80年代Cafe

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アドベンチャーノベルス Romancia ロマンシア・JICC出版局

2014-05-06 13:51:43 | ゲームブック

 こちらは、1987年にJICC出版局(宝島社)より発行されたアドベンチャーノベルス Romancia ロマンシア


 元ネタは、日本ファルコムより1986年に発売されたPC用ゲームのドラゴンスレイヤーJr.ロマンシア。コンピュータRPG・ザナドゥ(85)の大ヒットにより一躍スタープログラマーとなった木屋善夫氏の作品で、ドラゴンスレイヤーシリーズの第3番目の作品。ほのぼのとした外観とは裏腹に凶暴なまでの難易度をほこり、ザナドゥの大ヒットにより次作を期待して飛びついた当時のプレイヤー達を奈落の底に突き落としたという、そういった意味でも有名な作品でした。


 ロマンシアは、ドラゴンスレイヤーシリーズということや外観からの印象とは少し異なり、ファンタジーRPGというよりは、謎解きがメインのアクションAVGに近いつくり。JICC出版局のアドベンチャーノベルスシリーズでは、その名の通りゲーム性よりもストーリー性を重視した作りで、ゲームブックにはお約束のサイコロを振った戦闘がないものもあります。そういった意味でも、このシリーズに合った題材であったと言えるでしょう。


 物語は、平和な王国であったロマンシアを突然の災いが襲った。隣国のアゾルバの国王に異変が起こりアゾルバ王国は荒廃、モンスターが跋扈する事態となった。そんな中、ロマンシアの王女セリナ姫までが何者かにさらわれてしまう。旅の途中にロマンシア王国に立ち寄った、イルスランの王子ファン・フレディは、王の依頼によりアルゾバ王国急変の謎を解く旅に出発する・・・。


 このゲームブックの最大の特徴は、ゲームの世界にあわせて物語のプロローグ、中盤の山場、エピローグ部分が漫画仕立てとなっていること。漫画は、後にりびんぐゲームなどで有名になった星里もちる氏が担当。カバー絵も星里氏の手によるもの。冒頭のプロローグ部分では、物語の経緯が語られる。


 ゲーム途中の山場、セリナ王女の救出シーン。


 物語が展開した後、パラメーター増減の指示があり、ふたたび指示された番号に戻る。


 見事冒険をやり遂げたエンディング。PCゲーム内では語られなかった、セリナ姫とのやりとりなど、後日談もここで展開する。


 ザナドゥやロマンシアの製作に携わったファルコムの宮本恒之氏監修ということで、原作を生かして細部まで良く出来ている。原作ではお馴染みの天界もイラストと、パラグラフ指示番号でこのように再現されている。


 原作では、ヒントなしの理不尽な謎でプレイヤーを苦しめたアゾルバ城も再現。簡単な構造ですが、マップが付けられている。これ以外にも、マジックアイテムなども原作準拠で再現されている。


 原作では、同じパターンの繰り返しでうんざりさせられた溶岩城。モンスターの攻撃を受けないよう豚になって進んだところ。


 宮本恒之氏は、ザナドゥの公式本やドラゴンスレイヤーのゲームブックなども手掛けていた。星里もちる氏が、作中のイラストや漫画を手掛けることになった経緯はよくわからないが、86年にデビューし90年に青年誌に転じてハーフな分だけ、りびんぐゲームで人気を博しているので、デビューすぐ後のまだメジャーになる前の作品ということなのかも知れない。


 こちらが、原作のPCゲーム版ロマンシア。幻想的なイラストに、凝りに凝った装丁。ザナドゥのすぐ後ということもあって、発売前には随分期待した。


 PC版にもイラストや漫画が挿入されたオールカラーの説明書が付いていた。この時期だと、コピーですませたようなモノクロの簡素なマニュアルも多かった。この辺りを境にして、徐々に豪華なマニュアルや凝ったパッケージが増えていった。こちらは、MSX版なのでROMカセット。


 X1シリーズ、PC-9801F以降、PC-8801mkIISR以降、MSX、MSX2版が発売されていた。コンパイル移植の東京書籍発売でファミリーコンピュータ版も存在する。後にアンバランス社より、オリジナルとアレンジ版が入ったWindows95/98版も出た。ドラゴンスレイヤーJr.の文字が見える。


 マニュアルも漫画仕立て。マニュアル版の漫画は、ザナドゥの漫画やMSX版ザナドゥのパッケージ絵も手掛けていた都築和彦氏。ちなみにコンプティーク誌に連載されていた漫画版のロマンシアもあって、こちらは円英智氏の手によるもの。


 マニュアルにヒントが記載されているが、ほとんどの理不尽な謎はノーヒントだったので、焼け石に水状態。むしろ漫画仕立てにすることで、世界観を広げることに一役かっている。


 凝ったパッケージングや豪華なマニュアルなど、商品性を高める役割を果たしている。80年代初期の頃だと、カセットケースにコピーしたラベルと説明書を付けただけという手作り感溢れるものも多かったので、この辺りからゲーム市場が本格的に成立してきたということなのかも。ただコンシューマの性能が上がってくると、ゲーム市場の中心はそちらに移ってしまった。


 ロマンシアの謎を解いた王子を疑心暗鬼に陥れつつ、理不尽な謎で純なプレイヤーを人間不信に陥れた伝説のゲームでした。


 このゲームブック版ロマンシア、このようにとても魅力的な出来なのだが、アマゾンでも700円程度で手に入る。というか、高い金額で売られているのを見たことがない。ということで、ドラスレシリーズのファン、星里もちる氏のファン、ゲームブックファンの方であれば、ファングッズとしてお勧め。



参考:Wiki ロマンシア、木屋善夫氏、星里もちる氏の項、ロマンシア取扱説明書/日本ファルコム、Dra-Sle-Labo(ドラスレラボ)、ソーサリアン情報室(ロマンシア攻略)


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