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80年代Cafe

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週刊少年ジャンプ秘録-ファミコン神拳・ホーム社書籍扱コミックス/「ファミコン神拳」伝承委員会&ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書・スクエアエニックス

2017-02-08 19:57:46 | 書籍・漫画

 週刊少年ジャンプ秘録!! ファミコン神拳は、1985年から少年ジャンプの巻頭に掲載されていた、ファミコン神拳のコーナーを復刻したもの。レトロゲームを扱うサイトやブログ界隈では、発売前から話題となっていました。


 Dr.マシリトとして知られる、元ジャンプ編集者の鳥嶋和彦氏が、当時のファミコンブームの時期に仕掛けた企画で、ゆう帝として当時ライターだった堀井雄二氏が関わっていたことでも有名。少年ジャンプの巻頭で袋とじとして、ファミコンゲームの紹介などを行っていた。ファミコン神拳の名前の由来は、当時人気のあった北斗の拳からのパロディで、ゲームの評価をあたたたたと擬音で表現していた。


 復刻されたファミコン神拳では、その鳥嶋和彦氏、堀井雄二氏、ミヤ王の宮岡寛氏、イラストの土居たかゆき氏など、当時のスタッフが参加して作られている。ファミ熱プロジェクトということで、専用のサイトが作られ、この後にも様々な企画が考えられているよう。


 ファミコン神拳の連載と平行して、堀井氏はドラゴンクエストの製作に取り掛かり、ジャンプ誌上でもその過程が紹介されていた。ウェブに掲載された鳥嶋和彦氏のインタビュー記事を読むと、堀井氏や森田の将棋の森田和郎氏、チュンソフトの中村光一氏らを排出したエニックスのゲーム・ホビープログラムコンテストの時点から、すでにジャンプの協賛が決まっており、鳥嶋氏も関わっていたのだとか。ドラクエの開発過程においても堀井氏と中村氏が先に決まっており、鳥嶋氏が鳥山明氏を抜擢したとのこと。ということで、このファミコン神拳とドラクエ誕生は切っても切れない関係にあったということになります。


 ドラクエ1には、堀井氏のお遊びでゆう帝、みや王、きむ皇、ちゅん(町外れで恋人を待つ中村氏)などが登場してきます。ドラクエの元ネタとなったウルティマでは、製作者のリチャード・ギャリオット氏は、一貫して世界を統べる王様でしたから、こういうところにも堀井氏の個性が出ていて面白いですね。


 この本の凄いところは、当時のファミコン神拳をそのまま縮小してすべて収録していること。当時のゲームの採点表も完全収録されています。後は、鳥嶋和彦氏、堀井雄二氏、宮岡寛氏、土居たかゆき氏などの座談会、それぞれの個別のインタビュー記事などが収められている。なんといっても、今となってはゲーム史に残る大御所となった堀井氏を引っ張り出したことが、一番の売りだと思います。


 ということで、当時ファミコン神拳を読んでいた人、ジャンプのファミコン記事を楽しみにしてた人、ドラクエや堀井氏のファンの人などにお勧め。復刻企画としてもかなり力の入ったものだと思います。


 ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書は、ドラゴンクエスト25周年を記念して2011年にスクウェア・エニックスより発売されたドラクエの公式のファンブック。製作は、チャレアベの山下章氏率いるスタジオベントスタッフという豪華な造り。同じ時期にドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑、 ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III 超みちくさ冒険ガイドなども発売されていた。


 永久保存版ドラゴンクエスト25年の記憶と銘打ってある通り、1986年のドラクエ1からドラクエ9までの作品紹介が収録されている。ドラゴンクエストの歴史を俯瞰するには、これ以外ないといった決定版的なドラクエ世界の参考書。


 鳥山明氏デザインの各キャライラストはもちろんのこと、キャラクター同士の相関関係やモンスター関連、町の住人にいたるまで、こまかく解説されている。


 裏パッケージにはロゴデザインが並べられ、各作品のロゴの遍歴が分かる。なにか歴史を感じる作り。


 1~9までの作品紹介の合間には、ドラクエが発売された時代の世相が解説され、物語の歴史、ゲームシステムの歴史、モンスターの歴史、道具の歴史、呪文の歴史、特技の歴史、職業の歴史、寄り道の歴史、裏技の歴史などを解説したドラゴンクエストシリーズ研究というコラムが挟み込まれている。移植作品や関連の玩具など、関連作品のライブラリーも収められ、まさにドラクエ百科と呼ぶにふさわしい作りになっている。


 ぱっと見、薄い攻略本に見えるのですが、450ページもあるという分厚い本。収められた情報量が膨大で、写真も字も細かいので一度に読んでしまうことはほぼ不可能で、なかなか読み応えあります。


 昔はドラクエ懸命にやったけど、今の新作はやってないなあというような人が、何か一冊だけドラクエ関連の本を買うとしたら、まさに最適な一冊。一応攻略の手順を記したチャートは載っていますが、攻略本ではないので広く浅くというような感じでしょうか。ゲーム攻略本ではなく、読み物として。


 ドラクエ関連の書籍は数多く出版されていますが、どれか一冊だけというのなら、ぜひ手元に置いておきたい一冊だと思います。ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑とそろえて入手しておけば、より完璧といえるでしょう。

参考:ファミ熱プロジェクト、電ファミ記事置き場、週刊少年ジャンプ秘録-ファミコン神拳・ホーム社書籍扱コミックス/「ファミコン神拳」伝承委員会、ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書・スクエアエニックス

ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付き(TJMOOK)&「ゲーセン」最強読本 ―永久保存版名作ゲームBEST100・宝島社

2017-02-07 18:33:03 | 書籍・漫画

 ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付き(TJMOOK)は、宝島社より2016年6月に発売されたCD付きムック本。発売時にはレトロサイト界隈でちょっとした話題となりました。最近では、ファミコンなどのレトロゲーム回顧本がちょっとした流行で次々と出版されていますが、これはちょっと珍しいゲーム音楽に焦点を当てています。


 ゲーム音楽というとCDがプレミア付きの価格で売られていたりと、マニアックすぎてなかなか付いていけないディープな世界。ゲームミュージックを扱った書籍というと、先駆者として電波新聞のゲーム・ミュージック・プログラム大全集なんかが浮かびますが、あれは打ち込みをする人向けに楽譜が収録されているというマニアックさぶりでした。この本では、そのような知識や音楽的な素養がなくとも楽しめるように一般的な作りになっています。


 ディグダグやゼビウス、ドラゴンバスターのBGMを作曲したサウンドクリエイターの慶野由利子氏、チャレンジャーや迷宮組曲を作曲したハドソンの国本剛章氏、ゲームデザイナーの遠藤雅伸氏、高橋名人など、ゲーム音楽やゲーム業界の著名人のインタビューが収められている。


 この本の一番の売りでもあるナムコ名作CD付。ファミコンの音源が収められています。この書籍が出たとき約1,700円という価格に躊躇しましたが、この音源がアーケード音源かFM音源であれば迷わなかったのですが。ここが一番惜しい点。ファミコンのプレイ音(効果音)なども入っていますので、純粋にBGMを聞くということには向いていませんが、逆に言うと家庭でプレイしていた頃を思い出して懐かしく感じられるかも。


 内容のほうは、冒頭の10ページほどを駆け足でゲーム音楽の歴史を解説してある。しかし、日本初のゲーム音楽のアルバムである細野晴臣氏のビデオ・ゲーム・ミュージックにはちょこっとしか触れていないし、タイトーのZUNTATA、コナミ矩形波倶楽部、PCでは日本ファルコムの古代祐三氏とかにも触れていない。ナムコのゲーム音楽には欠かせない大野木宣幸氏や、ゲーム音楽で遠藤氏を引っ張り出したからには小沢純子氏も欠かせないと思うが、こちらもあまり詳しく取り上げられていません。スーパーマリオやゼルダを作曲した近藤浩治氏、GoGoマリオ!!を歌った谷山浩子氏とか、ネタは幾らでもあると思われるのですが。


 この本の売りのひとつがファミコンコレクターKUBOKEN氏による、全ファミコンミュージックレビュー。音楽の専門でないコレクター氏によるレビューとは?とも思ったが、全ファミコンソフトのレビューともなれば、確かにコレクター氏にしかできないという気もする。大変な手間がかかったと思われます。その手間と、かってない企画ということに一票を投じたい。


 ということで、特にゲームミュージックに詳しい人だと色々と物足りない出来だと思いますが、第2弾も予定されているそうなので、そちらに期待しましょう。セガ編、コナミ編だとか、カプコン編、タイトー編とかシリーズ化されれば楽しそう。一般のライトな層がああ懐かしいと懐かしむ分には、ゲームミュージックのCDも付いてくるしなかなか楽しめる企画だと思います。


 「ゲーセン」最強読本 ―永久保存版名作ゲームBEST100は、2003年に宝島社より別冊宝島の一冊として発売されたムック本。ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付きに対して、こちらは10年以上前の別冊宝島ものになります。内容は、70年代~90年代のゲーセンの歴史を振り返ったもの。2000年代の初期頃にも、ファミコンソフトの相場が高騰したり、様々なジャンルで復刻版が流行るなどレトロブームが起こっていました。その頃によくあったレトロゲーム本ですね。


 巻頭ではインベーダーの生みの親西角友宏氏のインタビュー記事、ゲームセンターあらしの新作、すがやみつる氏へのインタビューの後、主に80年代を代表するアーケードゲームが掲載されていますが、100と銘打ってあることからもわかるように、すべてが収録されているわけでもありません。


 巻頭のあらしの新作漫画。あらしは、この頃のレトロゲームブームの中で引っ張りだこでした。記事のほうでは、ひとつのゲームに1ページを使っての解説。惜しむらくことにモノクロ。この本に限らず、このような解説記事はライターさんとの相性もありますから、なかなか満足できるようなものって少ないですね。


 まあ、それでも主要な有名どころは押さえてあるので、この手のライトなレトロゲーム本としては満足。アーケード限定ですがゲーム音楽大全の副読本としても機能するでしょうか。


 それよりも、この本で特記したいことは「ゲーセン」最強読本と名乗っている通り、ビデオゲームだけにとどまらず70年代のエレメカや90年代のプリクラ、UFOキャッチャーなどゲームセンター全般を扱っている点。エレメカの記事は、なかなかありませんので、そういった意味では貴重なのかなという気がします。

参考:ゲーム音楽大全 ナムコ名作CD付き (TJMOOK)&「ゲーセン」最強読本 ―永久保存版名作ゲームBEST100・宝島社

電子ゲームなつかしブック・コアマガジン社&Electronic Plastic/Jaro Gielens・Die Gestalten Verlag

2017-02-06 17:30:43 | 書籍・漫画

 こちらは、コアマガジン社より2016年9月末に発売された電子ゲームなつかしブック。なぜか2016年というこの時期になって、彗星のごとく突如として発売された電子ゲーム本。


 このムック本、タイトル通り電子ゲームに特化した内容。ファミコンミニの影響からか今はファミコン本が多いですが、ちょっと変化球ですね。1983年の発売から1994年の最後のソフト発売まで、約10年という期間現役だったファミコンに比べると、電子ゲームは78年~85年頃まで、実質3年くらいしかブーム期がなかったため、思い入れのある層や知っている人が少ない。そのため、このような資料本も極端に少なくて、出版してくれたこと自体が奇跡だと思える。


 帰ってきた電子ゲームの中の人と、任天堂本をいくつか書かれている任天堂博士の山崎功氏が関わっているため、有名どころは過不足なく押さえてあります。ページ数の関係でそれほど数は多くないため、マニアの人には物足りないと思いますが、書店で見つけて懐かしいと手に取る人にとっては十分だと思います。


 もちろんゲーム&ウォッチも収録されていますが、省かれてしまうことの多い蛍光表示菅(FL)ゲームが多く取り上げられているのが嬉しい。あら、インベーダー2000の発売元がバンダイとなってますな。


 電子ゲームといえばこれも外せないサイモンなどもきちんと収録されている。


 さらになつかし電子ゲーム100として、100本分の電子ゲームのミニレビューが掲載。簡単な紹介や遊び方、攻略などが書かれている。ファミコンの攻略記事は多いですが、電子ゲームの攻略というのはほぼ皆無なためこれは貴重。


 アーケードから移植された名作電子ゲームという企画。惜しむべきことにページ数が少ない。取り上げられているのは、バンダイのクレージークライミング、フリスキートムなど。移植ゲームの雄、学研を取り上げて欲しかった。さらにファミコンやゲームボーイも収録されていて、ファミコン芸人の藤田さんも登場しているのだが、Amazonのレビューにも書かれているように、ここは電子ゲームに特化して欲しかったところ。出版する側としては、電子ゲームのみの本だとあまりにも市場が狭すぎるため、安全策としてファミコンの記事も入れたいのでしょうけど。


 電子ゲームだけではなく、同時期のテレビゲームなども多数収録されている。このため、電子ゲームの情報を求めて買う人には物足りない内容となっていますが、バラエティにとんだ内容になっていて読み応えもあります。Amazonでは、★三つ半と微妙な評価になっていますが、ここ的には星★★★★★を進呈したい。


 どちらにしても、今この時期に電子ゲーム本を出版してくれたというだけで価値がある。この時期のことを知っている人ならば、書店などで見かけられたら、ぜひ手にとって見て欲しい楽しい一冊になっていると思います。


 こちらは、ドイツのDie Gestalten Verlag社から2001年に出版されたElectronic Plastic。筆者のJaro Gielens氏は、オランダ出身のドイツ在住の電子ゲームコレクターで、デザインなどを本業とされているインタラクティブデザイナーさんのよう。洋書としては、わりと日本でも有名なものだと思います。


 1970年代年後半から85年頃までに発売されてブームとなった電子ゲームを扱った一冊。こういうのは、なかなか無い。当時ものの電子ゲーム百科などは、1万円以上のプレミア価格となっている。


 特徴としては、本業がデザイナーということでレイアウトがなかなか工夫されていて綺麗。著者の視点もコレクター的というよりは、グラフィカルな感じ。キャラクターやデザイン、コンセプトなどが面白いものをピックアップしている。カタログ本というよりは、アートよりといった感じ。


 洋書とはいっても、掲載されているもののかなりの数が日本製品なので、特に抵抗なく読める。日本でも希少なものや、プレミア付いているようなものがさりげなく掲載されていて(しかも欧州版ではなく日本版)、これを欧州で集めるのはさぞかし大変だったろうと思われる。


 この本の表紙にもなっているのは、バンダイより1985年に発売されたW-RACING。すでにファミコンがブームとなっていた頃に、ひっそりと発売された液晶ゲームで、特に有名というわけでもない。というより、ほとんど知られていないマイナーなゲーム。任天堂のドンキーコングやトミーのパックマンなどではなく、なぜこれが表紙になっているのかというのは謎。これを書いてて気付いたが、タイトルのバックに使われている模様のようなものは、どうもW-RACINGのNormal Courseを逆さにしたもののよう。


 独立したスロットルを2つ備えており、4方向ジョイスティックで、スピード、ブレーキ、ハンドリングを全て行え2人で対戦もできる。多分この辺りの形の面白さが、デザイナーでもあるJaro Gielens氏の琴線に触れたのでしょう。


 この本に掲載されている電子ゲームメーカーが世界地図で示されているが、北米と欧州、そして日本。当時としては最先端の玩具であったため、やはり先進国ばかり。今だと中国、台湾、タイなど、この地図もまったく様変わりしていると思います。中でも日本メーカーの数は圧倒的。アニメやゲームなどのサブカルチャーは、日本が本当に強かったことを再確認します。2010年に製作されたNHKスペシャル~世界ゲーム革命~では、日本のゲーム産業の最盛期は1995年頃で、全世界シェアの7割を日本製ゲームが占めていたと紹介されている。その後、今日までにゲーム産業の規模は3倍ほどになり、日本製ゲームのシェアは3割にまで落ち込んでいるのだとか。


 このような本で、わりと新しめのものとしては、2013年に発売された携帯ゲーム機コンプリートガイドがある。電子ゲームに特化したものとしては、2000年の電子ゲーム70’s & 80’sコレクションなどが有名。


 このようなレトロゲーム本は、絶版になるととんでもないプレミア価格となっている場合が多いが、このElectronic Plasticは、アマゾンでも入手可能でとわりと手に入れやすい価格なのが嬉しい。電子ゲーム関係は、あんまり人気が無いということの裏返しかもしれませんが。


 ということで、電子ゲーム好きな人にはお勧めな一冊。安く売っているうちに手に入れておきたい一品。

参考:電子ゲームなつかしブック・コアマガジン社・Electronic Plastic/Jaro Gielens・Die Gestalten Verlag、Electronicplastic.com

少年ブーム―昭和レトロの流行(はやり)もの他/串間努・晶文社&路上ポップ・ドールのひみつ/町田忍・扶桑社

2017-02-04 23:43:30 | 書籍・漫画

 少年ブーム―昭和レトロの流行(はやり)ものは、2003年に晶文社より出版されたレトロホビー本。著者は、日曜研究家の串間努氏。近年のレトロブームに合わせて出版されたものというより、そのレトロブームを作り出して牽引してきた第一人者による一冊。昭和の時代の懐かしい流行(はやりもの)が、これでもかと詰め込まれています。


 後述する町田忍氏やこの串間努氏などが、このような昭和レトロものネタの先駆者のひとりだと思います。90年代あたりから2000年代初頭にかけて、昭和の玩具や雑貨、お菓子などいろいろなテーマで本を書かれていました。出版社が文芸書や思想書、サブカル本などで有名な犀のマークの晶文社という点もポイント。サブカルチャーの香り漂うちょっと知的な感じも漂わせており、レトロブームに便乗してきた他のレトロ本とは一線を画しています。


 串間努氏は、1964年の生まれなので70年代がやはり中心。氏がストライクな世代としては、特撮、ゴジラ、仮面ライダー、ウルトラマン、スーパーカーブームなんかの頃だと思います。それだけではなく、メンコやベーゴマ、忍者ごっこなど戦争直後からびっくりマンやキン消しなど80年代の末あたりまで、戦後の昭和を網羅するように取り上げている。氏の世代とはちょっとずれてしまうためなのか、ファミコン関係は少なめ。ゲームや任天堂関係だとゲーム&ウォッチに一章を割いています。


 メーカーに取材したり、串間氏の手持ちの資料を駆使したり、資料としても通用するなかなかの労作。


 玩具や商品にとどまらず、牛乳の蓋や熱帯魚のブーム、昆虫、オカルトなどとにかく幅広い。レトロ本としては、なかなか他に類を見ない質の高さだと思います。


 この本は、10年ほど前に図書館で読んだことがあるような記憶があります。図書館においてあっても違和感のないレトロ本の教科書的なテキストだといえるでしょう。そこはかとなく漂っているサブカル臭がたまらない。


 串間氏と同年代か40代あたりだと楽しめる書籍だと思います。それ以外の年代であっても、古い昭和の時代を知ることの出来る貴重な資料のひとつとしてお勧めできる一冊だと思います。


 ザ・おかしは、同じく串間努氏の手による一冊。1996年の発行とここで紹介する本の中では古め。そのタイトル通り、懐かしいお菓子の歴史について書かれた本。串間努氏は、ザ・ジュース大図鑑、駄菓子屋百科事典、ザ・ガム大事典など、懐かしい商品を取り上げた書籍も数多く書かれている。


 串間氏はおかしのパッケージなどを捨てずに大切に収集していると何かで読んだ記憶がありますが、そのような膨大な串間氏の手持ちの資料やお菓子メーカーへの取材などを通して、主に戦後に発展してきたお菓子の業界史をいっぺんに俯瞰できるよう書かれている。カラーなので見ているだけでも楽しい。


 当時、流行ってバンバンCMが打たれ話題となったお菓子や、今現在でも売られているお菓子でも、発売当初はパッケージが異なっていたりして面白い。さすがにひとつひとつの商品のパッケージ遍歴とかは無理だろうが、ああ懐かしいと感じるような定番の菓子はだいたい網羅されている。仮面ライダースナックなどは、カード目当てにお菓子を捨ててしまうことが社会問題と化すなど、後にビックリマンでも同じような現象が起こった。


 ゲームや玩具だと人を選ぶと思いますが、こちらは万人が楽しめる一冊。最近だと、懐かしい商品を扱った辰巳出版の日本懐かし大全シリーズが好評なようですが、こちらはその元祖と言える一冊だと思います。


 こちらは、懐かしいもの研究家の町田忍氏による路上ポップ・ドールのひみつ。発売も1998年と最近数多く出版されているレトロものとは一線を画していて、このような書籍の元祖みたいな正統派のレトロ本。この90年代中頃だと、なんでも鑑定団の人気とともに古いものに価値があるということが一般にも知られ始め、ホーロー看板の本とかブリキやソフビの玩具の本とか、色々と出版されていた。これは、10年以上前に図書館で見たことがあるような気がします。


 ジャンルとしては、企業のキャラクターやノベルティを詳しく扱ったもの。有名どころでは不二家のペコちゃん、興和のケロちゃんコロちゃん、エスエス製薬のピョンちゃん、佐藤製薬のサトちゃんなど、店頭に置かれていた懐かしいキャラクターが紹介されている。


 企業のノベルティグッズなどはプレミア的な価格が付くことで知られていますが、ノベルティやフィギュアではなく、それらが街中に置かれている状態で収集して、その歴史などを詳しく調べた書籍は珍しいと思います。昔は、ナショナルのお店を始めとして日立、東芝、シャープなど、電機メーカー系列の販売店が多く、その店先などに各メーカーのキャラクターが飾られていた。


 サトちゃんを10円の乗り物にしたサトちゃんムーバー。薬局も大手チェーン店が市場を席巻してしまい、このようなものが置かれている町の薬局は、すっかり数を減らしてしまいました。昔は薬局で風船や駄玩具なども販促として配っていたんですね。


 18年前の書籍ですが、ある意味その内容は古くなっていない。今でも十分通用する一冊だと思います。企業ノベルティグッズが好きな方にお勧め。

参考:少年ブーム―昭和レトロの流行(はやり)もの/串間努・晶文社、ザ・おかし/串間努・扶桑社、路上ポップ・ドールのひみつ/町田忍・扶桑社

JK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッド&JK☆B 2 女子高生×バイクイラストレイテッド・メディアソフト社

2017-02-03 21:29:17 | 書籍・漫画

 こちらは、メディアソフト社より2015年11月に発売されたJK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッド。タイトル通り、女子高生とバイクという近年流行っている、艦これのようなメカニカルなもの+萌えという系統の本です。漫画にばくおん!!というバイクと女子高生の組み合わせをテーマにした作品が、2016年よりアニメ化されるなど人気を博していますので、こちらもその路線を狙った一冊だと思います。
 

 艦これやメカ+萌えものには、あまり関心がないし、ばくおん!!自体も見たことがないため、普通であればふ~んとパラパラとめくって終わりなのですが、これは書店で見つけて心に引っかかった。この本を出版しているメディアソフト社も、クロスワードパズルとかそういったものを主に扱っている出版社なので、バイク専門誌というわけでもない。


 レイアウトとしては、バイクと女子高生のイラスト+そのバイクの簡単な解説、時代背景などの解説になっている。何が引っかかったのかと考えると、バイクのラインナップが現代のものからだけではなく、多くを80年代周辺のバイクブームの頃のものから引っ張ってきていること。YAMAHA TZR250R後方排気などという、バイク好きをくすぐるチョイスがなされている。


 こちらは、YAMAHA FZ400R。FZRでないとこが渋い。いったいどんな年齢層の読者を対称にしているのだか。


 このような感じで、いわゆる旧車と呼ばれるもの、それも有名な名車ではなく、知る人ぞ知るみたいなチョイスがされていて楽しい。もうひとつは、このような旧車、ビンテージバイクを扱った書籍というのは珍しくなく、数多く出版されているのだけれども、伝説の名車とかクラッシックみたいな扱いで紹介されていることがほとんど。この本では、女子高生と組み合わせることで、(例えば)MVX250Fが発売された現役当時、若者に求められていた頃の輝きが表現されていると感じた。MVX250Fの発売当時の輝きなんて私自身も知らないのですが、バイクが若者のものであり、憧れでもあった頃の輝きが表現されているよう感じられた。この頃は大変なバイクブームであったため、女性専門のバイク誌レディースバイク(今でもあります)やレディースライダーズマニュアルとか、女性がバイクに乗っていても不思議ではない時代背景がありました。


 アマゾンでの評価も高評価が付いており、バイク専門出版社のものではないのに、各バイクの解説も読んでいて楽しい。逆にバイク専門誌でないということで、自由な発想ができたのかも。ということで、バイク好きな人にはお勧め。まだ店頭にあると思われますので、興味のある方は一度手にとって見られることをお勧めしたい一冊になってます。


 JK☆B 2 女子高生×バイクイラストレイテッドは、2015年に発売されたJK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッドの第2弾。ばくおんに代表されるバイク+女子高生という、メカものに萌えの要素をプラスしたムック本。前作JK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッドがバイク本として見てもなかなか良かったということと、帯付きが1,000円を切る価格で売られていたため購入。


 このシリーズのポイントは、前述のとおりバイクの車種の取捨選択が絶妙だという点。最新のものに織り交ぜて、バイクブームの80年代~90年代から通常のバイク雑誌などではまず取り上げない、マイナーな車種やマニアックな車種などを集めている。今のレトロバイクを扱った書籍だと、今でも高値で売れるいわゆる名車といわれるものがほとんどだが、こちらはそんなことおかまいなしに絶妙に懐かしい車種が多数収録されている。


 個人的にツボだったのは、昔所有していたFZ250フェザー、今も所有しているドリーム50、はじめてのバイクであるヤマハJOGが収録されていた点。女子高生のイラストは普通だと思いますが、バイクのイラストはかなり精巧に描かれていて出色の出来。この頃の大学生なんかはスクーターを足代わりにしてることも多く、学生街ではあちらこちらにスクーターが溢れている光景が見られた。バイクブームの少し前には、HY戦争なんてホンダとヤマハのバイク販売合戦が繰り広げられたりもしたそうです。最近、ヤマハのスクーター(原付)をホンダから調達するというニュースが流れましたが、この頃の熱さが嘘のような話になっている。そのような熱気を少しだけ、今に伝えてきてくれる。


 イラストだけでなく、当該車種の紹介、時代背景なども解説してありますが、これもなかなかの良い出来。メディアソフト社はパズル誌などを出版しているところでバイク専門誌を出版している出版社ではないのだが、縛りがない分ライター氏の思い出や思い入れなど独特の視点が加味されている。


 ということで、80年代~90年代のバイクブームにはまった人には、なかなかのお勧め。今はバイクを降りてしまった人でも、バイクが青春の象徴であった頃の輝きを取り戻していて、忘れていたことを思い出せてくれる楽しめる一冊だと思います。

参考:JK☆B 女子高生×バイクイラストレイテッド&JK☆B 2 女子高生×バイクイラストレイテッド・メディアソフト社