私的図書館

本好き人の365日

十一月の本棚 3 『魔法使いはだれだ』

2004-11-27 01:08:00 | ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

わたし達の世界とソックリだけれど、魔法に満ちた別の世界。

今月は、そこで巻き起こる、魔法にまつわる様々な事件を描く「大魔法使いクレストマンシー」シリーズを紹介してきましたが、いよいよ今回で三冊目♪

映画「ハウルの動く城」も好評みたいですし、ますますこの作者からは目が離せません。

では、英国が誇るファンタジー物語の紡ぎ手。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いはだれだ』を、ご紹介しましょう☆

今回の舞台は寄宿学校!

わたし達の世界とソックリだけれど、やっぱり違うこっちの世界では、魔法使いがたくさんいるにもかかわらず、魔法が法律で厳しく禁じられています。

「このクラスに魔法使いがいる」

そんな中、捕まったり、火あぶり(!)にされた魔法使いの遺児たちが学ぶラーウッド寄宿学校の二年Y組で、魔法使いを告発するメモが見つかって、大騒ぎ!

いったい誰がメモを書いたのか?
そして、メモの内容が本当なら、魔法使いはいったい誰?

登場する学校の生徒たちの描写がいきいきとしていて、読んでいて楽しい、楽しい♪

男子と女子の間に見えない壁があって普段は口もきかなかったり、男子は男子で暗黙の力関係が、女子は女子でいくつかの派閥がある、といったところなんか、どこの国でも共通らしいですね。

この作者の学園物って大好きなんですよ☆

いじめっ子や気取り屋、いわゆる「いい子」なんて一人もいなくて、ズルくて、目立ちたがり屋で、あこがれや嫉妬を抱く子供たちばっかり!

「そう、そう、こんな奴絶対クラスに一人はいたよね」と思わずうなずいてしまうほど☆

魔法使いと疑われ、みんなにからかわれる女の子のナン。
幼い時の魔女との出会い、火あぶりにされる魔法使いの姿が忘れられない男の子チャールズ。

そんな時、魔法としか考えられないような事件が次々と起こって、みんなの疑いの目は哀れなナンに…

やがて副校長の息子で嫌われ者のブライアントが、「魔法使いにさらわれる」と書き残して失踪してしまい、警察もやって来て騒ぎは大きくなるいっぽう。

ついには魔法使いを捕まえる査問官がやってくるというので、逃げ出したナンと仲間たちは、古くから伝わる助けを呼ぶといわれる呪文を唱えてみることに…

いい意味で期待を裏切ってくれる作者の”引っかけ”にはワクワクさせられっぱなし!

アレ、この人がこうだとすると、あれは誰がやったの?
あっちがこうだと、え? そんなのってアリ!?

疑問符と感嘆符。
交互に頭に浮かんで物語の後半はスピードアップして読んでしまいました。

この世界ではクレストマンシーのことはほとんど知られていないらしく、子供たちにうさんくさく見られてしまうのが可笑しい☆

魔法のほうきの友人って誰?
わがままな空飛ぶ絨毯?
黄金の手にスパイクシューズのチョコレートケーキ?

魔法がたっぷり、ユーモアどっさりの痛快ファンタジー小説☆

戦いばかりのファンタジーに、もううんざりのあなた。
普通の魔法ではあきたらないというあなた。
ぜひ、このシリーズを手に取ってみてはいかがでしょうか。
きっと面白いことが始まりますよ♪

どうです、魔法使いを捕まえに、あなたも物語の世界に出かけてみませんか?





ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  著
野口 絵美  訳
徳間書店