山尾三省という詩人を知っているだろうか。
幾年か前に亡くなったが、屋久島に移り住み、多くの詩とエッセイを残した。
私は、生前逢ったことがあるのだが、その席で同席した人が「屋久島の生活のよいところと悪いところは」という質問をした。
よいところは、美しい森、海、空、美味い水、魚、野菜、完全な暗闇と星空、そして人……次々と出てくる。
では、悪いところは?
「それは金がないことです」
その場は爆笑に包まれた。が、
「だって、そうでしょ? こんなに良いところなのに、人の数は年々減っているんですよ。みんな島を出て行くのは、金がないからです」
この言葉に、みんな我に返った。そう、田舎暮らしは金だ。
ちなみに私は田舎暮らしをしているわけではないが、やはり距離のハンデは受けているなあ。東京に住んでいないことで潜在的な仕事のチャンスロスもあるし。
先日も、メールで仕事の依頼が来たのだけど、その後電話で話して奈良在住だとわかると驚いていた。もし、最初からわかっていたら発注されたかどうか。