかったので、本格的にTRPGで遊んだことはありません。ルールを熟知した人が何名か必要ですから、TRPGは(ゲームブックやCRPGなどと比べると)結構敷居は高かったのですね。ということでプレイした感想を述べることはできないのですが、多彩なトラップ、様々な効力を持つアイテム、多様なモンスターなど、RPGの資料集、設定集として楽しみました。現在でこそポリゴンによって広大なダンジョンが作られ、モンスターがリアルタイムで襲いかかってくるゲーム当たり前ですが、当時のPCでは表現能力の限界があって、想像力で補っている部分が多かったのです。線画(に色が付けられただけ)のダンジョンに、ドット絵で書かれたモンスター、モンスターに出会った!!と文字で表示されるだけ・・そんな程度だったのです。それを(想像力によって)脳内で、リアルな冒険へと変換していたわけです。ゲームブックや、これらのシナリオなどのリアルな描写や設定は、これらの想像力を膨らませるのにとても有効だったように思います。当時は、それほど西洋のファンタジーの知識もありませんので、余計に新鮮だったのでしょう。


 余談ですが、このダンジョン最深部には司令室があり、パーティの一団が踏み込むと、グレムリンの一群が大慌てで水晶を抱えて我先に逃げ出す描写があります。製作者サイドでは、(飛行機に悪戯をする)伝承上の小鬼がギャアギャア騒ぎながら逃げる姿を想定していたのだと思いますが、(映画『グレムリン』が公開された後でしたので)あのもこもこした“ギズモ”が逃げ回っている、かわいい絵しか浮かばなかった覚えがあります。当時ファンタジーで連想するものって、この程度のものだったのですね。それにしてもこれはゲームブックなどに比べると、けっこう敷居が高かったと思うのですが、現在でも古本屋で非常によく見かけますのでかなり売れたのでしょう。こんなとこからも、当時のRPG熱(ブーム)の一端が垣間見えるような気がします。