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80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編&Vol.11 アドベンチャーゲーム・パズルゲーム草創期編・メディア・パル

2017-02-02 13:25:03 | 書籍・漫画

 OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編は、メディア・パルより2014年に発売されたレトロゲーム本。レトロゲームについてまとめたOLD GAMERS HISTORYシリーズのアクションゲーム編。1972年から1986年に登場したアクションゲームが収められています。


 アクションゲームに関しては、Vol.5 アクションゲーム黎明期編、Vol.6 アクションゲーム黄金期編、Vol.7 アクションゲーム戦国時代編と3冊に分冊して取り上げられている。元々このシリーズ、2005年のOLD GAMERS白書というところから始まっており、2010年のARCADE GAMERS白書で高井商会を取材した成果が生かされたのか、このVol.5 アクションゲーム黎明期編では貴重な筐体の写真が表紙を彩っている。


 OLD GAMERS白書の頃は、ファミコン、PC-エンジン、メガドライブなどのゲームを並べて紹介しただけのわりとライトな作りだったのだが、このシリーズ段々と本気度が上がっているように思う。


 ライトなゲームの歴史本だと、せいぜいブロック崩しやサーカス、へたするとスペースインベーダーから始まってしまうものも多い中、ちゃんとATARIのPONGから掲載されている。日本だとインベーダーゲームのヒットからビデオゲームが始まったかのような印象も持ってしまいがちですが、そこに至るまでにも数多くのゲームが発表されていた。これらの古いゲーム機は、80年代以降ビデオゲームが主流となってからもエレメカなどと一緒にデパートの屋上やゲームコーナーの片隅に置かれており、この時点でもまだ遊ぶことが出来た。


 OLD GAMERS HISTORY Vol.3のRPG編では、ちゃんとパソコンのRPGゲームから取り上げられていたことに驚いたが、このアクションゲーム編でもその本気度は生きている。


 もちろんドンキーコングやパックマン、クレージークライマーなどの有名どころは、しっかりと押さえられている。72年から86年までなので、スーパーマリオもナムコの黄金期のゲームも収録されている。その上で、セガのトランキライザーガンやSNKのファンタジー、アルファ電子のJump Bugなど、かゆいところにも手が届く作りになっている。


 それだけでなく、ATRI2600やぴゅう太、カセットビジョン、MSXなどアーケードやファミコン以外のゲーム機からも入れられている。ただあまりにも風呂敷を広げすぎたのか、これらのゲーム機からは1~2本程度と少なめ。書籍の半分くらいまでいったところで、やっとファミコンのゲームが登場するというなかなかマニアックな構成になっている。


 それらのゲームを搭載していたゲーム機の紹介やテレビゲームの成り立ちなども入れられている。


 ただ、風呂敷を広げすぎたのか、どういう基準で取捨選択をしているのかという問題はあります。3冊に分冊されているとはいえ、ファミコンのアクションゲームだけでも紙面が埋まってしまうほどの量があると思われますので、あれが入ってない、これが入ってないという不満は残る。それでも、近年発売された1,000円程度のゲーム本としては、異例の本気度を誇るシリーズだと思います。


 引き続きメディア・パルより出版されているOLD GAMERS HISTORYシリーズのVol.11 アドベンチャーゲーム・パズルゲーム草創期編。このメディア・パル社のレトロゲームシリーズ、最初はOLD GAMERS白書として出版され、その時にはファミコンやPC-エンジン、メガドライブなどのゲームをありきたりに紹介しているといった感じで、あまり食指が動くようなものではなかった。回を重ねるごとに本気度を増してゆき、今作でもなかなかのマニアック度を誇っている。


 Vol.11では、アドベンチャーゲームの歴史とパズルゲームの歴史がひとつにまとめられている。ここが少し惜しいところで、Vol.12もアドベンチャー&パズル編みたいだけれど、ここはやはりアドベンチャー編で2冊、パズル編で1冊と分けて欲しかった。このシリーズ、まとめて揃えればゲームのアーカイブズとしても機能しそうなほど出来が良いため、余計にそう感じる。


 前半は、当時の8ビットPC市場で花開いたアドベンチャーゲームの黎明期の作品が多く収録されている。これがなかなかの濃さで、光栄やエニックスなどの黎明期のアダルトゲームなども収録されているマニアックぶり。電波新聞社のチャレアベ以来、久しぶりに見たと思うような作品群も見受けられる。


 少年ジャンプの人気連載漫画をエニックスがゲーム化したウイングマン。北斗の拳などもゲーム化されていた。


 ディズニーランドをパロった、ハドソンのデゼニランド、デゼニワールド。まだファミコンに軸足を移す前、初期のハドソンはアドベンチャーゲームを得意としていた。


 初期ハドソンのアドベンチャーの代表作のひとつといえるサラダの国のトマト姫、略してサラトマ。ファミコンにもアレンジを施されて移植された。MSX版では、なんとライン描画のみの白黒。これは機種の性能差というよりメディアにカセットテープを使用していたため、容量の問題だと思う。メガロムやMSX2が発売されるまで、MSXユーザーは歯がゆい思いをした。


 1985年以降は、少しずつファミコンのアドベンチャーが増えてくる。Vol.12では、プレイステーションなどで花開いたバイオハザードなどのアクションAVGが中心になると思われます。


 パズル編はちょっと少なめ。ロードランナー、テトリス、ザ・キャッスル、キャッスルエクセレントなどの有名どころを中心に収録されている。8ビットPCでもファミコンでも、マイナーどころのパズルゲームは山ほどあったと思われるので、それらを集めてパズル編として一冊にして欲しかったところ。


 ということで、アドベンチャー編とパズル編が一緒になっている点が惜しいところですが、それ以外では出色の出来。8ビットPCを知らない世代にも、光栄やハドソン、エニックスの黎明期を知る貴重な資料としてお勧めしたい。

参考:OLD GAMERS HISTORY Vol.5 アクションゲーム黎明期編、Vol.11 アドベンチャーゲーム・パズルゲーム草創期編・メディア・パル、高井商会HP、ぼちゃけ

蘇るPC-9801伝説 永久保存版&蘇るPC-9801伝説 永久保存版第2弾・アスキー書籍編集部

2017-02-02 13:02:30 | 書籍・漫画

 蘇るPC-9801伝説 永久保存版は、2004年に月刊アスキー別冊として発売された80年代~90年代に国民機として一世を風靡したNECの16ビットPC、PC-9801シリーズを扱った書籍。好評だったのか2007年に蘇るPC-9801伝説2も発売されています。元々は、アスキーが80年代から90年代にかけて発行していたMSXマガジンの復活ということで、2002年~2005年にMSXマガジン 永久保存版を発行しており、これはエミュレータと当時のゲームを収録したCD-ROMを付録に付けたムック本として企画されていました。この本が好評だったのか、蘇るPC-8801伝説 永久保存版、みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001と矢継ぎ早に、このようなムック本が出版された。


 このような当時もののゲーム+エミュレータを付けた書籍は、他社にも飛び火して、コンプティークを発売している角川書店よりPC8801mkII SRゲーム リバイバルコレクション PC‐9801ゲームリバイバルコレクションなども発売されていました。懐かしい記事が読めるということと、当時1本5,000円~8,000円ほどしていたゲームが、複数付いているということなどから受けたのだと思います。


 ホビー用途より主にビジネス用途が主だったPC‐9801本ということで、内容も技術書寄り、ビジネス書寄りのものになっている。ただゲームも26本収録していて、クリスタルソフトの夢幻の心臓Ⅲ、ゲームアーツのシルフィード、日本初のテキストAVGとして名高いアスキーの表参道アドベンチャー、南青山アドベンチャーなどが収録されていることが売りになっている。ちなみにこれはオークションで落としたのだが、収録されているCD-ROMは未開封の状態だった。


 巻末には袋とじで月刊アスキー82年度版の復刻、パロディ版の季刊アスキー2004年度版が収められている。ビジネスマンや技術者としてPC-98を使用していた人には、懐かしく読めるものだと思います。


 個人的には、友達がPC-8801を持っていて、それで遊ばせてもらっていた。そのうちフライトシミュレータを遊びたいからとその友達がPC-9801に乗り換えたので、PC-9801にも少しだけ触れることができた。仕事でPCを使うようになったのはウィンドウズが普及してからなので、国民機として一世を風靡していたにも関わらずビジネス機であるPC-9801にはあまり縁がなかった。80年代頃ではホビー機として最強だったPC-8801と比べると、まだまだビジネス色が強くて、それほど思い入れが強い機種ではありませんでした。


 そういった事情もあるためか、値が上がりがちな絶版もののレトロゲーム本としては入手しやすい。アマゾンでもオークションでも3,000円~4,000円ほどでまだ手に入る。当時の価格が2,800円なので、この手のエミュレータ本だとどれもプレミア価格になっている中では、プレミアもついておらず比較的入手しやすい方だと思います。この手のエミュレータ本は、元々の定価が高かったですが、さすがに元値の2倍以上というのは抵抗がある。


 続いてこちらは、蘇るPC-9801伝説 永久保存版の第2弾。蘇るPC-9801伝説が好評だったのか、2004年の第一弾に続いて2007年にアスキーより発売された。この手の書籍は、安くても大体3,000円~くらいしますが、これを買ったときには2,000円前半のものが3冊ほど出ていて、どうしようかと迷っていると直ぐなくなるため、とりあえ入手しておくことにした。


 80年代から90年代初めにかけて、国民機として事実上日本のスタンダードPCだったNECのPC-9801シリーズを取り上げたムック本。当時もののゲームがエミュレータとともにCD-ROMに収録されて付いている、この頃に流行ったレトロパソコンのエミュレータ本。当時、7~8,000円程度はした市販のゲームソフトが7本収録されている。後は、PC-9801にまつわる技術的な話やビジネスの話、インタビュー記事などが収められている。


 収録されているゲームは、ウィザードリィの6作目であるWIZARDRY -BANE OF THE COSMIC FORGE-、一世を風靡した戦略シミュレーション大戦略IV、推理物のAVG琥珀色の遺言、伝説的プログラマー、マーク・フリント氏のZONE、ハイウェイスターなど。収録されている数は少なめですが、割と重量級の作品が収められている。


 ビジネス機であるPC-9801のもう一方の側面、アダルトソフトなども蘇るPC-9801桃色伝説として袋とじになっている。ラッキーなことに、廉価なものであったにもかかわらず、袋とじ、CD-ROMとも未開封だった。前作では、技術寄り、ビジネス寄りな内容でしたが、結構ゲームやホビーよりのネタが多くて、紙面の4割ほどは収録ソフトの紹介や攻略記事となっている。PC-98に関係する人物のインタビューも安田 均氏、黒田 幸弘氏、古谷 徹氏など、渋いところを付いている。個人的には、PC誌コンプティークでクロちゃんのRPG千夜一夜を連載していた黒田 幸弘氏のインタービューを持ってきたところが、ツボだった。


 基本的にPC-9801はビジネス機であり、ホビー用途にはPC-8801あるいはシャープのX68000、富士通のFM TOWNSなどが使われることが多かったので、個人的にはあまり PC-9801には、思い入れや思い出が無い。80年代後半から90年代にかけて、パソコンからも離れていたので、80年代の8ビットPCから仕事で必要に迫られて使ったウインドウズにまで一気に飛んでしまっている。特に技術的な記事には、まったく付いていけなかった。


 この本が出ていた当時、電気店の書籍コーナーで見かけて買おうか、どうしようかと迷った思い出がある。その理由は、やはりWIZARDRY -BANE OF THE COSMIC FORGE-のPC-9801版が収録されていること。これは、スーパーファミコンにもウィザードリィVI 禁断の魔筆として移植されており、セガサターンでもウィザードリィ Wizardry 6&7コンプリートとして出ているのだが、オリジナルのIBM PC版からは、かなりアレンジが施されており、オリジナルに忠実なPC-9801版が欲しかった。スーパーファミコン版だと流麗な末弥 純氏のデザインが施されているのだが、オリジナルではどう考えても日本人受けしそうにない、海外製のゲームブックの挿絵のようなキャラデザインだった。しかし、今見るとこちらも捨てがたい味がある。


 これでアスキーより出ていたエミュレータレトロPC本は、PC-8001、PC-6001本を残すのみとなった。今だと、ダウンロード販売がメインになっていますので、このような書籍が発売されることもありませんが、この手の本は書店やパソコンショップの店頭で見かけた時に、凄くときめくんですよね。アスキーとカドカワも一緒になったことだし、またこのような企画をやって欲しいと思います。ちなみに、誌面ではPC-98伝説 第三弾の予告がされており、収録ゲームの希望などが募集されています。結局、それが実現することはありませんでした。

参考:蘇るPC-9801伝説 永久保存版&蘇るPC-9801伝説 永久保存版第2弾・アスキー書籍編集部

レジェンドパソコンゲーム80年代記&激レア! お宝発掘!! 80年代マイコン読本・総合科学出版

2017-02-02 08:46:04 | 書籍・漫画

 これは、80年代のレトロパソコンの周辺を描いたレジェンドパソコンゲーム80年代記。2014年に総合科学出版より発売されたフリーライター佐々木潤氏の手による書籍。同じ著者による80年代マイコン大百科に続いて出版された第二弾になります。


 前作80年代マイコン大百科では、筆者のコレクションである当時の雑誌やカタログなどの写真をふんだんに使い、この頃のトピックスを広く浅く紹介するという体裁の本だった。このような書籍は、最近少しずつ増えてきたが、これまでは皆無に近いという状況だったので、そういった意味でも貴重だった。


 本作では、80年代を前期、中期、後期と3つに分けて、パソコンのハード、雑誌、ゲームやソフトハウスなどのエッセイをまとめてある。カタログ本という性格が強かった前作と比べて、エッセイや読み物としての割合が大きくなっている。アマゾンでの評価がいまひとつなので、購入に二の足を踏んでいたが、読み物としては前作より一歩踏み込んでいて面白く良く出来た一冊だった。この頃のパソコンは、ネットもない時代だし実用性も皆無でほぼホビー用といった感じで一般的でもなかったが、ログイン(アスキー)誌を初めとして、マイコンBASICマガジン(電波新聞社)、I/O(工学社)、ポプコム(小学館)、コンプティーク(角川書店)、テクノポリス(徳間書店)、Beep(ソフトバンク)などの総合誌や、Oh!PC、Oh!FM、Oh!MZなど機種ごとにも専門誌が発売されているなど、今以上に活気があった。そんな時代を垣間見せてくれる。


 惜しむべきことに、アマゾンでの評価がいまひとつなことの理由でもあると思うが、全ページモノクロで版も小さくカラー写真がないため、懐かしさはいまひとつ伝わりにくい。黄色い表紙も目立つことは目立つが、内容が伝わりにくく他の2冊とも区別がつき難いので、そういった意味でも不利でしょうか。


 それでも、この時期の広告写真を使ってのエッセイは貴重であるし、この手の本は未だに少ないため資料としての価値も持っていると思う。アマゾンでの評価を見て、二の足を踏んでいる人がいるとしたら、モノクロという点を除けばわりと良い出来なのでお勧めしたい。


 こちらは、同じく総合科学出版より2016年2月に発売された激レア! お宝発掘!! 80年代マイコン読本。80年代のマイコンと呼ばれていた頃のパソコンゲームについてより深く掘り下げたもの。著者は佐々木潤氏。80年代マイコン大百科、レジェンドパソコンゲーム80年代記に続いての第三弾になります。80年代当時のパソコン雑誌の広告や記事、カタログなど豊富な資料から時代を振り返る。


 80年代マイコン大百科、レジェンドパソコンゲーム80年代記では、パソコンハードから著名な作品、スターゲームデザイナー、有名なソフトハウスまで幅広く掲載されていましたが、第三弾となる本作ではパソコン誌の広告の片隅に載っていたようなマイナーなソフトハウス、ゲーム作品にスポットを当てている。


 そのため前2作と比べてもかなりマニアック。聞いたこともないソフトハウスやらエニックス、光栄、ハドソンといったメジャーな会社の出していた、マイナーソフトまで掲載されている。


 パソコンハードのカタログも掲載されているが、こちらも時代に埋もれてしまったマイナーハードから。VIC-1001は、米コモドール社が発売したハードで、これの廉価版がMAX MACHINE。


 マイコンベーシックマガジンやI/Oなどのモノクロページには、マイナーな会社の広告やパソコンショップの広告が山のように掲載されていて、メインの記事を読んだ後、そのようなモノクロページをチェックするのも楽しみだった。なんだか、そんな密かな楽しみを思い起こさせてくれるような一冊。扱っているネタがマイナーなので、80年代マイコン大百科、レジェンドパソコンゲーム80年代記はすでに持っていて、更にもう一歩踏み込みたいという人向けだと思います。Amazonアウトレットで新古本が安く売られているので、気になった人にはお勧めしたいと思います。

参考:レジェンドパソコンゲーム80年代記、激レア! お宝発掘!! 80年代マイコン読本/総合科学出版

家庭用ゲーム機興亡史 ゲーム機シェア争奪30年の歴史/ホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史・オークラ出版

2016-08-19 08:36:56 | 書籍・漫画

 こちらは、2014年にオークラ出版より発売された家庭用ゲーム機興亡史 ゲーム機シェア争奪30年の歴史と、同じ筆者によるホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史。


 家庭用テレビゲームの歴史、発展史をまとめた家庭用ゲーム機興亡史。著者は、近年レトロゲーム関連の本を出しまくっているコナミ出身の前田尋之氏。ソフトカバーのコンパクトな書籍。


 日本でのゲーム機の発展史を第1章から8章までに分けて解説している。このような書籍としては、アーケードゲームを含めた総合的なゲーム史を扱った、それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ちが有名だが、こちらは家庭用のゲーム史のみに特化して簡潔にまとめてある。アマゾンの評価を見ても分かるように、平坦な記述で書かれており、それほど資料として詳しい本ではない。ゲーム史の記録とかそのような大げさなものではなく、どちらかというと軽く読んで楽しむための本といえるでしょう。


 モノクロで文章メインの本ですが、ところどころに該当する機種の写真が入れてあるため、視覚的にも分かり易い。ファミコンのブームを起点として、ファミコン前史、ポストファミコンの時代、CD-ROMとポリゴンの時代、セガのゲームハードからの撤退、プレイステーション2とソニーの覇権、Wii、NDSによる任天堂の復権、現行機、スマートフォンの時代…というように駆け足でゲーム史の流れを俯瞰することが出来る。


 この家庭用ゲーム機興亡史は、ライトな作りで電車の中などでも気軽にゲーム史を俯瞰することができるように書かれている。参考文献がネットの任天堂サイトやコタクジャパンとかなっていますので、ネットで調べればわかる情報ではあるのですが、平坦な記述で簡潔にまとめてくれている点において十分にこの本の価値はあると思います。


 こちらは、2014年にオークラ出版から発売された、ホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史。80年代に家庭に入ってきた当時の国産のPCの盛り上がりと衰退をテーマにした書籍。これまで、この手の昔のパソコン本は少なくて、当時ものの技術書寄りのものとか、ビジネス書寄りのものくらいしかなかったのですが、ここのところ立て続けに出版されている。ファミコンなどの家庭用ゲーム機の栄枯衰退をテーマにした家庭用ゲーム機興亡史に続いての第二弾。


 当時御三家と言われたPC-8801、X1、FM-7を中心に、TK-80などのワンボードマイコン、PC-8001、PC-6001から家電各社のオリジナルパソコン、ぴゅう太、M5、SC-3000、ファミリーベーシックなどのホビーパソコン、第一次PC戦争で御三家に敗退した家電メーカー14社連合が終結したMSXとMSX2、PC-9801を筆頭に、X68000、FM TOWNSなどの16ビット、32ビット機などまで、ウィンドウズが入ってくる前の国産の家庭用のPC歴史が書かれています。


 ホビーパソコン興亡史の方は、文章主体で写真もモノクロと物足りない部分もあるのですが、それを補う資料編みたいな位置付けで発売されたのが、同じ前田尋之氏の手によるホビーパソコンガイドブック。こちらは、全編カラーでハードの写真や当時の広告など、見て楽しむものになっています。ホビーパソコンガイドブックだけだと歴史の中でハードの位置付けや繋がりがわかりにくいため、この2冊は相互に補完するかのような関係になっている。


 憧れの機種だったシャープのパソコンテレビX1。シャープのテレビ事業部が製造しており、同じシャープのパソコン事業部のMZとも競っていた。この頃は、機種が違ってしまえば同じメーカーのPCといえども互換性がなかった。


 NECの安価なホビーPC、PC-6001/6601シリーズ。音声合成が可能で、しかも音階が付けられて歌を歌わせることができた。今考えると、ボーカロイドなど時代を先取りしている。


 80年代8ビットPCの主流となった王者NECのPC-8801SR。FM音源を積んでおり、それまでの味気ないBeep音から流麗な音楽を奏でることができた。スプライトを持たないため、重ね合わせてスクロールさせるアクションゲームは苦手だった。


 近年発売されたもので路線が近いものといえば、当時のカタログ、雑誌の記事などから構成された永久保存版80年代マイコン大百科。当時の雑誌広告からの引用が主体の構成になっている。惜しいことに、こちらはオールモノクロ写真で構成されている。


 10年ほど前に発売されたソフトバンクのBeep復刻版。当時は、LOGiNやマイコンBASICマガジン、テクノポリス、POPCOMなど、主にPCゲームに特化したホビーよりの雑誌が多数発行されていた。機種ごとの専門誌であるOh! PC、Oh! X1、Oh! MZや、技術やハード寄りのI/Oなど、住み分けができていた。このBeepを出版していた頃のソフトバンクといえば、まだPC関連の書籍を出していた、地味ないち出版社にすぎなかった。こちらは、当時の記事をそのままに1/4に縮小して掲載できるだけ掲載したという作り。


 PC-8801のエミュレーターと当時のゲームを詰め込んだ、蘇るPC-8801伝説。この2002年頃に、このようなエミュレーター+当時のゲーム本がちょっと流行った。


 1992年の休刊から、10年の歳月をかけて2002年に復刊されたMSXマガジン永久保存版。好評だったため第三弾まで発行された。


 電波新聞社のマイコンBASICマガジンに連載されていた記事をまとめたチャレンジ!!パソコン AVG & RPG。80年代当時に出版されて、大変な人気を博してVまでシリーズが発売された。こちらも2003年に復刻されている。


 ファミコン前夜とその社会現象に特化した書籍としては、ファミコンとその時代 テレビゲームの誕生がある。シャープ出身で任天堂開発者だった上村雅之氏の手によるもので、当事者本人が書かれたものとしてその資料的価値は一級品。その上村雅之氏は現在は立命館大学におられて、立命館大学ではゲームアーカイブプロジェクトというゲーム史を学術的に扱うプロジェクトを行っており、その一環として書かれたもの。 


 写真は、巻頭に少しとモノクロの小さなものがあるだけで、ほとんど文字だけで構成されているお堅い本。このようなゲーム史を扱った書籍としては、2005年に発売された“それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち”が有名。この本は長らくプレミア価格で売られていたのだけれど、2015年に再販されたようで、現在では普通に定価で買うことが出来る。もっと古い本としては、1988年のテレビゲーム―電視遊戯大全が有名。こちらは、再販される見込みが薄いため、とんでもないプレミア価格が付いている。1994年には電視遊戯時代―テレビゲームの現在として、続編も書かれている。



 ゲーム史に関する本は数多く書かれていますが、ゲーム機の歴史をこれだけ簡単にまとめたものは少ない。同時に80年代当時のパソコン文化に関しても、今となっては書かれることはほとんどありません。そういった意味でも、平易な文章で簡潔にまとめられたこれらの3冊の持つ意味は大きい。値段も安めだし、当時のゲーム文化に思い入れのある人には、気軽に手にとって読んで欲しいシリーズだと思います。

参考:家庭用ゲーム機興亡史 ゲーム機シェア争奪30年の歴史、ホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史、懐かしのホビーパソコン ガイドブック/前田尋之監修・オークラ出版、MSXマガジン永久保存版/アスキー、Beep復刻版/ソフトバンク、チャレンジ!!パソコン AVG & RPG/山下章・電波新聞社

冬物語/原秀則・小学館

2016-07-22 15:27:25 | 書籍・漫画

 冬物語は、1987年から1990年まで少年ビッグコミック、ヤングサンデー誌にて連載された原秀則さん原作の漫画。


 それまで青春漫画の舞台というと、その読者層を反映してか高校が圧倒的に多かったのですが、この作品ではこの時期としても珍しかった予備校での生活を描いている。時代背景としては、そろそろ世代数の多い団塊ジュニア世代の受験期にかかってきており、受験生の数が多くなり予備校で浪人するということが珍しくなくなってきていたということがあります。4年制の大学数も、少子化といわれている現在では約800校近くあるものが、1990年頃だと約500校と少なかったこともあって、偏差値や競争率が急激に上昇した時期でした。この漫画の連載時期にあたる1987~90年頃はバブル期にあたっており、社会に余裕ができたこともあってか予備校生のイメージも、それまではキテレツ大百科の勉三さんみたいなものから少しずつ変わってきていたのだと思います。


 そのような時代背景もあってか冬物語はスマッシュヒットを飛ばし、全7巻が刊行されて第33回小学館漫画賞を受賞している。


 物語は、主人公の森川光は偏差値が最低レベルといわれる大学まで全て不合格となり、専修大学に合格した彼女とも別れて浪人生になる。予備校の受付で出会った雨宮しおりに一目惚れをし、彼女と同じコースを選択することを決める。だがそこは、東大専科コースだった…。出だしこそ漫画的ですが2巻からは私立文系コースに進路を変更し、もう一人のヒロイン倉橋奈緒子が登場してきます。勉強そっちのけで女の子の顔色を伺う優柔不断な生活がたたってか、第一志望だった日東駒専レベルの大学はすべて落ちてしまい、現役のときに落ちた偏差値が最低レベルといわれる八千代商科大になんとか合格する。それでもあきらめきれない光は、大学を休学し仮面浪人を決断するが…。


 バブル期ということもあってか、予備校での勉強シーンが多いのは2巻ぐらいまでで、喫茶店でしゃべったり、飲みに行ったり、旅行に行くなど遊んでいるシーンが多くなってくる。服装もそれまでの浪人生というイメージからは遠く、かなりファッショナブルな格好をしている。人気が出たためか大学に入った後も物語は続き、必ずしも浪人生の物語ではなくなったという事情もあるでしょうが、意外に今でいうリア充な話になっています。また主人公は、ひたすら偏差値や知名度で大学を決めており、何学部かだとか、何を学びに行くのかといったことは、すっぽりと抜け落ちている。ただ、これはこの時期の文系の学生としてはそれほどおかしなことでもなく、わりとそんなものでした。


 個人的には、浪人していた時期に読んでいて、あの頃の予備校独特の空気感とかが上手く表現されている2巻ぐらいまでしか読んでいなかった。


 奈緒子という可愛い子に熱心にかまってもらい、いくらおしゃれなお店や飲み屋に立ち寄る生活であっても、予備校という場所、身分は一時的なものであり、常にリミットは迫って来る。また大学生のようにバイトできるわけでもないし、金もなく自由な生活でもない。そのような限られた時間の刹那が物語の主題だったのかなという気もします。


 1989年に東宝で映画化され公開された。当時上映は、同じ小学館のビックコミックスピリッツで連載されていて浅香唯さんの主演で映画化されたYAWARA!。残念ながら、どちらもDVD化されてない。


 監督は、佐賀のがばいばあちゃんの倉内均さん、主演はパンツの穴の山本陽一さん、水野真紀さん、ビーバップで人気の出た宮崎萬純さん。公開当時、映画館に見に行ってYAWARA!を途中まで見たところで寝てしまった。唯一記憶に残っているのは、YAWARA!に仲本工事さんが出演していたことで、全員集合が終わってからも活躍されているのを見て良かったと思ったこと。


 どのような内容だったのかはまったく覚えていませんが、原作のイメージや雰囲気は良く出ていると思います。


 個人的な思い出としては、予備校の寮に入って浪人生活をしていた頃にこの漫画を読んでいた。門限が20時で消灯が0時など、入ったばかりの頃にはカレンダーに丸をつけてこの生活が早く終わればいいのにと考える日々だった。ただ少しずつ予備校での生活にも慣れていき、同じ高校の同級生も何人かいたことから、夜中に誰かの部屋に集まって遅くまでしゃべったり、門限後も塀を越えて寮を抜け出しラーメンを食べに行ったり、オールナイトの映画を見に行ったりするようになった。予備校は高校とは異なり、大教室で選択した講義を受けるという形式なので、朝入り口で出席のタイムカードを読み込ませれば後は出席は取らず、自習室に行こうがさぼって街に行こうが自由になる部分もあった。慣れてくるにつれて開店前のパチンコ屋に並んでおっさんと席取をしてみたり、代ゼミに行った友達とボーリング場で待ち合わせをしてゲームをしてみたりと、予備校生なりに楽しい生活となった。ただ基本的に金はないし、田舎者ということもあって、この頃流行っていたディスコなどに行ったことはなかった。街中をあちこちウインドウショッピングして大型の書店で立ち読みをし、お気に入りの漫画を買い帰って寮で読むというだけで満足していた。


 もちろんそんな自由な生活も大学生ではないため、長く続くものではなく、あくまでも一時の場でしかなかった。夏期講習が終わり模試の結果なども出てくるとあせりも見え始め、受験が近づくにつれてからは、寮の部屋にこもって朝から夜中まで勉強をするという生活に切り替えた。1月の終わり頃には予備校での講義もなくなり、寮を出なければならない時期も近くなって、まだその時点では合格発表も出ていないため、どこにも行くところがなかったらどうしようという現実を見つめる羽目になった。同時に、この楽しかった時間もいつかは終わってしまう、ずっと過ごせるわけではないのだと、感傷的な気持ちになった。その予備校は、今はもう取り壊されてありません。少子化や大学全入時代を迎えて、代ゼミが全国27校を7校に縮小するという、この頃が嘘みたいな時代になっています。大学も社会人や留学生に門戸を開くなど生き残りに懸命で、もうこのような予備校にスポットがあたる時代はないのでしょう。


 この作品は、そんなバブル期特有のふわふわとした空気感、若さゆえどこで何をしても新鮮で楽しいという期待感、まぶしさ、高校生でもなく大学生でもないという予備校生特有の焦燥感、所在感のなさなど、いろいろなものが混ざり合っている作品だと思います。あの頃に受験生だった人、予備校での生活を経験した人には、今読んでもなかなか楽しめる作品になっているよう思います。



参考:冬物語/原秀則・小学館、Wiki 冬物語(漫画)、原秀則、倉内均の項、各種偏差値データ、DVDで見れない傑作映画、幻の黄金時代 昭和50年代 80年代、バブルの時代 バブル経済