私的図書館

本好き人の365日

良寛さんと、マンガ「会いにいくよ」

2012-07-11 23:21:41 | 本と日常

このところちょっと忙しくて、パソコンを開く時間もありませんでした。

まぁ、このご時勢ですから、ありがたいといえばありがたいんですけどね。

 

しかし人間の体も心も休養は必要。

肉体的な疲れは食べて寝ればまだなんとかなりますが(岩盤浴にも行って来ました♪)、精神的な疲れは意識して栄養と休息を与えてやらないと。

というわけでもないのですが、今日は『蓮(はちす)の露』の中に書き留められている「良寛戒語」というのを読んでいました。

蓮(はちす)というのは、「ハス」のこと。

「良寛さん」と親しみを込めて呼ばれるこの人は、江戸時代に越後の国で暮らしたお坊さんで、その弟子、貞心尼(出家した女性)によって『蓮の露』は書かれました。

29歳の貞心尼が良寛さんの門をたたいた時、良寛さんは70歳。

美貌の未亡人だったと今に伝わる貞心尼と、70歳をこえた良寛さんが一緒に過ごした時間は4年足らず。

二人の関係も気になるところですが、今日は良寛さんの言葉として、貞心尼が書き残した「戒語」について。

 

まあ、簡単にいうと「こういうことはしてはいけないよ」というようなことが、90以上も書いてあるのですが、その一つ一つが、21世紀に生きる自分にもすごく当てはまって、「そうだよなぁ~」と納得してしまいます。

簡単に紹介すると。

 

「しないほうがよいこと」

・言葉の多き

・話の長き

・表裏口

・客の前に人を叱る

・憎き心もちて人を叱る

・人の嫌がるおどけ

・人の傷つくことをいう

・自慢話

・減らず口

・人のもの言い切らぬうちにものをいう

・あなどること

・親切らしくものいう

・よく物の講釈をしたがる

・よく知らぬことを憚(はばか)りなくいう

などなど。

 

すげぇわかる(苦笑)

自分にあてはまるものや、他人がやっていて不快に感じたことがあるものばかり!

人間って、いつの時代も変わらないのかも知れませんね☆

自慢話はひかえよう…(笑)

 

良寛さんは、死ぬまで自分の寺は持たず、必要な物は托鉢でわけてもらっていたそうです。

それでも十分生きてはいける。

天衣無縫。

過去にとらわれず、未来を恐れず、小さき童のように、無心に遊びに興じるように生きる。

我を捨てる。

それは己の心のままに行動することではなくて、己を律してコントロールしなければできないこと。

相手の立場に立つこと。

利害関係やどちらが正義で正義ではないかが問題なのではなく、理屈で考えた小さな考えを抜け出して、それを乗り越えて初めてその立場に立てる。

正しいからって、それを主張するだけなら、動物にだってできますからね。

ライオンはシマウマを食べるのに躊躇なんかしません。

相手のミスを鬼の首を取ったかのように攻め立てて相手を追い詰めても、それは所詮自分が正しいと主張したいという自分の「欲」に支配されているだけのこと、人間だけが相手の立場に立って物を考えることができる…

と、斉藤茂太さんの『豆腐の如く』(ちくま文庫)という本に書いてありました(苦笑)

 

実際に実行するのはなかなか大変ですけどね。

 

現在発売されている週刊誌、「週刊少年マガジン」に、この「私的図書館」でも紹介した、絵本作家”のぶみ”さんの東日本大震災直後のボランティア活動を描いた『上を向いて歩こう』、その本を原作にしたマンガ「会いにいくよ」が掲載されています。

現場の空気感、臭い、作業、どれも実際の体験をもとに描かれていて、ボランティアを経験した私にもとても伝わるものがありました。

もっとも、掲載にあたって、さすがに原作にあるような衝撃的な内容まではマンガでは描かれていませんでした。ここに書くのも憚れます。

興味のわいた方は、原作であるのぶみさんの『上を向いて歩こう』を読んでいただければ、マンガに描けなかった部分がどこなのか、わかってもらえると思います。

マンガを描いておられる作家さんたちも、実際に何度も現地でボランティア活動をされているのを、ブログやニュースで見て知っているので、このマンガを一人でも多くの人に読んでもらいたいと思いました。

コンビニで立ち読みでもいいです(苦笑)

手に取ってもらえたら嬉しいです☆