LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

紀州木の家

2007-10-01 12:26:11 | インテリア
9月は西脇の家から始まり、飛騨高山、和歌山県和歌山市と
キャラバンのように現場、展示会、また現場と旅をしてきました。

旅の締めくくりは、和歌山市のKINO(紀州木の家協同組合)さんの施工による
”M邸”を仕上げて参りました。
KINOの得意とするのは、紀州材をふんだんに使った「気持のいい家造り」です。

コンパクトでありながら、開放感のある間取は、
ダイニングをゆったりと構え、あえてリビングは作らない
庭はこじんまりとしておいて、大き目のデッキを設ける
2階は主寝室と広い多目的スペースのみというものです。
限られた敷地のうちで様々の工夫と配慮のなされた良心的な設計です。



施主でいらっしゃるMさんは、アウトドア好きで
カヌーまで手作りしておられるというご夫婦です。
”M邸”のコーディネートは、自然志向の住まい手を意識し
ナチュラルで素朴なインテリアをこころがけました。

引き渡し前の数日間をお借りして
家具のセッティング、コーディネート、写真撮影をすませ
その後に2日間完成見学会を催しました。
この方法は、工務店さんが展示場を持たずしても家を多くの人に
見ていただくことができる効率のいいやりかたです。
あらかじめ外観の写真を撮っておいてチラシとDMを配布し、
セッティングに2日、撮影の日を1日取り、
一度に事例写真(ホームページやリーフレット用の宣伝写真)を撮る、
見学会を催すのです。(なんて頭がいい方法なんでしょう。)


 
たった2日間の展示ですからあれこれ家具を買うことはできません。
かといって家具のない展示場というのは、ゴーストタウンのようになってしまい
生活感が一切感じられないものとなってしまいます。
そこでKINOさんはどうしたかといいますと、
1・ギャラリー(展示場)に常設している家具、調度品を持ちこむ。
  それに加えて、手持ちの(自宅&実家の)家具を運び入れる。
2・地元の家具屋さん、輸入の木のおもちゃ屋さんとタイアップして(お店の宣伝
  のためのリーフレットなどを置く)商品をお借りする。
3・施主さんの持っていらっしゃる自慢の品(カヌーとアウトドア用品)を
  貸していただく。
というものです。残念ながらカヌーの写真は撮影のタイミング上、
私は撮ることができませんでしたが、KINOのホームページでやがて見られますので
その時までお待ち下さい。(現在KINOホームページリニューアル中です。)

KINOさんの素晴らしい点は、キッチン、水廻りまでフルオーダーできるというところです。
木造注文住宅であっても、キッチンはメーカーのものを導入している工務店さんが
多い中で、適正価格でお客様の要望を満たしたキッチンを制作しているところは
実は数少ないというのが現状です。
注文住宅であれば、一番にフルオーダーしたいのは主婦にとって
まずキッチンではないでしょうか。
ポリカーボネートの扉(引き戸)のカップボードや、無垢のカウンター、棚板、
コンロ脇のスパイスラックなど、木の家にふさわしい良心的な収納が、
この家には備わっています。



2階は、広々とした多目的スペースです。
都会的なモダンな家具ではなく、素朴な家具を置きたい。
お子さんが小さいうちは、家族の集うフリーなスペースとして、
そしてやがて子供部屋が必要になったら子供部屋として(プライバシーの無い)、
またお子さんが独立されたら、夫婦2人の趣味のスペースとなるよう
かぎりなくフレキシブルな造りです。(M家のお子さんは、どう転んでも非行に走らない気がします。)

コーディネートのテーマは、民族楽器を弾いたり空の星をながめる部屋です。
チェアーは、ウッドユウライクカンパニーの”スターウォッチングチェアー”と、
雉子舎工房の”モーリーチェアー”です。
工房家具メーカーさんとしてクオリティーの高い2社の椅子に合わせ、
床には、良質のキリムを合わせました。
木の床に、木の家具を置く場合キリムはよいアクセントになってくれます。



書斎コーナーは、誰でもいつでも使える
誰の指定席でもないデスクコーナーです。(やはりプライバシーはありません。)
このデスクコーナーで、近い将来ご主人がパソコンに向かう傍ら
お子さんが宿題をする光景が見られるように思います。
 


主寝室と収納部分にもふんだんに無垢の木が使われています。
このベッドルームは不思議に落ち着く、よく眠れそうな寝室です。
「どこかアジアのリゾートみたいだね。」と、
撮影の時カメラマンのY氏が言いました。
どうしてなんでしょう、きっと木の力だと思います。



お母様の寝室のために和室が1部屋設けられています。

この部屋には、箱膳2台と小座布団を置きました。
箱膳というのは、若い人はご存じ無いでしょうが、
箱の蓋を裏返せば膳になり、使わない時は食器を収納して箱になるという
普段使いの古くからの日本の優れものの道具です。
まず、家具代を抑えるという点からも
家具を置かず広く部屋を使えるという点においても
ぜひ見直したい道具のひとつです。

このときのフードコーディネートは、
”枝豆の混ぜご飯とコンビニのトン汁、野菜の小鉢”による
一汁一菜(?)のプチ懐石料理(?)でした。

限られた日程、限られた予算の中、、
最低の条件による最大の効果をもたらさなければならないという
私にとってのミッションのような、楽しいお仕事でありました。