ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

一日で二つの大滝を登攀しました!

2013年06月24日 | 沢登り/多摩川秋川盆堀川水系

2013/6/22  U田君から誘いの声があり、O橋君を加えて、大滝登攀の沢登りに行って来ました。目指すのは武蔵五日市駅からもさほどの距離ではない盆堀川の三郎ノ岩道窪と石津窪。そこにあるそれぞれ25mの大滝がターゲットです。

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▲U田君は寝坊したので電車ではなく車で来ていました。盆堀川支流の伝名沢出合広場に行くと、次々に車が到着します。一体何があるんだろうと聞くと「森林作業をするので、これからたくさん人が来て、バスも2台来ます」「車もここに停めていると、出られなくなりますよ」とのこと。U田君は駐車場所を求めて、結局は棡葉窪の近くまで戻って停めることになってしまいました。
帰宅して調べると、この辺りは「新宿の森・あきる野」と呼ぶようになっているようで、新宿区とあきる野市が「地域環境保全のための連携に関する協定に基づいて、森林の整備や自然学習、交流促進の場として活用する」のだそうです。
今日は植樹した広葉樹の下草刈りでもするのでしょうか? 9:00ころ。

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▲伝名沢を進みます。幾つか堰堤を越えると、三郎ノ岩道窪が出て来るはずなのですが。9:13ころ。

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▲確か、ここが三郎ノ岩道窪の出合のはず。9:21ころ。

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▲これが大滝です。9:26ころ。
実は僕はこの滝は3回目。そのうち一度はこの沢を下降しただけですから、大滝の登攀は2回目です。最初に登攀した時は、情報も乏しく、どのあたりを登るのかは知りませんでした。晩秋の頃だったせいでしょう、水流もほとんどなく、岩も乾いた部分が多かったので、滝の左下から取り付き、最初のテラスでハーケンを1本打ち、その上はほぼ水流沿いに登ったのです。この写真の上部5分の1あたりは60度前後のスラブ帯があります。下からはその広がりは見えません。そこに至り、進むことが出来なくなりました。何故なら、ホールドもスタンスも小さく、ハーケンを打ちこめるリスもなかったからです。クライムダウンすることもままならず、長い時間何も出来ずに立ち尽くすばかり。当時の僕の登攀能力(今もさほど変わりませんが)の4級+を越える5級+はあろうかと感じる困難さでした。足が疲労し、このままでは小さなスタンスに立ち続ける力さえなくなってしまいます。え~い、ままよと、最後の勇気を振り絞って、登りきりました。

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▲今日この大滝をリードするのはU田君。確保者はO橋君です。9:37ころ。
今は情報も得られるようになりました。ハーケンが打ってあるのは水流の右側です。

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▲出だしから嫌らしそうです。打ってあるはずのハーケンがなかなか見つからないようです。すでに数mは登っていますから、そろそろひとつ目のプロテクションを取らないと危険です。9:41ころ。

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▲U田君が今いるあたりが大滝登攀の核心部です。打ってあるハーケンがここでもなかなか見つかりません。プロテクションを取らないとこの先へ進む踏ん切りが精神的につきません。ここで墜落すると、グランドフォールしてしまうからです。ハーケンを打とうともしましたが、上手く打ちこめるリスが見つからないようです。9:51ころ。

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▲どうなることか、下でも緊張して眺めていましたが、「ハーケン見つかりました!」とのU田君の叫びが。「なんで見つけられなかったんだろう?」と、独り言も聞こえて来ます。あ~あ、やれやれです。見ている僕やO橋君もホッと胸を撫で下ろしました。10:07ころ。
そのプロテクションが彼の左足横に見えています。この写真ではすでに一段上に上がっていますが、先ほどまで立っていた場所の左上にあったのでした。

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▲ときおり陽も射す天気でした。この大滝にも陽が当たります。まあ、陽も当たるので草や苔も育ち、岩がぬめって登りにくくなるのですけれどね。
U田君はここでも苦労していました。さっきまでのところよりは易しいのですが、ハーケンが見つかりません。結局、足元にカムをセットしたようです。10:12ころ。

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▲最後の小さな垂壁を乗り越えます。10:27ころ。

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▲傾斜の落ちたスラブに出ました。右奥の灌木に確保支点を求めます。10:28ころ。

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▲セカンドで登るのはO橋君です。10:37ころ。U田君がこの1ピッチを登るのに、1時間弱かかったことになります。シビアな登攀でした。

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▲フォロウのO橋君も核心部にかかって来ます。フォロウだって大変です。10:45ころ。

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▲1ピッチ目の確保点です。11:16ころ。
U田君はこの登攀でかなり消耗したからでしょう、僕がフォロウして来ると「2ピッチ目をO橋君にリードさせてあげて」と言います。「今日は三郎ノ岩道窪だけでもう十分」と言った心持ちなんでしょう。僕は気楽なフォロウですから、「いやいや、まだ時間の余裕はあるから」と、やんわりと断ります。それに「2ピッチ目はO橋君にリードしてもらうほどのところじゃないよ、簡単だから」と言って、そのまま僕がリードしました。
前言撤回、易しくはありませんでした。昔の記憶ほど当てにならないことはありませんね。僕もルートは違えど1ピッチ目の困難さばかりが記憶に残って、2ピッチ目のことなんか忘却していたようです。フォロウの二人も、1ピッチ目の抜け殻状態で大変そうに登って来ました。

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▲大滝上には高さ数mクラスの小滝が連続してありました。各自好きなルートから勝手に登って進みます。12:13ころ。

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▲この滝はトイ状滝の手前にある5m。落ち口がツルツルでノーザイルでは登りたくないところ。僕とU田君は高巻きましたが、どうしても登りたいO橋君のため、ザイルを出しました。12:26ころ。

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▲トイ状を越えると滝はなくなります。適当な場所から左岸斜面を支尾根に向かって登ります。仕事道が出て来ました。12:44ころ。

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▲適当に下降していたせいでしょう。沢へ降り立ってしまいました。13:07ころ。
でも、何となく見覚えのある景色です。あ~あ! そうです。ここは棡葉窪の二俣!
下るべき支尾根はほぼ東方向へ下降すればよかったのですが、標高580m付近から少し北向きの尾根に入ってしまったようです。
でも、棡葉窪の二俣ならここから簡単に林道へ下りられます。意外とこちらの方が早かったのかもしれません。

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▲今日の天気予報は「午後、山間部ではにわか雨、雷もあるかもしれません」とのこと。それが的中して、棡葉窪出合から石津窪出合へと林道を歩いている間中、雷雨でした。たいした雨ではありませんでしたから、雨具も着ませんでしたけれど、気分爽快とはいきませんよね。写真は石津窪を遡行し始めてすぐのあたりです。14:29ころ。

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▲この2段の滝は登攀可能ですが、時間も押しているので省略。右側から高巻きしました。でも、その高巻きも思いのほか嫌らしい。14:38ころ。

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▲幅広の滝8m。難しくはありませんが、高さがあるのでザイルを出しました。リードはO橋君。14:55ころ。

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▲幅広の滝のすぐ上の滝です。5mほどの高さでしょうか? ピッチグレードは4級はあるでしょう。リードはU田君ですが、楽勝。15:09ころ。

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▲これが石津窪大滝25m。水量はこの時期としては少ない方かもしれませんね。ルートはふたつ。易しい一般ルートは水流右を20mほど進み、水流左に渡ります。最後は水流のすぐ左を直上するのです。暑い夏には気持ちのよいシャワークライミングルート! もうひとつは最後まで水流右を登るルート。濡れたくない時にはいいルートですが、難しいルート。僕は一般ルートしか登ったことはありませんでした。15:24ころ。

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▲O橋君のリードスタート。15:35ころ。

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▲O橋君が「寒~い!」と叫んでいます。「雨具を着た方がいいよ~っ」と。15:37ころ。

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▲一般ルートへ進むのなら、O橋君が今いるあたりから左へトラバースしなければなりません。全身びしょ濡れになるのは必定。どうするのでしょうね。15:42ころ。

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▲右直上ルートを選んだO橋君。今いるポイントがこのルートの核心部みたいです。苦労しています。プロテクションは取れているのですが、それでも上に登る踏ん切りがつかないようです。15:50ころ。

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▲「駄目かもしれません」と、O橋君が下に向かって声をかけます。最後に取っているプロテクションを支点に、負荷をなるべくかけずに下降し、U田君もしくは僕とリードを代わるという手はあります。でも、それは最後の手段。O橋君に登ってもらいたいと思っています。
下からひとつの提案。「そこのハーケンとかにシュリンゲをかけて、アブミのように少し高いスタンスを作ったら?」と。さっそく実行します。この写真がそれです。O橋君の右足が赤いシュリンゲを踏んで立ち込んでいます。16:01ころ。

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▲ほぼ登りきりました。やった~っ! 16:05ころ。

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▲セカンドで登るU田君も核心部へ。さすがに、フォロウは楽です。
天気も石津窪に入渓したころから持ち直し始めていましたが、大滝登攀の頃はほんの少しですが、日差しもあったりしました。16:18ころ。

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▲大滝登攀が終了し、下山することにしました。大滝の左岸に仕事道があったはずなので、それを探しながら大滝の左岸上部を目指します。仕事道はあるようなないような・・・・。ほとんど獣道程度の痕跡をつなげながら石津窪出合そばのガレ沢に出て、それを下って出合に戻りました。僕が大昔に愛用していた「東京周辺の沢」(草文社発行、昭和54年)には明確にその仕事道が記されています。僕も何度も歩いたことがあるのです。山仕事で使わなくなった仕事道はすぐに廃道化しますから無くなるのも仕方ありません。でも、ほぼ正しいルート取りはしたようですね。昔の仕事道も同じガレ沢付近に出て来ていますから。
写真は林道で装備解除終了し、歩き始めようとしている2人です。18:11ころ。

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▲夏至の翌日ですから、日は長いのです。石津窪を源流部まで遡行できませんでしたけれど、満足感はありますね。18:14ころ。

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▲棡葉窪出合そばに停めておいたU田君の愛車です。一台だけになっていました。18:50ころ。

車で五日市町の「音羽鮨」へ。ここが僕の行きつけのお店です。お寿司屋さんですが、何でもあります。僕たちは居酒屋さん風に活用させてもらっています。有り難いことに何ヶ月も前のボトルをそのままキープしてくれているのです。ひどい時には1年近くも。こんな僕のようなお客さんも大切に扱って下さり、感謝、感謝。それに驚くことに、キープしている焼酎は僕の愛酒「三岳」なんです。今日は水にも濡れているので、お湯割りで乾杯! 当然、U田君は飲めませんが。
U田君は翌日が27歳の誕生日でした。おめでと~う! ついでにO橋君は30歳。僕はと言うと、このブログ上では秘密です。でも、付き合ってくれる若者に感謝の年代ですね。

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